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軍部主導に変わった日本の政治 – 政府は用務員、国会と野党は刺身のツマ

軍部主導に変わった日本の政治 – 政府は用務員、国会と野党は刺身のツマ_c0315619_14283504.pngロシアの外交官8人の追放を発表したのは4月8日だった。前例のない暴挙であり、平和国家日本の外交史に汚点を残す深刻な過誤だと言える。政府がこの決定を下した理由は、「G7を含む国際社会と連携」とか「現下のウクライナ情勢を踏まえた総合的判断」と曖昧に説明されている。4日に報道されて世界を震撼させた ブチャ虐殺事件 を受けての対応であり、翌5日にドイツやフランスなどEU諸国がロシア外交官の大量追放を発表した措置と足並みを揃えた右倣えの行動だった。

この8日の政府決定に、野党や元外交官などから全く異論が出ず、無風のまま是認され、今日まで国会でも議論がされてない。マスコミも異議なく肯定する論調で素通りさせ、誰も批判せず、何も検証されていない。重大な決定の根拠や基準が問われず、明らかにされていない。政府に説明責任が求められていない。だが、ここで、4月5日の産経の記事を確認すると、「日本政府に今のところ(欧米諸国に)同調の動きはなく、慎重に対応する構えだ」と書いている。3日間で急に態度が変わって決定に至った。
 



軍部主導に変わった日本の政治 – 政府は用務員、国会と野党は刺身のツマ_c0315619_14290781.pngアメリカの圧力による旋回の真相が想像できる。前日の7日に、自民党が会合を開き、佐藤正久が「ロシア外交官の追放を早期に行うべきだ」「ロシア外交官の追放も(欧米と)連携しながらやるべき」と主張、政府に圧力をかけていた。この発言があった翌日、あっさり岸田文雄は外交官追放を決定、発表している。佐藤正久がアメリカの意向をバックに党で政策を方向づけし、瞬時に政府決定へと反映させている。権力が官邸になく、佐藤正久の掌中にあることが分かる。

政府が最初は慎重姿勢で構えていたのに、何日か後で覆され、西側と歩調を合わせる決定に変わった政策事例が、今度のウクライナ戦争では幾つもある。ゼレンスキーの国会演説実施もそうだ。演説の打診が日本政府に来たのは3月15日である。16日のテレ朝の記事を見ると、「ただ、関係者によりますと、日本の国会にはオンライン演説の前例がないことに加え(略)技術的なハードルもあることから今後、日本政府は演説の実施方法を巡り国会で検討していく方針です」とある。


軍部主導に変わった日本の政治 – 政府は用務員、国会と野党は刺身のツマ_c0315619_14292035.png行間からは、外務省がゼレンスキー演説に消極的で、戦争している当事者の一方の元首を日本の国会に呼んで演説させることに難色を示した気配が滲み出ている。この政府の及び腰を感じ取ったのか、立憲民主党の泉健太が16日、「他国指導者の国会演説は影響が大きいだけに、オンライン技術論で論ずるのは危険」と発信、「国会演説の前に『首脳会談・共同声明』が絶対条件だ」と牽制をかけた。正論である。おそらく外務省もこの立場だっただろう。だが、翌17日には呆気なく撤回。巻き返されて実現の運びとなる。

4月16日の報道から読み取れる政府の姿勢は、是非の判断を国会で検討してもらい、そうすれば野党から反対論が上がって、揉めているうちに時間を潰して流れればいいという期待感だ。外務省は否だと言えないから、野党に言ってくれという態度である。が、おそらく米国筋から立憲執行部に圧力が入ったのだろう。馬淵澄夫が即座に動き、党内外から批判された泉健太は釈明に追われる顛末となった。共産党の志位和夫は17日に早々と賛成を表明。この対応は外務省にとって意外で拍子抜けだったに違いない。


軍部主導に変わった日本の政治 – 政府は用務員、国会と野党は刺身のツマ_c0315619_14285593.png三つ目の例として、キエフをキーウと呼び、ハリコフをハルキウと呼び換える地名の呼称変更の問題がある。3月29日に調整に入り、31日には発表し、マスコミは全社一斉に切り換えた。全く異論なく、乱れなく、野党を含めどこからも抵抗なく、あっと言う間の早業だった。が、これも、2週間前の記事を見ると、「ただ、松野博一官房長官は15日午後の記者会見で、『現時点で<キーウ>等の表記は必ずしも国民の間で定着しているとは言えない』として否定的だ」とあり、ここでも外務省が反対していた実情が分かる。

キエフをキーウに切り換えるには、正式には法改正が必要と説明されている。 未だ当該の法改正が果たされたとの報には接しておらず、私は現在も旧呼称・旧表記を続けている。『キエフの大門』はどうするのだろう。加藤登紀子の実兄が祇園で営業しているロシア料理店はどうなるのだろう。キエフカツレツはキーウカツレツに強制改名されるのだろうか。恐るべき文化大革命の進行と猛威に驚愕させられる。キエフをキーウに変えようという動きは自民党内で早々に起こり、タカ派の河野太郎や佐藤正久が音頭をとって推進した。


軍部主導に変わった日本の政治 – 政府は用務員、国会と野党は刺身のツマ_c0315619_14301585.png3月29日の毎日の記事を読むと、「一方、外務省はキエフという表記を継続しており、変更については引き続き検討する考えを示した」とあり、外務省が最後の抵抗を試みている様子が窺える。31日には外務省は白旗を揚げて降参するのだが、約2週間、林芳正と外務官僚は主導権を渡すまいと防戦した。河野太郎や佐藤正久から袋叩きされ、アメリカからも脅しが来たに違いない。①ゼレンスキー国会演説も、②地名呼称変更も、③ロ外交官大量追放も、全て同じパターンが繰り返されている。政治の構図は同型である。

自民党タカ派が先に言い上げ、前例のない外交政策の変更をマスコミで宣伝し、大衆世論を教化扇動し、マスコミ空間を踏み固めて正当化し、政策変更を既成事実化する。最も目立って旗を振っているアジテーターは佐藤正久で、松原耕二や反町理がその協力者となって世論工作をコンプリートさせている。以前からこの状況と傾向は続いていたが、ウクライナ戦争が始まって以降、特にこの政策決定のパターンとプロセスが顕著になった。政府が後から追認する政策決定。先にタカ派軍事系がマスコミで扇動して政策を固める手法。


軍部主導に変わった日本の政治 – 政府は用務員、国会と野党は刺身のツマ_c0315619_14294852.png外務省が振り回され、弱々しく抵抗し、押し切られて既成事実を追認し、政府決定してしまうパターン。これは戦前の日本を特徴づける情景で、大正末から昭和にかけての軍部主導の政治である。国会と野党の存在感がなく、国家の政治決定の後背僻地に退いている。意思決定に絡む契機がまるでない。野党は別次元にいる一団のようだ。注目もされず、関心が向かわない。与野党で特に対立や争点もない。論戦がない。そもそも、日本共産党が大政翼賛会の優等生をしている。まだれいわ新選組の方が野党らしい姿を見せている。

政府の存在感もない。岸田文雄が首相だから特にこの傾向が際立つのかもしれないが、総務部の番頭さんという感じである。後始末の実務処理みたいなことをやっている。前面で政策を決めているのは佐藤正久だ。その背後で総攬しているのは安倍晋三だ。黒幕で差配しているのはアメリカだ。佐藤正久とCIA御用論者(奇怪な学者連中と防衛研陣笠)の一党が、テレビに出てアジェンダを措き、松原耕二と反町理の狂言回しで地均しし、そこで方向性が決まる。田中正良と大越健介が地上波で踏み固め、後戻りできない言論環境にする。外務省を無力化する。


軍部主導に変わった日本の政治 – 政府は用務員、国会と野党は刺身のツマ_c0315619_14293582.png今、軍部が国政を壟断している。そう本質を総括できる。軍部が国策決定の主導権を握っている。嘗て丸山真男は「軍国指導者」という語を用いたが、その範疇が日本の政治の実権を握って動かしている。核武装(核共有)も、防衛費2%も、敵基地攻撃能力も、すべてこのパターンで政治が進み、世論工作が功を奏し、国家の意思決定へと向かっている。野党や国会は刺身のツマ同然で、抵抗力が全く無い。防波堤となる実力がない。何が国権の最高機関だろう。マスコミの言論は一色で、ネットの言論でさえ抵抗勢力らしい影は僅かでしかない。

戦争プロパガンダが吐き散らされる環境下、この国が戦時体制になり、戦争本番を迎えようとしている。佐藤正久らは軍部。背後にいる安倍晋三は元老院。黒幕のアメリカは昭和天皇・内大臣府。そういうアナロジー図が描けるだろうか。政府は雑用係の用務員。扇動機関であるマスコミは今も昔も同じ。戦争ヒステリーに踊る国民も昔と同じ。違うのは一つだけ、昔は戦争に反対して断固闘う共産党というラディカルな勢力があった。今はその奇特な存在がない。軍部主導の日本政治。今、自民党の政治家の中で最も頻繁にテレビ出演しているのは佐藤正久だ。


軍部主導に変わった日本の政治 – 政府は用務員、国会と野党は刺身のツマ_c0315619_23115897.png党外交部長のくせに、関係のないコロナ対策でもテレビに出て年中くっちゃべっている。同様に、コロナ対策とは縁もゆかりもない軍人の河野克俊が報道番組の準レギュラーの席を占め、聞くからに頭の悪そうな、締まりのない駄弁漫談を好き勝手吐き散らしている。シビリアンにコントロールされるべきミリタリーが、逆にメディアでシビリアンをコントロールしている。現在、テレビは軍人(防衛研陣笠)と情報機関系統の怪しい御用学者ばかり。ウクライナ戦争が一段落ついても、この景色は変わらないだろう。軍部主導の政治体制のまま、中国との何事かの局面に入るに違いない。

どこが民主主義なのだ。戦前と同じではないか。


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by yoniumuhibi | 2022-05-02 23:30 | Comments(2)
Commented by 成田 at 2022-05-03 10:49 x
ご賢察の通りです。外交ドシロウトの元自衛隊の佐藤正久が日本の外交政策を牛耳ろうとしてます。まさに陸軍が外交政策を牛耳っていた戦前そのものです。次は堂々と武器供与しようとしますよ。その次は黒海への護衛艦の派遣でしょうか。なし崩し的に平和憲法を破ろうとするのも自衛隊時代からの佐藤正久のやり口で、腹が立って仕方ないです。自衛隊は憲法違反の非合法組織なのにそこ出身の元軍人が実質的に戦争指導してるのはどれだけ憲法を愚弄しているのでしょうか。
このような輩はとにかく選挙で落選させるしかないのですが、自衛隊票で落とさないです。涙が出るほど悔しいです。
Commented by 極少数派 at 2022-05-03 20:10 x
呼称読み替えなど、戦中の敵性語禁止を彷彿とさせるものがありますね。歴史は繰り返しはしないが韻を踏むとは良く言ったものです。
自民党はそもそもがゼレンスキーのような、いやむしろ彼より年季の入ったアメリカの操り人形の集まりなのだから諦めもつきますが、志位和夫を始めとした共産党、赤旗の一方的なロシア批判、NATO、アメリカに対する批判の欠如どころか自ら西側プロパガンダ役に徹する有様には憤りを覚えます。そのような一方を完全な悪、もう一方を善とするような妥協を許さない見方から発せられる護憲平和の主張は全く説得力をもたないどころか改憲再武装を奨励しているようなものです。
日本において中国、インド、南アといった非同盟諸国のようなバランスある中立的意見がでてこないのが大変残念です。
https://twitter.com/TheOliverStone/status/1521203717453852672
オリバーストーン監督が最近のネオコンの発言から、ワシントンは上記の現在中立的立場をとっている国にも反露の立場を迫るための偽旗核攻撃の地ならしをしているのではないかという危惧を提示されました。
以前であれば陰謀論と一笑に付すような事ですがブチャ、クラマトルスクにおける一幕の後ではどんなことも起こり得ると感じています。


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