アーレントの革命論の誤謬と破綻 - OWSとBLMが導くアーレントの学説崩壊

アーレントの黒人差別問題として最も有名なのは「リトルロック事件の考察」であるが、本書ではそれ以外にも『全体主義の起源』『人間の条件』『革命について』『過去と未来の間』『暴力について』などの著作を横断的に扱いながら、アーレントが一貫して黒人差別主義的な考えを持っていたことが強調される。そのいずれもが堅実な読解に基づいており、説得的な議論が展開されるため、アーレントに好意的な読者にとっては、啓発的であるとともに少々ショッキングな内容でもある。(略)リトルロック事件から10 年以上経ってなお、アーレントが黒人に対する差別的な偏見を持ち続けていたことは明らかである、とガインズは主張する。








アーレントが社会科学の主神の地位から没落し、アカデミーの神殿に鎮座していた偶像が撤去される日も近い。アーレントは、結局、冷戦期アメリカを正当化する反共保守主義のイデオローグでしかなかったのではないか。OWSとBLMの二つの出来事はそのことを示唆している。








by yoniumuhibi
| 2020-10-26 23:30
|
Comments(5)

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アーレントってイスラエルそのもの。イスラエルがバレスチナに対してあそこまで過酷・冷酷・残酷になれるのも、決して自分達の問題、自分達が問題としては捉えず、パレスチナ人の問題にすり替えているから。BLMなんてどこ吹く風、コロナを理由に更にアパルトヘイトを強化、もっと壁をもっと弾圧をになってしまっている。アーレント論法だとイスラエルの占領を許すパレスチナ人が悪いって事ですよね。
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韓国ハンギョレ新聞の論説記事の水準が高いのは、10月28日付けの次の記事でもよくわかります。
”中国左派学生の問い「中国は果たして社会主義なのか」”は、中国の農民工、労働者の中にまじって働く女性を取材しています。広州中山大学で数学・コンピューター修士号を取得し最先端の情報通信(IT)企業に就職した女性が、広州の自動車部品会社の工場労働者となり(まるでシモーヌ・ヴェイユ)、深センの機械メーカー「佳士科技(Jasic)」で独立労組の設立を助け、それを支援した北京大学の学生たちと共に当局の弾圧を受けて獄中にいると見られる。彼らは「マルクス主義」を掲げて「現代中国のマルクス主義」習近平思想と対峙しているという内容でした。
彼らの理論根拠になっているという香港理工大学教授潘毅の「わたしはなぜマルクスを読むのか」(2017)を概略紹介します。
なぜ中国の労働者階級について考察する必要があるのか。自分の20代を思い返すと、当時香港中文大学で勉強していたとき、キャンパスでよく言われていたことがある。「20歳でマルクスを語るのは良い、30歳では過激、そして40歳では馬鹿」。私はほぼ40歳、すでに馬鹿の仲間というわけだ。それでもマルクスについて話すのはなぜか。なぜ40歳になって階級とマルクスに関心を向けたのか。20歳のときは何も見ていなかった。30歳のときはニーチェとフーコーを見ていた。実際、私は無駄に歩き、今2つの主要な歴史的問題にぶつかった。一つは、社会主義革命とは何かということ。私たちの社会主義革命によって確立しようとしているシステムに多くの問題があるということ。二つ目に、私たちが直面する歴史的発展の段階はどのようなものかということ。この発展の段階はマルクスが説明した資本主義よりも粗雑に見える。この二つの大きな問題に基づいて移住労働者(農民工)の問題、あるいは新しい労働者階級形成について考えたい。それは調和のとれた社会を構築する、言い換えれば階級を廃絶することに不可欠だ。
”中国左派学生の問い「中国は果たして社会主義なのか」”は、中国の農民工、労働者の中にまじって働く女性を取材しています。広州中山大学で数学・コンピューター修士号を取得し最先端の情報通信(IT)企業に就職した女性が、広州の自動車部品会社の工場労働者となり(まるでシモーヌ・ヴェイユ)、深センの機械メーカー「佳士科技(Jasic)」で独立労組の設立を助け、それを支援した北京大学の学生たちと共に当局の弾圧を受けて獄中にいると見られる。彼らは「マルクス主義」を掲げて「現代中国のマルクス主義」習近平思想と対峙しているという内容でした。
彼らの理論根拠になっているという香港理工大学教授潘毅の「わたしはなぜマルクスを読むのか」(2017)を概略紹介します。
なぜ中国の労働者階級について考察する必要があるのか。自分の20代を思い返すと、当時香港中文大学で勉強していたとき、キャンパスでよく言われていたことがある。「20歳でマルクスを語るのは良い、30歳では過激、そして40歳では馬鹿」。私はほぼ40歳、すでに馬鹿の仲間というわけだ。それでもマルクスについて話すのはなぜか。なぜ40歳になって階級とマルクスに関心を向けたのか。20歳のときは何も見ていなかった。30歳のときはニーチェとフーコーを見ていた。実際、私は無駄に歩き、今2つの主要な歴史的問題にぶつかった。一つは、社会主義革命とは何かということ。私たちの社会主義革命によって確立しようとしているシステムに多くの問題があるということ。二つ目に、私たちが直面する歴史的発展の段階はどのようなものかということ。この発展の段階はマルクスが説明した資本主義よりも粗雑に見える。この二つの大きな問題に基づいて移住労働者(農民工)の問題、あるいは新しい労働者階級形成について考えたい。それは調和のとれた社会を構築する、言い換えれば階級を廃絶することに不可欠だ。

潘毅の「わたしはなぜマルクスを読むのか」つづきです。
私たちの世代が勉強のために西洋に行った時期(私は1990年代半ばだった)、中国ではマルクスへの関心が薄れた。西洋では労働者がいない、消費者が労働者に取って代わったと信じられ、社会の内部問題に対処するのにマルクスの理論ではますます不十分だと感じた。したがって、人々はポストモダンおよびポスト構造理論を取り入れた。私の「Chinese Women Workers」はこの文脈で書かれており、Foucaultのような非常にファッショナブルな理論がそこにある。しかし、この本はいくつかの非常に重要な問題をうまく扱うことができていなかった。中国の社会構造や社会関係の問題を適切に処理できなかった。中国の巨視的な構造問題に対処できなかったため、非常にミクロなレベルに迷い込むことになった。この当初のアプローチがすべて間違っていたわけではないが、これでは非常に不十分であり、中国のマクロレベルが世界の工場になることからくる中国の根本的な問題を見過ごした
。階級の問題を軽視すること、これが私の本の最も深刻な欠点だった。
中国に帰国後、権力と資本に意識的に対抗できる「女性労働者を支援する」NGOに足を踏み入れ、マルクスに戻り始めた。この時、個人やその身体のミクロレベルの問題に力を入れると、広い環境や空間を無視することにつながって、そうした行動が力を持ちえないことに気づき、工業地帯に足を踏み入れて、マルクスの理論に真剣に戻り始め、『資本論』の内容の多くに改めて気づくことになった。今日の私たちの問題に対応する可能性はまだまだ未知数なのだが。
私たちの世代が勉強のために西洋に行った時期(私は1990年代半ばだった)、中国ではマルクスへの関心が薄れた。西洋では労働者がいない、消費者が労働者に取って代わったと信じられ、社会の内部問題に対処するのにマルクスの理論ではますます不十分だと感じた。したがって、人々はポストモダンおよびポスト構造理論を取り入れた。私の「Chinese Women Workers」はこの文脈で書かれており、Foucaultのような非常にファッショナブルな理論がそこにある。しかし、この本はいくつかの非常に重要な問題をうまく扱うことができていなかった。中国の社会構造や社会関係の問題を適切に処理できなかった。中国の巨視的な構造問題に対処できなかったため、非常にミクロなレベルに迷い込むことになった。この当初のアプローチがすべて間違っていたわけではないが、これでは非常に不十分であり、中国のマクロレベルが世界の工場になることからくる中国の根本的な問題を見過ごした
。階級の問題を軽視すること、これが私の本の最も深刻な欠点だった。
中国に帰国後、権力と資本に意識的に対抗できる「女性労働者を支援する」NGOに足を踏み入れ、マルクスに戻り始めた。この時、個人やその身体のミクロレベルの問題に力を入れると、広い環境や空間を無視することにつながって、そうした行動が力を持ちえないことに気づき、工業地帯に足を踏み入れて、マルクスの理論に真剣に戻り始め、『資本論』の内容の多くに改めて気づくことになった。今日の私たちの問題に対応する可能性はまだまだ未知数なのだが。

中国左派学生の問い「中国は果たして社会主義なのか」2020-10-28
http://japan.hani.co.kr/arti/international/38140.html
潘毅:我为什么要读马克思? 2017-02-27
http://www.wyzxwk.com/Article/sichao/2017/02/376987.html
参照アドレス忘れてました。見ると、yoniumuhibi さんとの米国だけではない世界的な問題意識の共通性が感じられます。
http://japan.hani.co.kr/arti/international/38140.html
潘毅:我为什么要读马克思? 2017-02-27
http://www.wyzxwk.com/Article/sichao/2017/02/376987.html
参照アドレス忘れてました。見ると、yoniumuhibi さんとの米国だけではない世界的な問題意識の共通性が感じられます。
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