人気ブログランキング |

間に合わせで使い捨ての「基本方針」 – 尾身茂の裏切りと棄民の徹底

間に合わせで使い捨ての「基本方針」 – 尾身茂の裏切りと棄民の徹底_c0315619_15502234.png昨夜(24日)、NHKの7時のニュースに尾身茂が登場し、政府による新型コロナウィルス対策の基本方針が説明された。報ステなど他の報道番組でも横一列でダウンロードされた。その内容は、ここ1-2週間が感染症拡大を抑える瀬戸際だとして、次のことを国民に守るように要請している。(1)かぜや発熱などの軽い症状の場合は外出せず自宅で療養すること、(2)37度5分以上の発熱が4日以上続く場合は『帰国者・接触者相談センター』に電話して相談すること、(3)高齢者や持病のある人は2日程度症状が続く場合には検査を許可するので相談せよ。要するに、先週出した「目安」の対策と同じで、中身は何も変わっていない。新しい内容は何も入っていない。少し違うのは、軽症者への対応を厳しくして、軽症者の自宅療養を徹底し、医療機関のリソースは重症者のみにあてがうことを強調したことだ。何が何でも検査は行わない。下々は棄民する。



間に合わせで使い捨ての「基本方針」 – 尾身茂の裏切りと棄民の徹底_c0315619_15401418.png尾身茂は良識派を思わせる風貌と経歴で、言葉も誠実な印象の専門家らしさを当初は漂わせていたので、期待してよい医官かと思っていたが、すっかり裏切られてしまった。御用学者のトップに就任し、政府の「目安縛り」を国民に説教している。政府の無策を正当化する旗頭になってしまった。残念であり、腹立たしくもある。弁解するつもりはないが、私が尾身茂を評価して持ち上げたのは、野党がこの人物を取り込んで、政府側に対抗する有識者会議を立ち上げてもらいたかったからであり、戦後の憲法問題研究会のような団体を設立する政治をドライブし、すなわち、宮沢俊義や我妻栄の役割を担って欲しかったからである。政治学を学んだ者は、憲法調査会と憲法問題研究会の歴史は周知の事柄であり、憲法問題研究会を動かした事務局の若き参謀が丸山真男だったことを知っている。丸山真男は、政府側に対して説得力で勝つキーマンは保守のこの二人だと狙いを定めた。


間に合わせで使い捨ての「基本方針」 – 尾身茂の裏切りと棄民の徹底_c0315619_15402773.pngそして、二人の権威をオルグして見事に取り込んだ。結局、憲法調査会と憲法問題研究会との思想闘争は後者が制し、60年安保を通じて憲法9条が守られる展開になる。日本のコンセンサスは平和憲法の理念へのコミットとなり、それが世間に定着し、自民党政権も9条に指を触れられなくなった。岸信介らの右翼路線は反動の異端となり、改憲の策動はやんだ。丸山真男の勝利であり、戦後民主主義の歴史における知識人の戦勝記念碑の一つである。それを倣って、2月12日に拙稿『野党は感染症対策の追及と提案を』を書き、地べたから野党に策を授けたつもりだった。ところが豈図らんや、記事を上げた2日後、政府の方が先に専門家会議を立ち上げ、16日に会議を開いて例の「目安」を決定してしまう。その副座長に尾身茂が収まっていた。岡部信彦が構成員で入っている。その一週間前の2月9日の日曜討論では、尾身茂と岡部信彦は意見を異にしていて、尾身茂は全員検査が必要だという持論だった。


間に合わせで使い捨ての「基本方針」 – 尾身茂の裏切りと棄民の徹底_c0315619_15405446.png官邸と厚労省が一枚上手で先を越されてしまった。野党側に軍師がおらず、有効な献策をする者がいない。この頃、野党は「桜を見る会」のホテルの領収書問題に没頭し、安倍晋三の首を獲ったような気分に酔っていた。同じ頃、9歳の子どもが発熱し、熱が下がらないまま病院をたらい回しされ、肺炎と診断されて薬を処方されても熱が下がらず、ウィルス検査を断られ続けて9日間が過ぎている。驚くほど野党は無関心だった。感染症そっちのけで「桜を見る会」と「検察人事」に熱中した。政府の「目安」にせよ、「基本方針」にせよ、これでは感染拡大は止まらないことは自明の理であり、感染者が増え続け、重症者も比例して増え続ければ、病床が不足することは目に見えている。どれだけ感染者を病院へのアクセスから排除しても、感染者が増えれば、必ずウィルスは院内に侵入する。このことは何度も書いたので繰り返さない。岡田晴恵や玉川徹がマスコミでも言い、世論の中でも少しずつこの認識が広がってきた。


間に合わせで使い捨ての「基本方針」 – 尾身茂の裏切りと棄民の徹底_c0315619_16264790.png政府は今後1-2週間が瀬戸際だと言い、「多くの人と近い距離で対面する場所を可能なかぎり避けること」を勧告し、集会や飲食を伴う宴会を避けるように言っているが、一方、大相撲春場所はそのまま開催を認め、センバツやJリーグやプロ野球は全く歯止めをかけない。音楽やスポーツの興行には中止を要請しない。満員電車もそのままで、交通に規制をかけようとしない。TDLも上野動物園も通常どおり営業されている。都市を封鎖し、故宮も万里の長城も客の入場を止め、学校を無期限で休校してネットでの在宅教育に変えた中国とは大きな違いだ。地域住民の手作りの食のイベントを中止しながら、皇居での天皇誕生日の宴会飲み食いは盛大に敢行し、上級国民が勢揃いしてフルコースの午餐を堪能していた。すべて他人任せ・自治体任せにしていて、自己責任にしている。こんなことをやっていて感染のスピードが止まるわけがない。政府はとことん無責任で、国難に対処する責任当局たり得ていない。


間に合わせで使い捨ての「基本方針」 – 尾身茂の裏切りと棄民の徹底_c0315619_15463593.png今回の「基本方針」のやり方から推察できるのは、政府は今後1-2週間で明確に蔓延期の局面になることを知っているということだ。その予測とシナリオをすでに持っていて、そのときはまた新しい「対策」と称して、さらに無理で冷酷な棄民政策を国民に押しつけてくるのだろう。重症患者が急増して全国の病床がオーバーフローし、人工呼吸器が不足する事態も想定して、さらに感染者を医療の提供から遠ざける措置をとる計画なのに違いない。それを徹底しながら、感染者数の公式報告値を抑え込むのだろう。福島原発事故のとき、年間の許容被曝線量を1ミリシーベルトから急に20ミリシーベルトに変えて平然としたように、同じことをやって感染禍の日常を馴らさせる思惑だ。無論、そのときはこの「基本方針」でのピークカットが失敗したときだから、尾身茂の説教が結果的に失敗したことを意味する。その時点で、尾身茂は御役御免で表舞台から消える手筈だろう。ワンポイントの中継ぎ登板の対価は文化勲章だろうか。

不条理ばかりが積み重なり、ただ無駄に時間が流れ、政府の無理と虐待が押し通り、被害を受けた弱者国民が泣き寝入りさせられた9年前の原発事故を思い出す。同じことが繰り返されている。マスコミは告発せず、批判せず、逆に政府の隠蔽工作と慰撫工作の手先を務めている。夜のテレビに出てくるのは御用学者ばかりだ。丸山真男が「無責任の体系」として論理化し概念化した対象は戦前の日本だった。今、丸山真男が目の前の現実を見たら何と言うだろう。対象化した当時の現実など、今と比べたらよっぽどまともな責任性の要素が認められ、これが日本かと愕然として放心するのではないか。日本は湖北省化の道を突き進んでいる。



間に合わせで使い捨ての「基本方針」 – 尾身茂の裏切りと棄民の徹底_c0315619_15525844.png
間に合わせで使い捨ての「基本方針」 – 尾身茂の裏切りと棄民の徹底_c0315619_15423304.png
間に合わせで使い捨ての「基本方針」 – 尾身茂の裏切りと棄民の徹底_c0315619_15424161.png
間に合わせで使い捨ての「基本方針」 – 尾身茂の裏切りと棄民の徹底_c0315619_15424942.png
間に合わせで使い捨ての「基本方針」 – 尾身茂の裏切りと棄民の徹底_c0315619_15425659.png
間に合わせで使い捨ての「基本方針」 – 尾身茂の裏切りと棄民の徹底_c0315619_15430436.png

by yoniumuhibi | 2020-02-25 23:30 | Comments(4)
Commented by 七平 at 2020-02-26 11:33 x
如何に東大卒とは言え、経済専攻の厚生大臣にPCR検査の重要性等解るるわけがない。首相も東京都知事も一層この方面には無知であり、隠蔽政治に浸かりきった阿呆共は、本当に国民の健康と命を危険にさらし、粗末にしていると思います。 理解できないのであれば、理解できる人々にリーダーシップを与えるべきだと思います。政府の息のかかった慈恵医大中心の御用学者をかき集めても、政府の間違いを指摘し真の科学者、医学者として反論するとは思えません。
上昌広博士が言うように、”Dataが無いと状況が把握できない” とは当たり前の発言ですが、PCR検査を大規模に導入せねば、厚生省発表のコロナウイルスに関しての感染Dataは過小評価、又、信憑性が無いものになります。韓国、イタリア、イランでの感染件数の拡大は報じられていますが、それらは彼らがまともに検査をしている証拠でもあります。
ウイルスは時間と共にMutate (遺伝子の組み換え突然変異) を起こしがちで、それらの変異を探知する為にも、随時PCR検査を続ける必要があります。 頭隠して尻隠さず、いずれ世界は日本の実情を把握し、科学大国ニッポンの名は、小保方並みと言う事になるでしょう。
Commented by あらん at 2020-02-27 08:47 x
大阪のバスガイドさん、この方も1月の段階で検査してもらえるまで、数回病院に行かれています。昼間は乗務し、仕事が終わって病院という生活を続けて、やっと検査してもらえた。軽症の段階で治療できていれば、と思います。
私は、関係者は五輪中止を決意して、5月に中止を発表するから各団体覚悟してね、ということだと受け止めました。ニューヨークタイムズにも、日本の首相、行政、専門家のだらしなさを批判して、五輪をできるのかと批判的な論説が出ていますし。
仰るように、野党ならこの件をさばけたかというと、無理だと思います。そもそも野党のアナウンサー上がりとかそんなんじゃ無理です。蓮舫も言ってることが滅茶苦茶でした。
仰るように、文大統領の指揮する韓国は、感染者への金銭的な補償含めて、素晴らしい政治を行っています。台湾も素晴らしい行政を展開しています、38歳のIT担当大臣が、国民が等しくマスクを買うシステムを作ったのはその一例です。日本は中国、韓国、香港、台湾に大きく差をつけられて、アジアの最低レベルに堕ちました。
舛添が政治を仕切り、上先生、岩田先生が医療を仕切るくらいでないと、この難局は乗り切れないんですよ。こういう難局を乗り切るには、かなりの頭脳が必要です。それができる政治家は、今の日本にはいませんね。
Commented by 賀竜 at 2020-02-27 10:35 x
新型コロナウイルスについてPCR検査が進まない背景に、ご指摘の東京オリンピックへの悪影響のほかに、2020年4月からの実施に向けて現在進行中の診療報酬改定があると思われます。

日本の公的医療保険は診療報酬点数の合算によって医療費を算出しますが、この診療点数を2年に1回見直すのが診療報酬改定で、現在、点数を上げたい医療側と医療費を抑えたい厚労省とで現在激しいつばぜり合いを行っている最中です。そうした中で新型コロナウイルスなどは厚労省にとって突然降って湧いた厄介ごとで、PCR検査を医療保険に組み込んでの実施などを検討できる状況ではない、というのが正直なところでしょう。

団塊の世代が後期高齢者を迎える時期をさして「2025年問題」と言われますが、厚労省としては国民医療費の増大が予想される2025年に向けて、できるだけ入院させない、可能な限り在宅で療養させる、薬も検査も使わせない、そうした医療システムを「地域包括ケアシステム」と称して普及を進めているところで、厚生官僚としては、そうした大きな流れの中に、保健医療によるPCR検査など、なんともはめ込みにくい、というのが本音と思われます。厚生官僚がそうであれば、政治が動かすべきですが、ご案内の通りです。
Commented by 賀竜 at 2020-02-27 13:24 x
お取り上げいただきありがとうございます。補足すれば、モーニングショーの玉川氏の言うように、民間検査センターでPCR検査を行うことは十分可能です。しかし、4月からの診療報酬改定に向けて、検査点数の1点2点を巡ってせめぎ合っている今この段階でそれを要請すると、厚労省は臨床検査業界に大きな借りをつくることになります。2025年に向け医療費を少しでも下げたい厚労省としては絶対つくりたくない借りでしょう。


カウンターとメール

最新のコメント

先述のコメントの補足にな..
by 七平 at 03:58
嘘をつくと必ずその嘘に対..
by 七平 at 02:41
都内在住の方(現在陽性で..
by さわ at 23:32
コロナ感染症で死者、重篤..
by スナック at 16:21
今日、米国立衛生研究所の..
by 長坂 at 09:32
言は近くして指(いみ)の..
by Mr.T at 00:47
日本人なら誰でも知ってる..
by 案の定増えてきましたね at 22:06
おそらく、隠蔽から露呈へ..
by 隠居4年目 at 23:36
文科省が提示した新学期か..
by カプリコン at 20:57
田中さんの記事の最後にあ..
by 七平 at 05:56

Twitter

以前の記事

2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月

記事ランキング