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本当に6月には感染は収束するのか - 岡田晴恵の安心理論

本当に6月には感染は収束するのか - 岡田晴恵の安心理論_c0315619_13125971.png大型連休の頃から、岡田晴恵がずっと、6月になったら感染が収まるという観測をテレビで言い続けている。これは確かな根拠がある新型コロナウィルスの知見なのだろうか。専門家の立場として責任を持って言い切れる分析なのだろうか。また、現時点でこの観測を唱えることが、日本の感染症対策として正しい指導行為なのだろうか。岡田晴恵の説明によると、ウィルスは紫外線が強い大気中では活動が不活発になり、また高温多湿の環境下では感染力を衰えさせるのだと言う。たしかに、インフルエンザは冬に流行して春には終息するのが通常の現象だから、この一般的属性を新型コロナウィルスに適用して予測を言うのは妥当な所見と言えるのかもしれない。だが、専門家たちの見解は岡田晴恵と必ずしも一致しているわけではなく、むしろ慎重な見方をする者が多く、岡田晴恵のように断定的な口調で楽観論を吹聴する者は少ない。英国の学者たちは、季節変動が新型コロナの感染力に与える影響の程度に懐疑的だ。



本当に6月には感染は収束するのか - 岡田晴恵の安心理論_c0315619_13080051.png例えば、最近のシンガポールでの感染急増の事実がある。シンガポールは、当初は感染押え込みに成功し、感染対策の優等生として高く評価されていたが、この1か月間に外国人労働者の間で感染が広まり、東南アジアで最悪の感染国となっている。10日時点の感染者数は23.336人で日本よりも多い。シンガポールは赤道直下に位置する国であり、気温と湿度は1年を通して東京と同じ水準だと言われている。少なくともシンガポールの状況を見るかぎり、高温多湿の環境になれば新型コロナウィルスの感染力が衰えるとは簡単には確信できない。これは私の素朴な仮説だが、このウィルスはヒトの体内で活動し、ヒトからヒトにうつるものだから、屋外の環境が高温多湿であれ、紫外線が強力であれ、空調の効いた屋内での感染には影響しないのではないか。感染は都市の路上で起きるのではなく、常に人と人が密集し接触する屋内で起きるのである。感染リスクの条件は、屋外の気温や湿度や紫外線強度で一義的は決まらない。


本当に6月には感染は収束するのか - 岡田晴恵の安心理論_c0315619_13002245.pngそれに付け加えて、言わば感染機会の問題があるだろう。日本では、3密を排除すれば感染を防止できるという議論がもっぱらだが、これは、ウィルスの感染機会が、空気中の飛沫やエアロゾルが鼻腔や口腔の粘膜に付着するという経路のみを捉えた一面的な認識ではないか。すなわち、呼吸器系のみに限定された感染経路への注意と警戒である。実際には、渋谷健司が指摘していたように、つり革や手すりやドアノブに付着したウィルスの感染があり、要するに消化器系ルートの感染がある。4月放送のNスペで和歌山の有田病院の感染ケースを解説していたが、最初の感染者が二人目に感染させた現場は、男子トイレの洗面台とドアノブだと特定されていた。呼吸器系ルートの感染は気温や湿度や紫外線に影響されるかもしれないが、消化器系ルートの場合はそれに影響されることが少ない。感染の媒体となるドアノブも手すりも空調の効いた屋内に存在する。感染機会の問題を考えると、必ずしも岡田晴恵の言うように「夏になれば安心」とは言えないと思われる。


本当に6月には感染は収束するのか - 岡田晴恵の安心理論_c0315619_13122089.png岡田晴恵の言説の中でもう一点、非常に不可解で違和感を感じるものがある。それは、コロナの患者を退院させる際にPCR検査で陰性確認する必要はないという主張である。この主張を、岡田晴恵は3月の時点から一貫して唱え続けている。コロナ患者は入院日数が多くなりがちで、3週間以上に及ぶ場合も多く、軽症なのに病院のベッドを塞ぐ患者が多数となり、そうなると新たな患者を病院が受け入れることができなくなってしまうため、軽症の患者は早く病院から追い出せと岡田晴恵は言う。きわめて乱暴に言い切る。しかも3月時点では、患者を宿泊施設に移せとは言わず、自宅に帰せと平気で言っていた。さらにその上、PCR検査で二度の陰性判定がなくてもよいと言うのである。「PCR検査しなくても構いませんから、軽症者は病院から出して下さい」と繰り返していた。実際、PCR検査での陰性判定なしに退院させられた患者がいて、自宅に戻った後に発熱し、再び検査で陽性となった例があり、検査確認せずに退院させられたことを恨んでいた。


本当に6月には感染は収束するのか - 岡田晴恵の安心理論_c0315619_13123915.png入院が長期化している軽症患者に対しては、PCR検査なしに退院させよという主張は、岡田晴恵の持論であり、現在でも岡田晴恵はそう言い続けている。その主張が目の前で行われても、玉川徹も、石原良純も、誰も番組の中で反論しない。異論を返さない。なぜこんな暴論が素通りするのか、よく理解できないが、岡田晴恵の頭の中では、どうやら、PCR検査は医療資源として限られた貴重なもので、数多く提供できるものではないから、必要な対象者を絞って実施すべきだという意識が根底にあるようだ。それは、実際のところ、尾身茂ら専門家会議と同じ考え方であり、PCR検査有限資源論の誤った発想と俗説である。したがって、玉川徹や岡田晴恵自身が唱えてきたところの、PCR検査増大論とは矛盾する考え方だ。岡田晴恵は、自己矛盾する二つの主張をずっと不安定に言い続け、それに対して誰もチェックを入れなかった。3月から、岡田晴恵の主張というのはテレビの中で無謬であり、絶対の信頼性のあるものと見なされ、誰も誤謬や矛盾をテレビで言う者がない。


本当に6月には感染は収束するのか - 岡田晴恵の安心理論_c0315619_13161811.png私の見方を言えば、おそらく、彼女の背後には感染研の非主流派の存在がある。非主流派の実務系の厚生官僚が付いている。アビガンを早く承認せよ、早期に軽症者に投与して重症化を防げという処方策は、彼女が3月頃から唱えていた柱の対策だ。私もこれに賛成だし、その主張が政策化されつつある現状を歓迎するが、この政策は、おそらく彼女の持論であるだけでなく、感染研の非主流派 - 脇田隆字と対立する一部 - が推進するものでもあるのだろう。PCR検査についての彼女の主張は、首尾一貫しているようでそうでなく、曖昧に言説が揺れてきた点は否めない。PCR検査はコロナ対策の基本の簡易検査であり、検査キットは需要に応じて大量生産と低コスト化が可能であり、増やせば増やすほどよく、その増大拡充には何の問題もないのだという、上昌広や児玉龍彦の明快な主張とは微妙に異なる要素があった。PCR検査を「限られた資源」とする含意を隠さなかった。今、言わば権力闘争に勝って、勝ち誇った彼女は無敵であり、語る言説の無謬の説得力は前にも増している。


本当に6月には感染は収束するのか - 岡田晴恵の安心理論_c0315619_13200273.pngすでに、コロナの言論における正義のシンボルと言っていい。その彼女が、感染は6月には収束するから安心だ、その間に秋冬の第二波に備えた体制構築を図れと幾度も述べるとき、テレビの前で疑う大衆はいない。果たして、感染の脅威が過ぎ去ったかのような、かかる安心理論を撒いて説教してよいのだろうか。ソウルでは、たった1日で54人の新たな集団感染が発生し、気の緩みへの戒めが言われている。不意に来たこの集団感染の追跡(クラスター分析)の範囲は、6000人から7000人と言われている。その数のPCR検査を一日で遂行して捕捉しないと、感染範囲はさらに数万人の規模になる。韓国・ソウルは、7000人のPCR検査を一日でできる。東京はできないだろう。油断禁物の今、岡田晴恵はなぜ警戒を敢えて緩める発言をするのだろう。そこに非主流派の感染研・厚生官僚の意図が何かあるのかと、訝しく疑って首を捻ってしまう。普通に考えれば、テレビに出る専門家は、国民のコロナへの警戒心が弛緩しないよう、夏になっても安心とは言えないと常識論を説くものだ。


何か動機や底意がなければ、岡田晴恵のような安心理論のシャワーにはならない。よっぽど感染収束に自信があり、裏で何かエビデンスを握っているのだろうか。6月収束説を岡田晴恵は急に言い出した感があり、それまで市中感染の蔓延を言い、最も強烈に危機感を表明していたのが急にブレーキがかかり、視聴者のわれわれは面食らった。面食らいつつ、何度も何度も岡田晴恵がそれを繰り返し、実際に新規感染者が減っているので、6月収束説はすっかり定説となってしまっている。岡田晴恵の説に従えば、第二波は秋に来るのだから、検査体制を含めた医療体制の整備は夏の間にやっておけばよいということになる。だが、お手本である韓国はすぐに始め、1週間から2週間、1か月の間に猛スピードで整備・展開して感染を収束させた。テンポが悠長に過ぎるのではないか。


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by yoniumuhibi | 2020-05-11 23:30 | Comments(2)
Commented by 机の整理 at 2020-05-13 21:59 x
全く同意です。コロナ対応についての岡田先生の意見には大体賛成だが、6月収束と秋冬再発を、あたかも既成事実のように断言し続けることは納得できないし、不自然さを感じてきた。アビガン連呼にも、軽症のうちにという意図は理解できるけれどもあまりにも早い段階からの断定と連呼には違和感がある。

モーニングショーの玉川さんについても大筋は賛成だが、最近、ロックダウンについてじわじわと自説を変えているのはずるいと思う。考えを変えるのはいいが、その時点できちんと言うべきだ。
Commented by 日本をうれえる男 at 2020-05-19 13:36 x
今も岡田女史は「6月収束」「安心」説の根拠を示さないが、なぜ説明しないのか。テレビ各社も問題だが、私は改めて日本の「専門家」たちのあり方を憂えざるを得ない。多数の医療過誤死者が出ているこの問題で一方的に「安心」説を流布されても一般市民は大迷惑なのだ。
もっとも、欧米の(白人の)専門家では、すでにコロナウィルスの流行は3月なかばに収束したと警告する学者が出ているそうだ。元チュービンゲン大学の疫学教授ヴィトコウスキー(下に動画)もそれで、欧米の専門家がこうして一般市民と共有したトップの知見は岡田、西浦、尾身等々といったカッコのつく日本の「専門家」もウラで視聴していそうだ(4月24日付、英語)。https://www.youtube.com/watch?v=k0Q4naYOYDw
ウィルスというものは感染スタートから40日でピークを迎え、70日後には大方、消滅するものだ、とテルアビブ大の教授が説いているが?と問われた場面(22分)では、ヴィトコウスキーも同意しているが、それが(白人の)専門家の「常識」ということらしい。……では何故、日本の「専門家」と安倍内閣は今も「緊急事態」を続けるのかが問題だ。すでに尾身某氏が60億円の国家予算をゲットした、と日刊ゲンダイが記事化する程だから想像はつくが、安倍内閣「緊急事態」は、コロナ利権を狙ったのであろう。保証も不足なため緊急事態は不評だし、21日で終了だとする向きもあるが、この3ヶ月で廃業した中小業者には今後も賠償はない。匿名の自民党幹部が「潰れる業者はコロナで潰す」旨の発言をした通り、惨事に便乗して安く不動産や株を買い占めるわけだが、行政、金融や政治屋が結託して庶民の財産(と生命)を奪おうと狙っても不思議はない。
安倍首相と懇意の富士フィルム社が拡販を狙うアビガン錠剤のPRも出来たし(薬害が知られている錠剤だが岡田女史も大いに宣伝)、一石で二鳥も三鳥も取ろうと安倍内閣は狙って、検察庁のいわゆる「黒川法案」も可決したかったろうが、皮肉にもこれは結局これは今週、流産した。この流産には「自粛」ブームで仕事を失いつつある芸能人も多数がツイッターデモで参加したことで世界的現象にもなったので特筆されるだろう。
岡田センセイも日本の「報道」も、そろそろ「6月収束」「安全」説のタネ明かしをすべき時だ。現代社会では「よらしむべし、知らしむべからず」は通用しないのである。


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