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2プラス2共同声明の対中威嚇 – 奉祝するマスコミ、黙認する9条左翼リベラル

2プラス2共同声明の対中威嚇 – 奉祝するマスコミ、黙認する9条左翼リベラル_c0315619_16124859.png16日、日米2プラス2の会合が都内で行われ、日米が中国を名指し批判する共同声明が発表された。共同声明には、米国が「核の傘」を含む中国抑止能力を提供することを表明し、日本が「日米同盟を更に強化するために能力を向上させることを決意した」と明記されている。朝日の記事の中で、外務省幹部が「歴史的な日になった」と言っている。16日夜のテレビ報道、特にNHKのニュースは、この2プラス2の共同声明を前面に出して歓迎し、国民に意義を強調して正当性を刷り込む内容一色だった。朝日の記事も、「同盟国と連携して中国に対抗する米国のアジア外交が動き出した」「米国の積極的な関与を促してきた日本は歓迎する」と書いている。「日本政府は」ではなく「日本は」と書き、歓迎が日本全体の総意であるかのように報じている。昨夜はNHKのニュースを見ながら、真珠湾攻撃を告げる一報をラジオで聞いたときの加藤周一の感想を思い出した。何度もブログで書いてきたことで、新鮮味がなく恐縮だが、否応なしにこの気分に追い立てられる。



2プラス2共同声明の対中威嚇 – 奉祝するマスコミ、黙認する9条左翼リベラル_c0315619_16135787.png日米開戦の報を聞いたとき、医学生だった加藤周一は、即座に、米軍機編隊によって東京が空襲される図を想像し、空爆されて燃える東京で自分も焼け死ぬ最期を覚悟したと語った。共同宣言に書かれている日本の「決意」の中身とは何か。前後の文脈で簡単に理解できるとおり、核武装するという意味である。核保有を決意したという示唆だ。前にブログで小谷哲男の発言(リーク)を取り上げ、米国(ハンドラーズ)が沖縄に中距離□ミサイルを配備することを計画し、日本側に実行を求めていることを紹介した。あれほどあけすけに、包み隠さず直截に、小谷哲男がテレビで米国側の軍事戦略のシナリオを伝えているのに、それに対して左翼リベラルは全く不感症の如き無反応で、脱力させられ唖然とさせられた。日米と中国との戦争は現実性を増している。6年前の安保法制の以前は、どちらかと言うと日本の側が積極的だったが、現在は米国の方が前のめりで主導権を握っていて、戦争プログラムが具体的に立案策定されている。全面戦争辞さずの構えで台湾問題の工作が進んでいる。軍事衝突を半ば前提にしたアジア戦略が布石されている。


2プラス2共同声明の対中威嚇 – 奉祝するマスコミ、黙認する9条左翼リベラル_c0315619_16145020.png全面戦争までは時間があるだろう、そこまではまだ距離があるだろうと、普通は誰もが思うかもしれない。東京に核が投下される悪夢に恐怖している者はいないだろう。だが、戦争は始まれば早いのであり、あっと言う間に核ミサイルを発射する段階に進んでおかしくない。戦争を早く終わらせる戦略的な最終手段として選択されて不思議ではない。日米側が先制攻撃に出れば、必ず中国も報復で反撃することになるだろう。台湾問題では中国は妥協も譲歩もできない。特に習近平の性格や思想を考えれば、戦争も辞さずの強硬な態度で臨むのは確実だ。一方の米国の側も引けない理由と動機があり、このまま中国の強大化を放置すると覇権国の地位から転げ落ちてしまう。世界のルールを決める権限と立場を失い、富の源泉である基軸通貨の発行権を失ってしまう。そこらの主要国の一つとなり、中国の秩序に従う国に成り下がってしまう。GDPで中国が米国を追い抜くのは数年後の先であり、技術開発の速度と能力の彼我を考えると米国に残された時間は少ない。時間が経つほどに米国は戦略有利の条件を失う。一刻も早くPRCを崩壊に追い込む必要がある。


2プラス2共同声明の対中威嚇 – 奉祝するマスコミ、黙認する9条左翼リベラル_c0315619_17141851.pngその二つの事情を考えると、米中の軍事衝突は不可避であると見通さざるを得ず、むしろ回避できれば奇跡だと言える。米国は焦って急いでいる。今、間違いなく破局へ向けて時間が進行している。日本人はそのベルトコンベアに乗って前進している。動く歩道の上で静止して全員が移動している。戦争の地獄に向かっている。まさか、自分が加藤周一と同じ感想や認識を持つ身になるとは思わなかった。中国と日米との戦争が具体的にどのような展開になり、帰結がどうなり、戦後の未来図がどうなるかを、今、理性的客観的に思考し考察することは私にはできない。なぜなら、頭上に核が落ちたらそれで終端だからであり、意識が途切れ絶命して終わりだからである。死刑囚みたいなものだ。第三次世界大戦だから、戦争は決して局地戦で終わらず、日本だけの意志で終戦や停戦を迎えることはできない。革命でも起きない限り、単独で離脱することは不可能だろう。米国からすれば、東京が核戦争の戦場になっても、出先の拠点が吹っ飛んで、賢い忠犬だった黄色人種が大量に死ぬという程度である。日本列島は前線基地であり、防御壁であり、米本土を守る便利で堅固な盾にすぎない。


2プラス2共同声明の対中威嚇 – 奉祝するマスコミ、黙認する9条左翼リベラル_c0315619_16293274.png先の戦争では、昭和天皇と軍部が国体護持にしがみついて、全土が焦土となり国民が大量に犠牲になる消耗戦が行われたが、今回の国体は米国である。日米同盟が神聖な国体である。米国護持(日米同盟堅持)を目的に、日本人は最後まで総力戦を戦い抜き、大君(米国)の御楯となりて死にゆかばの運命となるだろう。だが、マスコミが2プラス2とクアッドの奉祝報道で画面と紙面を埋め、まるで日独伊三国同盟が締結されたときのように歓迎し宣伝しているのに、それに対して9条を奉じているはずの左翼リベラルから批判や反発がない。不思議なことだ。官邸に支配されたテレビにそれを求めるのは無理だが、せめて左翼リベラル側のツイッターは、2プラス2の共同声明に対して、戦争を危惧したり懸念するぐらいの最低限の良識的反応を示してもいいだろう。例えば、望月衣塑子、前川喜平、山崎雅弘、室井佑月、清水潔、但馬問屋、異邦人など、左翼リベラルがフォローしているスタンダードな面々が、対中国戦争準備宣言とも言うべき2プラス2の共同声明に何も反応していない。無視している。彼らが話題にしているのは、国会の総務省接待問題とコロナ対策であり、あとはミャンマー問題だ。


2プラス2共同声明の対中威嚇 – 奉祝するマスコミ、黙認する9条左翼リベラル_c0315619_16370085.png志位和夫や小池晃も同じである。政党も知らんぷりしている。というより、日本共産党は少し前に志位和夫が週刊誌のインタビューに登場し、尖閣問題やウィグル問題で習近平と中国共産党を厳しく批判しているから、この2プラス2共同声明に対しても、基本的には静観し翼賛する姿勢なのだろう。反中国が綱領改定で決めた新路線だ。だから、黙っているのである。嘗ての革新護憲勢力の時代なら考えられないことだ。というより、ほんの数年前、オスプレイ配備や秘密保護法であれほど激しく反対運動をした共産党をはじめとする左翼勢力が、核武装して対抗するぞと中国を威嚇している日米共同声明に対して、黙って見ないフリに徹するとはどういうことだろう。政府と米国に忖度して、対中政策で足並みを揃えるとはどういうことか。本当に9条を信奉する政治勢力が日本にいるのだろうか。信じられない。左翼リベラルの論者たちが、この共同声明を受容しているのは、基本的に、日本共産党がその方針だからである。日本共産党の幹部が何らか批判コメントを発していれば、彼らも声明を牽制する発言を右倣えで出しただろう。立憲民主党については、対中国政策は政府自民党と同じで、フルコンパチブルな強硬論である。


2プラス2共同声明の対中威嚇 – 奉祝するマスコミ、黙認する9条左翼リベラル_c0315619_16435694.png立憲民主党は9条護憲ではなく改憲政党であり、日米同盟神聖護持の立場で一貫している。旧民主党結党の時点から変わってない。「野党共闘」ブロックの世界に定住する左翼リベラル論者が、2プラス2共同声明を批判しないのは当然の行動だろう。最近、少しずつ理解できてきたのは、日本共産党はもともと9条平和主義の信念を持った党ではなかったという歴史的事実だ。戦争に唯一反対した政党だというのが日本共産党の金看板で、党の正義を証明する根本的支柱のはずだ。が、9条的な非戦主義・平和主義の思想からあの戦争に反対したのではなく、日本軍国主義による大陸への侵略戦争が、共産党掃討を目的としたものだったから、だから敵味方論の政治的動機で反対したというのが真相なのではないか。この見方は、いわゆる右翼の「コミンテルン史観」と繋がる視角で、したがって反ファシズムの歴史を相対化する、胡乱な印象が漂う歴史認識だけれど、何やら当たらずとも遠からずの感を否めない。日本共産党は、嘗て、戦後、ソ連・中国の核は正しい核だと言って正当化していた経緯があった。今回、どうやらその同じ論理で中国を悪魔視し、日米の対中国戦争準備を許容しているように見える。


20年近く前、志位和夫らが新潟港の埠頭岸壁に並び立ち、拳を突き上げて北朝鮮への敵意を露わにする場面があった。圧力策である経済制裁に同調した。9条を純粋に奉じる政党であれば、どれほど国民多数から憎まれても、石を投げられても、選挙で議席減のリスクがあっても、北朝鮮への経済制裁には反対を貫徹しなければならなかったはずだ。9条は、隣国との紛争案件は話し合いで解決せよと言っている。「武力による威嚇、又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と原則を立てている。それが日本国の鉄の掟だ。なぜ、その原則から議論が起こらず、何やら政治の業界でメシを食っている者たちのルーティンワークのような、総務省問題やコロナ問題が優先されるのだろう。ただの一人からも、加藤周一と同じ危機感と想像力が発生することがないのだろう。
 


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by yoniumuhibi | 2021-03-17 23:30 | Comments(7)
Commented by 成田 at 2021-03-18 08:36 x
まさに!と膝を叩きました。
戦争法案を整備して、次のステップがこれだったんでしょう。
何故我々が中国のような社会主義平和勢力と戦わなければならないのでしょうか。尖閣諸島なんて中国にあげれば宜しい。たかが無人島と戦争になって核を落とされて何千万人が死ぬのとどちらが大事なのかと言いたいです。
中国の狙いは海洋進出ですが、日本列島、沖縄、台湾と続く第一列島線が邪魔で大洋に出られないのです。
とりあえず台湾を統一できれば中国の夢は成就します。世界中が一つの中国を認めているので、台湾の政権を武力統一したとしても、それは合法です。
アメリカが統一を妨害するために暗躍してます。
次はクアッドに台湾を入れると言い出すと思います。何故台湾や尖閣諸島のために中国と戦争するのかわかりません。我々にできる事は中国との話し合いだと思います。
Commented by 長坂 at 2021-03-18 18:04 x
日本のリベラル左翼は「CNN左翼」「BBC左翼」なので反トランプ、反習近平、反プーチン。なのでブリンケンの「重大な人権侵害」を理由(口実) に中国との戦争も辞さない姿勢に無批判どころか賛成なんじゃないかと思う。偽情報でイラクで約50万人を殺したアメリカ様の人権意識を素直に信用してしまう。「人権を守るため」に最大の人権破壊である戦争という手段を割とあっさり容認してしまう。
アメリカでアジア人に対するヘイトクライムが問題になっているが、責任はトランプだけではない。日本同様、中国人スパイだのウイグル収容所だのを連日のように放送するリベラルメディアにも一因があると思う。
バイデン支持のプログレッシブの人達が、アメリカと別に何の関係もないインド洋くんだりまで出かけ、軍事展開したい米軍に税金を使う事や、戦争利権代表の国務大臣を強く批判するのかどうかもよく見ておきたい。

Commented by マンマ at 2021-03-21 10:49 x
脱炭素に安易に乗るべきではないというのは賛成ですが、そのためには菅とか安部じゃなくて、きちんとしたリーダーの下できちんとした政治をやらないと、欧州に対抗できません。菅なんて論外ですよ。
2050年のGDPで、日本は韓国に追い抜かれていても不思議ではないというのが、素人の感想です。
Commented by サン at 2021-03-21 11:46 x
バッハは日本に金を出させ犠牲を強いて、自分の体面を守ることしか考えていない。自分は本当に頭にきている。
欧州はいうほど豊かではありませんよ。食生活もトルコ、ロシア、旧ソ連、中東のほうが、多種多様な食材を工夫し、多彩な料理を作っている。
Commented by 小林哲夫 at 2021-03-22 11:13 x
>対中国戦争準備宣言とも言うべき2プラス2の共同声明に何も反応しない左翼リベラル<

私はこの表現に全面的に同感していますが、日本の中でこういう観点を提示しているブログは、ここだけだと思い、敬意を表します。

しかしここまで戦争に反対する人が少なくなってしまうと、運動としては成り立たない、と思います。

後は不戦思想を作る作業を頑張るしかない、という気がしています。
私はそういう気持ちで「日中不戦」というブログを書いていますので、読んでいただきたいとお願いします。

Commented by 在中中国人妻 at 2021-03-29 10:43 x
コバテツさん、お久しぶりです。
在中中国人妻です。

中国からコバテツさんのブログが拝見できない為、尊敬する世に倦む日日さんのブログをお借りして御挨拶させて頂きます。

"日中不戦"と名付けられたコバテツさんのブログの意義が、どれほど深いかを考えさせられます。
Commented by みきまりや at 2021-04-02 14:57 x
 戦争は、始まるととことん破壊しつくさないと終わらないように想像されます。そして今は核兵器がありますね。
 日本が中国と戦をしたら、核爆弾が原発に落ちることが予想されます。そして、日本が中国に宣戦布告をしなかったらその惨事は避けられる。中国と戦をしない日本、アメリカは怒るかもしれないけど、核爆弾までは落とせないでしょう、ヒロシマ、ナガサキのように。なら、そんなアメリカの不機嫌に付き合い、うまくかわす方が3個めの原爆よりはるかにしのぎ易いと私は思います。「9条」もあります。
 世界中の庶民はほとんど全て、核兵器など使用されない地球であってほしいと願っていると思います。


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