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バイデン勝利に歓喜するアメリカ - 永遠のオーウェル的世界を続ける日本

バイデン勝利に歓喜するアメリカ - 永遠のオーウェル的世界を続ける日本_c0315619_15360034.pngバイデン当選確実の報道が出た直後から、全米でバイデン支持派による歓喜のお祭り騒ぎが繰り広げられた。NYのタイムズスクエア、ユニオンスクエア、ワシントン広場、DCのホワイトハウス前広場、フィラデルフィアの開票所前など、多くの市民が集まって楽しそうに祝賀のダンスに興じ、喜びをいっぱいにあらわしている。安堵と解放の気分に溢れ、希望の日の到来を確かめ合っている。アメリカらしい、いい感じの楽しい映像だ。見ながら、こうした絵を実現できない日本と自分の惨めさに思いが沈んだ。4年前、トランプが当選したとき、アメリカでも『1984年』が売れて暗鬱な空気に覆われていた。独裁の帝国と化す不安と恐怖に塞ぎ込んでいた。4年後、コロナ禍の力を借りたとはいえ、市民たちは鉄の桎梏を見事に取り払い、本来のアメリカを取り戻して民主主義を謳歌している。われわれ日本人も、8年前に安倍晋三が首相に就いたとき、『1984年』を持ち出して比喩を言い、ファッショ独裁の暗黒の危機に警戒の声を発したものだ。書店でオーウェルが売れた現象は同じで(米国より4年早く)、その後の政治も類似だった。



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バイデン勝利に歓喜するアメリカ - 永遠のオーウェル的世界を続ける日本_c0315619_15362865.pngだが、眼前の現実を見よ。マスコミ世論調査での野党と自民党との支持率の差はどんどん開き、直近のNHKの数字では、自民党が36.8%で立憲民主党が4.9%、自民党と野党との支持率勢力差は5対1の構図となっている。この政治構造がずっと続き、固定化していて、勢力が将来に均衡すると予想する者は誰もいない。この世論構図に従ってマスコミでは政策が報道・論評され、自民党の政策が正しい基本線として位置づけられ、常識化され、特に若年層ではその「常識」を疑う者はきわめて少ない。ネット論議も同様であり、マスコミよりも極端に右寄りの主張と議論が幅を利かしている。ツイッターも、ヤフコメも、右翼が数を支配して論壇を制圧しており、それが当然の景色として固まっている。とても動かせない。日に日に右傾化は濃度を増し、反中反共の言説が間断なくテレビとネットで刷り込まれ、日本人に中国共産党政権を打倒する意志を固めさせ、中国と戦争する戦士に変えている。戦争反対の声はない。左翼からも上がらない。

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バイデン勝利に歓喜するアメリカ - 永遠のオーウェル的世界を続ける日本_c0315619_15361796.pngなぜ、米日でかくも彼我が異なるのか、それを説明しなければならないが、日本の政治学からは分析の言葉がない。8年前のわれわれは4年前の米国人と同じ位置にいた。8年前、NHKの2012年の世論調査を見てみよう。1月の時点で、自民党の支持率は18.3%、民主党の支持率は18.5%で並んでいる。12月に選挙があり、政権交代が行われて第二次安倍政権が成立したが、そこから二党の支持率差が開き始め、2013年には現在と似たような状況になった。以後、その政党支持構造がずっと継続している。米国は4年後の選挙でトランプ政権を倒した。日本では、8年間に5度(衆2参3)の選挙があったが、どれも野党が惨敗し、安倍政権が圧勝する結果を出している。次に選挙をやっても、自民党が圧勝すると予想されており、選挙そのものに意味が感じられない現実となっている。日本の政治は、形式的には民意を問う選挙が行われる民主主義体制だが、選挙の結果はいつも同じで、与党を牽制する野党の存在がなく、庶民の目線からは、実質、共産党が一党支配する中国と変わらない。

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バイデン勝利に歓喜するアメリカ - 永遠のオーウェル的世界を続ける日本_c0315619_15364437.png日本も一度だけチャンスがあり、第二次安倍政権4年目の2015年の安保法制のときが転換のチャンスだった。だが、そこで失敗して、現在のような極右永久政権の体制になっている。2015年の後、選挙は3戦3敗であり、安倍・菅政権を倒そうという運動も起きていない。「野党共闘」という形態での民主党(立憲)と共産党が組む野党体制の固定化は、むしろ負け犬のブロックが常態化したようであり、噛ませ犬の政治的役割を演じている様相さえ漂わせている。昔の日本プロレスのメイン・イベントに出て来て、馬場・猪木組に必ず負ける外人レスラーのタッグの如きだ。2015年の安保法制で左翼リベラルが仕掛けた政治は、共産党による「野党共闘」の構築を目的とした動きであり、SEALDsはそのシンボルキャラクターだった。党利党略が基底にあり、そこに乗じて立ち回ったのが反原発運動から成り上がったしばき隊で、愚劣で薄汚い私利私欲が動機の政治運動だった。売名とヘゲモニーが狙いだった。運動はすぐに萎れて頓挫した。私の観察では8年間はそう総括され、失敗の原因は左翼の腐食と劣化に見出される。

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バイデン勝利に歓喜するアメリカ - 永遠のオーウェル的世界を続ける日本_c0315619_15365862.png日本の政治は絶望的で、日本の政治だけ見るとどこにも希望はないが、米国がバイデン政権に変わることで、その影響を受けて、少しは変動していく契機が生まれるかもしれない。そう感じている者は少なくないだろう。囁かれている閣僚人事を見ると、ウォーレンを財務長官・司法長官に、サンダースを労働長官にという情報もある。右派と共和党の反発は必至で、宥和を第一に説くバイデンが本当に指名するかは不明だが、可能性が皆無とも思われない。実際のところ、現在の米民主党を引っ張っているのは左派であり、左派を押し上げているのは若い世代の世論だ。左派の中に将来有望な個性的な政治家がいる。トランプを倒す原動力となったのも、今年のBLM運動であり、オバマが政権に就いた12年前とは見違えるほど米国の政治は左派の力が強くなっている。政界全体が日本よりも韓国に近い色合いになっている。正確には、右と左への分裂が激しくなり、真ん中が薄く弱くなり、両極の勢力が政治を動かす主力になっていると言えるだろう。ミレニアル世代と呼ばれる若い世代に左派的傾向が顕著で、さらに人口増の都市ほどリベラルが色濃い。

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中山俊宏の説明では、保守共和党の牙城だったテキサス州も、ダラスやヒューストンなどの大都市の住民の政治意識はどんどんリベラル化し、NYやDCと大差ない環境になっていると言う。あと何年かしたら、テキサス州で共和党は民主党に勝てなくなり、選挙人を出せなくなって大統領選で勝つ前提を失うだろうと予測していた。そのため、共和党も有色人種と多様性イシューに配慮した政策設計に変容せざるを得ないのだと言う。ということは、よりリベラル寄り、左派寄り、弱者寄りの新しい政策群とシンボルを共和党が掲げるということで、米国政治全体が左に動くという意味になる。トランプという巨大な反動政治を媒介して、反動に対する反発のエネルギーを作り出し、否定の否定の運動と推進力で本来の進歩の方向に大きく前進するということだ。共和党は、現在リベラルの語で表象される方向へ中心軸を移動させ、民主党は、現在リベラルとして総括される部分と社会主義と呼ばれるラディカルな部分と、二つの地平を持つ大きな集合になるだろう。


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by yoniumuhibi | 2020-11-11 23:30 | Comments(1)
Commented by 宇津木洋 at 2020-11-12 14:01 x
いつもブログやツイターを拝読しております。
先の米国大統領選挙を興味を持って見ておりましたが、民主党バイデン候補が勝利し安堵しております。
なんだかんだ言っても米国は民主主義が機能していて羨ましく思います。

日本はと言うと当記事にありますように絶望的状況です。正に一党独裁の国です。右翼の嫌いな中国や北朝鮮並みです。現状では政権が変わるイメージが浮かびません。

政権交代を阻む原因の一つは皮肉にも小選挙区制度だと思います。政権交代可能な二大政党政治を作るということで導入されましたが、死票は多く与党有利に働いている様を見るに付け、かつての中選挙区制に戻したらと思う今日この頃です。


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