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検査を受けさせない日本政府 - 感染者数をコントロールする「水際対策」

検査を受けさせない日本政府 - 感染者数をコントロールする「水際対策」_c0315619_16465532.png新型コロナウィルスの感染が拡大し、遂に武漢から遠く離れた浙江省南端の沿岸都市・温州が封鎖される事態となった。3日の中国の感染者数は1万7205人、死亡者は361人となり、死亡者は前日2日の304人から50人以上増えている。先週の状況を見ると、感染者の増加は一次関数的な直線のグラフで推移しており、この種の感染症でイメージされる、爆発的拡大を示すパニック的な曲線のカーブを描いていない。いわば着実に増加している。その理由について、中国当局が感染拡大をよく防いでいるからという見解がある一方、検査態勢のキャパシティの限界が数字の伸びを抑えているのではという見方もある。おそらく後者だろう。武漢以外の都市や省の数字は、医療保健機関が厳密に検査した確実な統計データに違いないが、武漢市内のパンデミックは正しく捕捉されておらず、発表される日報の数値によく反映されていないものと思われる。武漢に窓口が足りず、医師が足りないからだ。



検査を受けさせない日本政府 - 感染者数をコントロールする「水際対策」_c0315619_15060792.pngこのコロナウィルスの検査には時間がかかる。1日のTBS報道特集で膳場貴子が取材していたが、喉の奥から検体を採取して試験管内に入れ、PCRという方法でウィルスのRNAを検出・測定する。作業工程に3時間を要すると説明していた。検査キットや検査医務に従事する医師の不足が、中国(特に武漢)での感染者の確認数を限界づけているのだろう。病院で診てもらえず溢れている患者がいて、その保菌者がまた感染を拡大させている現実がある。武漢の人口は1100万人。武漢から帰国した日本人565人のうち8名が感染していたので、この調査結果からは感染率が1.4%となる。この数字を武漢全体に適用すると15万4千人が1月末での感染者数と見込まれる。香港大の研究チームの分析では、1月25日までの武漢の感染者数は7万5815人と推定されていた。実際に発表されている数とは桁違いであり、すなわち、先週、武漢の感染者の10人に1人以下しか検査を受けられなかった状況が想像できる。


検査を受けさせない日本政府 - 感染者数をコントロールする「水際対策」_c0315619_15070035.png先週木曜の30日、報ステで一つのニュースが放送され、週末にかけてネットで話題になり議論が盛り上がった。武漢から自力で帰国した男性が37度の熱を出し、検査を希望して自治体窓口に問い合わせたところ、「熱だけではウィルス検査はしない」と言われ、熱と咳の両方の症状がないと受検できないと拒否されるケースが起きていた。3日現時点で、日本での感染者は20名であり、武漢からの帰国者8名を除く感染者は12名で、その中で日本人は1名しかいない。残りはすべて中国人であり、武漢からの渡航者でほぼ占められている。日本人の発症者・感染者の数が少ないなという感覚を持っていたが、ウィルス検査の実態がこのようなものだと知って驚愕させられる。不安で検査を求める日本人を門前払いで排除していた。先週のニュースで、厚労省内に開設した問い合わせ窓口の回線が3本しかなく、電話をかけても全く繋がらない不具合が報じられたけれど、この件と符牒が合う事実だ。政府は真面目に感染防止に取り組んでないのである。


検査を受けさせない日本政府 - 感染者数をコントロールする「水際対策」_c0315619_15124941.png先週まで、検体検査は全数が武蔵村山の国立感染症研究所に搬送して行われていて、そこしか検査態勢がなく、政府が検査対象を意図的に限定していた可能性が高い。先週前半までは、武漢から来日した中国人のみに絞って検査を実施し、先週後半は帰国した日本人のスクリーニング検査に集中したのだろう。それ以外の検査は受け付けず、条件に該当しないとして強引に拒絶していた。武漢帰国者の検査は1日200人だから、それが国立感染症研のリソースの上限だったと憶測される。おそらく、厚労省の電話窓口は単なるアリバイ行政で、自治体窓口も追い払い専門で、本当に感染症研が実働する案件は、内閣官房からの指示で決まっていたのだろう。厚労省(健康局?)には、各地の保険所から寄せられた検査希望案件が積み上がっていて、リストが作成されているのに違いない(廃棄の心配があるが)。いずれにせよ、政府が感染者の数をコントロールしている疑いは濃厚で、検査能力や隔離態勢の不備を理由に、検査をせず、そのまま放置している可能性が高い。


検査を受けさせない日本政府 - 感染者数をコントロールする「水際対策」_c0315619_15080264.png検査をしなければ感染者数は増えない。病院に行っても、通常の肺炎と診断され処置されればそれまでで、死亡しても新型コロナウィルスの死亡者にはカウントされない。この国の政府は、原発事故でメルトダウンしていてもメルトダウンしていないと強情に否定し、2か月以上もその事実を認めようとしなかった。今、どうやら同じ悪質な隠蔽が起きていて、国民と国際社会を騙している。日本国内には多くの感染者がいて、日本人は検査を受けられないまま、中国人は検査を免れたまま、市中に放置されているのだ。2日夜のBS朝日の報道では、中国当局が把握して発表した数によると、1月に武漢の空港から日本に出発した中国人は1万8000人に上っていて、成田・名古屋・関西と到着地別の内訳まで詳しく報告されていた。1万8000人に感染率1.4%を掛けると252人になる。この252人のうち10名弱が、日本で感染した数に含まれている。252人は日本に滞在し、観光地を徘徊し、観光バスで移動し、スーパースプレッダーが日本人運転手に二次感染させていた。


検査を受けさせない日本政府 - 感染者数をコントロールする「水際対策」_c0315619_15054741.png政府はなぜこのような隠蔽と不作為に励むのか。その理由は、日本が中国からの外国人の入国を全面禁止していないことと関係があると思われる。なるべく感染が広がってないように見せかけたいからであり、中国からのインバウンド需要を落ち込ませたくない思惑があるからだろう。中国からの団体旅行は中国政府が禁止したが、個人旅行は依然として続いている。日本が禁止したのは湖北省滞在歴のある者と湖北省発行の旅券保持者だけだ。中国からの個人の渡航は認められている。中国人富裕層からすれば、どれほど資産を持っていても肺炎に罹って死んだら元も子もなく、安全な日本は垂涎の逃避先に他ならない。日本が脱出口を開けて吸収するかぎり、中国からの「富裕難民」の流入は続いて、日本国内の感染者は(隠蔽下で)増えてゆく。それと、感染者数を安倍晋三の「アンダーコントロール」に置き、大本営発表の数で管理する目的は、東京五輪のリスクに対する欧米からの不安視をかわす狙いがあるはずだ。1月27日の首相動静を見ると、夜に森喜朗が公邸を訪ねてきて2人で晩飯を食っている。


検査を受けさせない日本政府 - 感染者数をコントロールする「水際対策」_c0315619_15081925.png高齢の森喜朗が夜中に公邸で立ち回るのは珍しいことで、東京五輪に関して重大な謀議・密談があったものと窺われる。新型コロナウィルスの問題しか考えられない。香港大の研究チームの試算では、新型コロナウィルスが猛威を奮って感染拡大のピークとなるのが4月5月であり、このとき、重慶では1日に15万人が新たに感染すると指摘されている。北京や上海でも1日5万人が感染者となる。そうしたとき、今のように中国に門戸開放して入国(脱出)を許し続けている日本が、果たして北京や上海と同じ惨状にならないと断言できるだろうか。もし香港大の予測が的中する進行になれば、東京五輪は間違いなく中止の危機を迎えるだろう。今、政府は検査を妨害することで感染者数を抑え込むという欺瞞をやっている。そのことによって国民と国際社会を騙し、発表する「感染者数」を低く抑えている。日本は安全だという素振りを演じ、中国との交通と交易を続け、経済的な打撃を回避している。だが、いずれ、遠からず日本も米国やシンガポールを倣い、中国からの外国人入国を一律に禁止せざるを得ないだろう。


日本政府の「水際対策」とは、検査希望者を自治体や保健所の「水際」で食い止め、検査を受けさせないようブロックし、感染者の数を増やさないようにすることだった。


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by yoniumuhibi | 2020-02-03 23:30 | Comments(3)
Commented by Koike at 2020-02-03 22:21 x
いくつも論点がねじれているので、ややこしいですね。まず、政府(安倍政権)の対応を中心において見ると、それがネットの極左・極右両極から挟撃されているという構図になっています。ところが、大手メディアは政府に厳しい対応をしろという趣旨の要求はしていない。ネットで話題の、毎日新聞の " 新型肺炎 自民「中国人入国拒否を」 対策本部、暴論 " という記事が象徴的であって、朝日新聞もおそらく同じ意見でしょう。つまり、政府と大手メディアがタッグを組んでいる状況なわけです。玉川徹などは跳ねっ返りにすぎない。野党もやはり、「全面禁止しろ」とは言いにくい。日曜討論で、国民民主党の政治家がぼんやりとそういう趣旨のことを言っていたが、共産党の田村智子などは日曜討論で「水際対策を厳しくしすぎると不安を煽る」とまで言っていた。これでは政府にプレッシャーにはならないですね。

ネットも、名前を出している左派は、移民賛成派のグローバリズム礼賛なので、「入国禁止しろ」とは口が裂けても言えないでしょう。
Commented by 愛知 at 2020-02-04 00:23 x
タイ・インター・日航共同便でタイから帰国の折。私は高熱(具体的には悪寒)と下痢が続いて。機内に体温計はなく、額に貼り、緑、黄、赤と色が変わるというシールのみ。バンコク24時、名古屋08時着便。「お客様の中にお医者様は~」の呼び掛けに医師不在。名古屋着陸後、「お客様の中に急病人が。検疫官の到着まで、機外へは出られません」と。ビジネスクラスだったため、後方からの刺すような視線を感じて。パーサー(男性)が来られ、「お客様、口は固いですか?すぐに病院での受診、お願いできますか」と。口は固いし、すぐに受診とと答えたところ、検疫質問書に、すべて異常なしと書いて、入国(帰国)するようにとアドバイスが。お陰で検疫官の到着(出勤)を待つまでもなく、全員機外へ。入国後の検査でボツリヌス菌中毒と判明。甚だ個人的な体験で恐縮ですが、日本の検疫って、このくらいですから。
Commented by 北海道人 at 2020-02-04 14:09 x
現時点での死者数約400人を推定感染者数が15万4千人で割ると致死率は0.26%で、ほぼインフルエンザ並みと考えられる。発表された死者数に問題があるのかもしれないが、もう少し冷静に状況を見守るべきではないか。


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