ブルージャパン疑惑の違法性 - 収支報告書虚偽記載と業務上背任

その都度、立憲民主党など野党は「説明責任を果たしてない」と批判して世論に訴え、「回答になってない」と憤激して国会審議の中断や拒否に及んだ。「個別の問題については回答を差し控える」という対応形式と論法が、責任ある政治家の態度として認められてよいのか、素通りを許してよいのかという倫理的な本質論が提起され、民主主義を根本から破壊する悪弊として深刻に問題視された。森友、加計、桜を見る会、黒川定年延長、学術会議、等々、幾度も幾度も。

年3.4億円、4年計9億円の支出金額に相応する対価として妥当なものか、その点は検証して確認する必要がある。何と言っても支出したのは政党助成金であり、国民の税金なのだから。もしも、納品され提供されたコンテンツやサービスにおいて、それが対価として著しく不合理で低品質で貧弱僅量だと認められた場合は、政治資金収支報告書の虚偽記載が問われ、あるいは党執行部の業務上背任が疑われるところとなるのではないか。

3.4億円の対価として妥当なものでなく、法外で過大な価額であり、すなわち、支出に別の目的と意味が存在した場合は、契約そのものが異常で不正であり、収支報告書に虚偽が記載されたことになる。ブルージャパンに特別な利益を供与するために支出したことになり、「広報業務」の名目は隠れ蓑で、報告書の記載内容は国民を欺いたペテンになる。政党助成金を使って別目的(寄附)でブルージャパンに資金を流したことになる。

こちらは、収支報告書の金額が実際よりも小さすぎる虚偽記載である。ブルージャパンの方は、実際よりも金額が大きすぎる虚偽記載である。あのとき、安倍晋三側は、あの単価でもホテルの宴会で出す料理として原価的に十分可能で、妥当で合理的な値段だと強引に言い張った。今回問われるのもブルージャパンの提供物の中身で、納品したコンテンツとサービスが金額と合致するかというシンプルな問題である。合致せず、著しく不合理であった場合は、収支報告書の記載は虚偽となる。

ブルージャパンに業務委託して提出・納品を受けたアウトプットが、仮に3000万円相当の市場価値であれば、3000万円の価額で契約すべきであって、3億円で発注してはならない。その不当な購買と支出を繰り返すことは、幹部として政党組織に財産上の損害を与える行為である。違法であることは明白だ。枝野幸男と福山哲郎の執行部は、17年から20年にかけて9億1800万円を広報活動の委託業務経費として支払っている。数字を一瞥すると、毎年3億5000万円程度が支出されていることが分かり、支出と契約は定常的で固定的なものだったことが分かる。

所在不明な会社であるという事実が最初から疑惑を投げかけている。設立したばかりで何の実績もない広告会社に、なぜ博報堂と同額の発注をしたのかも不自然である。前回も書いたとおり、政治倫理綱領の倫理は特に野党に強く求められるものだ。権力を利用して不正や汚職を行うのは、通常、政府与党の側であり、それを追及するのが野党だからであり、要するに、野党はいわば警察や検察の役割を担うからだ。警察や検察が倫理不全で不正にまみれていたらその任務は負えない。

道義的責任の意味が不明で砂漠化しているから、この二元論を言った途端に責任は風化し消滅する。けれども、法律には必ずそれを支える倫理がある。倫理と法律はセットである。倫理が外化したものが法律で、規範が外側にシステム化されたものが法律だ。政治資金規正法も、それ以外の刑事諸法も、取り締まるべき悪が措定されており、立法目的がある。われわれは、詭弁を捏ねて悪を免責し救済するのではなく、その逆に、立法目的に沿って正しく悪を捕捉し断罪しなくてはいけない。法律は市民社会のためにある。政治家を守るためにあるのではない。







by yoniumuhibi
| 2022-01-13 23:30
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