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日本会議による日本会議のための「国民祭典」と即位礼儀式

日本会議による日本会議のための「国民祭典」と即位礼儀式_c0315619_15085423.png新天皇の祝賀パレードを生中継した映像で、少し気になったことがあった。車列はコースの右側車線を走っていて、道路の左側車線が空けられ、そこに一般の見物客を集めて幾重にも列を連ねている。左側車線とその外側の歩道に多くの人垣ができ、群衆の塊で埋まる図になっていて、センチュリーの座席の左に座った新皇后が手を振るのを眺める形になっている。その群衆の後方に並んだ者には、前方の景色は人の頭ばかりで何も見えないだろう。ところが、右側車線の歩道上にも見物客はいるのである。数は少ないが、日の丸の小旗を振りながら車列を間近で見る者たちがいる。近い距離から新天皇に接する位置に立っていて、列は2列か3列ほどしかない。右側車線の歩道に陣取った者は、全員がパレードをよく見ることができただろう。右側車線の歩道上に並んだのは誰で、果たしてそれは偶然だったのだろうか。差別なく機会平等だったのだろうか。



日本会議による日本会議のための「国民祭典」と即位礼儀式_c0315619_15091436.png誰だって車列に近い有利な位置に陣取りたい。どう考えても、右側車線の歩道上が1等席で、車列から遠い左側車線とその歩道上の方が2等席である。左側車線の最前列に並ぶため、参観客は7時間も前の早朝から場所取りをしていた。NHKのニュースでは、手荷物検査の後で警察官が見物客の群れを誘導している。思い出したのは、国会前や官邸前のデモに行ったとき、デモの中心に近づけないように、わざと警察官が反対方向に誘導していた経験だった。あくまで単なる疑念であり、しばき隊と右翼から「陰謀論」のレッテル攻撃が飛んできそうな憶測だが、警察官は一般客を2等席である左側車線の側に押し込んでいたのではないだろうか。右側の歩道空間へは、普通の市民は行きたくても入れず、通行を規制されていたのではないか。誰が右側の歩道上の1等席を確保できたのかというと、政府に事前に選ばれた1等国民と邪推するしかない。官僚の家族とか、自民党関係の縁故とか。


日本会議による日本会議のための「国民祭典」と即位礼儀式_c0315619_15094824.png岩田明子が何度も念入りに強調したように、この祝賀パレードを含む一連の即位礼の儀式は「国事行為」であり、政府が式典の企画運営を管理する行事である。岩田明子の意地悪な視線と口調が、まさにその陰険な本音のメッセージを伝えていたが、要するに、この皇室行事は一切を安倍晋三が仕切っていて、式の様式も進行も招待客も、テレビで語る原稿 - キャスターとコメンテーターの空疎な口上 - も、すべてが安倍晋三の指示と意向で準備し配置したものなのだ。安倍晋三のイベントなのであり、新天皇・新皇后は出汁で飾りの木偶人形に過ぎない。直截的に疑いを言えば、左側車線の群衆が2等国民で、右側車線の者が1等国民なのであり、さらに、即位礼正殿の儀や饗宴の儀に招待された2500人とか2600人のうち、外国賓客300人を除いた2300人ほどが、現在の日本国の特等国民(上級国民)なのである。平安時代で言えば、(道長が恣意的に選んで)昇殿を許された殿上人。


日本会議による日本会議のための「国民祭典」と即位礼儀式_c0315619_15101030.pngその名簿は公開されてないが、野党にはぜひ、国会で政府に名簿提出を要求してもらいたいし、どういう基準と条件で出席者が選考されたのか質問してもらいたい。というのは、この政府主催の「国事行為」の式典も、どうやら、例の田村智子が追及した「桜を見る会」と同じ私物化の疑惑の臭いが漂うからである。即位礼正殿の儀の後、テレビで、櫻井よしこと薮中三十二が皇居に招かれた事実を自慢げに漏らす場面があった。果たして、前川喜平(元文科事務次官)は招待されたのだろうか。まさか、百田尚樹や金美齢や見城轍や秋元康が招かれていたということはないだろうか。櫻井よしこが選ばれた理由と根拠は何だろうか。
ジャーナリストの地位と業績で櫻井よしこが選ばれるのなら、2011年度日本記者クラブ賞受賞の国谷裕子が選ばれてもおかしくない。安倍晋三のお気に入りの者だけが選別され、数十年に一度の国家行事である、新天皇の即位披露宴に侍る特権待遇を得た可能性を否定できない。


日本会議による日本会議のための「国民祭典」と即位礼儀式_c0315619_15102556.png前日(9日)の「国民式典」は不気味で、「天皇陛下万歳!」の唱和が延々とリフレインされる映像に背筋が寒くなった。戦後の日本は、こうした情景が二度と再現されることのないよう、あらゆる方面で苦心し、厳重に戒めを行い、真剣な教育活動を積み重ねてきた社会のはずだった。こうした戦前の亡霊が公に復活することを求める勢力も存在したが、それは少数異端の右翼で、社会のつまはじき者でしかなかった。ネットの情報では、あの伊吹文明の万歳三唱の後に続いた「天皇陛下万歳!」のエンドレス・コールは、ハプニングではなかった。式典の広報事務局が「予定通りに行われたものです」と答えている。最初から式進行にプログラムされたものだった。「国民祭典」の主催は天皇陛下御即位奉祝委員会である。その国会議員連盟の幹事長は古屋圭司(日本会議国会議員懇談会長)で、事務局長は首相補佐官で創世「日本」事務局長の木原稔だ。要するに、安倍晋三と日本会議が全般を差配していて、毒々しい極右色で全体を染め上げている。


日本会議による日本会議のための「国民祭典」と即位礼儀式_c0315619_15103818.png天皇陛下御即位奉祝委員会の役員名簿を見ると、代表世話人の中に、櫻井よしこと田久保忠衛と藤原正彦の名前がある。神社本庁総長の田中恆清の名前もある。事務総長は日本会議理事長の網谷道弘だ。典型的な日本会議メンバー。9日の「国民祭典」は、日本会議が企画し主催した国家神道の巨大イベントだった。だから、伊吹文明が「第126代」などと言い、執拗に「天皇陛下万歳!」のフレーズをリピートしてNHKに放送させたのである。「国民祭典」などと、「国民」を僭称しつつ、日本会議による国家神道の祭典だったのだ。まさに靖国神社イデオロギーの噴出劇場に他ならない。なまじ政府主催でなく民間主催の形式だから、ここぞとばかり、
溢れんばかりのエネルギーで過激に遠慮なく右翼色を押し出していた。そこに国会議員連盟の名前を持ってきて、また、財界団体や各界代表の名前を配置して、中立性の表象と正当性の根拠を巧みに偽装工作している。その右翼ショーを、有働由美子と谷原章介が司会していた。二人とも右翼に違いない。


「国民祭典」は政府が後援しているから、やはり十億円単位の税金が使われている。日本会議による壮大な国家神道イデオロギーの刷り込みのために、巨額の税金が使われ、公共放送が利用されている。奇異に思い、不満に感じるのは、国家神道を批判したり、天皇制に反対する著名な学者や知識人が、この日本会議による一連の戦前天皇制復活イベントに対して糾弾の声を上げないことである。島薗進も、子安宣邦も、辺見庸も、何も発言せずに黙りこくっている。時間差を置いて何か意見を言うのだろうか。唯一、原武史だけが現場に足を運んだ観察を、わずか2個のツイートだけだが上げていた。か弱く、細々と、控えめに。誰もこの暗黒と狂気を告発せず、恐怖と憤りの気分を代弁してくれない。


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by yoniumuhibi | 2019-11-11 23:30 | Comments(8)
Commented by 酒呑童子 at 2019-11-11 17:18
反対車線に案内された特別扱いの見物客の存在、企画委員会の幹部連中に右翼が勢ぞろいという事実、よくぞおぞましい事実を勇気をもって指摘してくださいました。私もテレビの中継を見ていて、伊吹文明の万歳が終わった後にさらにエンドレスに続いた「テンノーヘーカ、バンザーイ!」になんという時代錯誤と違和感を覚えました。あれが始まったとたん、たしかに雅子妃自身にも戸惑いの表情が浮かんでいました。国民全体による祝福などではなく、安倍とその幇間、一握りのハイソな上級国民、狂信的な右翼連中、ミーハーな国民(「いた!見えた!」などと天皇皇后への敬語もろくに使えず、スマホを向けて浮かれる人たち)によるバカバカしい狂乱でした。
Commented by 宇津木洋 at 2019-11-12 14:42
私は、今回の天皇即位パレードのテレビ中継は見る気になりませんでした。毎年のように自然災害が頻発している中で、大金を注ぎ込む祝賀行事に強い違和感を持っているからです。
秋篠宮殿下が以前大嘗祭の予算について話されたことがありました。費用を抑えようと考えられた殿下のおっしゃるとおりと思いました。
結局、ニュース番組でパレードと祝賀行事を平成の時のような感慨もなく見ましたが、天皇陛下バンザイには何とも言えない不気味なものを感じました。
祝賀会が首相主催となれば、やはり日本会議が中心となっていたのですね。祝賀会に呼ばれる方も首相の関係者、パレードの特等席もご指摘のとおりと思います。
批判されることや真正面からの議論が嫌いな首相ですから、気心の知れた方だけになりましょう。
祝賀会が私的な会であれば、ご勝手にとなりますが、税金による公金で賄われる訳ですから、私的利用と取られる行為は許されることではありません。
特に、国民の代表の中の代表なのですから尚更です。
今後とも、ご教示よろしくお願いします。
Commented by 酒呑童子 at 2019-11-12 18:42
先のコメントにつき一部訂正をいたします。「反対車線」というのは「反対側の歩道」の間違いでした。すみません、失礼しました。

それから、伊吹文明の万歳に続いて起きたエンドレスの「テンノーヘーカ、バンザーイ!」に対して私が感じたのは、正確に表現すれば、単なる「時代錯誤」と言うよりも、「戦前回帰の狂気、歴史への無反省」と言うべきものでした。

「象徴天皇制」は戦前の「神権天皇制・絶対天皇制」への根本的反省と制度的・精神的断絶の上に成り立つべきものですが、今回現出したのそうしたものがまったく感じられず、まさに「戦前の光景」だったのです。だからこそ不気味であり、祝意どころか怒りや不快感に襲われてしまったのでした。

また、この戦前の光景とともに恐ろしいのは、ブログ主様がおっしゃるとおり、今回の件に対して自覚的に批判的な言説を発すべき勢力が、あまりにも無自覚なのか、はたまた臆病なのか、なんらかの打算がはたらいているのか、この状況に対しひどく同調してしまっていることです。このことも本当に恐ろしい状況です。
Commented by 愛知 at 2019-11-12 22:36
秋雨煙る明治神宮外苑競技場。全日本学徒が多年(音声中断)、武技を練り、(音声中断)技を競ったこの聖域に、10月21日朝まだき、出陣学徒壮行の式典、厳かに挙行(音声中断)。大君に召されて戦いの庭に出で立つ若人。今日こそは省みなくてはるかに宮城を遙拝(ようはい)し奉る。「奏上、内閣総理大臣閣下に対して敬礼、頭、右、直れ。」〈東條内閣総理大臣〉「御国の若人たる諸君が勇躍学窓より、征途に就き、祖先の遺風を昂揚し、仇なす敵を撃滅をして皇運を扶翼し奉るの日は今日(こんにち)来たのであります。大東亜十億の民を、道義に基づいてその本然の姿に復帰せしむるために壮途に上るの日は今日(こんにち)来たのであります。私は衷心より諸君のこの門出を御祝い申し上げる次第であります。もとよリ、敵米英におきましても、諸君と同じく幾多の若き学徒が戦場に立っておるのであります。諸君は彼等と戦場に相対(あいたい)し、気魄(きはく)においても戦闘力においても必ずや彼等を圧倒すべきことを私は深く信じて疑わんのであります。」〈学生〉「学徒出陣の勅令、公布せらる。予(か)ねて愛国の衷情を僅かに学園の内外にのみ、迸(ほとば)しめ得たりし生(せい)らは、ここに優渥(ゆうあく)なる聖旨を奉体して、勇躍軍務に従うを得るに至れるなり。豈(あに)、感奮興起せざらんや。生ら今や、見敵必殺の銃剣をひっ提げ、積年忍苦の精進研鑚を挙げて悉(ことごと)くこの光栄ある重任に捧げ、挺身以て頑敵を撃滅せん。生らもとより生還を期せず。誓って皇恩の万一に報い奉り、必ず各位の御期待に背かざらんとす。決意の一端を開陳し、以て答辞となす。昭和18年10月21日、出陣学徒代表。」〈東條内閣総理大臣〉「諸君のめでたき征途にのぼれるところの第一歩にあたります。諸君とともに聖寿の万歳を心の底から三唱いたしたいと思います。天皇陛下、万歳、万歳、万歳。」「万歳、万歳、万歳。」
NHKのアーカイブズから引用。1943年(昭和18年)と同じ世相に。「『嵐』とともに万歳三唱」でしょうか。万余の学徒は戻らぬ人に。
Commented by 玄明 at 2019-11-12 23:34
気になったのは、国歌に法制されたあの曲が、パレード出発と到着の2回も流れたこと。起立問題のあった頃の園遊会で、現上皇陛下は「慎重に」とお話しされていたかと。平成に代替わりのパレード時は、記憶も薄いながら、放送には乗らなかったのではないか。
万歳は直接見聞きしておらず、貴ツイッターなどの情報から、思い出したのはバンザイクリフという地名。南洋の彼の地へ、高齢をおして慰霊の訪問もされた現上皇夫妻のお心持やいかばかりか。
Commented by 愛知 at 2019-11-12 23:58
上記にてご紹介のNHKアーカイブス、すべて削除さえていました。文章のみ、上記コピーの通りでした。
Commented by Noname at 2019-11-13 20:46
元々万歳三唱は昭和天皇の時から嫌悪感がありました。即位の時の安倍さんによる万歳三唱もそのままテレビを消しました。
今回は生では見なかったのですが、ニュースで見て気持ち悪くてすぐ消しました。
みんな何とも思わず日の丸の旗を振りながら万歳している映像は不気味でした。
でもこういう気持ち言ったら非国民と言われそうなので絶対に言えません。
ほんとうに嫌な時代です。
Commented by 長兵衛 at 2019-11-14 11:55
「祝賀御列の儀」という言葉は、あまり耳に馴染みのない言葉でした。従来ニュースでは祝賀パレードという言葉を使っていたのではないでしょうか。大仰な時代掛った言葉に変えられ、それを不思議とも思わない風潮に違和感を覚えます。
「天皇の即位を祝う国民祭典」なるイベントは、誤解されているように国が主宰したイベントではないのではないでしょうか。
主催者は奉祝委員会、国会議員の超党派の奉祝議連、それに、公益法人日本文化興隆財団となっています。「日本文化興隆財団」というのはあまり耳に馴染みのない団体ですが、実態は神社本庁の別動隊的な団体のようで、場所も神社本庁とは山手線を挟んで隣同士のようです。
更に言えば、祝賀式典の総合演出は黛りんたろうなる人物で、この方は元NHKの職員で、元祖文化人右翼的存在の黛敏郎の長男です。りんたろうさんの歴史観とか思想的背景は存じませんが、こういう係累の人を総合演出に担ぎ上げたり、主催者の実態を見れば、どういう人たちがどういう目的でやったイベントかが透けて見える用です。


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