平和憲法を守ろう - 信念を曲げず、先人の決意と覚悟を尊ぼう

戦争は絶対悪だと確信する。国家の主権や正義のために死ぬなどあり得ない。たぶん、年をとり、先の人生が短くなったから、余計にその気持ちが強くなるのだろう。志位和夫が、ロシアに9条があったら歯止めになったはずだと言っている。改憲派の罵倒を浴びているが、素朴にその意見に賛成してよい。ロシアも、ウクライナも、憲法に9条の原則の明記があれば、戦争になる前に、国民が9条守れと言い、議論になり、戦争以外の方法で問題解決できないかという方向に政府を動機づけただろう。

その状況を見て焦燥する気分にならないわけではないが、一方の感覚として、世論がどうなろうが自分の護憲派の立場は不動だという達観のようなものがある。以前とは違う、雲烟過眼の醒めた心境に向かう。その原因と正体は何かというと、要するに、残りの人生の時間意識であり、健康寿命の刻限まであと8年ほどだという自覚と諦念だ。じたばたしても10年もない。あと8年の健康寿命なのに、何で今さら護憲派の立ち位置を変える必要があるだろう。世間は勝手に動くがいい。自分は少数派に踏み止まり、戦後民主主義の土に還る。

残念ながら、思うような政治的方向に至らず、努力の割に結果に報われていない。非力の故、徒労となった。だが、残りあと10年、長くて20年の身なのだから、従来と同じように言葉を探し、自分なりの9条護憲、9条賛歌の言語を開発、模索する旅を続けようと思う。道を曲げず、真っすぐ歩こう。古賀誠が「平和憲法があることは大きな力であるし、先人が残した決意と覚悟なんです」と言っている。同感だ。護憲派で踏ん張るということは、その「先人」たちの「決意と覚悟」の輪に参加するということである。

結局、この国は、長い間、(1)9条の非武装中立の平和主義と、(2)日米安全保障条約の立場と、二つの間で葛藤相克を続けてきた。二つの矛盾する国是を持ち、不断に鬩ぎ合ってきたのである。国の平和を守るためには何より対話の外交が重要で、友好と協調と互恵の関係構築だとする思想と、否、平和を守るためには軍事力こそ必要で、武力優勢な国との同盟強化こそが得策だとする思想と、二つが刺を立てて衝突してきたのだ。後者は常に我こそがリアリズムだと威張り、前者をお花畑の空想的理想主義だと罵ってきた。

この将来の災難については、残念ながら、平均寿命や健康寿命よりも先に来る。中国との戦争を実人生で経験せざるを得ないと観念している。戦火に巻き込まれて命を失うか、見終わった老人として果てるか、いずれかだろうと絶望している。窮極のところ、日本は9条を持っていたけれど、最後は戦争してしまいました、平和を守ることはできませんでしたと、そういう結末になるだろうと悲観する。しかし、それは9条の責任ではない。平和憲法に問題があったわけではない。日本人が9条を守ろうとせず、9条の原則で国家の外交と安全保障の政策を方向づけなかった所為だ。逸脱したからだ。

だが、9条は生き続けるだろうと思う。第三次世界大戦を経た世界の人々が、9条平和主義を自国の憲法に導入するだろう。日本人ではなく、別の国の人々が、この理想の追求を始め、その地平を広げて行くに違いない。武力放棄の安全保障を虚妄だとせず、夢想だとせず、それこそ真の平和実現の理念だと認め、9条を選択することになるだろう。100年、200年と、9条の理想にチャレンジする人類史を歩むだろう。第三次世界大戦後に主役になる国々が、9条を受け継いで実践に出るだろう。9条は不滅であり、普遍的価値観となる。

人類は理想を求めて進む。単線的にではなく、逆戻りと屈折と停滞の紆余曲折を経ながら、時間をかけ、世代を超えて理想に挑戦する。人間は不完全な生きものだから、挑戦はやがて失敗するし、エートスを失い、途中で腐って挫折してしまう。常にそうだ。だが、理想は生き続ける。担い手は必ず現れる。護憲派の自分にとって、この25年は不本意と切歯憤懣の堆積だったけれど、少年期青年期の平和と繁栄は9条の賜物だと痛感し、古賀誠が言う「決意と覚悟」の「先人」のおかげだと感謝している。憲法記念日は、自己内で憲法感謝の日みたいになっている。








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支店番号 108(メロン支店)
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口座名 田中宏和
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by yoniumuhibi
| 2022-05-04 23:30
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Comments(4)

日本国憲法があったおかげで、朝鮮戦争やベトナム戦争が
勃発しても、徴兵されずに済み、平和を歩むことができました。
当時、周辺の国が言論の自由が抑圧された国ばかりであった中で、日本は平和と豊かさを享受できたことは素晴らしいと思います。
懸念することは、小選挙区制が導入されてから、日本国憲法の多くが形骸化されたことであります。1996年の新制度下に行われた衆院選は多数意見が死票となり、
平成研だからあまり意識はしなかったけれど、橋本内閣の新自由主義経済が加速し、自殺者を多く出してしまい、その後の小泉政権の誕生となり、党内民主主義が形骸化してしまい、
地域住民と政治家の距離が大きくなり過ぎました。
若い人にとって日本国憲法は、平和の守護神ではあるが
貧困から国民を救う力まではない、というとこが年配の方との憲法についての実感の齟齬と思います。
けれど、古賀誠さんの発言を聞いて勇気をもらいました。
僕たちは希望を持ちたいと願います。
勃発しても、徴兵されずに済み、平和を歩むことができました。
当時、周辺の国が言論の自由が抑圧された国ばかりであった中で、日本は平和と豊かさを享受できたことは素晴らしいと思います。
懸念することは、小選挙区制が導入されてから、日本国憲法の多くが形骸化されたことであります。1996年の新制度下に行われた衆院選は多数意見が死票となり、
平成研だからあまり意識はしなかったけれど、橋本内閣の新自由主義経済が加速し、自殺者を多く出してしまい、その後の小泉政権の誕生となり、党内民主主義が形骸化してしまい、
地域住民と政治家の距離が大きくなり過ぎました。
若い人にとって日本国憲法は、平和の守護神ではあるが
貧困から国民を救う力まではない、というとこが年配の方との憲法についての実感の齟齬と思います。
けれど、古賀誠さんの発言を聞いて勇気をもらいました。
僕たちは希望を持ちたいと願います。
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萩生田が「日本の場合は資源に限りがあり、EU委員長の提案通りにロシア産原油の輸入禁止をするのは難しい」と、はっきり発言しました。萩生田を全面的に評価するわけではありませんが、いい素質を持っていると思います。
菅義偉が滅茶苦茶にするまでは、政治家は官僚が上げてくる中身をある程度理解して、日本の国の大原則を曲げないような国家運営を大筋でしていました。ふるさと納税に反対して左遷された官僚がいましたが、租税の原則からはふるさと納税など認めないのが当たり前です。貴ブログで何度か書かれていた、今回のウクライナ戦争における外務省の件もそうです。
チョムスキーは「ウクライナ戦争のカギはトランプ前大統領だ」という趣旨の発言をしたと聞きました。文章や動画のすべてをチェックできず、あやふやで恐縮です。主犯のバイデンが手を引けばウクライナ戦争は止まるという意味かと理解しました。
ローマ教皇も、ロシアの門前でNATOが吠えたのが今回の戦争の遠因だとはっきりと発言しました。
貴ブログでもお話のあったエネルギー問題、そしてアメリカ国内政治の行方次第でしょうか。一刻も早い停戦を祈ると同時に、アメリカディープステートが育てたウクライナ極右蛮族をどう処分するつもりか…。
菅義偉が滅茶苦茶にするまでは、政治家は官僚が上げてくる中身をある程度理解して、日本の国の大原則を曲げないような国家運営を大筋でしていました。ふるさと納税に反対して左遷された官僚がいましたが、租税の原則からはふるさと納税など認めないのが当たり前です。貴ブログで何度か書かれていた、今回のウクライナ戦争における外務省の件もそうです。
チョムスキーは「ウクライナ戦争のカギはトランプ前大統領だ」という趣旨の発言をしたと聞きました。文章や動画のすべてをチェックできず、あやふやで恐縮です。主犯のバイデンが手を引けばウクライナ戦争は止まるという意味かと理解しました。
ローマ教皇も、ロシアの門前でNATOが吠えたのが今回の戦争の遠因だとはっきりと発言しました。
貴ブログでもお話のあったエネルギー問題、そしてアメリカ国内政治の行方次第でしょうか。一刻も早い停戦を祈ると同時に、アメリカディープステートが育てたウクライナ極右蛮族をどう処分するつもりか…。

毎日新聞は、「ブチャはこの世の地獄だ」というルポを載せていました。(全部は読まなかったが、ウクライナ側プロパガンダ)
実際はウクライナの取材をする場合、ウクライナ政府が用意したプレスセンターがありそこではコーヒーも提供されて、取材をしたいと言えばセッティングしてくれて、ウクライナ軍関係の取材の便宜も図ってくれると聞きました。
一方で、私がSNSでフォローしているアカウントでは、海外情報を翻訳してくれている。ウクライナ側がロシアの捕虜をどのように扱っているか、今までも読むに耐えない話ばかりで、映像や写真はなるべく目に入らないようにしてきたが、今日はとうとう「翻訳するのが精神的に難しいので翻訳はできない」とのことだった。捕虜になったロシア兵と、そのお母さんが電話で話して…、あとは翻訳できないとのこと。
開戦当初、ロシア兵にウクライナ住民が食べ物や飲み物を提供する話がニュースになったけれど、ブログ主さんが「これもプロパガンダだから実際はわからない」と一瞥されていたのを思い出した。
ブチャの件が明らかになった当初、防衛省の専門家が「正規軍がこのようなことをやるわけがない」と言っていた。それなのに、ブチャで「すべてプーチンのせいだ」という住民の話をいまだに載せる毎日新聞というのは、報道機関の体をなしているのだろうか?
実際はウクライナの取材をする場合、ウクライナ政府が用意したプレスセンターがありそこではコーヒーも提供されて、取材をしたいと言えばセッティングしてくれて、ウクライナ軍関係の取材の便宜も図ってくれると聞きました。
一方で、私がSNSでフォローしているアカウントでは、海外情報を翻訳してくれている。ウクライナ側がロシアの捕虜をどのように扱っているか、今までも読むに耐えない話ばかりで、映像や写真はなるべく目に入らないようにしてきたが、今日はとうとう「翻訳するのが精神的に難しいので翻訳はできない」とのことだった。捕虜になったロシア兵と、そのお母さんが電話で話して…、あとは翻訳できないとのこと。
開戦当初、ロシア兵にウクライナ住民が食べ物や飲み物を提供する話がニュースになったけれど、ブログ主さんが「これもプロパガンダだから実際はわからない」と一瞥されていたのを思い出した。
ブチャの件が明らかになった当初、防衛省の専門家が「正規軍がこのようなことをやるわけがない」と言っていた。それなのに、ブチャで「すべてプーチンのせいだ」という住民の話をいまだに載せる毎日新聞というのは、報道機関の体をなしているのだろうか?

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