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コロナ禍の意味づけ - ラマダン、ホメオスタシス、キリスト教、因果応報

コロナ禍の意味づけ - ラマダン、ホメオスタシス、キリスト教、因果応報_c0315619_13564716.png今年は4月24日から5月23日までがラマダン月だった。いわゆる断食月である。この期間、イスラム教徒は飲食、喫煙、性行為が禁止される。唾を吐くことも禁止。今回、ラマダンの礼拝密集が感染拡大のリスクになるのではという関心から報道がされたが、もっと深い視点から二つを重ね合わせる言説はなかった。誰か指摘した者はいただろうか。ほぼ時期が重なった4月、日本人はイスラム教徒たちとよく似た日常生活を送り、いわばラマダンの経験の中にいたのである。自粛という日本語を使い、禁欲と総需要抑制の日々を送った。イスラム教徒のように信仰を清めるためではなく、コロナから身を守るのが目的だったが、行動様式はよく似ている。日本人だけでなく、世界中がラマダンの苦行を行った。その結果、消費活動が抑えられ、生産活動も抑えられた。資本主義的な価値の生産と消費をドライブする軌道から半ば解放され、清貧な信仰者のような生活を送ることとなった。



コロナ禍の意味づけ - ラマダン、ホメオスタシス、キリスト教、因果応報_c0315619_14203145.png秋冬に第二波の襲来があり、春よりも深刻な事態になるだろうと岡田晴恵などが予想を述べていて、そうなると、また本格的で大規模なラマダンの実践となる。ワクチンが開発されるまでの間、日本人はラマダンの環境に入ったり抜け出したりという日常になる。もし、ワクチンの首尾が遅れて、スペイン風邪のように感染禍の猛威が3年間続けば、あるいは、ウィルスが変異してワクチンを無効化する悪夢となれば、世界の経済システムは根底から動揺し、人の意識や価値観も大きく変化することになるだろう。だが、人類以外の他の地球上の生きものからすれば、今年進行している出来事は歓迎すべきことである。ヒト以外のすべての動植物にとっては、まさに福音の到来そのもので、絶滅危惧種には生存の希望が見えてきた曙光に違いない。地球環境のホメオスタシスの観点からすれば、本来のバランス回復に向けて始動した転機であり、地球環境を蝕んでいた癌細胞であるヒトに対して抗癌剤が注ぎ込まれた瞬間だろう。


コロナ禍の意味づけ - ラマダン、ホメオスタシス、キリスト教、因果応報_c0315619_13561327.pngそうした観点からコロナを意味づけする議論が少ない。宗教者の言葉がない。そのことに不満を感じ、何かいい感じの言葉を試作することができないかと思案している。この10年ほど、サンデーモーニングで涌井雅之は、人間が地球環境を破壊しているからSARSやMARSのウィルスが発生するのだと解説してきた。人間が聖域である熱帯雨林の森林を浸食したため、エボラ出血熱ウィルスが出現したのだと分析した。人間が数千数万の希少固有種を絶滅に追いやっているため、その代償として、地球環境からの報復として、ウィルス感染症が人間を襲うのだと洞察を述べてきた。半ば宗教者の預言のような、啓示のような自然科学者の言葉に、テレビの前で納得して頷いていたものだ。ウィルスは、恣意と放縦を飽くことなく続ける人類に対する神の雷だった。という本質的な意味づけを、なぜか2月以来聞く機会がない。今こそその文明論が最も心に響いて染み入る時なのに、マスコミで言挙げされて注目される機会がない。不思議だ。


コロナ禍の意味づけ - ラマダン、ホメオスタシス、キリスト教、因果応報_c0315619_14010752.pngいつも夏になると異常高温と豪雨の災害があり、そのたびに、二酸化炭素濃度と温暖化が言われ、地球環境の悲鳴と重篤が言われ、涌井雅之がサンデーモーニングに出演し、劇的な措置を即実行しないと温暖化は止まらないと言い続けてきた。今、まさに劇的な措置がとられている。グレタ・トゥーンベリが大喜びするような絵が実現されていて、飛べなくなった航空機が空港にぎっしり詰め並べられて翼を休めている。タイ国際航空は破産してしまった。しかし、ここで勝ち誇って見得を切っていいはずの涌井雅之やグレタ・トゥーンベリは、なぜ前に出てコメントを吐かないのだろう。コロナによる「劇的な措置」がとられ、インド北部から数十年ぶりにヒマラヤ山脈が眺望できるという現象が起きた。都市封鎖によって劇的に大気汚染が改善された結果だ。南極で気温20度を記録して川が流れ始め、豪州で未曾有の森林火災があり、絶望的な気分になったのが今年の1月2月だから、何とも急激なギアチェンジというか、地球環境のリターンバックに驚かされる。明らかにコロナ禍は地球環境の問題を好転させている。


コロナ禍の意味づけ - ラマダン、ホメオスタシス、キリスト教、因果応報_c0315619_14164595.pngもうひとつ、コロナ禍の意味づけについて、マスコミで言挙げされない、微妙な意識なり解釈の想像図があるように思われる。それは、コロナ禍の被害の大きな国が白人のキリスト教の国であるという事実だ。この問題は、山中伸弥の「ファクターX」という概念を通じて、ある意味でオブラートに包まれた状態で意識化されている。山中伸弥の「ファクターX」は、BCG種も含んだ生理学的医学的な要因論であり、すなわち、民族という社会科学のタームの語義から言えば血統・DNAの要素に関わる。大航海時代にヨーロッパの侵略者が持ち込んだ病原菌によって、北米や中南米の原住民の人口が激減したとか、ハワイ王国の滅亡にも欧米から持ち込まれた病原菌が影響したという世界史の説明と関連する。今回は、そのウィルス禍のインパクトがアジアから欧米へのベクトルで作用した事例となり、地域による被害の差が興味深い。今、最も多くの感染者を出しているのが米国で、死者数で二番目に多いのが英国だ。


コロナ禍の意味づけ - ラマダン、ホメオスタシス、キリスト教、因果応報_c0315619_14102970.pngこの偶然には、しかし、誰もがなにがしかの想像力を働かせ、因果関係の回路を結び繋ぎ、解釈で意味を導いて物語を自己内了解せざるを得ず、いわば神の見えざる意思を直観せざるを得ない。なぜ、コロナはこれほど激しく米国を蹂躙し、甚だしく英国に犠牲を求めるのだろう。現在の世界の支配者は米国であり、20世紀も米国の世紀であった。地球環境に害悪を与える人類のシステムもまた、米国が組み上げて世界中で稼働させたものであり、エンジンを吹かし続けているものである。米国式の資本主義によって世界は動いていて、グリードなネオリベラリズムがその特徴で、世界人類はそのシステムに準拠した活動の中でしか生きられない。トランプの行動と態度が示すように、必然的にそれは温室効果ガスを大量発生させ、地球環境を痛めつけるようにできている。二者は原理的に共存できない。その米国の資本主義は何処から来たかというと、言うまでもなく英国である。米国の故郷が英国で、出自がイングランドの者は移民の中でも、WASPの中でも別格の位置にある。米国人と一緒に仕事をするとよく分かる。


コロナ禍の意味づけ - ラマダン、ホメオスタシス、キリスト教、因果応報_c0315619_14144064.pngワールドメーターが毎日更新する統計では、人口100万人当たりの死者数でソートすると、上位28か国がキリスト教の諸国で、29位にようやくイランが顔を出す。また上位9位までが西欧の国々であり、11位に米国、12位にアイルランド、15位にスイス、16位にカナダが入る。1月23日に武漢が封鎖された頃、3月11日にパンデミック宣言が出された当時は、このような被害地域分布になるとは思わなかった。グローバリズムの帰結だとする見方に、この被害状況はマッチする。仏教では因果応報が説かれる。悪因には悪果が訪れるとされる。現代の仏教の高僧たちは、今回のコロナ禍をどう認識し説法しているのだろう。そのことに興味がある。また、それと同時に、奈良朝の東大寺建立に天然痘の流行がどう影響していたのか、その歴史についても再確認したいし、その後の日本仏教の興隆や盛衰に天然痘禍がどう関係したのか、思想史を辿って整理する必要も感じる。そうしたコロナ禍の意味づけをめぐる自由な文化的論議が、あまりに不活発すぎるように思われ、日本人の知性の退化と硬直に閉口する。


コロナ禍を機に新しい生き方を見つけようと言うのなら、もっと広くて深いパースペクティブを持って、もっと大胆で豊かな歴史的想像力で文明論の立論を試みてよいのではないか。
貧相なのはよくない。科学だけでなく宗教の知恵や方法を借りて、本質的意味に迫る着想を得てよい。誰に遠慮しているのだろう。

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by yoniumuhibi | 2020-06-08 23:30 | Comments(4)
Commented by コスモス at 2020-06-11 14:48 x
コロナについての洞察、興味深く拝読しました。ツイッターでも述べられていましたBLM、そして香港情勢が気になります。
日本では、西でボーガン、東で拳銃自殺。いずれも問題を抱えた青少年の暴発で、場所が大都市周縁という共通点。
拳銃自殺は数十発の実弾があって真正銃。数年前に亡くなった外務省職員だった父親ルートでしょうか。闇サイトで買ったという話も出ているようで、真実は明らかにできないかもしれませんが、無差別テロが起きてた可能性もあります。外交特権か、闇サイトか、どちらにしても大問題です。
隠ぺいを繰り返す政府ですから、外交特権だったら隠すんだろうなと思ってしまいます。

コロナの様々な予算の中抜き問題、サービス協議会の会長という人物の素性がネットに出ていました。
Commented by みきまりや at 2020-06-12 15:40 x
 プロテスタントの教会へ通っています。
 日曜礼拝、礼拝室に入れる人数を30人に制限し、人と人が2メートルの距離を置いて座る、夫婦の人も離れて座っています。以前は隣の人と肩を寄せ合って讃美歌を思い切り歌ったのでしたが、今は一人一人が孤立して座っている。何だか色あせた キリスト教会…ただ不思議なことなのですが、イエス・キリストという方は、反対に今生きていられる方として感じられてきます。一人一人が離れて一人一人が私の方を見る時ですよ、とのメッセージが流れてきたりしている。
 イエス・キリスト、ブッダ、ムハンマドは世界の三大始祖で三人とも平和主義者ですよね。戦をしなくてもいいように、人は考えて生きなさい、という方向の方たち。
 前のような教会の雰囲気には、ほとんど戻らないこれからの年月なのでしょうか、でもそれだからこそ見えてくるものがあって、新鮮で、人間にとって大切なもののように私には思えます。
Commented by art and movie at 2020-06-12 23:55 x
奈良時代に流行した天然痘に関連して「怨霊思想 (御霊信仰)」、「東大寺等の仏教思想」、「医学的対処」等の複数の観点が考えられます。

蔓延期、737年8月の藤原宇合逝去による藤原四兄弟全滅の8日後の詔で聖武天皇は「朕之不徳」と述べてますが (続日本紀)、
その時の自省へつながるであろう第一は、(既に聖武天皇の治世であった) 729年に (皇位継承者としても藤原系への有力な対抗勢力たる) 長屋王一族がほぼ滅ぼされた「長屋王の変」だと思います。
聖武天皇が創建した東大寺の遺品、伽藍配置、行事 (修二会 通称お水取り) からは、言語化されてないものの、長屋王一族への鎮魂の意図が幾つも読み取れます。

しかし、日本の「実証的な」史学界は、故人の名を挙げて「御霊会」で祀った平安時代からの「御霊思想」の存在を認めるに留まり、
「奈良時代以前の怨霊・御霊思想」の存在を認めていません。

歴史的認定が厳密なこと自体は、本来はむしろ好ましいのですが、
日本の場合奇妙なのは、「(奈良時代以前に御霊信仰が) あったかどうかが証明しづらい (「正史」のテキスト上確認が取れない)」ことが、
「(奈良時代以前に怨霊という概念が) 無かった」という風な認識に、学問的な言論においてすら、容易く変化しやすい点です。
本来的な立証主義というよりは、「歴史の勝者の定めた目線」「学界の権威」におもねた姿勢を感じてしまいます。

[コメントが続きます]
Commented by art and movie at 2020-06-12 23:58 x
[コメントの続きであります]

737年に聖武天皇が「朕之不徳」と述べた後に、言わば中央集権的な大仏・国分寺国分尼寺の体制を作ったことに関しては、
天皇である自分に真の権力を集中させて (藤原氏の権限を抑えて) いれば「不徳」であることは避けられたし、これからは避けたいという政治志向 の類比だとの解釈が有り得ます。
大仏 (盧舎那仏像) の仏教的根拠となる経典は華厳経か梵網経で、いずれも重層を成す世界観の中心に (釈迦の発展形としての) 最高仏格である理念的な盧舎那仏を置く一極集中の思想ですが、
最高の存在を「中心」にイメージして理想の世界を見い出していく思想は、続く平安期の密教での大日如来 (盧舎那仏と同格) をメインとする「両界 (胎蔵界・金剛界) 曼荼羅」の世界観に繋がっていると考えます。

ただ、「疫病」への仏教での対応となると「薬師如来」が挙げ得る筈ですが、
(後の平安期の神護寺、醍醐寺などの「怨霊調伏」的な厳しい仏像も、台密の比叡山の本尊も、薬師如来ですが)
東大寺に関して「薬師如来」の仏像等が殆ど思い当たりません。
やはり薬師如来は、曼荼羅の先駆け的な東大寺大仏の世界観と当時は異なるからでしょうか。

南方の新薬師寺は主に光明皇后が関与した寺院で、「七仏薬師」が並ぶ創建時の配置は、中央集権とは逆の権力分散的な表象であり、
そこが「藤三娘」と名乗り [異説有り] 、藤原系の意識が強かった光明皇后の志向に合う感じがします。

当時の一般の療法への対応も、広く名が伝わるものは法華寺 (総国分尼寺) のから風呂に関する伝説、悲田院、いずれも光明皇后とつながりがありますが、薬師信仰が具体的な行動として関係するのかもしれません。


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