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合流新党の代表選 - 分裂と接着の永久革命、コロナ問題に無関心だった枝野幸男

合流新党の代表選 - 分裂と接着の永久革命、コロナ問題に無関心だった枝野幸男_c0315619_15505339.png3年前に国民民主党が立ち上がった頃、立憲と国民の二つの党はいずれ一つの党に再合併し、名前を民主党に戻すだろうと「予言」したことを覚えている。なぜそう直感したかというと、国民民主の議員の中に徳永エリがいて、立憲民主に所属するのが自然と思われる顔が何人も残っていたからだ。逆に、立憲民主の方にも不自然な右寄りの顔が混じっていた。一党に復する将来を予定して、党のイデオロギー性とは異傾向の議員を相互に、混合的に配置し伏在させている様子が感じ取られた。一般の国民が率直に受け止めているように、今回の合流新党の政治は民主党の復活であり、分裂しては再結集するこの党の永久運動の一局面の姿である。飽くことなく、鉄面皮と思われるほどに、分裂と接着の反復運動を機械的に繰り返す。15日の結党大会の前に恐縮だが、2、3年以内にこの党がまた分裂すると予言しておこう。確信する。党の生理だから必ず分裂する。選挙で負けても分裂するし、選挙で勝って政権を取っても分裂する。定期的な離婚と再婚に個々が馴れきっていて、内面に痛痒がない。



合流新党の代表選 - 分裂と接着の永久革命、コロナ問題に無関心だった枝野幸男_c0315619_15231554.png徳永エリが国民民主の中に留まっているのを見て、ははーん、そういうことかと見当をつけた次第だが、もう一つ、山口県連はどうなっているのだろうと調べると、旧民主党の県連はそっくり国民民主の県連に移行していて、地方の党組織のリアルな実情を察することができた。この県連で幹事長を長く努めた家老格の顧問は元自治労で、現在の幹事長はその後継に当たる。県議には、市民運動出身で最左派を標榜する戸倉さんもいる。この県連の初代、太祖は平岡秀夫で、旧民主党では菅Gに属して左派リベラルの気鋭の論客だった。県全体が峻烈な保守王国という土地柄を考えると、県連は相対的に左派色の個性だったと言えよう。その山口県連が国民民主の陣営に編成されていたのは、臨海工業地帯の製造業事業場群の労組の存在があり、連合すなわち旧同盟の影響力が強かったからに違いない。山口県には立憲民主の組織も誕生しているが、よちよち歩きの赤ちゃんの印象を否めず、他の県もほぼそのような具合で、再統一の将来を必然視していたのではないか。


合流新党の代表選 - 分裂と接着の永久革命、コロナ問題に無関心だった枝野幸男_c0315619_16371288.png小さな県では、中央のように、国民民主と立憲民主の二つの組織を抱えて経営するほどのキャパとリソースがないのだ。小選挙区で自民党候補と1対1で戦うとなれば、県の連合が運動員を出して選挙運動の形を作らなくてはならない。あそこの小選挙区は立憲民主の候補だからとか、国民民主の候補だからとか、そういうことを言ってられる余裕がない。県の組織が二つに割れて時間が経つのを県連と県の連合が恐れ、連合本部(神津里季夫)が恐れ、一刻も早く割れた皿の接着・修復をと焦り、今回の合流新党の幕となった。地方組織と連合の論理と動機による政治に他ならない。だが、もともと民主党(民進党)を二つに分裂させたのは、前原誠司と神津里季夫である。小池百合子との新党結成の謀略の席に出ていた張本人が神津里季夫で、謀略には左派排除の要件も含まれていた。神津里季夫は知らん顔をして被害者面を通しているが、そんな虫のいい話が通用するわけがない。連合は、もともと共産党を組合から排除するために作った組織で、反共こそがネイティブな哲理である。


合流新党の代表選 - 分裂と接着の永久革命、コロナ問題に無関心だった枝野幸男_c0315619_15211218.pngこの政党 - 民主党・民進党・立憲民主党 - が、分解と接着の永久運動の周回を続けるのは、内部に右と左の勢力が存在し、党の理念が一つに纏まらないためだ。連合内民間労組(旧同盟)の反共主義の理念は固く、それを変えることはできない。反共産別は、必ず党を右に寄せて共産党と手を切らせようとするし、連合を右に巻き戻し、官公労の影響力を小さく抑えようとする。玉木雄一郎の卓袱台返しは、反共産別に支えられた動きであり、おそらく軋轢の本当の原因は、表に出ている「原発ゼロ」すなわち電力総連ではなく、裏の「改革中道」すなわちUAゼンセンの思惑の方だろう。彼らはまだ諦めたわけではなく、「改革中道」の野党第一党を狙っている。綱引きの延長線を仕掛けるつもりで、そこには9条改憲がキーモメントとして見据えられている。共産党と絶縁し、維新と連携する「提案型野党」が展望されている。いずれまた、そのときが来て、今の新党が再分裂する瞬間が到来するだろう。政権交代を自己目的とする党(=「政治改革」党)は、理念と政策を永久に一致させられない。


「選挙のために大きなかたまりが必要」と「理念と政策の一致こそが重要」との間を行ったり来たりする。シーソーのように何度も反復する。選挙の前に動きがあり、選挙の後に動きが出る。臆面もなくそれを続ける。さらに、今では、共産党・しばき隊がその反復運動のルーティンの補助要員になった。分裂を手伝いし、接着を手伝いする。国民の目そっのけで。


合流新党の代表選 - 分裂と接着の永久革命、コロナ問題に無関心だった枝野幸男_c0315619_14581010.png齋藤美奈子が最近の東京新聞のコラムで、今回の合流新党の政治について辛辣な批判を上げている。曰く、①かわり映えのしないメンツ、②若手や女性を積極的に登用すると口で言っているわりには、おっさんだらけ、③投票権のある党員選挙を実施せず、国会議員だけの選挙、等々。この中の③は特に重要な指摘だろう。立憲民主党を立ち上げには草の根の市民の力が大きく、また、枝野幸男は積極的にサポーターを募ってきた経緯があった。何はなくても、代表選となれば一目散に党員サポーターの信を問い、選出される新代表の民主主義上の形式的正統性を強調するのがこの党の本来性だと思われる。どの党よりも党員選挙にナーバスでフェチなのがこの党の属性だった。自民党とは違うとアイデンティティを自慢するときの根拠だった。今回、それがあっさり無視されたし、綱領も密室の協議で簡単に改変された。連合の親分がしゃしゃり出て、オレの杯が飲めないのかと二人の軽輩に任侠の契りを迫り、二つの組の無理な合併話が進められた。何とも民主主義とは縁遠い不毛な政治過程ではないか。


中村喜四郎だの、小沢一郎だの、菅直人だの、野田佳彦だの、古臭いオールスターズの跳梁の絵にも興ざめがする。しかしながら、この高齢の重鎮たちは、代表に決まった枝野幸男が壇上で挨拶を始めたとき、退屈なのか、会場の席で目を瞑って居眠りするだらしない姿をカメラの前で披露していた。国会で安倍晋三や麻生太郎たちが見せている醜態と同じだ。


合流新党の代表選 - 分裂と接着の永久革命、コロナ問題に無関心だった枝野幸男_c0315619_15161294.png結党直後の総選挙で判官贔屓の風を受け、善戦して野党第一党になった立憲民主党は、マスコミの世論調査で14%の支持率を得ていた。この数字を維持していれば、今回、政権交代の可能性は十分にあっただろう。ところが、1年も経たずに支持率は落ち始め、直近のNHKの報道では4%にまで下がっている。共産党や維新と並ぶほどの支持率しかなく、泡沫政党と揶揄されてもおかしくない現状だ。3年間その状況を観察してきたが、気づいたのは、代表の枝野幸男が支持率低下に何も危機感を覚えてない点だった。これは意外であり、現在も謎である。枝野幸男だけでなく、他の、立憲民主の議員にも、国民民主の議員にも、危機感というものが全く見えず、常に余裕綽々で、まるで、皆、生まれたときから国会議員で、死ぬまで終身議員で、永田町を生業とする職業者のようだ。民間企業の社員や社長だったら、売上やシェアが最盛期の3分の1に減ったら、焦燥して挽回策に懸命になるだろう。立憲民主党は、17年の衆院選比例で1100万票得票したのが、19年の参院選比例では790万票に減っている。


二度目の選挙で大きく得票が減った理由は、支持率の減少によって説明できる。だが、枝野幸男はどうやら、マスコミの世論調査など単なる「風」であり、報道に踊らされた大衆の気分の一時的反映であり、気に留める必要のない政治要素だと達観している様子が疑われるのだ。真剣に窮地に向き合ってない態度が看取される。昨夜(10日)のテレビ報道に生出演した枝野幸男からは、そうした、世論無視、マスコミ無視の、謙虚さのない自己中心的な意識が言葉になって表出していた。


合流新党の代表選 - 分裂と接着の永久革命、コロナ問題に無関心だった枝野幸男_c0315619_15051792.png立憲民主党が支持率を上げる機会はいくらでもあった。特に、コロナ禍に襲われた今年2月以降は最大の好機到来の時期だったと言える。半年間、政府自民党は無策に徹して何もしなかった。PCR検査を求める国民の声を無視し、逆に検査を軽視し妨害することばかりに終始した。何をすればいいかは、隣の韓国や中国や台湾が教えていたのに、政府は「自助」路線の不作為に徹し、専門家会議がそれを二枚舌で正当化していた。政府がまともにやった対策といえば、公明党の10万円給付ぐらいである。だが、そのチャンスに、なぜか立憲民主党は音なしの構えで動かなかった。表面的に国会で政府批判をやっていただけである。私は幾度も、野党は独自の専門家チームを組織せよと唱え、政府の専門家会議と対峙・競争して正しい対策を打ち出せと提案したけれど、そうした「提案型」の行動は一切試みなかった。例えば、地方国立大学は蜂起してPCR革命を起こせと檄を飛ばした山梨大学の学長などを味方につけて、大学の検査体制でPCR検査をカバーするプロジェクトに踏み出せばよかった。


合流新党の代表選 - 分裂と接着の永久革命、コロナ問題に無関心だった枝野幸男_c0315619_15185455.pngこの間、テレビはコロナ問題ばかりであり、国民の関心はそこに集中した。モーニングショーが野党の役割を代行し、国民の期待と信頼を集め、政府批判の事実上の司令塔となった。立憲民主の議員はテレビにもほとんど出演しなかった。立憲民主がコロナ対策で動かなかったのは、党首の枝野幸男の方針によるものと推測される。枝野幸男は、コロナ禍を台風など自然災害と同じと捉えていて、すなわち与野党で対立する問題ではないと定義し、政府の施策を黙って応援する立場を採った。だから、専門家会議に対して全く批判しなかったのである。その方針に共産党も合わせて準拠したため、野党も無策で、口先で安倍晋三を罵倒するだけで終わった。一般論でPCR検査を増やせと言うだけで終わり、田村憲久と同じことを言い、田村憲久と小池晃がスタジオで意気投合して談笑して終わりだった。このような絵を見せつけられて、国民の野党への支持が上がるわけがない。昨夜(10日)枝野幸男が言った「政府の中に司令塔を作れ」という主張も、田村憲久がずっと前から喋っているくだらない一般論だ。


合流新党の代表選 - 分裂と接着の永久革命、コロナ問題に無関心だった枝野幸男_c0315619_15203804.png立憲民主党の支持率が下がったのは当然と言える。そこには、枝野幸男のプライオリティの判断があり、政党運営の取捨選択の順位があった。コロナ問題を手抜きして、枝野幸男と立憲民主党が何に集中していたかというと、ずっと野党政局に血眼だった。政策より政局。その一つは合流新党の主導権争いであり、もう一つは山本太郎叩きであり、消費減税策叩き・MMT叩きである。しばき隊学者と一緒になって野党政局のヘゲモニー闘争に明け暮れた。都知事選を挟んでのしばき隊とれいわ支持者の間での喧嘩は熾烈で、相当に遺恨を残す結果となったと言える。しばき隊の暴力が久しぶりに全開する場面が出現し、ヘゲモニーに目を血走らせて誹謗中傷に狂奔するしばき隊の「勇姿」が見られた日々だった。しばき隊からすれば、首尾よくれいわ新選組を叩き潰し、合流新党も納得の展開に推移し、思いどおりの野党政局の成果に満足しているだろう。だが、世論の圧倒的多数は合流新党にNoを突きつけ、離合集散はうんざりだと言い、その出発を歓迎しない反応を示している。


世論調査の数字が次の衆院選に影響するという常識的事実を、なぜかしばき隊や山口二郎は全く歯牙にもかけていない。不思議だ。


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by yoniumuhibi | 2020-09-11 23:30 | Comments(3)
Commented by アン at 2020-09-12 11:27 x
安倍、フルコースにワイン。やはり仮病(少なくとも職務が続けられないほどの病気ではない)。
前回の時は、安倍が父親の遺産を全部政治団体に入れて、相続税を全然払っていないと週刊誌に出たとたん具合が悪くなりました。今回は河井の1億5000万、党本部の件をこれ以上探られたくないから、持病で手打ちかと、私などは何の情報源もありませんが、あれこれと想像しています。
Commented by tomo at 2020-09-12 11:40 x
もし政権交代がなったら、しばき隊が批判者を攻撃しまくるのでしょうね…
安倍信者と何が違うのか。
Commented by H.A. at 2020-09-12 18:37 x
PCR検査に関して、拡充では一致していただろうが、どこまでするかでは議論があった。いつでも誰でも何度でもには、左派リベラル的な医療関係者でも、疑陽性偽陰性があり、予防拘禁につながり反対という方々がいる。そのためどの立場に依拠するかは、保守か進歩かとは次元が違ってきてまとまらない。英国労働党がBrexitの賛否でまとまらなかったように。しかし児玉氏がTVでいわれたが、検査費用を医療費ととらえず、いずれ経済好転につなげる一時的費用と考えればお金を使えただろう。そして今回のコロナ禍では、実際に行政を担っていればやっていることをアピールできた。だから小池氏や吉村氏でなく、進歩派が知事を担っていることが、政権担当能力アピールのうえでも重要だった。


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