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山本太郎は何を考えているのか - れいわ新選組プロス・アンド・コンス

山本太郎は何を考えているのか - れいわ新選組プロス・アンド・コンス_c0315619_13420633.png山本太郎の戦略は何なのか。参院選が終わった後、8月上旬、私は山本太郎に二つのことを提起した。一つは、幹事長を選んで党の組織体制を構築せよということであり、もう一つは、政策構想を纏めた本を出してベストセラーにせよということである。秋までにれいわを支持率5%の政党に育てるよう要望し、提案を出した。そこから4か月以上経ったが、残念ながらこの声は山本太郎の耳に届かなかったようだ。政党としてのれいわは夏のままであり、山本太郎の小さな個人商店が開業したままの状態にある。全国の党組織の建設はおろか、幹事長も執行部も立ち上がっていない。政党としての活動方針が未だ示されていない。HPの中に綱領と規約が書かれているが、中身を見ると、およそ政党の綱領と規約の体を成していないことが分かる。まるで幼稚園児のお砂場遊びだ。綱領は、巷で流行の言葉を用いればポエムである。



山本太郎は何を考えているのか - れいわ新選組プロス・アンド・コンス_c0315619_13423422.pngシンプルと言うにはナイーブすぎる。綱領はこれでもいいかもしれないが、規約は問題にしないわけにはいかない。重大な問題が幾つもある。まず、党員の規定がない。党員という存在を認めておらず、その代わりに「構成員」を置き、国会議員及び国会議員予定候補者の構成員で党を成り立たせる仕組みにしている。構成員で「総会」を開き、それを議決機関(最高意思決定機関)としている。予定候補者は「代表」が決めるとあり、要するに、党の全権を山本太郎が握っていて、山本太郎の意思以外は党の組織決定に反映することがないのだ。事実上、組織としての規約はないも同然であり、この規約を政党の規約として認めてよいかどうか私には疑問である。一般市民はれいわ新選組の党員になることができない。党の理念を共有し、党の議決・意思決定に参加することができない。党(=山本太郎)の支持者か支援者にしかなることができない。


山本太郎は何を考えているのか - れいわ新選組プロス・アンド・コンス_c0315619_13425641.pngこの綱領と規約を見て、そして4か月間の行動を見て、何が言えるかというと、山本太郎の本心において本格的な政党を作ろうとする意思がないということだ。全国に支部と党員を持ち、地域に根を張って支持を集め、野党第一党となり、政権与党になるような、そうした政党を作り上げるという構想や計画を持っていない。れいわ新選組はテンポラリーな政党であり、自分の意向で適宜方向性を決め、改廃ができる身軽な暫定政党であり、その性格のままで運営を貫く思惑だろう。小沢一郎の政党論や政党運営が下敷きになっているのではないか。類似性を看て取ることができる。が、だからと言って、山本太郎が遊び半分や冗談で政治をやっているのかというと、そうではなく、本人には首相になるという野望がある。その野心と目的は本物だ。つまり、山本太郎は、れいわを国会の過半数の与党にして首相になるのではなく、別の形で首班指名される図を思案している。


山本太郎は何を考えているのか - れいわ新選組プロス・アンド・コンス_c0315619_13431435.pngそれは、具体的には、細川護熙のような図であり、もっと言えば、自民党議員票が割れて、野党から推されて首班指名候補に立った山本太郎に、自民党の反主流派が票を入れて首班選出されるという展開が想定されているのだろう。自民党が割れて、そのとき旋風を起こして人気者となった山本太郎に票が入り、想定外のダイナミズムと政局波乱の力学の中で山本太郎政権が誕生するという図式である。普通に考えれば、突拍子もない荒唐無稽な絵だが、本人と参謀は大真面目に考えていて、だからこそ、馬淵澄夫に接近して怪しい蜜月関係を組んだり、高橋洋一を招聘するというデモンストレーションを演じるのである。意図的・戦略的にやっていて、右にウィングを伸ばす態度を見せ、自民党議員や自民党支持者たちに自分を売り込んでいる。片方の顔は保守層に向けてメッセージを発信している。舩後靖彦を公認して国会に押し込んだという決定は、決して偶然でもケアレスミスでもないのだ。


山本太郎は何を考えているのか - れいわ新選組プロス・アンド・コンス_c0315619_13440035.png山本太郎の参謀とは誰なのか。私の観察と推測では二人いて、小沢一郎と斉藤まさしである。この二人の策士が山本太郎に知恵を授けていて、山本太郎は信頼する二人からの助言と指導を受けて党運営と政治活動を切り回している。斎藤まさしはニューズウィークの誌上(10月29日)の中で、選挙活動への直接の関与は否定しているが、「僕が今まで一緒に選挙をやってきた人たちが(れいわの選挙の)軸になっている」と内情を語っている。この証言で十分だ。山本太郎の選挙運動にどれほど斎藤まさしの影響が色濃いかは、政治の素人でも簡単に分かることだろう。小沢一郎と斉藤まさしが何を考えているかを分析すると、山本太郎とれいわ新選組が次にどう動くかが透視できそうな気がする。本格的な政党は立ち上がらない。立憲民主をリプレイスする野党はできない。山本太郎の役目は、小選挙区の選挙で野党の候補を勝たせることである。野党共闘のシンボルになり、風を起こすことだ。


山本太郎は何を考えているのか - れいわ新選組プロス・アンド・コンス_c0315619_13445998.png悪く言えば選挙屋。良く言えば選挙カリスマ。今夏の参院選と同じドラマを、再び、大規模広範囲に起こし、自民現職の接戦選挙区をひっくり返し、自民党の議席を減らすこと。それが、れいわの衆院選での目標と使命である。その戦略ピクチャーは小沢一郎によってデザインされており、立憲の枝野幸男も共産の志位和夫も共有している。三者で齟齬は全くない。現在、消費税率をめぐって立憲とれいわの間に政策対立があるように言われ、しばき隊などによって過剰に演出され、れいわ叩きのプロパガンダが敢行されている。が、選挙が始まれば、税率公約の数値は収まるところに瞬時に収まるだろう。れいわが100人の小選挙区候補を独自に立てるという話はブラフであり、立憲・国民を消費税5%に引き寄せるための、そして消費税を選挙の争点に設定するための政治工作である。真に受けて口を尖らせる必要はない。選挙のシンボルとして山本太郎が必要なのは、誰よりも枝野幸男と志位和夫なのだ。


山本太郎は何を考えているのか - れいわ新選組プロス・アンド・コンス_c0315619_15303491.png綱領と規約を見れば、れいわはおよそ政党と呼べない組織であり、信頼を置くに値しない実態であるに違いない。しかし、次の衆院選で安倍自民の議席を減らし、安倍政権をレイムダックへと追い詰めるにあたっては、現状の野党側の戦力を見たとき、反安倍勢力を強烈にエンカレッジできる山本太郎の実力に頼るしかなく、山本太郎に奮闘活躍してもらう必要がある。シンボルとしての山本太郎への期待を大衆の中でマキシマムに増強する必要がある。そのことによって、普段は投票に行かない無党派層を選挙へと動機づけ、投票率を上げ、選挙の戦いの土俵を根底から変えることを模索しなくてはならない。山本太郎の街宣には、相変わらず黒山の人だかりができていて、夏の参院選の頃の熱気が衰えていないことが分かる。この無党派の人々は、枝野幸男や志位和夫の演説には耳を傾けることなく、既存の野党には何も期待をしていない。自分の意思を政治に反映させるためには、山本太郎に賭け、れいわの勢力を拡大するしかないと考えている。


マスコミの取り上げ方如何で、山本太郎は選挙の主役となってブームを起こせる可能性があり、そのときは、全国の接戦小選挙区で、優勢視されていた自民現職の襟首を野党新人が最後に摑んで引きずり落とすという、参院選の宮城選挙区でのミラクルの再現が期待できるだろう。



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by yoniumuhibi | 2019-12-25 23:30 | Comments(0)


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