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沖縄復帰50年の雑感 -「風をよむ」で特集しなかったサンモニの変節

沖縄復帰50年の雑感 -「風をよむ」で特集しなかったサンモニの変節_c0315619_15335076.png昨日、5月15日放送のサンデーモーニングでは、沖縄復帰50年を「風をよむ」で特集しなかった。例年だと、特に節目の年でなくても、5月15日を迎える週の回で沖縄の問題を取り上げることが多かった。基地問題に焦点を当て、米軍米兵による被害に苦しむ現地の実情を橋谷能理子のナレーションで説明していた。沖縄を代弁し、政府を批判し、視聴者を啓発する報道を組んでいた。復帰50年の日の「風をよむ」に期待したが、肩透かしを食わされる結果となった。

偶然とは思えない。意図的な無視であり、報道の不作為である。番組の変節を示唆している。「沖縄に寄り添う」姿勢をアリバイ的にせよ演出していたTBSが、その態度を放棄し、従来からの路線を断ち切った。「沖縄には寄り添わない」方針に変えた。そう解釈せざるを得ないし、視聴者の多くは今回のメッセージをそう受け取っただろう。裏番組のNHK日曜討論でも、沖縄復帰50年はテーマになっていなかった。これも偶然ではあるまい。マスコミ全体が示し合わせて無視を決め込んでいる。沖縄を切り捨てる方針に転換した。




沖縄復帰50年の雑感 -「風をよむ」で特集しなかったサンモニの変節_c0315619_15353078.png2016年7月、参院選の投開票が終わると同時に高江のヘリパッド建設が強行され、10月には山城博治が逮捕された。機動隊員が「土人」と暴言を吐いたのも10月である。この年は高江・辺野古含めて基地をめぐる大きな対決と闘争があった年で、沖縄県(翁長雄志)が辺野古埋め立ての承認取り消しを求めて国(安倍・菅)との間で熾烈な裁判闘争を展開、12月に最高裁判決が出て県側敗訴が確定している。翌17年4月には防衛局が埋め立て工事に着手、18年12月には土砂投入が開始された。18年8月には翁長雄志が無念の死を遂げる。

2016年の闘争とその帰結を分水嶺にして、沖縄の基地問題についての運動や世論やマスコミ報道は急速に後退した感がする。特に翁長雄志の死の後、オール沖縄への期待や運動挽回のモメンタムは一気に萎縮したように見える。辺野古の問題が日本政治の重要な争点ではなくなり、本土の市民の注意と関心は離れて行った。私自身も、琉球新報や沖縄タイムスの記事を読むことがなくなった。つくづく、翁長雄志あってこそのオール沖縄だと思うし、翁長雄志の言葉と姿があったから応援できていたのだと痛感する。シンボルの存在は大きい。


沖縄復帰50年の雑感 -「風をよむ」で特集しなかったサンモニの変節_c0315619_15340255.png時事通信が復帰50年に合わせて沖縄の意識調査を発表している。「沖縄に全国の米軍専用施設の約7割が存在することは差別的か」という質問に対して、70代以上は63%が「そう思う」と回答したのに対して、10-30代は24-27%に止まっている。沖縄の若年層の政治意識が保守化・右傾化し、米軍基地の現実に対する不満と反発が薄れ、存在を受け入れる傾向が顕著になった状況が示されている。同じ調査が読売新聞でも行われ、同様の結果が出ていて、若い世代ほど米軍基地に肯定的な反応になっている。沖縄タイムスの調査でも同じ結果と傾向だ。

この年代別の政治意識の特徴は、今年1月に行われた名護市長選の投票結果と対をなすもので、世代が上になるほど革新系・基地反対の候補への支持が大きく、逆に、世代が下になるほど保守系・基地容認の候補を歓迎する事実が窺える。前泊博盛は、「基地問題の次世代への継承がうまくできておらず、ジェネレーションギャップを生んでいる」と指摘している。この事態に、従来の沖縄の政治的正統である「基地のない平和な沖縄」を求める人々は、大いに懸念し悲観しているに違いなく、有効な打開策はないかと焦燥していることだろう。座視できるはずがない。


沖縄復帰50年の雑感 -「風をよむ」で特集しなかったサンモニの変節_c0315619_15390270.pngやや無責任な立場ながら、部外者として意見を述べたい。要するに、若い世代への平和教育の啓発と浸透の問題だろう。私の視点と結論は単純で、なぜ言葉を持った者がSNSを使って発信しないのかということだ。若い人たちは新聞を読まずテレビを見ないと言われている。その一方でネットの情報はよく漁り、Twitter や Youtube に深く媒体接触する生活環境にあるとされている。言うまでもなく、彼らにとってネットは教育機関だ。Twitter や Youtube の情報に刺激を受け、価値観を左右される。基地問題を含めた自らの政治意識形成の教習材料を提供する装置だ。

ネットは若い世代の教育機関であり、きわめて大きな影響力がある。そして、政治をする側にとっては、ネットは戦場であり、自陣営の支持を拡大するための機会と手段に他ならない。沖縄から基地をなくそうとする側、沖縄の左派勢力は、なぜもっと精力的本格的にこの教育ツールを使い、言葉を発信し、若い世代の心を動かそうとしないのだろう。啓蒙を試みないのだろう。直接に力強いメッセージを届けるコミュニケーション活動に注力しないのだろう。素朴にそう思う。そう思うに至った契機は、14日のTBS報道特集を見て感じたところにある。


沖縄復帰50年の雑感 -「風をよむ」で特集しなかったサンモニの変節_c0315619_15423647.png沖縄青年同盟の仲里効が取材映像に出て、金平茂紀のインタビューに応じ、51年前の国会爆竹事件とその裁判闘争について語っていた。ラディカルでファンダメンタルな基地反対の言論が発され、本質的な言葉が並んだ。滅多にテレビで聞ける言説ではなく、金平茂紀のジャーナリズムの成功と言える。新鮮で感銘を受ける内容だった。今日の客観的な座標軸で分類すれば、仲里効の主張と所論は、極左と指さされる希少な政治的範疇のものかもしれない。だが、表情と語る言葉が真剣で、ストレートで情熱的で、見る者に透徹した好印象を与える。

それを見て率直に思ったのである。この男の言葉は、沖縄の10代20代の若者の心に響くことはないのだろうかと。仲里効は73歳だが、言葉の説得力と教化力に年齢は関係ないと思う。過去10年を振り返って、左翼の集会で最も聴衆を興奮させたのは、最年長の寂聴の卓越したアジテーション能力だった。今、仲里効のような言葉がなく、仲里効のような大人がいない。みなヘラヘラして、お笑い文化のコードとプロトコルに妥協し、忖度して、時代の軽薄と腐朽に身を合わせている。知性を研ぎ澄ます態度を忘れ、信念と理想を言語にしてその責任を引き受ける処世を忘れている。


沖縄復帰50年の雑感 -「風をよむ」で特集しなかったサンモニの変節_c0315619_15525893.png仲里効の魂魄の言葉は、たとえそれが世間から極左と罵倒され、時代遅れの古臭い政治遺物と嘲笑されても、光る価値のあるものだ。沖縄にとって正しい価値のあるもので、沖縄の青少年は価値と意義を認めるべきものである。肯定し継承すべき思想性だ。もしあの言葉が沖縄の若年層に通用しないのなら、沖縄は「基地のない沖縄」の将来目標など捨てた方がいい。沖縄でアジテーション力といえば、70歳の山城博治がいる。平和運動センターでは顧問に退いたようだが、年齢的にはまだ十分若い。Twitter のアカウントを持って言論の第一線に出陣したらどうだろうか。

仲里効は季刊雑誌の編集長をしたり、未来社から本を出したり、美術や批評の文芸活動をやっている。この世代の左翼インテリの典型的パターンであり、エレガントな余生を送っている。悪くはないし、本人の美学や志向に文句はない。が、今、沖縄のインテリが最優先で取り組むべき任務と課題は、やはり、沖縄の若年層に十分な平和教育を施すことだろう。次の担い手を育てることだろう。捨て身の辻説法こそが必要ではないのか。ネットの場に討って出て、右翼の石礫を受けながら、それに抗して、渾身の説教を挑むことではないのか。ネットのアリーナで自らの言葉の力を試し、政治を変えることに寄与することではないか。


沖縄復帰50年の雑感 -「風をよむ」で特集しなかったサンモニの変節_c0315619_16414381.png仲里効も山城博治も、健康寿命等を考えれば、それほど長く元気で活動できる人生ではない。残された時間は限られている。そして二人とも、私以上に、5年後10年後の沖縄の恐ろしい姿がよく見えているだろう。5年後10年後の時間軸で、沖縄に何が起きるか正確に予想できているだろう。それを考えれば、二人が残りの時間に何をやるべきかは明瞭だと思われる。人は言葉に飢えている。時代は言葉に飢え渇いている。沖縄の青少年もきっと同じだ。左翼の身内の空間で狭く盛り上がるのではなく、また、世代論で諦めず、日蓮やイエスのようにオープンスペースで辻説法するべきなのだ。

『標的の村』の三上智恵は57歳。ツイッターのアカウントはあるが、フォロワー数は多くない。もう少し言論空間でビジビリティが高くてもよく、言葉が期待される一人に違いない。イベント等の活動はしているが、発信が少なく、影響力のある言論者となり得ていない。同じ仕事をしている想田和弘と比較すると、知名度の割に立ち回りが弱い気がする。復帰50年の節目でも特に発言がない。今の沖縄の若年層の保守化と、5年後の沖縄の安保環境を考えて、危機感や使命感で震えるということはないのだろうか。伊波洋一は70歳。ツイッターのフォロワー数はまずまずだが、ツイート当たりのRT数が少なく、インプレッションが少ない。


沖縄復帰50年の雑感 -「風をよむ」で特集しなかったサンモニの変節_c0315619_16271865.png国会議員で選挙があるから言論に制約があるのかもしれないが、どんどん目立たなくなってきて、存在感が感じられない。10年前はこうじゃなかった。普天間・辺野古問題の言論をリードする有力な発信者の一人だった。目取真俊、61歳。2016年の高江の闘争では本当によく頑張っていた。ブログは書いているがツイッターのアカウントはない。左翼の世界では有名人だが、一般にはさほど知られていない。ブログだけでなくツイッターの発信もやってみたらどうだろうか。ブログよりも注目されるだろうし、基地問題や沖縄と日本との関係の議論のホットポイントになるだろう。

ツイッターの発信と言論戦は、本人には労多くして益少なしの苦行に違いない。悪趣味な狂騒三昧の荒野に見え、不毛な傷つけ合いの餓鬼地獄に映るだろう。それは当たっている。だから、プライドの高い辺見庸は早々に撤退した。だが、沖縄の政治にとってはそれが必要なのだ。政治とは汚く泥臭いもので、どこまでも無駄な骨折りと報われぬ犠牲を強いられるものなのだ。今のままでいいわけがない。沖縄の若年層が米軍基地を容認する世論が多数という現状でいいわけがない。最後は沖縄の正義が勝つ歴史にしないといけない。どれほど不条理と紆余曲折があったとしても。若い人を信じ、言葉の力を信じて、言葉を紡ぎ訴える努力をお願いしたい。

オピニオンリーダーたる個々のエバンジェリズムの挑戦と言論闘争を提案する。


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by yoniumuhibi | 2022-05-16 23:30 | Comments(3)
Commented by ルンバよりは賢い積り at 2022-05-17 01:14 x
 今NHKで放送している朝ドラ「ちむどんどん」もひどいです。沖縄本島の北部やんばるに住む一家のお話です。で、1971年のことを演っていた回。主人公の姉が唐突に「ゲバルトなんてナンセンス」と言います。その後そのセリフへのリアクションは何も無く、そのまま話は進みます。
 このセリフは、1970年12月の「コザ暴動」を受けたものだと思われます。(詳しくは各自お調べください)1971年当時の沖縄は、例えば宿泊施設の経営者の家族が、デモ参加時用のヘルメットを常備し、家族が交替でデモや集会に参加していたような時期です。沖縄県民の多くがコザ暴動については「やりすぎてしまったけど気持ちは分かる」と思っていた時期です。たとえ主人公一家が沖縄本島北部の「やんばる」在住だとしても、コザでのできごとについて「ナンセンス」の一言で、しかも周囲もなにもリアクション無し。この製作陣の姿勢は(ひいき目に見てもあまりにも認識不足)はっきり言って悪意があるとしか思えません。沖縄県内では近年になっても「コザ暴動」についての展示会なども行われています。
 今回の朝ドラは粗雑さが目立ちます。まるでショートコントをつないで「ストーリーもどき」にしたような感じです。数多くの沖縄出身の大物実力派俳優たちが出演しているのに「なんで❓」です。
 世も末 なのでしょうか?
Commented by 伊豆うさぎ at 2022-05-18 13:06 x
新型コロナ対策の地方創生臨時交付金の配分について、3回目ワクチン接種率を加味して、配分するそうです。表向きは、ワクチン接種が進んでいる都道府県は、新しい生活様式への適応が進むと考えられるからということですが、屁理屈で、いうこと聞くところにお金をあげるということでしょう。
しかも、ウクライナ避難民の受け入れ状況も配分に加味するとのこと。避難民とコロナ禍は関係ないのですが。

予算の配分にあたって条件をつけるのは、大学でもやられています。数値目標をどの程度達成できているか、達成できているところにお金を配るやり方ですね。

静岡県はリニア静岡工区の工事に徹底的に反対していますから、そのうち静岡には予算を出さないという形で徹底的に干されるでしょう。もう干されているのかもしれません。だからといって大井川の水を失うわけにいきませんから、反対し続ける以外にありません。

貴SNSアカウントでGDPについて触れられていました。日本はもう金になる木は食い物にされるので、自衛が必須。

英語教育も小学校から英語教育推進したものの、制度設計がよくないそうです。我々の感覚では、中一の頃は英語はアルファベットと簡単なことしかやらなくて高得点とれるもので、中二以降は落ちこぼれも出てきて、高校以降は本格的に差がつくものでした。いまや中一の段階で差がついています。英語利権に群がる輩が、こどもたちを食い物にしているんです。

ウクライナが食い物にされたのは、工業生産ができなくなり、教育も腑抜けになって、国が弱体化したからです。日本も同じです。
Commented by コスモス at 2022-05-19 14:59 x
イギリスの情報番組のネットアンケートで、貧しい人が食べ物を盗もうとしているとき警察は目をつむるべきかという問いがありました。私は悩みましたが、万引き被害に困る商店主の立場ならば、ノー(目をつむるべきではない)と考えて、ノーに投票したところ、目をつむるべきではないは6割で、目をつむるべきが4割でした。
驚くと同時に、日本で調査したら、万引きはけしからんで終わりですから、日本はかなり異常な国になってると思いました。


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