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都議選分析 - 小池百合子を支持した女性有権者、枝野幸男の失策と自滅

都議選分析 - 小池百合子を支持した女性有権者、枝野幸男の失策と自滅_c0315619_15352083.png4日に投開票された注目の都議選は、自民党が33議席という大惨敗の結果となった。自民党がここまで惨敗すると予想した者は誰もいない。菅義偉の代弁機関であるマスコミ(田崎史郎など)は、小池百合子の病気療養作戦の奏功を言い、負け惜しみの口上に余念がないが、小池百合子の戦略の妙だけが自民惨敗の原因ではない。そもそも、自民圧勝と予想を立てていた観測屋たちの情勢調査が、どこまで精度と根拠のあるものだったかが検証される必要がある。菅義偉が安倍晋三と違って選挙に弱いということは、前から囁かれていたことで、都議選を占う上での一つの与件材料だった。4月の広島の再選挙でも、あの自民党の強い保守地盤で、苦戦はあっても落選はまさかというのが大方の見方であり、補選・再選挙に全敗したことで、「選挙に弱い菅義偉」という認識が定着していた。今度の選挙結果は、明らかに、都民が、コロナと東京五輪についての菅義偉の政策と態度に No を突きつけたものであり、菅義偉に対する批判票が小池百合子の同情票に転化されたものである。今回の民意はそう総括できる。



都議選分析 - 小池百合子を支持した女性有権者、枝野幸男の失策と自滅_c0315619_15353335.png都議選の争点は東京五輪であり、開催強行を容認するかどうか、有観客か無観客かの審判だった。予測屋たちの予想どおりの結果になっていれば、菅義偉の開催強行路線が支持され、有観客方針が肯定されたという結論になっていただろう。だが、都民はそこに待ったをかけた。毎日新聞が4日に投票した有権者に行った調査では、東京五輪をこのまま開催することに「賛成」が37%、「反対」が56%となっている。都議選から一週間前の6月27日に朝日新聞が都内の有権者に行った世論調査でも、東京五輪について、「今夏開催」が38%、「中止」が33%、「再延期」が27%という数字になっている。中止・再延期を求める声は依然として強く、多数派であり、感染リバウンドの傾向が顕著となると共に再び高まっていた。これが世論の実態であり、東京五輪が選挙の争点になっている以上、菅義偉の自民党が圧勝するということはないのだ。あり得ない。予測屋たちは何かを読み間違えていたか、深読みすれば、予測屋たちの「予想」そのものが、菅義偉のために撒いていた工作情報だった可能性が高い。


都議選分析 - 小池百合子を支持した女性有権者、枝野幸男の失策と自滅_c0315619_15354658.png小池百合子への支持率は高い。朝日の6月27日の世論調査でも、支持率57%を維持している。69.7%というJX通信の世論調査の数字もある。今回の選挙では、特に無党派や自民支持の女性の有権者が都民ファに投票し、事前の予想を覆したと言われている。そして、選挙2週間前の過労入院と、投票直前の退院と会見がアンダードッグの集票に大いに効果があったと評されている。一部には、これを「仮病」の戦略と疑って揶揄する見方もある。私は、仮病の疑惑を否定しないけれど、入院があってもなくても、小池百合子への同情は(特に女性層の中で)強くあり、都民ファ支持の伏流水を作っていただろうと推測する。菅義偉に支配されたマスコミ政治空間(田崎史郎!)で、小池百合子は常に辛辣に叩かれ小突き回されていた。菅義偉と気脈を通じた黒岩祐治に足をすくわれ、コロナ対策で何も動けない状況に押し込まれていた。菅政権になってからのコロナ対策と東京五輪問題の始終は、一貫して、菅義偉の小池百合子への敵視と悪意が噴出する過程であり、陰険ないじめに明け暮れた1年だった。右にも左にも味方のいない小池百合子は、一人で立ち往生を余儀なくされていた。


都議選分析 - 小池百合子を支持した女性有権者、枝野幸男の失策と自滅_c0315619_15355932.png同じような経験をした女性は少なくないだろう。4年前、絶頂だった小池百合子は「排除」の舌禍で転び、枝野幸男に判官贔屓の同情票が集まる政治が演出された。今回、同情票を小池百合子が握る展開が現出した。政治は面白いドラマである。投票所に足を運ぶ有権者は高齢になるほど多く、高齢者ほど政治をよく観察していて投票率が高い。すなわち、経済の消費動向と同じく、この国では、政治の選挙動向の鍵を握っているのは高齢の女性層なのだ。一票の堆積のボリュームは彼女たちが作っている。世間に揉まれる経験を重ねた東京の中高年の女性有権者にとって、入院した病名が何かは問題ではなかっただろう。むしろ、2週間前の過労入院と投票前の退院会見という、小池百合子らしい大胆な行動に内心大いに納得し、応援する気分になっていたのではないか。ジェンダーがどうのという理屈や制度や潮流と関係なく、小池百合子は一人で日本の男社会と戦っている。女らしく女を武器にして、古典的な方法と対処で、無能で愚劣な男の権力者のいじめと嫌がらせに挫けず、我慢しながら対抗している。小池百合子は一か八かの捨て身の賭けに出て、4年前と逆の構図を作り、今回の政治的勝利を手中にした。


東京の人間は、小池百合子や蓮舫のような派手で華麗な絵を好む。テレビ映えするキャラクターのテンポのある活躍を好む。東京らしい歌舞伎的なパフォーマンスを歓迎する。それと対極にあるマイナスシンボルが、根暗で陰険で農村型のワンマンボスの菅義偉のイメージだ。


都議選分析 - 小池百合子を支持した女性有権者、枝野幸男の失策と自滅_c0315619_15400716.png問題は立憲民主である。こちらを論ずる必要がある。今回、大惨敗を喫したのは自民党だが、立憲民主も惨敗だったと言えよう。議席数は2倍に伸ばしたけれど、本来得るべき票数には全く届かない結果に終わった。菅義偉に対する不満と反発の受け皿になることができず、受け皿の役を都民ファに取られてしまった。なぜこんな不本意になったかというと、6月9日の党首討論が大きく影響している。私は5月27日のブログで、「自民惨敗・野党大勝」と期待もこめて予想を書いた。「自民惨敗」は的中させたが、「野党大勝」は大外れとなった。まさか、6月9日の党首討論があのような内容になるとは思ってもみなかったからである。あの党首討論の愚態と挫折の後、五輪中止のモメンタムは一気に衰弱した。宇都宮健児の動きも止まり、海外マスコミが五輪中止の論陣を張る図も途絶えた。都議選で野党が大勝する希望も潰えた。今回、データを確認すると、立憲民主党は57万票を獲得している。2年前の参院選の東京選挙区では118万票を取っていた。投票率が違い、選挙システムが異なるので、二つのデータは単純には比較できないけれど、今回の立憲民主の票がかなり少ない事実が窺える。


都議選分析 - 小池百合子を支持した女性有権者、枝野幸男の失策と自滅_c0315619_15403313.pngちなみに共産党の方はどうかと調べると、今回は63万票、2年前は70万票で、投票率やシステムの異同を考えれば、ほぼ同じ得票を維持していると言える。手堅い選挙をやっている。今回は、無党派層の浮動票を都民ファに回収された。菅義偉の五輪強行開催の暴走に対する反対票が、小池百合子への同情という動機づけを与えられ、立憲民主ではなく都民ファに流れ込む回路となった。もし6月9日の党首討論で、枝野幸男が、「世界は東京五輪の中止を求めている。これは日本政府の責任だ。この場で中止を決断せよ。さもなくば解散して民意を問え。二つに一つを選択せよ」と迫って見せ場を作れば、世論は喝采し、マスコミは沸き立ち、一気に政局が盛り上がり、都議選の決選へと縺れ込んだだろう。菅義偉は押され、解散に踏み切れぬまま狼狽し、天皇の叱責もあって混乱し、都議選の結果が出た7月4日夜に退陣表明となったかもしれない。一体、あの党首討論の枝野幸男の面妖な態度は何だったのか。八百長プロレスを想起させる、敵に塩を送る手加減は何だったのか。未だにあの政治の正体が分からない。真相が掴めない。買収だとしか想像できない。買収であれば高かっただろう。


都議選分析 - 小池百合子を支持した女性有権者、枝野幸男の失策と自滅_c0315619_15485950.pngレンガの1個や2個ではなく、ザブトン1枚だっただろう。安住淳と2人だから2枚か。菅義意からすれば造作もない処理だ。ザブトン2枚で五輪強行と政権延命を買えたのなら安いものだ。その推測を裏づける証拠は何もない。だが、都民有権者は見ないようで見ていて、肌感覚で分かる政治の真実というものがある。あの時点で立憲民主の勝ちはなくなり、野党の勝利はなくなった。数日前、国対委員長の在任日数が歴代最長となった森山裕が、カメラの前で不気味な一言を呟いていた。「コロナ後の世界は大きく変わる」という予言をポーカーフェイスで置いていた。この種のバイプレイヤーの政治家は、こんな具合に、自分の密かな存在感を染み出させようとするものだ。だとすれば、この森山裕の言葉に注意を向け、われわれは意味を探り取る必要がある。森山裕とその権力周辺だけが知っている将来図がある。それは、6日に副総理の麻生太郎が切り出して観測気球を上げた、台湾有事の集団的自衛権発動の件と無関係ではないかもしれない。そして、ひょっとして、もし料亭国対があったとしたら、ザブトン2枚を肴にして、4人でその話がされていたのかもしれない。枝野幸男の討論攻勢が不発だった謎は、その妄想が解かもしれない。


次の衆院選後は大連立があるかもしれないと考えるのは、それが理由である。


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by yoniumuhibi | 2021-07-07 23:30 | Comments(0)


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