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古川隆久の『昭和天皇』 - 戦争責任を否定して擁護する悪質な右翼本

c0315619_14222153.jpg旧ソ連時代にモスクワを旅して、赤の広場にあるレーニン廟を観光したことがある。廟はあのとおり花崗岩で造られた小さな建物で、入口を入ると地下への階段があり、それを少し降りると遺体安置室まで通路が伸びている。観光客は列を作って順番に前へ歩いて行く。その狭くて暗い通路の脇に、青い軍服を着た衛兵が銃を持って静かに並んでいた。全員、二十代前半と思われる若くて背の高い美男子で、選りすぐりの精鋭を揃えているのが印象的だった。遺体はエンバーミング処理が施されたものだと現在では正しい説明がされている。当時はそのような知識や情報はなく、ソ連邦科学アカデミーが誇る「死体防腐処理」の正体は謎だった。遺体を目にしたとき、すぐに感じたのは、これは蝋人形じゃないかという疑いである。どう見ても蝋人形的で、表面がテカテカしていて、人の遺体の実物には見えなかったのだ。蝋人形だという噂は当時からあった。国家の中枢に置かれている、その国家を国家として成り立たせている神聖なものが、ニセモノのダミーで、ウソを世界中に言っている。そう感じた。この国は長くないなと思った。

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by yoniumuhibi | 2018-08-31 23:30 | Comments(0)

昭和天皇の戦争責任 - 増田都子の『昭和天皇は戦争を選んだ!』

c0315619_15162640.jpg昭和天皇の戦争責任の問題について、本を読み探して勉強をしている。昨年、岩波書店から山田朗の『昭和天皇の戦争―「昭和天皇実録」に残されたこと・消されたこと』が出版されていて、宮内庁の公式伝記である「実録」が、いかに公になっている不都合な事実を隠蔽し、昭和天皇を美化する目的で史実を歪曲したものであるかを明らかにしている。この作品が学界のブランドである岩波から出たことは事件だろう。山田朗といえば、昭和天皇の戦争指導の具体的事実を一つ一つ暴き、証拠を提示したことで有名な歴史学者で、その著作は主に新日本出版社から刊行されている。その山田朗が、おそらくは保阪正康や半藤一利や御厨貴も編集に関わったであろう正史の「実録」の虚偽を暴露する本を、権威の卸問屋たる岩波が世に出したということは、この国の歴史認識の問題において重要な出来事であろうと思われる。果敢な挑戦であり、歓迎すべき成果である。吉田裕の『昭和天皇の終戦史』、豊下楢彦の『安保条約の成立』に続く、山田朗の「昭和天皇の戦争責任」が岩波新書で登場する日も近いかもしれない。

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by yoniumuhibi | 2018-08-29 23:30 | Comments(2)

昭和天皇の戦争責任 - 右翼の神話と化している責任不在論

c0315619_13381584.jpg昭和天皇の戦争責任の問題について、共同が元侍従日記のスクープを地方紙に配信し、その報道を受けて志位和夫が正論のツイートを発して5日が過ぎた。天木氏が言ったように、この志位発言をマスコミは黙殺する対応に出ていて、新聞もテレビも一社も取り上げようとしない。だけでなく、140字で簡潔に結論された志位発言に対して、自民党の大物とか保守論壇の著名文化人とかからの反論や批判もなく、誰もこの問題に触れようとしない。また、さらには、左派の政治家や著名人や学者からもコメントが皆無で、誰からもサポートやエンドースがない状態で放置されている。きわめて奇妙な光景だ。右から批判がないのは当然で、志位和夫の主張が正論であり、歴史研究の豊富な裏づけがあり、ひとたび難癖をつけて論争を始めれば、衆目の中であっさり論破されて恥をかき、不具合な事件として広まるリスクがあって、そんな面倒な手間と責任を負いたくないからだ。また、まともに論争を始めれば、次から次へと具体的な証拠を並べられ、侵略戦争を差配・指導した昭和天皇の実像が露わになるため、それを恐れて沈黙に徹しているのだろう。

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by yoniumuhibi | 2018-08-27 23:30 | Comments(3)

志位和夫の勇気ある渾身のツイートに拍手 - 昭和天皇の戦争責任

c0315619_12120890.jpg昨日(23日)、昭和天皇が戦争責任について晩年に侍従に語った件が報道された。元侍従の小林忍が日記に書いていて、共同通信がそれを入手し公開したものだ。全体の文脈を読むと、85歳(死の1年半前)の昭和天皇が侍従に愚痴をこぼしていて、長生きしても楽しいことはない、近親者も不幸になるし、戦争責任のことを言われるしと嘆いている。朝日の記事を見ると、その昭和天皇の愚痴に対して、小林忍は「戦争責任はごく一部の者がいうだけで国民の大多数はそうではない。(略)お気になさることはない」と慰めている。おそらく、この小林忍の慰めが欲しくて、昭和天皇は愚痴をこぼしたのだろう。テレビのニュースでは、右翼の古川隆久が解説に登場し、「昭和天皇が戦争責任の問題を長年重く受け止め、高齢になるにつれその思いが強くなっていたことがうかがえる」と「分析」を垂れていた。昭和天皇が戦争責任を重く受け止めていたというフィクションを撒き、視聴者にフェイクを刷り込んでいる。驚いたことに、朝日の紙面(2面)にも古川隆久が出ていて、NHKと同じ「解説」を記事にしている。脱力させられた。

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by yoniumuhibi | 2018-08-24 23:30 | Comments(4)

ノモンハン事件の歴史認識と三つの動機 - 辻政信化した現代日本人

c0315619_14590177.jpgノモンハン事件は、中国との戦争と米国との戦争の間に起きたソ連との戦争である。盧溝橋事件が37年7月、真珠湾攻撃が41年12月、ノモンハン事件は39年5月に起きている。それはまた、1931年の満州事変から始まる長い15年戦争のちょうど中間の時点に位置する戦争でもあった。ノモンハン事件はどのような戦争だったのか。どのような歴史認識として定着しているのか、それを確認しようとしたが、あまり明確なものがないような印象を受けた。手元にある山川出版社の高校日本史Bの教科書(1996年版)を見ても、本文中に記述がなく、独ソ不可侵条約の注記の扱いでページ下欄に触れられている程度で(P.327)、あまり重要な扱いがされておらず、十分な説明が加えられていない。一般には、NHKの特番や司馬遼太郎の言葉がノモンハン事件の表象になっていて、参謀辻政信の狂気の暴走と陸軍首脳部の病的な無責任という図式で歴史認識が総括された格好になっている。半藤一利がその語り部の代表だ。が、私にはどうもこの語り方が不十分であるように不満に感じられ、もっと立体的に概念的にこの歴史を捉える必要があると思われてならない。

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by yoniumuhibi | 2018-08-22 23:30 | Comments(3)

半藤一利『ノモンハンの夏』の歴史認識の問題点 - 対ソ戦の国家意思

c0315619_14392383.jpg8月15日にNHKが「ノモンハン 責任なき戦い」を放送した。分かりやすい内容に仕上がっていて、ノモンハンの歴史的事実をよく概説し、日本の戦争の意味と教訓を浮き上がらせた番組だったと思う。学校の歴史教育の材料として十分な作品だ。おそらく、この番組の制作にあたっては半藤一利が何らか関わっているはずで、スタッフに助言と指導を与えたものと推測される。司馬遼太郎の言葉が引用され、それが全体の基調を成していたところからも、この番組の影のプロデューサーが半藤一利であると見当をつけて間違いはないだろう。と考えて、文春文庫で出ている半藤一利の『ノモンハンの夏』を読んでみた。ポピュラーな本で、1998年に山本七平賞を受賞している。ノモンハン事件についての現在の日本人の一般認識を示すものと言っていい。だが、読む前から予想していたことだったが、やはり不具合を覚える結果となった。違和感の正体と原因は何かというと、辻政信一人に問題を収斂させている筆致への抵抗である。辻政信の個性の偶発的な悪魔性と陸軍の集団の出鱈目さを強調して事件を総括している。その視角と方法に限界を感ぜざるを得ない。

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by yoniumuhibi | 2018-08-20 23:30 | Comments(1)

平成最後の終戦の日 - 戦没者追悼式とNHKのノモンハン特集番組

c0315619_14013990.jpg平成最後となる終戦の日の全国戦没者追悼式、そこで天皇陛下がどういう言葉を残すか注目した。結局、「戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ」という一節が加わっただけで、期待したほどの大きな加筆や提起はなく、従来とほぼ同じ内容のものが淡々と述べられて終わった。もっと何か言い残したいことがあったのではないか、国民に訴えたいものがあったのではと胸中を推し量るが、2年前の退位表明の革命行動以降、則を超えないよう自制と禁欲に努めているようであり、今回もそのように自重を心得たのだろうと想像する。今回、天皇陛下の表情は憮然としているように見えた。昨年、一昨年は、来し方を振り返り感慨に耽っている様子が看て取られたが、今回はずっと固い表情を崩さず、事務に徹しているという感じだった。天皇陛下が憮然としていたのは、おそらく、目の前にいるのが安倍晋三だったからだろう。またおまえか、まだおまえがやっているのか、大事な式典なのに、最後の最後までおまえなのかと、そう言いたげに見えた。そのことが残念でたまらないという心境が表情に表れていた。

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by yoniumuhibi | 2018-08-16 23:30 | Comments(1)

政府の権力構造も変化している - 安倍権力の強度はシン・ゴジラ化

c0315619_13553158.jpg自民党の派閥は、すでに政策集団でもリーダー養成機関でもなく、独裁者に対して忠誠競争と忖度競争をして、ポスト配分の既得権を守る集団になり果てている。派閥は形だけしか存在せず、そこに会長はいても領袖はいない。安倍独裁に対して牽制的に機能する派閥のプルーラルな要素は、安倍三選、安倍四選の過程の中でさらに無化が進むだろう。今回、石破茂が立つことができたのは、6年前に出馬した実績があり、小ながら自分の派閥を作っていたからである。出馬表明も準備もせず、自ら派閥の形成に至っていない小泉進次郎が、果たして3年後に総裁選に出る条件を持っているかどうかは微妙だ。三選を果たせば、その後に参と衆の二つの国政選挙に勝てば、安倍晋三は必ず党則を変えて四選への進路を固めるだろう。いずれにせよ、安倍晋三の任期は2021年まで続くのであり、官僚たちも、マスコミの者も、経済界や学界の者も、そのスコープの下で出世と保身を考えないといけない。忠誠競争と忖度競争に励まないといけない。

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by yoniumuhibi | 2018-08-13 23:30 | Comments(3)

自民党総裁選 - 派閥が消滅し独裁が永続するしかない党システム

c0315619_13500697.jpg青木幹雄が吉田博美に石破茂を支持せよと指令したのは7月25日のことだ。すぐにマスコミが報じるところとなり、7月末から8月初にかけて、党内第三派閥である竹下派が石破茂支持に流れるのではないかという観測が浮上した。朝日新聞の記事を見ると、8月2日に「竹下派、石破氏支持へ集約進む」という見出しがある。この時点で、派閥会長の竹下亘は派閥として統一行動をとることを目指し、衆参ともに石破茂支持で纏めるべく衆院の派閥幹部たちを説得、会長一任を取り付けるべく動き、その意思をマスコミの政界記者に伝えて書かせていた。それを見ながら、私は7日に、竹下亘の一任取り付けは到底無理で失敗に終わるだろうとツイートした。結局、調整を試みたものの衆院側の抵抗が強く、竹下亘は9日の派閥会合を前に一本化を断念、自主投票を決め、衆院側大勢は安倍支持、参院側は石破支持と分かれることになった。注目すべきは竹下亘自身の対応で、8日朝の毎日は「竹下氏は石破氏支持」と書いているが、9日夜の朝日では「『私個人はもう少し考えたい』と述べるにとどめた」とある。

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by yoniumuhibi | 2018-08-10 23:30 | Comments(0)


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