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なぜ米国の侵略戦争だけが正義で、米国の戦争犯罪だけが不問で免責なのか

なぜ米国の侵略戦争だけが正義で、米国の戦争犯罪だけが不問で免責なのか_c0315619_14310822.png紹介したオリバー・ストーン作の『ウクライナ・オン・ファイヤー』は、Youtube もニコ動も、アップロードした動画が次々と消されている。削除され制限をかけられつつ、新規にアップロードが続き、それをまたアドミニが封殺するといういたちごっこが続いている。作品が世間の目に触れ評判が広まると、ウクライナの真実が透視され、この戦争の意味の理解と洞察が進んでしまう。そうなると具合が悪いため、西側当局は必死になって検閲をかけ、視聴されないよう権力的物理的に遮断・妨害しているのだ。

まさに言論・表現の自由の規制である。このことは、逆に、オリバー・ストーンの分析と解説が当を得ていて、正確で秀逸で説得力があることを証明するものだ。弾圧に怒ったオリバー・ストーンは著作権を放棄し、Rumble から自由にダウンロードできるようにしたらしい。プーチンを悪魔視してロシアを全否定し、世論の全体をゼレンスキー支持とウクライナ応援の一色に塗り潰すためには、この作品の存在は都合が悪いのだ。閲覧禁止にしないと、西側の戦争遂行の空気作りの上で邪魔になるのである。




なぜ米国の侵略戦争だけが正義で、米国の戦争犯罪だけが不問で免責なのか_c0315619_14313627.pngわれわれは、欧州から遠く離れた東アジアの市民なのだけれど、この戦争に参加させられていて、ウクライナ陣営に属する国家の国民として援護することを半ば義務づけられている環境に気づく。テレビは毎日欧米側のプロパガンダを流し、鬼畜ロシアを叩いて視聴者にプーチンへの憎悪を増幅させ、打倒ロシアの感情を燃えたぎらせている。まさにオーウェルの『1984年』の世界だ。オリバー・ストーンの動画をネットで細々と案内・推奨し、理性と知性のバランスに拘る者は、陰謀論者のレッテルを貼られて袋叩きされ排除される。

日本は憲法9条の国で、非武装中立を原則とする国ではなかったのか、と、か細く孤独な心境で想う。国際社会で紛争が起きたとき、どちらの側にも与せず、中立の立場で間に入り、戦争で血を流すのはよくないから話し合いで解決しようと促し、お金で解決できるのならウチが少し出すからと言い、善意の第三者として平和の方向に周旋し努力するのが、日本の国是と方針ではなかったのか。それが平和国家日本の哲学ではなかったのか。なぜ一方の当事者に加勢して一緒に戦争しているのか。


なぜ米国の侵略戦争だけが正義で、米国の戦争犯罪だけが不問で免責なのか_c0315619_14195862.pngずっと昔、中学生の頃、ウィングスの『アイルランドに平和を』をラジオでよく聴いた。ポールの名曲で、ヒットチャートでも1位になり、今でもカラオケで歌える。北アイルランド紛争が激化する折、この曲は、北アイルランドをアイルランド共和国に返還せよという過激で直截なメッセージを発していて、英国では放送禁止処分となっていた。日本では大ヒット。子どもながら、これが憲法9条の中立だなあと思い、日本を誇らしく感じたものだ。半世紀前の思い出だが、私の信念の中で理想とする日本はそのまま変わらない。

Great Britain and all the people
Say the people must be free
Meanwhile back in Ireland
There's man who looks like me

ポールは歌詞の一節でこう言っていて、英国と英国政府に追随する一般の欺瞞と二重基準を告発している。meanwhile の単語はここで覚えた。ポールらしい純朴で反骨の訴えが胸に響く。


なぜ米国の侵略戦争だけが正義で、米国の戦争犯罪だけが不問で免責なのか_c0315619_14325461.png子どもと妊婦のいる病院が爆撃された。死傷者が出た。何の罪もない民間人が殺されている。大量殺戮だ。戦争犯罪だ。そうだ、そのとおりだ。プーチンの責任を問うて弾劾しないといけない。だが、同じことをアメリカはどれだけやってきただろう。どれだけ子どもや民間人を残虐に大量に殺戮し、知らん顔をして責任逃れしてきただろう。アフガンで病院を空爆して犠牲者を出したとき、そこにテロリストが潜んでいるという情報を得ていたからだと、恥ずべき言い訳をして無差別攻撃を正当化したのは米軍ではなかったか。

日本人は、なぜその事実を対置しないのだろう。ファルージャの市街戦では2080人の死者が出ていて、市内の人口の3分の1が米軍の総攻撃で殺害された。あのとき、米軍はファルージャを包囲し、市内から脱出しようとする民間人を封鎖線から市内へと追い返した。無差別に、誰一人容赦なく攻撃と殺害の対象にした。ファルージャ市民全てを「テロリスト」にして砲弾と銃撃を浴びせた。そのことを、御用専門家は日本のテレビで悪びれず堂々と語っていた。ABCニュースのジョージ・ステファノプロスは、現地から(だったと記憶するが)、ファルージャを「悪魔の巣」と呼んでいた。


なぜ米国の侵略戦争だけが正義で、米国の戦争犯罪だけが不問で免責なのか_c0315619_14345049.pngロシアは安保理常任理事国で、その拒否権を使って何でも国際法違反を押し通せる。これでは国連は機能せず、国連は大国による「力による現状変更」を阻止できない。そのとおりだ。その批判に異論はない。だが、それは、アフガン戦争とイラク戦争がまさに同じだったではないか。イスラエルのガザ侵攻と虐殺を擁護し免責したアメリカの国連外交がそうではないか。なぜ、それは問題視されず、無視され黙認され正当化されたままなのか。「力による現状変更」をこれまで数限りなく行ってきたのは誰なのか。アメリカではないか。侵略戦争しても民間人虐殺を重ねても、アメリカだけは常に不問にされる道理は何なのか。

国連発表の数字によると、この侵攻でのウクライナの民間人死者は8日までの2週間で516人である。1日平均37人。イラク戦争のとき、3月20日の侵攻から4月19日の1か月間で、多国籍軍は1652人の民間人を犠牲にした(最大1939人)。1日平均55人。イラク戦争のときの方が数が多く、アメリカの方が多く民間人を殺している。米軍は高性能の誘導ミサイルを多く持っていて、ピンポイント爆撃を自慢するが、イラク侵攻時の米軍攻撃による1日当たりの民間人犠牲者の方が、今回のロシア軍によるそれよりも多いのである。今回、ロシアはキエフ空爆を手控えた。


なぜ米国の侵略戦争だけが正義で、米国の戦争犯罪だけが不問で免責なのか_c0315619_14354680.png侵略戦争の定石であり、米軍は必ず作戦の工程表として実行するところの、初期大規模空爆の波状攻撃をキエフに対して行わなかった。理由はさまざま言われていて、小泉悠は、ロシア軍にとって精密誘導弾の装備は高価で、米軍のように大量に無造作に使用消費できない台所事情によると説明している。私は、プーチンがキエフ市民の流血に躊躇し、国内外の世論を配慮したからだろうと推測する。空爆をすれば民間人の死傷者は大量に出る。いずれにせよ、イラク戦争のときのアメリカの方が民間人を大量に殺している。だが、われわれのマスコミ報道は、19年前、空爆の下で殺される無名の民間人には全く無頓着だった。

ファルージャの身の毛もよだつ大虐殺についても、何の責任追及もされず、まともに事件検証されていない。ブッシュとラムズフェルドの戦争責任は沙汰なしで済まされた。米軍は最初からイラクでクラスター爆弾を使った。劣化ウラン弾も使用した。アフガンの作戦ではMOAB(大規模爆風爆弾)も投下した。イスラエルのガザ侵攻では白リン弾が民間人に向けて発射されている。これらの非道について、日本のマスコミではベタ記事以下の扱いで、何の非難も憤慨も発せられなかった。どうしてこれほど今回と違うのだろう。なぜアメリカの非人道兵器使用は素通りされ、ロシアのそれには怒りが沸騰するのか。


なぜ米国の侵略戦争だけが正義で、米国の戦争犯罪だけが不問で免責なのか_c0315619_14375082.png世界各地でロシアを糾弾する市民のデモが続いている。あのときも、19年前も空前のデモが世界中で発生して怒濤の渦となった。日本でも久しぶりに大型の市民の反戦集会が開かれ、日比谷公園だったと思うが私も参加したことを覚えている。世界で起きたデモは今回よりもずっと規模が大きく、反対のエネルギーも強く激しかった。ロンドンでは100万人が集結した。NYでも50万人の巨大デモが実現した。ベトナム戦争以来の盛り上がりだった。私は毎日世界のデモの様子をネットで追跡し、気分を高揚させていた。

が、あれほど多くの市民が声を上げたのに、アメリカの侵略戦争を止めることはできなかった。アメリカ政府とブッシュ政権は微動だにせず、平然とイラクで無辜の民を虐殺しまくり、8年間に及んだ戦争の犠牲者数は50万人と推計されている。ブッシュとラムズフェルドを国際司法裁判所に、などという動きは寸毫も起きなかった。アメリカはイラクを制圧し、図に乗ってリビアとシリアを攻撃し、CIAの手でカダフィを惨殺した。アラブの春に便乗してアメリカがリビアとシリアに手を出した頃は、もう誰もその侵略に反対する者はおらず、西側のマスコミはCIA報道部に変わっていた。


なぜ米国の侵略戦争だけが正義で、米国の戦争犯罪だけが不問で免責なのか_c0315619_14391601.png自由と民主主義と法の支配の普遍的価値がどうのと、金科玉条のフレーズが振り回され喧しく連呼される時代に入り、力による現状変更がどうのと、中国とロシアを悪罵し排斥するナラティブが定着し、刷り込みの連続でセメント化し、言語と思考が薄くなる『1984年』の世界になった。今はまさに戦前から戦中に移行する局面だ。私は年をとって甲羅がぶ厚くなり、人生も終盤に近づいた所為か、ウクライナの戦禍の映像を見てもあまり心を動かさない。間もなく日本も同じ戦場になると予想しているからだ。

ずっとそう言ってきたからだ。荒れ野のヨハネのように。陰謀論者と侮辱され、終末論者と罵倒されながら、審判の日が来ると言ってきたからだ。丸山真男は「戦争は一人の人間がボタン一つ押すことで一瞬にし て起こせる。平和は無数の人間の辛抱強い努力なしには建設できない。このことにこそ、平和の道徳的優越性がある」と言った。倫理が崩壊して、誰も平和の努力をしなくなったとき、戦争は起こる。



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戦争プロパガンダに反対し抵抗する言論を貫きます。
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by yoniumuhibi | 2022-03-12 23:30 | Comments(8)
Commented by 成田 at 2022-03-12 19:58 x
まさにそのとおりです。アメリカの行ってきた数々の侵略戦争を批判せず、ロシアとウクライナが始めた今回の戦争(まだ必ずしも侵略とは言い切れないとわたしは考えている。)だけを批判するのでしょうか。
平和憲法を持つ日本は非武装中立であるべきで、自民党がジャパンハンドラーに操られて再軍備して明白な憲法違反の殺人集団である自衛隊を作ってしまいました。
そんなインチキな日本政府がロシアを批判できるのかと思います。民間人殺害はこれまでアメリカの専売特許でした。ロシア軍は民間人を殺傷しないように精密爆撃をしているようです。誤爆もあるとは思いますが、アメリカの方がひどいです。
ロシアが批判されているのを見ていて辛いのでそろそろ中国による講和でウクライナの非武装中立化、親ロ政権樹立、東部ウクライナのロシアへの領土割譲で収めて欲しいです。
Commented by ant1997 at 2022-03-12 22:38 x
貴殿の言はこの時世受認され難いと思いますが、バランス感覚を保つためにも不可欠だと思っています。テクノロジーがいかに発達しても結局それを使う側の人間は何も進歩しておらず嘆息するばかり。
Commented by 読者 at 2022-03-13 12:58 x
マリウポリ病院爆撃はシリアのホワイトヘルメットの様な悪質なやらせです。

スプートニク日本:

ロシア国防省のイーゴリ・コナシェンコフ報道官は10日の記者会見で、マリウポリ市第3病院をロシアが空爆したとする報道は全て、西側の情報の受け手に反ロシアの扇動を維持する目的でウクライナ政権が演出した挑発であり、ロシアの航空隊はマリウポリ付近では地上目標を一切攻撃していないと述べた。
「ロシア国防省は昨日(9日)、市内の民間人を安全に避難させるための『静寂体制』を宣言した。マリウポリ近郊でロシア航空隊は地上目標には一切攻撃を加えていない」コナシェンコフ報道官は明言した。
「キエフの民族主義政権の代表の発言と病院の写真を分析すると、『空爆』と言われるものは全て、西側の聴衆に反ロシアの扇動を維持するために演出された挑発であることは疑いようもない」
コナシェンコフ報道官は、マリウポリ第3病院付近で演出された爆発は、欧米の一般大衆を欺くためのもので、専門家であればこんなものには騙されないと補足した。

URL:https://jp.sputniknews.com/20220311/10340026.html 

しかも、マリウポリ病院に関しては、3月7日にロシアが国連安保理に対して、病院職員と患者の退去後にアゾフ大隊により当該病院が対露の射撃地点になっている事を警告しています。

さらには、キエフの反露フリーランスカメラマンEvgeniy Maloletkaによる3月10日の爆撃演出の俳優、ビューティーブログ主のMarianna Podgurskayaとのコラボも在英ロシア大使館によって指摘されています。ロシアは、米国ではないのです。

URL:https://www.theguardian.com/world/2022/mar/10/twitter-removes-russian-embassy-tweet-on-mariupol-bombing
Commented by 読者 at 2022-03-13 13:15 x
『ウクライナ・オン・ファイヤー』(製作総指揮オリバー)の監督であるIgor Lopatonok氏は、最も安全なセンサーシップフリーのカナダのビデオアップサイトのRumbleで続編の『リビーリング・ウクライナ』も併せて無料公開しています。

URL:https://www.rt.com/pop-culture/551652-youtube-removes-ukraine-documentary/

Vimeoでの大量シェアの作戦は、RTの協力もあり大成功。しかし、今はもうとっくに有料アカウントごと削除されてしまいましたが、どちらが勝利したかは明白です。

以下が同作監督の公式アカウントです。

https://rumble.com/user/GlobalTreePictures
Commented by 石井 at 2022-03-13 21:44 x
プーチンが初日から強調していたのは、今回の作戦はネオナチの武装解除目的のみの攻撃であり民間人に対しての攻撃は禁止、ショイグ(国防相)に至っては敵捕虜に対しても「敬意」を持って接するようにと訓示しています。民間犠牲者の件が報道されていますが、殆どはネオナチの現在人質になっている民間人への意図的な攻撃(後でロシアの所為にする)、或いは地元の強盗団の撃ち合いに巻き込まれたもののようです。O・ストーンの映画は公開当時ロシアで「アメリカ人にもこういう人がいるんだ」と話題にはなりましたが、日頃のニュースを通じて皆が知っている内容なので左程見られていません。僕はそのロシアのニュース、討論番組を30年来視聴していますが、今回の戦闘取材で印象深かったのは、ある戦車隊の兵士がソ連の国旗を服に縫い付け「祖父は大祖国戦争でナチスを打ち破るために戦った。今度は俺がネオナチを打ち破る番だ。」と答えていたシーンです。当然、軍隊内でそういう教育が行われているのでしょう。その意味で兵士の士気は高いと思います。
「ルソフォビア」という言葉があります。何故こういう偏見が西側で広まったのかを考える非常に良い番組があったのですが、 現在ブロックされ見ることが出来ません。番組では、ロシアが正教化した1000年来のカソリックとの対立とか、モンゴル支配による悪弊、マッキンダーのハートランド理論、ロシアの共産化、英米によるプロパガンダなどを説明しています。このロシア恐怖症、ロシア蔑視は何に使われるか。何の目的を持つか。ロシア征服、植民化の為です。「ロシア人は我々より劣る」「我々がロシア人を支配し正しき道に導く権利がある、或いは絶滅させても良い」ということで戦争になったのが、独ソ戦であり、今回の戦争の引き金になったドンバス内戦であり、現在の戦争です。共通するのはアメリカの関与で、ヒトラーを育てたのはアメリカであり、今のウクライナのネオナチを育てたのもアメリカです。自らは戦うことなく、ドイツを使い、今はウクライナを使いロシアを征服しようとしているとロシアでは理解されています。アメリカの援助でウクライナの核兵器が完成しつつあり、今年中にでも使用される可能性大という判断、それと2月中にでも始まりそうなドンバス掃討戦(ドンバス住民皆殺し作戦)対策で2月24日からの攻撃が始まったと僕は考えています。
Commented by ムラッチー at 2022-03-14 12:45 x

 今般の「戦争」ではロシアは完全に「悪」扱いですが、
 私に言わせれば「プーチンにも三分の理」ですね。
やはりソ連崩壊時の混乱のトラウマはロシア連邦の方々にとっては
相当大きいのでしょうね。


Commented by まい at 2022-03-29 07:49 x
ロシアに対する一方的な報道に違和感を感じ、書籍やネットで調べるうちに、ウクライナで起きたオレンジ革命からの流れが中東で起きた民主化革命の流れと酷似していることに気付きました。
日本のメディアでは西側からの情報しかなく、そのことに疑問を感じる人も少ないため簡単に情報操作されてしまうことに危機感を感じます。
ウクライナも日本もアメリカとの関わりが深い点では共通しており、私にはアメリカがウクライナを使ってロシアを挑発し戦争に引きずり出して叩こうとしているように思えました。同じように、今後日本を利用して中国を挑発して同じような事が起きるのではないかとウクライナのことを他人事とは思えない気持ちでいます。
Commented by 原因と結果の法則 at 2022-06-04 09:13 x
仰る通りです。
ここまできてもまだ分からないバカは多いですが


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