預金封鎖の不安 - 為替対策不在の異常、ドル預金への移動と新紙幣

原因と結果を意図的に混同させた論点逸らしを言っている。問題をスリカエて口先で逃げている。円安が収まらなければ、海外から輸入する原材料は上がるばかりではないか。しかし、その本質的な矛盾を野党どころかマスコミも全く衝かない。真実は、金融政策については日本は基本的にお手上げで、金利を上げるという選択ができないのだ。だから、与党も野党も、金融政策はパス(不接触)で、見ないようにしていて、国民にも見せないように隠しているのである。金利を1%上げると歳出の国債費が4兆円増える。2%上げると8兆円増える。予算が組めなくなる。

1ドル120円までが妥当な線だと政府が目標値を言い、米当局もそれを支持していると日米連携を強調し、過剰な円安を日本政府は容認しないと釘を刺すものだ。その上で、これ以上(投機家が市場で)円売りするなら適正水準に戻るまで断固介入すると強く言えばいい。それが口先介入という為替政策である。日米間でその合意ができ、協調した発信ができれば、口先介入は効果が出て市場は円売りを止める。ところが、今回、日本政府はその動きを全く見せず、野党はその行動を要請しない。立憲民主党や日本共産党が選挙討論でその点を指摘しないのは、頭が呆けているからだろう。

単純に、円レートが100円から150円に下がれば、日本の物価は1.5倍になる。庶民は通常の購買と消費ができず、生活の水準を下げざるを得ない。国民生活は貧しくなり、新興国のレベルに近づく。だが、そのことへの危機感が弱い。国民生活の窮乏化が進むことに政治が慣れ、庶民も慣れたのか、批判や抗議の声が小さい。その声をマスコミ空間に持ち込む者がいない。榊原英資は1ドル150円になるだろうと平然と予想を言っている。加谷珪一も、庶民は支出を減らして生活防衛しろと言っている。二人とも、自分の資産をドルで持っているのだろう。海外で売上と利益を上げている大企業には、円安は左団扇の大儲けの神風なのだ。ドルで米株を回している資産家も笑いが止まらない。

仮にこの動きが大きな潮流になれば、日本のメガバンクや中央銀行の日銀はどうなるのだろう。日本の現在の個人金融資産1992兆円のうち、現金・預金は1072兆円と計算されている。このうちの何割かがドル預金に置き換わる趨勢になっておかしくない。そうなると、円ベースの個人金融資産は減る。ドル資産に化ける。以前、よく言われていたのは、日本の個人金融資産は1400兆円もあるのだから、国の借金が1000兆円超えても何も問題ないよという安心理論だった。もし、大銀行と郵貯にある日本人の何百兆円のマネーがドル預金に置き換わり、ドルベースのマネーになったら、果たしてその安心理論の神通力は大丈夫だろうか。

自衛隊が米軍に従属する一部になり、昔の英領インド植民地軍のような部隊になったように、いよいよ日銀もその運命になるのではないか。経済も軍事と同じ仕様と態様になるのではないか。1ドルが200円になれば、アメリカの金融資本が日本の銀行を買収することも容易になる。そこまで行かなくても、日本人の円マネーが大量にドルマネーに置き換わり、ドル資産のボリュームが厚くなることは、これからリセッションに入り、混乱が予想されるドルの金融システムを大いに安定化させる材料となるだろう。日本人が郵貯預金をドル預金に替えることは、米国債を買って保有するのと同じ意味だ。アメリカを信用し、アメリカに投資することである。同時に、日本を信じなくなることだ。

物価が100円から150円に上がれば、1500万円のタンス預金は1000万円に価値が落ちる。大損する。タンス預金者は価値保全に頭を悩ませているだろう。ドルの現金に替えて持てば、円安トレンドで価値は上がるし安定資産となる、と、そう考えるのは自然な心理だろう。私は、現在の円安は日米が裏で仕組んだ狡猾なシナリオの一環で、日本人のタンス預金100兆円にまずは狙いを定め、これをドルアセット(米金融資源)に回収(没収)することが目的ではないかと推察している。資本家の内部留保の蓄積とパラレルな図を描いて、高齢者の個人宅で20年間積み上がったタンス預金は、インフレという危機に直面して、ドル紙幣(=財産のアメリカ化)に食指を動かすのではないか。

タンス預金保有者は特にそうだろう。あの放送そのものが、財務省がタンス預金者を脅す目的で流したとも考えられる。いずれにせよ、新札の発行が2年後で、それまではインフレ(と円安)が続く環境が見込まれる。そして、台湾有事という名の対中戦争が5年後の予定である。運命のドラマが控えている。すべてがリセットになる。普通の市民の感覚で想像するに、その5年の間に、日本の金融システムのすべてがアメリカに管理掌握され、FRBと米財務省の制度体系下にすっぽり収まるという図は、十分にリアルな未来だろう。アメリカは、中国との戦争の後の日本をデザインし、リオキュパイドジャパンに向けて着々と仕込みを入れているように見える。

だから、若者たちは自民と維新を支持し、終身雇用を撤廃せよと言うのであり、シルバー民主主義を打破せよなどと倒錯した信念になるのである。無知な動物に飼育されているのだ。破局を知りながら、日本共産党は見ないフリをし、ルーティントークで選挙の日常業務をやっている。痛々しく、物悲しい。親米思想に染まったリベラル左翼は、破局に気づかず、ジェンダーとマイノリティとLGBTが突破口だと思っている。SDGsが救世主だと信じ込んでいる。右翼以上に経済に無知で話にならない。竹中構造改革とアベノミクスのツケを払わされるのだ。経済に奇跡も飛躍もない。総決算を迫られるのだ。われわれは、安倍晋三を国政選挙で6連勝もさせたのである。
言っていたではないか。日本を世界で最も資本家が稼ぎやすい国にすると。安倍晋三は有言実行でそうした。ただでは済まない。審判のときが来る。覚悟するしかなく、神に祈るだけだと思う。次回、れいわの経済政策の基礎理論であるMMTについて考えたい。








この度、読者の皆様にご支援のお願いを申し上げる次第となりました。どうぞよろしくお願いいたします。
住信SBI銀行
支店番号 108(メロン支店)
口座番号 6387212
口座名 田中宏和
住信SBI銀行
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口座名 田中宏和
by yoniumuhibi
| 2022-06-22 23:30
|
Comments(2)

恐れていたことが現実に近付いているのですね…
「豚は太らせてから屠る」とばかり【Japan as No.1】と
煽てられた挙句 バブル崩壊で身ぐるみ剥がれましたが
とうとう最後の血の一滴まで搾り取られるのでしょう。
諦観と清貧を美徳としてきた日本人は 無抵抗にうろたえるだけかもしれません…
「豚は太らせてから屠る」とばかり【Japan as No.1】と
煽てられた挙句 バブル崩壊で身ぐるみ剥がれましたが
とうとう最後の血の一滴まで搾り取られるのでしょう。
諦観と清貧を美徳としてきた日本人は 無抵抗にうろたえるだけかもしれません…
10

25年前には、
こんな日本に成り果てるとは予想していませんでした。
こんな日本になると知っていたら、
子どもを生みませんでした。
自分が甘かったと思います。
ここまで、日本国民が愚かだったとは…。
戦前・戦中の悲惨な苦しみから、何ひとつ学んでいなかったとは…。
この期に及んで、まだ、
「誰に投票しても同じ、変わらない」
「選挙なんか行ってもムダ」
と、ほざく人々が多数いることに
戦慄しています。
投票の権利を行使出来るのは、
今回の選挙で最後かも知れないのに…。
今後、
政治的自由を奪われるのみならず、
貧窮によって、生存権さえ奪われそうで、
本当に怖いです…。
希望を失いたくないですが、
どこにも、明かりが見えません。
気持ちが真っ暗です。
ただ、世に倦む様のような、
あくまでも一般市民の味方でいて下さる方が
知性・理性を失わず、臆せず発信し、
道を照らし続けて下さることが
唯一の救いとなっています…。
有り難うございます。
こんな日本に成り果てるとは予想していませんでした。
こんな日本になると知っていたら、
子どもを生みませんでした。
自分が甘かったと思います。
ここまで、日本国民が愚かだったとは…。
戦前・戦中の悲惨な苦しみから、何ひとつ学んでいなかったとは…。
この期に及んで、まだ、
「誰に投票しても同じ、変わらない」
「選挙なんか行ってもムダ」
と、ほざく人々が多数いることに
戦慄しています。
投票の権利を行使出来るのは、
今回の選挙で最後かも知れないのに…。
今後、
政治的自由を奪われるのみならず、
貧窮によって、生存権さえ奪われそうで、
本当に怖いです…。
希望を失いたくないですが、
どこにも、明かりが見えません。
気持ちが真っ暗です。
ただ、世に倦む様のような、
あくまでも一般市民の味方でいて下さる方が
知性・理性を失わず、臆せず発信し、
道を照らし続けて下さることが
唯一の救いとなっています…。
有り難うございます。
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