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9条改憲と安全保障について - 二つの言説に対する反論

c0315619_15092416.jpg昨夜(30日)、NHKのニュースで9条改憲についての安倍晋三の国会答弁を報道していた。2項を残して3項で自衛隊を明記する持論を語り、委員会席に座っている2項削除論の石破茂に向かって鞘当てする映像を流していた。さらに、高村正彦がどこか国会外で喋っている絵を映し、2項削除では公明党の賛同が得られないから、公明党に合意させるために3項追加を自民党の正式案にするのだと補足までさせた。安倍晋三の意向に即した、あからさまな世論工作の報道だ。今国会の中心テーマが9条改憲の問題であることは言うまでもない。が、本来、この政治争点は、9条を変えるか変えないか、9条を変えていいのかどうかという根本問題が基本であるはずなのに、マスコミは、2項削除か2項維持かという選択に仕立てている。9条を変えて自衛隊を明記することについては、もう既に決まったことのように報じ、国民的な了解が得られているかの如く問題を説明している。安倍案か石破案か、どちらなのかという政治構図にし、幅広い国民の合意を得られるのは安倍案だと宣伝している。3月の自民党大会に向けて、石破案と安倍案の二つの改憲案が競い合うので、レースの行方を注目しようという報道になっている。9条改憲を前提にした、9条改憲を既成事実化する偏向報道だ。

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by yoniumuhibi | 2018-01-31 23:30 | Comments(10)

「反日」と「愛国」の言葉 - NHKスペシャル「赤報隊事件」を見ながら

c0315619_16062796.jpg「インターネット上には赤報隊が繰り返し用いた『反日』という言葉が飛び交っている。意見や立場の異なる相手にレッテルを貼り、排除する際に使われている」。28日に放送されたNHKの赤報隊特集番組の結語で、伊東敏恵の渾身のナレーションが響いた。この言葉は重い。勇気を出してよく言ってくれたと思う。スタッフに拍手を送りたい。今や「反日」という語はそこら中に溢れていて、市民社会の言論空間の普通語になっており、われわれは感覚をすっかり麻痺させられている。テレビの番組でも「反日」という言葉は当たり前のように使われ、例えば、池上彰のニュース解説番組でも頻繁に登場する。韓国や中国の立場や主張を「反日」と決めつけて批判する議論は、池上彰が毎晩やっていて、そのため、一般国民にとってその言語と言説は標準的な観念になっている。「反日」批判のイデオロギーは、書店の店頭に横溢し、テレビを通じて茶の間に散布され、インターネット上に氾濫し、もう誰もその言語に接して違和感や抵抗感を覚えない状況になってしまった。昨年、韓国の大統領選に出た野党候補の文在寅に対して、関口宏がサンデーモーニングで「反日政治家」だと決めつけて揶揄する場面まであった。だが、本当は、「反日」は普通語ではないのだ。市民社会で普通に使われる言葉ではなく、右翼が使う特別な政治言語なのである。

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by yoniumuhibi | 2018-01-29 23:30 | Comments(2)

毎日新聞の裏切り工作 - 三択方式に仕様変更された9条世論調査の怪

c0315619_17043199.jpg憲法改正の政治戦で、安倍晋三がマスコミを使って布石を打ってきた。巧妙に先手を取られた感がする。世論調査で攻勢を仕掛けてきた異変にお気づきだろうか。具体的に説明しよう。まず、1月3日の東京新聞の世論調査を見てみよう。9条改正について「必要がある」が41.2%、「必要はない」が53.0%の結果になっている。改憲の国会論議について「急ぐべきだ」が28.8%、「急ぐ必要はない」が67.2%とある。この記事が今年初めて見た憲法に関する世論調査であり、東京新聞の数字だからこんなものかと思いつつ、一方、今年は憲法の決戦の年だという覚悟で緊張していたため、新年にマスコミが出す憲法関連の報道が気になっており、この数字を見て安堵を覚えたものだった。幸先のよいスタートを切ったという感想を抱いた。ところが、そこから3週間後の産経の世論調査を見ると、全く逆の結果が出ている。「国会は憲法改正に向けた議論を活発化させるべきか」の質問に対して、67.2%が「思う」と答え、「思わない」の29.6%を大幅に上回っている。産経が出す世論調査だからということで、数字そのものは割り引いて考えてよいだろうが、右からこうした一撃が出たことで、3日の東京新聞の楽観的な世論報道は相殺され、正月のお屠蘇気分は吹き飛ばされてしまった。

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by yoniumuhibi | 2018-01-24 23:30 | Comments(2)

日本で過小評価されすぎている米国と北朝鮮の和平合意の可能性

c0315619_16022915.jpg北朝鮮と米国との緊張について、少し見落としている点があるように思われる。和平に転ぶ可能性について、日本国内ではあまりにその見方が少なすぎるのではないか。この点は私自身も反省しないといけないが、トランプの北朝鮮政策について、攻撃論一辺倒の観測に偏りすぎていたと思う。マスコミの論調に影響されたためだ。最も重要なポイントは何かというと、11月の中間選挙に勝つため、トランプは北朝鮮をどうすればよいかという問題設定である。従来、私も含めて、支持率が低く苦戦が予想されているトランプが、ロシア疑惑を受けた劣勢を挽回するべく、北朝鮮に軍事攻撃を始めるのではないかという悲観論にとらわれる思考が強かった。米国民の関心を北朝鮮との戦争に向け、米国内の空気を変え、戦果を勝ち誇って選挙に臨むという想定である。トランプが北朝鮮問題を自らの政権維持に活用していることは明らかで、国内での政治的立場を有利にするべく北朝鮮問題をカードにして使っている。が、ということは、よく考えれば、米朝が直接交渉で何らか合意して、北朝鮮が核とミサイルの挑発をやめるという結果が得られれば、それは成果になり、トランプが中間選挙で国民にアピールする材料になることを意味する。米国民は評価するはずだ。

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by yoniumuhibi | 2018-01-22 23:30 | Comments(1)

リベラル文化人は朝鮮戦争を目の前になぜ沈黙し傍観しているのか

c0315619_16544607.jpg慰安婦問題の新方針について、ようやく健全な議論がマスコミに出て、北原みのりが2年前の日韓合意を批判する見方を週刊誌上で示している。今回、政府とマスコミが一色に染まって韓国政府を糾弾する図はファシズムそのものだが、それに異を唱えて抵抗する論者が皆無なのは、自称リベラルの著名文化人たちが、2年前に迂闊に日韓合意を歓迎し賛同するコメントを残してしまっているからだ。自己批判する勇気がないから、韓国挺身隊と文在寅政権を悪者にし、安倍晋三と同調し、今回の件は黙って知らんぷりして、影に隠れたまま問題の関心が薄れてゆくのを待っているのである。あの日韓合意が問題解決にならないこと、一歩前進でも何でもないこと、問題をより複雑で厄介なものにするエラッタ外交であることは、正常な知性と倫理観をもって判断すればすぐに分かることだった。あの合意がすぐに破綻することが、どうして彼らに察知できなかったのだろう。あの合意をエンドースすることが、安倍晋三に与する誤った行為であるということが、なぜ彼らに理解できなかったのか。リベラルを自称する文化人たちから、今の左翼リベラルから、村山談話の精神がすっかり消えてしまっている。フェミがどうのこうのではなく、村山談話の忘却と違背が問題なのだ。

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by yoniumuhibi | 2018-01-19 23:30 | Comments(3)

平成天皇が訪韓して元慰安婦に言葉を - それが最終的で不可逆的な解決

c0315619_15170655.jpg吉見義明は、岩波新書『従軍慰安婦』(1995年)の結語において、慰安婦問題の解決のため日本政府が行うべき措置として次の六項目を挙げている。(1)政府所管資料の全面公開、(2)戦争犯罪を行ったことの承認と謝罪、(3)責任者を処罰してこなかったことの責任の承認、(4)被害者のリハビリテーションの実行、(5)被害者の名誉回復と個人賠償、(6)慰安婦問題についての歴史教育・人権教育の実施、記念碑と資料センターの設置(P.233-234)。それから15年後、今から8年前の2010年に出版された岩波ブックレット『日本軍「慰安婦」制度とは何か』では、以下の六項目を挙げている。中身は少し異同があるが、基本的な骨格は同じだ。(1)「軍の関与の下に」という主語を曖昧にした表現をやめ、加害の主体が日本軍(日本国家)であることを明確に認めること、(2)戦争犯罪の法的責任を正しく認めること、(3)賠償金を日本政府が拠出すること、(4)政府と公的機関が保有する関連資料をすべて公開し、真相究明を行い、歴史教育・人権教育・平和教育を奨励し、記念館を設置すること、(5)被害者の医療的ケアをすること、(6)官房長官談話ではなく閣議決定を経た首相声明を出し、国会でも決議すること、「戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する法律」を成立させること(P.61-63)。

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by yoniumuhibi | 2018-01-17 23:30 | Comments(4)

看過できぬ関口宏の嫌韓バイアス - 新方針を袋叩きにする日本マスコミ

c0315619_15114643.jpg14日放送のサンデーモーニングで、慰安婦問題の日韓合意を見直す文在寅政権の新方針が取り上げられていた。予想以上に激しい口調で袋叩きにしていて、見ながら憂鬱な気分にさせられた。コメンテーターの論評に入る前から、司会の関口宏が轟然と非難の口火を切って韓国側の「蒸し返し」を攻撃する扇動を始めたため、続く田中秀征らが韓国政府への罵倒を過熱させるという展開になった。国内の報道番組の中では最もリベラル側に位置するとされるこの番組で、リベラルの代名詞のような関口宏が韓国側を口をきわめて叩くのだから、この件の世論調査で韓国側の姿勢を肯定的に受け止める日本人が絶無なのも頷ける。14日に発表された読売の世論調査では、新方針に「納得できない」と回答した割合が86%に上っている。これは要するに、2年前の日韓合意を歓迎し賛同する者がこれだけいることを意味する。その現実が信じられない。2年前の日韓合意というのは、金をくれてやるからこの問題を蒸し返すのはやめろ、大使館前の慰安婦像をさっさと撤去しろ、という日本政府の要求を、韓国政府がオバマ政権に強請されて合意してしまったという代物だ。吉見義明が喝破しているとおり、問題の解決にはならない中身のものである。破綻と白紙化は時間の問題だった。

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by yoniumuhibi | 2018-01-15 23:30 | Comments(7)

文在寅政権の新方針を支持する - 歴史問題の外交解決には倫理が必須

c0315619_17174825.jpg昨日(10日)、文在寅の新年の会見の場で、2年前に日本と結んだ慰安婦合意について、「間違った結び目は解かねばならない」と発言、問題解決のためには日本側からの「心からの謝罪が必要」だと表明した。また、「日本が真実を認め、被害者の女性たちに心を尽くして謝罪し、それを教訓に再発しないよう国際社会と努力するとき、元慰安婦も日本を許すことができるだろう。それが完全な解決だ」と語った。これが正論だと思う。私は、この韓国大統領の発言を支持する。2年前、2015年の年末、突然この合意が発表されたとき、私は「慰安婦問題の日韓合意は破綻する - 倫理的主体を欠いた歴史外交は成就しない」と題した記事を上げたが、果たして予想したとおりの展開になった。合意の破綻は見えていた。そもそも、この合意には正式な共同文書がない。日韓の外相の記者発表文があるだけで、しかも別々に発表した内容を並べているだけだ。本来、これほど重要な二国間問題について交渉した合意を発表するなら、首脳会談を開催した上で共同声明を出す形式が当然だっただろう。重要な問題であるにもかかわらず、両国外相が個別に報道文だけを残したということが、この合意の軽さ、コミットの浅さを物語っていて、両国政府の本気度のなさを示唆している。

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by yoniumuhibi | 2018-01-11 23:30 | Comments(6)

健全な資本主義とは何か - 古田大輔の反共思想と米国の若者との彼我

c0315619_16340716.jpg昨年末のブログ記事で、大塚久雄を復権させようという提案を試みた。現時点で反響は皆無だけれど、我ながら面白い問題提起だと内心で自賛する気分でいる。誰もこれまで発想せず指摘したことのない死角であり、大袈裟に言えば、コロンブスの卵になり得るキーポイント(思想的鉱脈)の発見ではないか。無論、この力業に着手するには若さとエネルギーが要るし、首尾よく成功させるためには経済学と経済史の知識が要る。力の衰えたロートルの専門外の人間が、アイディアと目算だけでなし得る事業ではない。だが、丸山真男や吉野源三郎がこうして復活し、戦後民主主義が生き返った現実を見れば、悔恨共同体の知識人の筆頭格であり、戦後社会科学を主導する二本柱の一つであった大塚久雄が、再び甦って口を開き、われわれに向かって熱い息吹を放つ図を想像しておかしくない。われわれが再び、大塚久雄の中産層の説諭を聴き、健全な資本主義の理念について耳を傾け、その政策論に頷く日が来ておかしくない。大塚久雄のマルクスとウェーバーの基礎理論は、まさに、戦後日本に健全な資本主義を建設するための基本設計の思想であり、その政策論と主体性(人格類型論)を社会に提供するアーキテクチャーのセオリーだった。

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by yoniumuhibi | 2018-01-09 23:30 | Comments(3)


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