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感染爆発には棄民政策で対応 - 上級に必要な医療を提供、下級は入院制限する

感染爆発には棄民政策で対応 - 上級に必要な医療を提供、下級は入院制限する_c0315619_14384544.png新型コロナの中等症患者を原則「自宅療養」に切り換える方針転換が発表され、今週はこの問題で論議が沸騰、国会でも攻防が続いている。政府はこの入院制限措置の目的を、重症患者や重症者リスクの高い患者を入院させるためだと説明し、具体的な入院基準については自治体に判断を任せるとした。デルタ株の猛威で感染拡大が空前の規模になり、東京で自宅療養者数が3万人になるという予測の下で、何がしか緊急即断の対応を迫られての決定だが、最悪で背筋も凍る棄民政策の内容だと言える。いよいよ、本当に深刻な大災害 - 人災だが - が襲来するところとなり、庶民は身の危険に迫られる事態となった。私自身もそうだし、ブログの読者の少なくない部分(64歳以下の未接種者)が同様のはずで、自分と家族の命をどう守るか恐怖と不安の気分だろう。まるでナチス侵攻直前のベルギーのユダヤ人みたいな境遇だ。おそらく1か月半後には事態は好転している。だが、9月中旬までの間、感染せずに無事いられるかどうか。ワクチン接種で身の安全を得られるかどうか、感染したときはどう生き延びるか、個々が一日一日死力を尽くさないといけない。



感染爆発には棄民政策で対応 - 上級に必要な医療を提供、下級は入院制限する_c0315619_14161208.png菅義偉はこの方針転換について、「国民の命と健康を守るためのぽ措置として、必要な医療を受けられるようにするため」だと理由づけし、決定を正当化している。だが、5ch等ネットですぐさま真意が看破され反発が上がったように、この「国民」は上級国民の意味であり、上級の身分と階層の者に限定されている。それが真実だ。縁故や人脈や金銭や地位などの資源を持った患者が入院治療へとセレクトされ、持ってない者が病床へのアクセスを拒絶される。実際に、このことは4月から5月の大阪と兵庫で起きた。NHKやTBSが報道した神戸の悲劇を覚えている者は多いだろう。「病院の廊下の隅っこでもいいから、どうぞ息子を入院させてやってください」。そう母親に土下座され、拝むように両手を合わされたけれど、訪問看護師はどうしようもなかったと取材に応えて証言した。大阪では連日50人が死亡した。こうして善良な庶民が治療から排除されて次々と死に追いやれ、その一方、維新の府議たちは優先入院の特権を享受していた。保健所に圧力がかかっていたという報道もある。維新の諸議員や石原伸晃は「医師の判断に基づいて」入院が決まっていた。


感染爆発には棄民政策で対応 - 上級に必要な医療を提供、下級は入院制限する_c0315619_14242621.pngこれから東京首都圏で、全国で、同じ事が起きるのである。「上級」という言葉、「下級」という言葉は、現在、SNSの匿名投稿者によって喋々されているネットのスラングであり、粗雑で品の悪い風刺語の類の言説である。だが、今ほどこの語が問題の核心を衝き、真実を暴露し、事態の本質をよく言い表している局面はなく、政治用語として妥当性と説得力を持って響いている瞬間はない。スラングの罵倒語が、問題提起者の知的で正鵠を射た批判と分析を通じて、時代の言論空間に定着し、納得と共感を呼び覚まして人口に膾炙され、社会科学の概念として普遍的に確立する場合がある。レーニンの『帝国主義論』における「労働貴族」の範疇などはその例だろう。「上級」のスラングを使って今回の「中等症=自宅療養」の政策を説明する言説が、ここまで腑に落ちて得心できるのは、この政策を発した主体が菅義偉であり、その政策決定の裏側にいると推定される黒幕が竹中平蔵で、まさに「自助・共助・公助」の悪魔的指針を丸出しにした露骨な棄民政策だからに他ならない。ネオリベラルのイデオロギーは、社会を堂々と上級と下級に分け、上級を優先し上級に奉仕する政策を正義とする。


感染爆発には棄民政策で対応 - 上級に必要な医療を提供、下級は入院制限する_c0315619_14165133.png新自由主義者にとって、デルタ株から救うべきは上級に属する者の命であり、下級によって病床を埋められるのは不具合なのである。上級の命の方が重いのだ。「自治体と医師の正しい判断」によって、必要な医療が上級に提供されねばならず、そのためには下級は犠牲にならないといけない。下級は、土下座した神戸の母親の息子の運命に甘んじてもらわねばならず、それが恒常化される政府の政策が決定され、行政制度に落とされる社会が当然で本来的なのである。野党よりも早く、公明党がこの方針転換に反対し、山口那津男が動き、議員が国会の場で撤回を求めた事実は、この政策の本質が何かをよく物語っている。公明党は庶民の支持と票で成り立っている政党であり、下級を基盤とする政党である。しかも、ずっと長く厚労副大臣のポストを確保維持し、いわば厚労行政のドメインを自己の縄張りとして自認訴求している政党だから、立憲民主党よりも早く慌てて反対に動いたのだろう。その事情と論理はよく了解できる。だが、与党の分裂も顧みず、菅義偉は上級への医療を保全するべく公明党の要求を突っぱねた。これから直面する感染爆発の地獄がどれほど凄絶なものかを思い知る一事だ。


感染爆発には棄民政策で対応 - 上級に必要な医療を提供、下級は入院制限する_c0315619_14192749.pngこの恐るべき方針転換がいつ決まったのか。私の推測では、7月25日の日曜日である。この日午後、公邸を小池百合子が訪れ、久しぶりに菅義偉と対面での会談を小一時間行っている。この時点で、感染爆発が進行して東京で3万人の「自宅療養」者が出るというデータが共有されていて、対処をどうするか相談して決めたのだろう。この3日後の28日、小池百合子がぶら下がりで「自宅病床」推奨という訳の分からない妄言を垂れ、嘲笑を伴いつつ若干の物議を醸したが、今から振り返れば、25日の公邸会談が伏線になっていた経緯が理解できる。これは観測気球だった。今の小池百合子の表情に焦りがないのは、バックに菅義偉の官邸権力が付き、大船に乗った余裕の政治的立場だからだろう。今回のザッハリヒな棄民策は菅義偉主導の判断と決定だから、それに追従していればいいという、恥知らずな責任処理の論法と態度なのだ。多少とも焦っているのは、医療体制が脆弱で犠牲者を多く出す蓋然性が高い埼玉の大野元裕である。小池百合子は、長く反目と暗闘を続けてきた仇敵の菅義偉と「薩長同盟」の関係に転じ、ようやく政治基盤の安定を得た。おそらく、衆院選に向けてWinWinの謀議が仕込まれているのだろう。


感染爆発には棄民政策で対応 - 上級に必要な医療を提供、下級は入院制限する_c0315619_14370076.pngこのネオリベ棄民政策、上級に医療を優先提供するため下級の入院制限を断行するという憲法違反の政策について、マスコミはほとんど批判の言論を展開しない。4日の報ステでは梶原みずほが、政府としてやむを得ない措置だとして肯定するコメントを垂れた。他のテレビ報道も、和田耕治や釜萢敏など政府分科会の専門家を出演させ、しかたない選択だから受け入れるしかないと追認させていて、この政策の正当性を刷り込んでいる。反対意見を諦めさせる世論工作に与している。朝日新聞の社説(4日)も、一応は政府を批判する論陣を張って、ワクチン頼みの無策の責任を糾弾しているけれど、それでは具体的にどうすればよいかという点では、開業医の往診やオンライン診察の充実などという絵に描いた餅を並べているだけだ。CT撮影もないのに入院の判断などできず、呼吸器科の専門医でない者が聴診器と問診で重症化リスクの診断などできないと、5日のモーニングショーで大谷義夫が喝破していた。正論であり、医療の常識である。そもそも、第5波は8月から9月が山なのに、地域の開業医がコロナ患者をケアする体制を整備するのに時間が物理的に間に合うはずがない。議論しているだけで終わる話だろうし、只のアリバイ政治のネタだろう。


感染爆発には棄民政策で対応 - 上級に必要な医療を提供、下級は入院制限する_c0315619_14580520.png私の提案は、大型のコロナ野戦病院を作るべきというもので、昨年1月の武漢のような、東京財団がつくばに計画していたような、臨時の中等症患者用の巨大プレハブ施設を急造するべきというプランだ。そこに数千単位の患者を集め、開業医を当番で対応させ、酸素吸入の装置とレムデシベル・抗体カクテル等の治療薬を集中させる。爆発的に増えるコロナの患者への対応は、急拵えのメガ施設こそが最も適切で、そこに医療資源を集中させる方法が合理的である。患者も医師・看護師も治療薬も機器設備も集中させなくてはいけない。これが対コロナの科学の鉄則である。コロナ禍も1年半が経ち、知見は相当に蓄積されている。そして、コロナ対策予算は30兆円余っていて、その資金を使えば臨時施設を瞬時に実現することは可能だろう。CT画像も撮れるし血液検査もできる。オンラインの診断は、むしろ臨時施設で患者に対面する開業医と知見のある高度専門医との間のコミュニケーションに活用すべきで、その方が効果的で効率的だ。大量の中等症患者を捌くためには、患者・当番医・専門医の三層構造の仕組みでリアルタイムに当たるのがよく、ITを駆使した迅速な診断治療を一挙に同時に行うのがよい。そのためには、オペレーションの拠点となる大型施設が都道府県に要る。


この案で、野党と公明党が超党派で動き、議員立法・時限立法を取り纏め、医師会と厚労省(実務)が賛同し協力することを祈る。奇跡を起こしてもらいたい。死にたくない。みんな誰も、神戸の家族の悲しい運命は避けたい。



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by yoniumuhibi | 2021-08-05 23:30 | Comments(4)
Commented by 長坂 at 2021-08-05 20:54 x
パンデミックがきっかけで顕在化しただけで、日本の社会ってずっとこんな感じでしょ。あの大戦中に芋の蔓かじって餓死寸前もいれば、毎日肉だ酒だもいたし、地獄の逃避行もいれば、列車で無事に帰国の人達もいた。大元帥がしらばっくれて象徴になったせいか、そのまま戦後にも引き継がれ、「上級」には、裏口入学、コネ入社、脱税、不逮捕、有名病院で即診断即入院などなど、特権だらけ。「下級」には自助と自己責任と忍耐。ただ「下級」は踏まれても蹴られても、選挙は自民だから「上級」が益々調子づく。東京の感染者は2週間後には1万人?らしいが、加藤陽子風に「それでも日本人はオリンピックを選んだ」「都民は百合子を選んだ」訳だから、何をか言わんや。
Commented by アン at 2021-08-06 14:50 x
菅のことはブログ主さんが書かれたヘゲモニーで説明がつく。日本で一番偉い自分が広島の式典に出てあげると思っているわけだから、式典での挨拶の出来くらいでなぜ批判されるのか本人には意味が分からないであろう。
先日「感染爆発の政治責任は?」と尋ねられて、「感染を抑えることは私の責任で私はできると思っています」と意味不明の言い返しをしていた。日本で一番偉いのは私だ、ということ以外に、何の考えもない。
厚労省のキャリア官僚が、疲れ切っているそうですね。話が通じないから。

菅を変えなきゃどうにもなりませんよ。

そして、ワクチンの副反応の死者は900名を超えた。中日ドラゴンズの木下投手は亡くなられた。副反応の死者が900人になるワクチン、デマと言い放った河野太郎、お前責任とれるのか?
Commented by コスモス at 2021-08-07 14:49 x
7月31日にEテレが放送したETV特集「ドキュメント 精神科病院×新型コロナ」。都立松沢病院が、よそのの精神科病院のコロナ患者を受け入れた一年間のドキュメンタリーでした。
貴ブログで折々に触れられる憲法9条の精神に、このドキュメンタリーで出会うことができました。
治療方針をめぐって、看護師も医者も対等に意見を出し合う。院長に対して精神科部長が、「この人たちがコロナから治ったからと言って、もとの劣悪な環境に返してしまっていいんですか」と問いかけ、院長が「気持ちはわかる。でも社会がこの人たちを塀の向こうに、見えないようにしてしまっている。もしもとの病院がなくなったら、この人たちはもっと劣悪なところへ行くしかなくなる」と答える。院長は斉藤正彦先生。斉藤正彦先生が院長を定年で退任し、一医師としてコロナ患者の対応に当たるところで番組は終わります。
精神科に長期入院している人たち。中には普通の生活ができそうに見える人もいる。長期入院病院の劣悪な環境。患者たち。役所の無責任。安倍晋三の支持者でもある、精神病院協会のYが「われわれは治安も担ってるんだよ」という傲慢な話しぶり。
現実は、いろいろなことを教えてくれる。番組の構成はそんなによくなかったですが、現実がすべてを凌駕していました。

社会が精神科の患者を見えないところに押し込んでいるという斉藤院長の言葉。この番組に安倍晋三支持者が出てきたことも含めて、まさに社会の写し鏡と思いました。

松沢病院は病院独自の判断でよその精神科のコロナ患者を受け入れているわけですから、東京都はまだ公的組織でもそういう「憲法9条的な生き方」ができる余地はあるんだなとその点は感心しました。
Commented by アン at 2021-08-08 17:49 x
福井県は体育館に病床を100用意し、軽症者でも自宅療養させないようにするとのこと。福井県は以前から、学校に通うこどもで陽性者が見つかった場合、全校児童に広く検査するなど、そのコロナ対策は非常に優秀で玄人筋からは評価されていました。
タイは2000床クラスの野戦病院を体育館に作ってなんとか対応しようと必死ですが、それでも市民はデモをして政権に抗議しています。
野戦病院は、貴ブログで去年の春先には書かれていました。安倍晋三は許しがたいですが、コロナ対策だけに限って言えば、菅が仕切るより、今井尚哉が仕切って山口那津男がチェックする体制でやったほうがどれだけマシだったかと思います。
和歌山、島根、鳥取、福井、PCR検査広めた広島。全員官僚出身知事。使命感がありますね。すべての官僚出身知事がすぐれているわけではありませんが、菅のように根本的に頭が悪いのに、頭が悪いという自覚もなく、威張ることしか頭にないのでは話になりません。

パラリンピックの選手たちが事前キャンプのためにもう入国してきているので、中止はできないでしょう。これから東京五輪終了後、係員、ボランティア、警察、自衛隊、バス運転手たちが帰郷します。無症状陽性者からの拡散が懸念されます。


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