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第5波は誰が止めてくれたのか - 墓標の前に祈りを、涙を、人災の検証を

第5波は誰が止めてくれたのか - 墓標の前に祈りを、涙を、人災の検証を_c0315619_16153685.pngなぜ8月下旬から感染者数が減って、第5波が下降する局面に入ったのか。その変化の要因となったものは何か。今週のテレビ報道では、そのことが、特に深い分析や省察もなく、掘り下げた鋭い問題意識もなく、軽い挨拶代わりのトークとフレーズで喋々されている。感染波も5度目となり、みな慣れきって、コロナをめぐる言説や議論は日常ルーティンに溶け込んでいる。松本哲哉と松原耕二のコロナ漫談に典型的な、まるで意味のない、時間つぶしの、無害で当たり障りのないBGMの進行になっている。災害の危機が去った安堵感が先行して、関心が他に向かっている。だが、第5波を止めたものは確かにある。それは、ひなた在宅クリニックの映像だ。死んで行った自宅療養者たちだ。ひなたの動画がテレビ報道の主役となったのは、8月16日の週と8月23日の週で、衝撃を受けた国民全てが凍りついた。一粒の麦落ちずば。糖尿病の合併症で瀕死の身ながら入院拒否された55歳の男性、年齢でトリアージされた80代の独居男性、柏の赤ちゃん。一つ一つの命が、尊い犠牲が、盾となって残りの日本人を守ってくれた。



第5波は誰が止めてくれたのか - 墓標の前に祈りを、涙を、人災の検証を_c0315619_16154898.png25条もなく、国民皆保険もなく、丸裸になった庶民の命を、神に召された彼らが守ってくれた。貧窮問答歌を絶唱した憶良のような心持ちで、淋しく哀しく、堪えがたく、濁る怒りを腹蔵に沈ませてそう思う。死んで行った者たちの墓標に手を合わせ、われわれはもう少し、彼らに心を寄せ、言葉をあてがう時間を作るべきなのではないか。小学生が夏休みの宿題で読書感想文を書いて提出するように、彼らの命の刻々を見つめ返し、非業の過程を整理し、その死に報いる心構えをを持って、国民として感想文を書いて捧げるべきではないか。彼らはなぜ死ななければならなかったのか。そこには何の過失も責任もなかったのか。一つ一つの命を、所管し担当した保健医療当局はどう事案を報告し総括されているのか。NHKはそれをNスペの番組で検証し説明すべきではないのか。警察の発表では、8月は全国で250人が自宅療養中に死亡している。そして、そうしたトリアージの選別死が冷酷に行われる中、JCHO系の病院でコロナ患者用の病床が30-50%空いていたという批判が上がっている。250人は収容できなかったのか。


第5波は誰が止めてくれたのか - 墓標の前に祈りを、涙を、人災の検証を_c0315619_17161783.png1か月で250人の自宅療養中死亡。思えば、東京だけで自宅療養者がピーク時1日3万人以上(調整中含め)いたのだから、この数は納得できるし、もっと実数は多いのではと推測される。が、ここで考えるべきは、1か月で250人だから、平均して1日8人以上この酷い死に方で、すなわち「助かるはずの命が」というケースで落命していた事実である。その割に、あまりにマスコミ報道が少なすぎたと思わないか。われわれの印象に残っているのは、ひなたの動画と、あと神奈川で1-2件、千葉で2-3件、埼玉で2-3件、東京で数件といった程度だ。ほとんどのケースが報道からオミットされている。取材されていない。当局から報道機関に情報が伝達されていない。隠されている。おそらく、自治体当局が個別に責任問題化することを恐れたのだろう。政府も、批判されて内閣支持率が下がることを避けたのだろう。もし、医療機関と保健所と自治体と政府が、ありのまま、自宅療養中死亡の事例をすぐにマスコミに報告し、ワイドショーやニュース番組が詳しく発信していれば、ひなた動画と同じ警戒情報として機能し、大衆の行動変容を媒介する因子になっていただろう。


第5波は誰が止めてくれたのか - 墓標の前に祈りを、涙を、人災の検証を_c0315619_17193207.pngそれは8月に取材調査されなくてはならなかったし、NHKこそが特集番組にすべきだった。そのときNHKが何をしていたかというと、オリンピックとパラリンピックの中継である。朝から晩までそれ一色だった。土曜も日曜もNスペの放送はなかった。過去5回の大きな感染波を経験して、最も大きく、災害と呼ばれる感染爆発に至り、東京首都圏で医療崩壊に至ったのは第5波が初めてである。救急搬送が困難になった。これほど深刻なコロナ災害が進行しているのに、NHKはオリンピックとパラリンピックの中継に夢中で、コロナの自宅療養者の問題をNスペで紹介しなかった。不思議な景観だった。昨年の感染波では、合原明子や鎌倉千秋や武田真一が生番組に登場し、尾身茂や押谷仁や西浦誠を呼んで説明させていた。国民の前で、それなりに真面目な報道に取り組み、三密回避や新しい行動様式の徹底を呼びかけていた。国民の命を守る公共放送をしていた。激甚災害とも呼べる第5波ではそれがなく、受信料の対価はオリンピックとパラリンピックの生中継だった。何が起きているのか国民は分からず、ひなたが撮った短い動画で想像するしかなく、棄民の恐怖に怯えるしかなかった。


第5波は誰が止めてくれたのか - 墓標の前に祈りを、涙を、人災の検証を_c0315619_16160017.png前回(9/13)の記事で、ワクチンは感染防止の効能はなく、第6波も第7波も抑えられず、ウィズコロナは意味がないと主張した。その直後、時事の報道で、ワクチン接種率が8割を超えたシンガポールで、いま感染者が急増しているという情報に接した。NHKの記事では、直近の3週間で感染者数が6倍になっていると言う。デルタ株の猛威がシンガポールに移った。接種率81%のシンガポールは、英国に見倣ったウィズコロナ政策の下で、行動制限緩和策に切り換えた直後だった。その結果、一気に予期せぬ感染拡大となって政府が慌てている。この事実は、現行のワクチンがデルタ株に有効でなく、いわゆるブレイクスルー感染が広範に発生することを示していて、日本政府の今後の政策に影響を与えるだろう。9月に入って、この趣旨の情報が多く発信されていて、6日の朝日の記事では、政府分科会が「ワクチン接種では集団免疫(の獲得)は困難」と認めた件が報じられている。デルタ株に対しては現行のワクチン接種では集団免疫の達成は難しいと、3日に発表した提言の中で書いた。これまでとは対策の基本構想が変わったことを意味する。


第5波は誰が止めてくれたのか - 墓標の前に祈りを、涙を、人災の検証を_c0315619_16161357.png11日のAFPの記事では、WHOの欧州地域事務局長が、ワクチンの普及でコロナ禍を収束させる展望が難しくなったと発言した事実が伝えられている。デルタ株の出現によって集団免疫獲得の可能性が薄くなったと認め、ワクチン戦略の路線に悲観的になったWHOの認識が示されている。5月時点では「パンデミックはワクチン接種率が最低70%に到達すれば終わる」と明言していたが、現時点では、「ワクチン接種の目標は、第一に重症化と死亡を防ぐという段階に達している」という認識に後退した。これが現在の共通認識である。だが、4か月後にはどうなっているか分からない。ワクチンで生成された抗体量は時間と共に減少してしまう。英国や米国で、ブースター接種が未完了の高齢者が重症化する事例が頻発するかもしれない。この点は議論があり、ブースター接種不要とする専門家の見方もあるが、普通に考えれば、体内の抗体量が少なくなれば免疫機能も弱まり、肺炎に繋がるリスクが高まると考えるのが自然だ。さらに、新たな別の猛毒の変種種が出現して、現在の想定と常識を根底から覆す事態も十分ある。確定的な予測や予見は何もない。


欧米と日本は、ウィズコロナを基調として、ワクチンで平常の社会経済活動を取り戻す戦略に出ているが、私はこの方向性は疫学上根本的に誤っていて、必ず失敗して破綻すると確信するし、現時点ですでに思惑が外れてロードマップが不安定になっているのを否めない。中国のように大規模検査して隔離を徹底する方法こそ合理的で、どのような新変異種が発生しても対処でき、国内をゼロウィルスの状態にすることができる。中国とNZの方法が正しい。


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by yoniumuhibi | 2021-09-15 23:30 | Comments(1)
Commented by コスモス at 2021-09-17 10:21 x
87歳でツイッターをやっておられる女性がいます。お茶大理学部の卒業生。
その方が、「困っている方に手を差し伸べるのはまず政府(公助)ですよね。個人はそんな余裕がない人が多い」と書き込んでおられます。当たり前ですね。一年前の菅を自民党が支持したのは、本当に異常であります。
総裁選も、河野には菅がついてて竹中もすり寄ろうとしているわけです。
日本は、コロナ患者が減り始めると、すぐに緩めます。大阪はまたgoto eatみたいなのを再開させるようだ。大阪はいつもそう。もういいと、日本で一番はやく、舵を切る。そしてまたぶり返す。
香港や中国などは、新規陽性者ゼロが数日間続くまで徹底しますよ。


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