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この選挙の争点は何なのか – 争点を勝手に「バラマキ批判」にしたマスコミ

この選挙の争点は何なのか – 争点を勝手に「バラマキ批判」にしたマスコミ_c0315619_14073557.png24日に行われた参院静岡補選で、自民党の候補が意外な大差で敗れた。何と、無党派層の7割の票が野党候補に流れる結果となっている。この選挙で野党が勝つとは誰も予想しなかったし、ここまで票差が開くとも思わなかった。衆院選投票日の一週間前の重要な前哨戦であり、自公にとっては絶対負けられない選挙だ。この選挙では共産候補が立っていて、野党統一候補での1対1の構図になっておらず、それゆえに衆目も、僅差となっても与党の勝ちだろうと踏んでいた。もし本気で野党側が勝ちを取りに行くのなら、議席を取れる読みがあったなら、共産党を降ろす努力を粘っただろう。岸田文雄も二度静岡に入っている。この結果は自公の惨敗と言っていい。なぜこのような惨敗となったかの原因分析については、川勝平太が野党候補の応援に回ったことと、リニアの問題が影響しているという現地の特殊事情がポイントとして解説されている。その要素はあるにせよ、それでも5万票の差は大きいし、無党派層の7割が野党に入れたという事実は衝撃的だ。



この選挙の争点は何なのか – 争点を勝手に「バラマキ批判」にしたマスコミ_c0315619_14074653.png国政選挙であり、全国が注目する衆院選の前哨戦であり、リニアが争点の第一になったわけではあるまい。開票の中身を見ると、投票率の低さが目につく。一般に、単独日程で行われる補選は投票率が低く出る傾向があるけれど、それでも、今回の45%という数字は低すぎる。前回2年前の参院選の実績よりも5ポイントも下がった。そして、投票率の低い選挙では、盤石の組織を持つ自民党が圧倒的に強いという見方が定説なのに、その低投票率の選挙で自民党が負けた。共産候補が立った安牌の選挙であるにもかかわらず。これはやはり、自民党に逆風が吹いているという推測をするしかない。自民支持層の2割が野党候補に投票していたという出口調査からも、自民党への逆風が頷ける。日経が23日に出した情勢記事にもその状況が窺える。4年前は15選挙区で自民党が13勝2敗と圧勝した埼玉県で、今回は五分五分となり、僅かながら野党が優勢になっているという調査結果が示されていた。ただ、有権者が野党を積極的に支持しているわけではないことは、2年前の参院選時と較べて、静岡で野党の得票総数が減っている事実からも観察できる。


この選挙の争点は何なのか – 争点を勝手に「バラマキ批判」にしたマスコミ_c0315619_14075897.png有権者はこの選挙で何を争点にしているのだろう。何を投票あるいは棄権の動機にしているのだろう。私なりの視点だが、どうやら有権者の関心の内実は、マスコミの表面で踊る分配論議ではなく、この4年間の与党と野党の政治に対する審判であり、とりわけ、この1年半のコロナ禍の苦境と東京五輪をめぐる鬱屈に対する総括であるように思われる。NW9の和久田麻由子の説明では、今度の衆院選は投票率が上がると言い、NHKの世論調査を元にその方向に視聴者を誘導しているのだが、果たして本当にそうなるのだろうか。静岡補選を正視するかぎり、そこで表明されている民意は、与野党含めた今の日本の政治への絶望的な不信であり、コロナ禍の犠牲を弱者国民に押しつけるだけで無策に徹した政府与党に対する怨嗟と、それに何も抵抗できなかった無能な野党に対する不満であるように透視できる。8割の国民が東京五輪に反対したのに、「安心安全」の虚言で開催を強行され、野党はそれを止められなかった。民意の底流には、そのわだかまりが尾を引いて残っている。分配論の新テーマで釣られても、簡単にそこへ目を逸らすわけにはいかないのだ。


この選挙の争点は何なのか – 争点を勝手に「バラマキ批判」にしたマスコミ_c0315619_14271357.png今回の衆院選には、過去にない重大な変化がある。皆さんはお気づきだろうか。それは公式な争点がないことである。争点が何かをマスコミが特定せず、報道の中で浮上させず、争点についての認識や関心が曖昧なことだ。これまでそうした選挙はなかった。解散日や公示日が来て、NHKの7時のニュースが放送枠を1時間に拡大し、各党党首をモニタースクリーンに配置して政見を競わせるときには、必ず、NHKの政治部デスクがスタジオに登壇し、今回の選挙の争点はこれこれですと整理するのが常だった。選挙が始まれば必ずその儀式が行われた。選挙の争点はマスコミが定義するのである。それぞれの政党は、自らの思惑と戦略で主観的に争点を設定し、それを有権者に訴求するのだけれど、いわゆる中立的で公式的な争点設定は、マスコミの役目であり、その定義はマスコミの手に委ねられていたのである。争点はマスコミが定義し、視聴者国民の共通認識に据えた。その場合、特にNHKによる明言が重要で、だからNHKはなるべく争点を中立的な印象と評価に収まるように腐心した。これが争点ですと設定された政治命題は、自動的にどの政党が勝つかを示唆する性格を持つからである。


この選挙の争点は何なのか – 争点を勝手に「バラマキ批判」にしたマスコミ_c0315619_14212103.png分かりやすく、17年の衆院選を例に出そう。この選挙の争点は、「安倍政権の継続の是非」ということになっている。おそらく、NHKの報道もこんな表現だっただろう。この選挙は、例の小池百合子と前原誠司の「希望の党」のドタバタ劇があった選挙で、野党が愚かに自滅した選挙だった。戦う前から自民党の勝利が確定していて、だから、争点は「安倍政権の継続の是非」と定義されたのである。マスコミによる争点の設定は選挙の勝敗に関わり、勝つ側を自動的に暗示する意味を持っている。そのことはすなわち、公示日の時点では、もうどの政党が勝つかが半ば予測できていることを意味する。勝敗を先読みして、マスコミは争点を設定し定義するのだ。そして、選挙の結果が、マスコミが説明したとおりの民意の反映になり、物語になるのだという、マスコミの(神の如き)無謬性をそこで「証明」するのである。マスコミこそ民意が集約された情報機関であり、中立で絶対的な存在だと誇示する機会(仕組み)になっている。マスコミによって争点がどう定義されるかは重要な問題で、選挙全体の行方がそこにかかっている。以上が前置きだが、今回の選挙ではマスコミがそれを公言してないのだ。


この選挙の争点は何なのか – 争点を勝手に「バラマキ批判」にしたマスコミ_c0315619_14234509.png今回の選挙では、もともと、岸田文雄が分配策を争点にしようと企図していた。その中身は、実は「枝野ビジョン」からのパクリであり、その目的は、安倍・菅政権のコロナ失政から有権者の目を眩ますことで、目先を巧妙に変えることだった。本来は、選挙の争点は安倍・菅政治の総括が問われるべきで、コロナ対策の採点と是非こそが問題になるべきだっただろう。が、それだと選挙に負けるので、自民党は総裁を岸田文雄に変える狡猾な策に出て、分配策に関心を向けさせる計略に出た。ところが、その動きに対して安倍晋三と麻生太郎からバックラッシュが起こる事態となり、岸田文雄は明快な政策論を言わなくなり、政党間の論争は内容のないものに潰されている。そして実際は、ここにマスコミが関わり、マスコミが介入して外から争点が押し込まれている。今回、マスコミは、政党とは無関係に独自に争点を決めて報道を埋め、世論工作に徹していて、その争点とは「バラマキ批判」なのだ。公式な争点設定はせず、隠れた位置から、「バラマキ批判」を争点にして絨毯爆撃し、減税等を公約に訴える野党を攻撃しているのである。その旗頭が矢野康治で、いわばマスコミは矢野康冶を党首とする「緊縮党」の側に立ち、野党を貶める選挙戦を演じているのである。


マスコミが、選挙のレフェリーではなくプレイヤーになっている。確認するまでもなく、「バラマキ批判」を掲げて選挙を戦っている政党はない。新自由主義政策の継続を意味する「改革」を連呼しているのは維新だが、その維新でさえも消費税は5%にすると公約で謳っている。どの政党も、自民党も含めて手厚いコロナ給付金の必要を言い、国債を財源に手当すると語っていて、その政策を批判して緊縮を言い上げている政党は一つもない。したがって、本来、「バラマキ批判」は選挙の争点にならず、争点から外されるべきモグリの議論だ。だが、どの政党も言ってないのに、マスコミは「バラマキ批判」を勝手に選挙の争点にして、財務省と財界の肩を持ち、財務省と財界を代弁し、彼らの主張を正しい政策だと言って刷り込んでいるのである。マスコミによって選挙の争点の簒奪と捏造が行われ、不当な世論工作が行われている。その真実を見抜かないといけない。


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by yoniumuhibi | 2021-10-26 23:30 | Comments(0)


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