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「所得倍増計画」と「一億総中流社会」が政党の看板に – 清算される新自由主義

「所得倍増計画」と「一億総中流社会」が政党の看板に – 清算される新自由主義_c0315619_15273739.png自民党が「令和版所得倍増計画」を言い、立憲民主党が「一億総中流社会の復活」を選挙公約のスローガンに掲げた。率直なところ、勝利感ひとしおで興奮する気分を否めない。ようやく、自分が主張してきた政策思想が社会の本流の位置に来た。私の持論がこの国の圧倒的多数の信念と展望となった。与野党が同時にこのフレーズを掲げた意味は大きい。特に、立憲民主党が「一億総中流社会の復活」を訴え始めた点は、まさに現代日本のイデオロギーの転換を象徴する画期的な事件だろう。「一億総中流社会の復活」という標語は、70年代前後の過去の日本の経済社会を肯定する認識が前面に打ち出されている。すなわち、今の日本国民の多数が当時の社会環境へのノスタルジーを強く持ち、その復活を希求している状況が分かる。そのニーズが反映されている。国民は嘗ての「一億総中流社会」の表象と実体を積極的価値として認め、それを再現する政策的方向性を選択しようとしている。そのことが証明された。そうでなければ、選挙を前に政党がこんなスローガンを掲げることはない。



「所得倍増計画」と「一億総中流社会」が政党の看板に – 清算される新自由主義_c0315619_15274717.png立憲民主党は、もともとネオリベラルを原点とする政党であり、ファウンダーである前原誠司に特徴的であるように、戦後日本の「護送船団方式」を否定するところから出発した政党だ。自民党と社会党が作ってきた戦後日本システムからの脱却を言い、自由で自立的な、米国型の社会システムを理念として訴えていた。それを横からパクったのが小泉構造改革で、すなわち、民主党と自民党は二党で新自由主義の競争を演じ合っていたのである。民主党には過去のしがらみがなく、ピュアに意気揚々と新自由主義のカラーを打ち出していた。そのネオリベ色の民主党を支持し、正当化する理屈を提供していたのが、私が脱構築主義と呼ぶ左派のイデオローグの一団である。上野千鶴子、内田樹、田中優子、小熊英二、湯浅誠、本田由紀らだ。彼らは、竹中平蔵の露骨なネオリベ政策思想を口では批判しつつ、しかし、戦後日本が築いてきた諸制度を壊すことには賛同し加担してきた。一億総中流を過去の遺物として嫌忌し、終身雇用制を貶下し、護送船団方式を悪罵してきた。経済成長をアプリオリに執拗に不当視してきた。


「所得倍増計画」と「一億総中流社会」が政党の看板に – 清算される新自由主義_c0315619_15593968.png労働基準法をはじめとする、戦後日本が積み上げてきた労働者のセーフティネットを、彼ら脱構築左派は「改革」することに賛成し、ネオリベと一緒になって左右から攻撃し解体に精を出した。戦後システムを擁護することをせず、古くて無意味だと軽蔑ばかり言い続けてきた。もう右肩上がりの成長はできないだの、過去の幻想にしがみつくなだの、ネオリベと同じ言説を唱え、ネオリベの政策を左から正当化した。そのことによって左翼の国民を思想改造して行った。その結果、戦後日本の社会システムの中身をなすところの、終身雇用制も、年功賃金制も、護送船団方式も、4人家族標準世帯基準も、時代に合わない無価値な旧弊として処断され、悪性のイメージが通念化されている。脱構築の左翼学者たちが、20年間、労働者のセーフティネットを破壊する言説を吐き続けた事実をあらためて正視する必要がある。日本の一億総中流社会は、まさしくこれらの諸制度によって実現され担保されていたものだ。したがって、一億総中流社会を再建・復活させようとするのなら、これらの諸制度を名誉回復し、再び現役復帰させなくてはいけない。脱構築左翼の懺悔と改心こそが必要なのだ。


「所得倍増計画」と「一億総中流社会」が政党の看板に – 清算される新自由主義_c0315619_15330079.png自民党が「新しい資本主義」を言い、立憲民主党が「一億総中流社会の復活」を言い、これが何を意味するかと言うと、誰もが分かるとおり新自由主義の否定である。具体的に言えば、竹中平蔵の失脚と退場である。「改革」の言説の陳腐化と無意味化である。最早、アトキンソンがテレビ番組に出ることはないだろう。橋下徹も出演回数が減るのではないか。ひょっとしたら、竹中平蔵の逮捕もあるかもしれない。思い出すのは、06年に小泉政権が終焉したときである。このとき、新自由主義に一度目の危機が到来した。脱ネオリベの気運が盛り上がった。ライブドア事件が起き、堀江貴文が逮捕された。この思想的傾向は暫く続き、小沢一郎の民主党への支持を呼び、09年の政権交代実現の梃子となる。小泉構造改革に対する国民の深刻な失望があった。賃金削減と負担増に対する拒絶があった。自己責任のイデオロギーが批判された。だが、12年に民主党政権が倒れると、否、11年の菅直人政権の裏切りの直後から、再び新自由主義が勢いを盛り返し、永田町と経済界とマスコミと言論界の管制高地を制圧し、この国のメインストリームとして流れが固まる展開となる。そこから約10年の時間が過ぎた。


「所得倍増計画」と「一億総中流社会」が政党の看板に – 清算される新自由主義_c0315619_15440705.png獰猛な新自由主義者だった菅義偉が失脚し、権力の座から追われて1か月が経った。今、ヤフートップページ下に羅列表示される報道ネタは、岸田文雄の経済政策絡みの話題が主役になり、選挙関連の与野党のニュースが配置されるところとなっている。偶然かもしれないけれど、堀江貴文とひろゆきの出番が減った感がする。夏までは非常に多かった。東京五輪のトピックス(なぜかウクライナの女子選手の写真が頻出していた)で埋まった合間に、橋下徹と堀江貴文とひろゆきが精力的に顔を出していた。最近は少ない。おそらく、菅義偉の失脚の影響だろうと推察される。ヤフーが編集して構成するトップページの記事群アップデートは、おそらく、今の日本でNHKの7時のニュースと同じほどの影響力を持ち、世論操縦の工作威力を持っているはずだ。そこに配置され発信される現代ビジネスやJBプレスやABEMAの反動的な記事群が世論を形作り、さらにまた、そこに右翼が組織的に書き込むヤフコメが日本の世論を右へ右へ押し流している。ヤフーは5chよりも悪質だ。DAPPIが解明された後は、ヤフーの工作実態を調査する必要がある。間違いなく内閣官房と自民党に繋がっている。


「所得倍増計画」と「一億総中流社会」が政党の看板に – 清算される新自由主義_c0315619_15411900.png上に述べたとおり、11年に菅直人が裏切りの旋回に出た後、猛烈な新自由主義のバックラッシュが起き、12年からのアベノミクスで再びネオリベのトリクルダウン路線に軌道定置されるのである。財務大臣は麻生太郎、官房長官は菅義偉。法律と予算は今井尚哉の経産省。この国の上層部はネオリベ族のセメント体制で完全に固定し、システムは何もかもネオリベ仕様に強力に改変された。働き方改革などと名前を変えて、残業代ゼロ(WCE)法案まで可決成立し制定された。それが、時代が変わったのか、与野党が「所得倍増計画」だの「一億総中流社会」だのと言い出している。無論、それには理由があり、アメリカが変わったからだ。アメリカで左派が台頭し、反新自由主義の運動が始まったからである。アメリカの変化の追随なのだ。アメリカで反新自由主義の潮流が勃興した以上、日本で簡単に再度のバックラッシュが起きるとは思えない。私はそう楽観的に予想している。われわれが政策議論すべきことは、すべてのシステムを30年前の原状に戻せということである。まともに労働者に分配され、経済が活力があった、嘗てのプラットフォームに回帰する改造をせよということだ。


「所得倍増計画」と「一億総中流社会」が政党の看板に – 清算される新自由主義_c0315619_15531421.png竹中平蔵と安倍晋三の以前の、すなわち、加藤紘一と野中広務が統括する日本政府に戻せと提唱することである。竹中平蔵と安倍晋三の手垢のついた、あらゆる経済法制を検証し棚卸しして白紙化することだ。労働者派遣法も、働き方改悪法も、金融ビッグバン関連法も、応益負担化した障害・介護の制度改変も、労働法制だけでなく資本法制も、税制も、社会保障制度も何もかも、すべてリセットして30年前に戻すことだ。加藤紘一と野中広務のプラットフォームに根本的に据え直すことだ。われわれに必要なのは、反新自由主義の断固たる革命である。格差社会のラディカルな廃絶である。セーフティネットであった社会党と総評を取り戻さないといけない。リアルに、妥協なく、ポーランド人がナチスに破壊されたワルシャワを再現したように。ここで、言説闘争として最も肝要なのは、左翼の脱構築主義のイデオロギーを粉砕することである。「もう右肩上がりの成長はできない」「過去の戦後日本の幻想を追うのはやめよ」「今は多様な家族の時代だから」といった、サンデーモーニングや週刊金曜日や朝日新聞の聞き慣れた常套句を否定し追放することだ。彼らが左翼を洗脳し、左翼をマインドコントロールに導き、もう日本は経済成長できないとか、戦後日本のシステムは誤りだったと観念させてきた。


その結果、左翼は「改革」への本格的抵抗ができず、オルタナティブを見い出せず、新自由主義に譲歩して陣地を明け渡したのである。低賃金を受け入れ、非正規を受け入れ、消費税を受け入れ、負担増を受け入れてしまったのだ。彼ら中途半端なイデオローグが新自由主義との原理的な対決と闘争を妨害し、混ぜっ返し、日本の左翼を脱社会主義化してきた。社会主義の理念を相対化してきた。左翼を別方面(ジェンダー、マイノリティ、LGBT、SDGs、反中国、)に関心づけてきた。彼らに、二度とこの類の発言をさせてはならない。禁句にしなければならない。左翼はアメリカの若者のように健全な社会主義に戻るべきで、ねじ曲がった脱構築の教義と信仰から離脱する必要がある。マルクスの資本主義批判の教科書に戻るべきだ。成長はできる。所得倍増も可能だ。



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by yoniumuhibi | 2021-10-13 23:30 | Comments(0)


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