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米国と日本の政治から社会主義を考える - 永久革命としての社会民主主義

米国と日本の政治から社会主義を考える - 永久革命としての社会民主主義_c0315619_15040923.png会田弘継の13日の記事(現代ビジネス)の中で、オカシオコルテスら左派の「スクワッド」が下院で仲間の議員を8人に倍増させた点に触れ、次のように書いている。 

バイデンのしみったれた『勝利』に怒っているのは、サンダース支持者を中心とした民主党左派だ。彼らにしてみれば、やむを得ず腐敗した党エリートたちに大統領候補を譲った結果が、この綱渡りの勝利だ。民主党中道派というのがいかに米国民の信頼を失っているかの証左だ。『大勝利になると言っていたのに、開けてみればこれだ』。SNS上には左派の怒りの声が溢れた。

他方、民主党エリートたちは左派のせいで、トランプに攻め込まれたと怒っている。バイデンに対し『社会主義者』のレッテル貼りを許し、過激派イメージをつくらせたことが『敗北』の原因だと言うのだ。(略)ここにはすでに民主党中道派の左派はずしの姿が見える。DSA(アメリカ民主社会主義者)支援の『スクワッド』の躍進やAOCの支援を受けた議員らの当選をみると、左派全体の好調がうかがえる。




米国と日本の政治から社会主義を考える - 永久革命としての社会民主主義_c0315619_15102115.png現在のアメリカの政治を前に進め、人々に希望を与えて支持を集めているのは、サンダースを中心とする、民主社会主義と称する左派勢力だ。この傾向は4年前の大統領選(民主党予備選)のときから顕著だったが、ますます確固たる動きになっている。と同時に、そうした社会主義の潮流に対するアレルギーやヘイトも急激に高まっていて、「社会主義」の語がネガティブなレッテルとして言論空間で飛び交い、聞く者の気分を濁したり、神経質にさせつつ、毒気に満ちたイデオロギーの攻防が続いている現状にある。現在のアメリカで「民主社会主義」をイデーとして担ぎ推す側は、社会主義をポジティブな価値あるいは思想として判断する立場に立つわけだから、反共・反社会主義の誹謗悪罵とプロパガンダに対抗し、社会主義の理念を擁護する態度にならざるを得ない。社会主義をめぐる論争に関わり、理論的に意義を肯定し、正当性を確信する主体にならざるを得ない。アメリカの政治世界で「社会主義」が主役になりつつある。今、アメリカは社会主義が最もホットなスポットであり、いわば社会主義大国だ。


米国と日本の政治から社会主義を考える - 永久革命としての社会民主主義_c0315619_15174588.png先週末、日本では社民党が分裂する事件があり、社民党として残る者と立憲民主党に吸収合併される者の二つに分かれ、臨時党大会で醜く争う場面があった。後者が前者を口をきわめて罵倒する絵が流れ、醜悪で無恥としか言いようのない下品な修羅場を人前で見せていた。アメリカの状況を見れば、本来、今は社会民主主義の政治思想が絢爛に開花してよい季節である。出番であり、時代の期待に応えて自己主張するときである。若年層の支持を受け、新しい政治を作り出す主導的役割を果たすべき勢力であるに違いない。サンダースの唱える「民主社会主義」とは、政治思想の一般的カテゴリーから類推すれば、それに最も近いのは社会民主主義だろう。アメリカの社会主義は健闘している。成果を上げ殊勲を立てている。だが、社会民主主義を党名に冠する日本の政党は醜く萎れて朽ち果てようとしていて、間もなく鬼籍に入る者が積年の怨恨の個人攻撃をぶちまけ、泥々の汚物塗れにして党を処分しようとしているようだ。この彼我の差は何なのか。社会民主主義の語義についてネットの資料サイトはこう記述している。


資本主義経済のもたらす格差や貧困などを解消するために唱えられた社会主義思想で、暴力革命とプロレタリア独裁を否定し、議会制民主主義の方法に依って議会を通して平和的・漸進的に社会主義を実現することで社会変革や労働者の利益を図る改良主義的な立場・思想・運動である。革命・階級闘争を志向する共産主義と区別され、政策としては議会制度の枠組みに基づき富の再分配による平等を目指す社会主義である。欧州の穏健な社会民主主義政党は「中道左派」と呼ばれる。



米国と日本の政治から社会主義を考える - 永久革命としての社会民主主義_c0315619_15200798.pngこの説明を見ながら、社会主義インターについて想念が生じ、社会主義インターの活動を根本から再考する必要を感じる次第となった。社会主義の概念を再検証、再設計、再定義する必要があるのではないかという問題意識である。現在の政治の論壇では、最早、社会主義をキーワードとして用いた議論でないと説明にならない。が、社会主義にはネガティブな意味とポジティブな意味がある。一般的な表象は前者だが、理念としての社会主義の契機が入る場合は、積極的な意味も微かに帯びる例外となり、特に、サンダースやオカシオコルテスの解説に社会主義の語が付随する際は、いわば渋々と社会主義の肯定的ニュアンスを受け入れるという態度になる。だが、理念としての社会主義のイメージやディスクールが曖昧で、マスコミ報道でも定義や概念が不明なため、渋々と一時的に受け入れた後はすぐに忘れ、脳のメモリーに入ったイレギュラーな情報をフレッシュし、元どおり、社会主義=悪という固定観念(常識)に戻すのである。否定語として拒絶する態勢に戻す。現代人は、社会主義についてそういう情報処理の操作をやっている。しかしそのことは、言論として面倒で混乱した状態にあるということだ。


米国と日本の政治から社会主義を考える - 永久革命としての社会民主主義_c0315619_15010566.png情報では、社会主義インターは2013年に分裂し、新しい団体である「進歩同盟」の方にドイツ社会民主党、英国労働党が移り、さらに米国民主党も新たに参加していて、どうやら団体としてはこちらの方が大きく主流になっている。サンダースら米国の左派勢力を、マスコミが「進歩派」と呼称していたのも、この「進歩同盟」の存在の影響かもしれない。いずれにせよ、一瞥したかぎり、「進歩同盟」はより資本主義・自由主義の方向に寄っており、社会主義から離れる動きである点は明白だ。社会主義インターも先細りの様相で、伝統的な組織や団体のレベルで見ると、社会主義的なものはどんどん衰退して死滅して行っている。その一方で、アメリカの若い世代は意識的に社会主義を掴み取り、新自由主義の厄災を解消する方向性として受容を深めている。自らの立場を表すシンボルとして了解し、社会主義に内在的にアプローチしている。また、その行動がアメリカ政治を動かしている。この二つの矛盾・乖離した政治の絵は、われわれに(理念としての生命力を復活させて日常会話の普通語になるべき)社会主義の語の混乱とイメージの錯綜を導いていると言っていい。そのために、社会主義の語は右翼のプロパガンダに支配・制御されている。


米国と日本の政治から社会主義を考える - 永久革命としての社会民主主義_c0315619_14515835.png社会主義インターは、社会民主主義を奉じる世界諸国の政党の団体で、彼らは共産主義を放棄し、社会主義を社会民主主義で定義し、社会主義と共産主義を峻別するという概念整理をして綱領を設定した。マルクス・レーニン主義とプロレタリア独裁を放棄し、ソ連・中国の社会主義と決別し、革命と階級闘争ではなく、民主主義政治の上で資本主義経済を改良して理想をめざすという路線である。それを選択した。この方向性と政治思想は、一見して普遍的で確かなものであるように見える。特に、いわゆる先進主要国に住む者には当然の考え方に映る。しかし、現実を見ると、日本の社民党だけでなく、英国労働党もドイツ社会民主党もフランス社会党もジリ貧で、欧州の社民勢力は全く活力と展望がなく、有力な指導者が出ず、大衆の支持を極右政党に奪われるという事態に陥って久しい(どこかの国と同じでルーティンの上に胡座をかいていたのか)。そうした現実の中で、社会民主主義のイデーもいわば市場価値を落としている。胸を張って揚言できる政治環境にない。うらぶれたくすんだ感を覚えて躊躇する。それではどうすればよいのか。私の着想と提案は、社会主義に対する従来の既成概念を変えることである。歴史上の社会主義者の挑戦と達成を正しく認めることだ。


米国と日本の政治から社会主義を考える - 永久革命としての社会民主主義_c0315619_14473531.png特に、西欧諸国以外の地域の社会主義の意義を認めることだ。中国の社会主義市場経済を評価し、チリのアジェンデ政権やゲバラのキューバ革命や
ホーチミンのベトナム独立の現代史の経験を積極的に認めることである。ゲバラを社会主義者にしたレーニンの帝国主義論を評価することだ。要点を結論するなら、(1)資本主義の矛盾を克服しようとする思想と運動が社会主義であり、(2)マルクスの理想と理論の生命力から続く挑戦の営みが社会主義である。これを新定義の基本前提とする。後者の契機は外せない。夢を持たないと社会主義は生きない。理想主義者だからサンダースには迫力があり、カリスマ的な説得力と発信力があるのだ。(1)が社会主義の本質である。資本主義が生き続けるかぎり社会主義は死なない。人が挑戦し格闘しないかぎり、資本主義は収奪と支配の力を強め続け、人間と自然を際限なく傷め犯し蝕み続ける。丸山真男は「永久革命としての民主主義」の所論を残した。その学説に従って、その方法を真似して、社会主義についても永久革命を唱えるのは妥当だろう。民主主義について、人は絶えずその基礎づけを議論し、歴史を探って検証し、デモクラシー論について百家争鳴し、あるべき民主主義の追求と模索を続けている。現代人はみな民主主義者である。


米国と日本の政治から社会主義を考える - 永久革命としての社会民主主義_c0315619_16271773.pngしからば、資本主義の矛盾を克服する理念や政策や制度についても、その過去の経験の積み重ねについても、同じように情熱的に研究し、失敗の反省を試みて、理性と良識と科学の姿勢で新たな実践に取り組めばよいではないか。丸山真男は、民主主義には制度の側面と運動の側面の二つがあると言った。同じ言葉が、ハリスの勝利演説の中でジョン・ルイスの言葉として紹介された。もし、丸山真男に倣って社会主義の概念を新たに組み立てるなら、社会主義にも制度と運動の両面があると考えてよいはずである。丸山真男は、運動としての民主主義こそ重要だと何度も強調した。社会主義も同じだろう。さらに、民衆が要求を掲げて示威し決起する革命のエネルギーとダイナミズムなしに、果たして社会主義の運動なるものが成立するだろうか。マルクスの理論は理論であると同時に扇動である。持たざる民衆に革命の蜂起を呼びかける情熱的なアジテーションである。マルクスのラディカルでデモーニッシュな資本主義批判の言語に触れて覚醒することなしに、社会主義運動の主体が形成されるということがあるだろうか。マルクスを放棄しパリ・コミューンを否定した時点で、社会主義インターによる社会民主主義の企図と構想は失敗したと、私にはそう思われてならない。


民主主義も社会主義も理想をめざして人がやることだ。不完全な、間違いの多い人間が、理想をめざして取り組むことだ。



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by yoniumuhibi | 2020-11-18 23:30 | Comments(0)


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