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地下放水路を掘って治水する – 筑後川放水路を玄界灘へ、球磨川放水路を芦北へ

地下放水路を掘って治水する – 筑後川放水路を玄界灘へ、球磨川放水路を芦北へ_c0315619_13123214.png1時間に100ミリ・24時間に500ミリの豪雨の時代。その治水対策を、秀吉や家康ならどう構想しただろう。そこまで遡らなくても、田中角栄ならどういう解決策を打ち出しただろう。かかる問題視角から表題に掲げた提案を試みたい。治水は治国である。中国やローマに限らず日本の偉人たちもまた、大型の土木事業で治水に挑戦し、国土を改造し、国を豊かに発展させ、安全で安心な生活環境を人民に提供した。土佐藩の野中兼山はその典型例だが、もっと巨大な、日本史上空前の治水事業といえば、家康の利根川東遷事業を誰もが想起するだろう。徳川幕府250年の安泰と江戸の繁栄は、このプロジェクトの成功に拠っていて、今日の東京があるのはこの河川工事のおかげである。家康は理想を描き、事業を指令・推進し、関東の河川氾濫を克服した。水害のない江戸を作り、物流の水上交通路を整備し、水田を開発して石高を増大させた。アイディアを練り、コンセプトを立て、ビジョンに挑戦して目標を達成することが大事なのだ。



地下放水路を掘って治水する – 筑後川放水路を玄界灘へ、球磨川放水路を芦北へ_c0315619_13124368.pngそれが人類がやってきたことなのだ。今の日本政府は何もやっていない。治水から逃げていて、不作為を言葉で合理化している。タイムラインだの、ソフトウェアだの、総合的な防災だの、安心なまちづくりだの、全て出鱈目なゴマカシであり、電通の空疎なコピーフレーズの紙屑にすぎない。予算を付けたくない動機からの、政府の欺瞞行政であり、自己責任論の弱者切り捨て策である。予算カットの方便の大系である。民主党政権の脱ダム路線以降、霞ヶ関はそれを悪用し便乗する形で、治水防災の公共事業を否定・漸減することに徹した。さらに、アカデミーの左の脱構築主義(=反近代主義)が、その言説の正当化工作に手を貸し、ダムは悪、田中角栄は悪、自然改造は罪悪、公共工事は無駄、という固定観念を国民に刷り込んだ。地方のインフラ整備事業の削減を当然視する世論を押し固め、マスコミで常識の公論にして行った。テレビに出てくる治水防災の専門家 - 大学教授や天下り法人の官僚 - たちは、その欺瞞行政で接待を愉しんでいる寄生虫だ。


地下放水路を掘って治水する – 筑後川放水路を玄界灘へ、球磨川放水路を芦北へ_c0315619_13125933.png毎年毎年、7月には梅雨前線が線状降水帯を発生させて西日本の各地がやられる。九州や中国四国地方が痛めつけられる。秋にも線状降水帯が発生する。台風と秋雨前線が1時間100ミリ・24時間500ミリの雨を降らせる。昨年秋は、阿武隈川と千曲川が氾濫して大きな被害が出た。利根川と荒川と多摩川も危なかった。荒川水系は川越近辺で溢れ、利根川は危機一髪だった。多摩川も溢れて武蔵小杉で災難となった。どうすべきか。水害対策はハードウェアしかない。①ダムか、②遊水地・貯水池か、③地下神殿か、その三つの中で選ぶか組み合わせるしかない。水の逃げ場を作るしかない。人が安心して地域に暮らすためには、水が溢れない構造を作るしかない。人に逃げろという策は策ではない。人が住む土地なのだ。逃げなかった人が悪いという政策は政策ではない。水を逃がし、水を人に接近させないようにしないといけない。私のコンセプトは、降雨量が2倍になるのなら、日本の河川の流量も2倍にしようというものである。自然の変化に応じて、河川を大胆に改造しようという考え方だ。


地下放水路を掘って治水する – 筑後川放水路を玄界灘へ、球磨川放水路を芦北へ_c0315619_13135188.png筑後川に日田盆地から地下放水路のバイパスを作り、ときどき渇水で悩む福岡市の供給用にする。玄界灘に出口を作る。球磨川に、川辺川と合流した位置から地下放水路を堀り、25キロ先の芦北で八代海に流し込む。これがアイディアとソリューションの骨子である。人間は、例えば、交通が増えれば道路を拡張してきた。国道の横に高速道路を新設して全国に展開した。既存の鉄道の線路の隣に、もっと大量かつ高速に人を輸送できる新幹線の軌道を敷設し、両方を使って便利に暮らしている。人間は、例えば、通信量が増大すれば、NTTのメタル回線を光ファイバーに置き換えてインターネットの時代に対応してきた。インフラを拡張してきた。設備投資して道路や鉄道や回線の容量を増やし、機能をより増強してきた。人の暮らしのためであり、産業と経済のためである。今回、雨の降る量が2倍になり、川を流れる水の量が2倍になるというのだから、河川の容量を2倍にすればよいのだ。環境が変わるのだから、人の快適な生活と社会のスムーズな生産のためにインフラを施行すればよいのである。


地下放水路を掘って治水する – 筑後川放水路を玄界灘へ、球磨川放水路を芦北へ_c0315619_07512596.png筑後川を日田盆地から取水し、地下放水路を延々と流し、65キロ先の福岡市箱崎で博多湾に流す。球磨川は地下放水路を25キロ先の芦北まで掘る。筑後川も球磨川も、バイパスを持つ二本立ての水路にする。そうすれば、日田や朝倉や久留米や大牟田が水浸しになることはない。人吉と球磨の人々が洪水で犠牲になることはない。総工費は、筑後川放水路が2兆円、球磨川放水路が1.5兆円。これで完成できる。いわゆる春日部地下神殿、首都圏外郭放水路の総延長が6.3キロで総工費が2300億円である。実は、東京にも地下放水路が掘削されていて、環七の真下に巨大な水路があり、神田川と善福寺川と妙正寺川の溢れた水が取水される構造になっている。現在、延長4.5キロ。この地下貯水池が有効に機能したため、昨年の台風19号の折、杉並区は水浸しを免れた。工事はさらに進んでいて、環七を外れて西北方向へ延ばし、環八と交差する地点で石神井川と繋げている。さらに、目白通りを大泉まで延伸して白子川と繋げる工事が行われている。この段階で総延長13キロ。1兆円を超えるだろろう。


地下放水路を掘って治水する – 筑後川放水路を玄界灘へ、球磨川放水路を芦北へ_c0315619_07541630.png放水路だから、ゆくゆくは、南は環七に沿って平和島から東京湾に到達、北は荒川まで延ばして放水の出口を作るのだろう。こうやって、1時間100ミリ・24時間500ミリの時代の豪雨水害から東京を守ろうとしている。巨大工事が着々と進んでいる。鉄壁のハードウェアが用意されている。東京だけは、ソフトウェアだのタイムラインだの総合的な防災などとは言わないのだ。東京だけは、警戒レベル4だの5だのはないのである。無縁なのであり、地方の被災民に対して「なぜもっと早く逃げなかったのだ」とか「なぜもっと日頃から逃げる準備をしていなかったのだ」とか上から目線で言うのだ。地方にはソフトウエア論 - 行政の不作為と自己責任論 - を押しつけながら、その裏で、東京にはたっぷり税金を注ぎこんで水害対策の地下排水路を建造している。否、東京だけではない。大阪でも寝屋川に巨大な地下水路を作っている。総延長14キロ。春日部地下神殿の2倍以上の長さの地下河川・調整池が作られている。費用は3660億円。政府とマスコミは都会のハードウェアは紹介しない。隠す。


地下放水路を掘って治水する – 筑後川放水路を玄界灘へ、球磨川放水路を芦北へ_c0315619_13142402.png東京と大阪に大がかりな地下放水路・貯水池を作り、洪水被害から住民を守っているのだから、九州にスケールの大きな地下放水路を作ってもよいではないか。阿武隈川は郡山から真横に東にバイパスを掘り、阿武隈山地を横断して太平洋に注ごう。否、全国の暴れ川の一級河川に地下バイパスを作り、流量を2倍にしてもよいではないか。家康のように、角栄のように、21世紀の日本の政治が国土改造すればよいではないか。地下放水路なら、地権・用地買収の問題がなく、ダム建設のように政治絡みの反対運動と住民ルサンチマンの禍を避けられる。今から振り返れば、荒川放水路22キロは奇跡のように思われる。人口が密集する東京下町で、よくあんなインフラが設計構築できたものだ。明治44年に着手され、昭和5年に完成している。あのような土木事業が構想できたのは、きっと、300年も前に家康と技術者が利根川を付け替えて銚子沖に流すという途方もない離れ業をやってのけていたからで、過去の実績が明治の日本人のエンジニアリングを勇気づけ、イマジネーションを飛躍させたからだろう。


現代版「青の洞門」を掘ろう。日田から玄界灘へ掘削しよう。天敵となった線状降水帯に打ち克つ九州の勇姿を見せよう。世界が刮目するモニュメンタルな土木インフラを築き、将来の九州の子たちに安心安全な生活環境を残そう。地下放水路のテクノロジーを日本の戦略産業として育て磨き、国内で量産し、品質とコストパフォーマンスで中国韓国に負けない競争力をつけて、フルターンキーのプラントを世界に輸出して稼ごう。豪雨水害の逆境をチャンスに変えよう。神君家康の偉業を見倣おう。九州整備局とゼネコン各社に案の検討と採用をお願いしたい。



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by yoniumuhibi | 2020-07-09 23:30 | Comments(2)
Commented by NY金魚 at 2020-07-10 07:34 x
そういえば、昨年末アフガニスタンで凶弾に倒れた中村哲医師の治水事業も、江戸時代の九州一の大河、筑後川の中流にある「山田堰」にヒントを得たんでしたね。
=金魚
Commented by こすもす at 2020-07-11 11:19 x
プロ野球とJリーグが共同で設置した委員会のメンバーに入っている愛知医科大?の感染症専門家。(この委員会が、客入れる場合のマニュアルの助言をした)昨日テレビで見ましたが、明らかに動揺していました。
感染拡大しているのに、客入れるのは狂気の沙汰ですよ。3月中旬、K1が予定していた興行を、自分たちも予定通りやらないと生活していけないからと実施しようとしたら、国を挙げて非難した。いまプロ野球をスルーしているのは、おかしいですよね。

感染拡大している限り、五輪も無理だし、選挙に勝てるわけがないんですよ。支持率が落ちているのは、河井夫妻とかいろいろありますが、感染拡大しているのに無策の政府を、支持するわけがありません。
今井、西村の東大法学部上がりの通産省脳では、この感染症問題は解けないということです。そして、尾身もだめです。尾身の感染症対策は、昔の感染症対策で古くて、今の時代にアップデートされていない。
2009年の新型インフルで舛添が、自分の人脈で、感染症の若手専門家でBチームを作り、Bチームの案を採用し制圧した。このBチームに若い岩田健太郎もいた。これが正解なんですよ。


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