人気ブログランキング | 話題のタグを見る

格落ちした日本(2) – 新天皇は3回目4回目の祝宴行事の中止を

格落ちした日本(2) – 新天皇は3回目4回目の祝宴行事の中止を_c0315619_15495892.png前回上げた『格落ちした日本』への反響が大きく、特に右翼からの、口汚い侮辱や罵倒を含む、拒絶的反発の書き込みが多い。いわゆるネトサポ – 安倍親衛隊・日本会議運動員 – が動いて、ネット政治工作のルーティンワークが行われている印象を受ける。安倍晋三にとって不利になる情報は、このように素早く火消しして始末するのだろう。今回の指摘は、政権や政府にとっては相当に具合の悪い、表に出したくない不都合な事実なのに違いない。もしこの件が騒ぎになり、海外マスコミの日本特派員の目に止まり、APやAFPに配信されて世界の関心を集めたりすると、安倍政権にとっては相当な打撃になる。また、その報道が国内に逆流して波紋を広げ、テレビの話題に取り上げられると、安倍官邸と外務省にとっては面目丸潰れの事態だ。だから、早めに動いて封殺処理を固める必要があるのである。



格落ちした日本(2) – 新天皇は3回目4回目の祝宴行事の中止を_c0315619_16000276.png右翼は、タイ国王は品行に瑕疵があってタイ国内で不評だから、今回の列席は首相で構わないのだと強弁している。だが、これまでのタイ王室と日本皇室との親交の伝統を鑑み、日本とタイとの特別な友好関係の中身を考えれば、その主張は無理があるだろう。むしろ、現国王が前国王と比べてカリスマに欠如があるのなら、日本皇室がこうした儀式の場でサポートする挙に出て、タイ国王の名誉をカバーする方策を選ぶべきなのである。皇室を持つ政体の日本にとって、タイは別格の国だ。別格の国には別格の扱いをする必要がある。それは、日本国とは何かを世界にプレゼンテーションする意味に繋がる。新天皇の隣の、いわば主賓の位置にブルネイ国王が鎮座する絵を見て、アジアの仏教国の人々は違和感を持ったのではないか。ベトナムやカンボジアやラオスやミャンマーの人々には怪訝に映ったかもしれない。


格落ちした日本(2) – 新天皇は3回目4回目の祝宴行事の中止を_c0315619_15564060.png常識的に考えて、新天皇の隣にはタイ国王、新皇后の隣には英国皇太子と、その配置と構図でプライオリティ(価値観)を示すのが、日本皇室の本来的で説得的な姿だろう。宮内庁が説明するところの、在位期間の長さで1位と2位を選んだという言い訳は、尤もらしくて頷ける官僚の知恵だが、果たしてそれが最初からの式典コードだったのか。それとも、途中で何かアクシデントが起きたため、席次を入れ替える必要に迫られての苦肉の発案だったのか、本当のところはよく分からない。饗宴の儀から3日後の25日、タイの高速鉄道を中国企業が入ったグループが受注したというNHKの報道があった。タイ高速鉄道の建設計画から日本が締め出されている。深読みかもしれないが、符牒が合うニュースだ。二国間で余程のことがなければ、日本の新天皇の即位の披露宴にタイ国王が参列しないなどというハプニングはない。


格落ちした日本(2) – 新天皇は3回目4回目の祝宴行事の中止を_c0315619_16242028.pngそれは、東南アジアの人々にとっては不自然な出来事で、タイと日本との関係が変化した(冷却化した)ことを示唆する不吉な事件である。人々にとって多少ともウェルカムだったところの、
この地域の安定的な地政学的均衡が崩れている。7年ほど前、TPP論議たけなわの頃、BSの政治番組に出演した森本聡が、タイとインドネシアは中国の側に付くだろう、ベトナムとマレーシアとシンガポールは米国の側に付くだろう、ASEANは二つに割れるだろうと、そう予言したことがあった。今回、ジョコの欠席については謎が多い。一応、20日が大統領就任式で、22日は組閣作業の正念場ということで、欠席の公式理由にはなる。だが、大統領選挙は5月に終わっていて、日本政府から半年前に招待状も届いているのに、なぜ日程を調整しなかったのか。タイ国王とインドネシア大統領が日本の新天皇のお披露目式を欠席した。これは外交事件だろう。


格落ちした日本(2) – 新天皇は3回目4回目の祝宴行事の中止を_c0315619_16342659.pngそれにしても、政府が招待状を送った国のうち、27か国が駐日大使で済まされ、11か国が不参加とは、この外交失態はあまりにも大きい。不祥事であり責任問題だ。外務省のレゾンデートルは、この日の首尾に懸かっていたのではなかったか。これまた深読みかもしれないが、谷内正太郎が側近からお役御免になり、実務の権力系統から離れたために、官邸の目が外務官僚に行き届かなくなって、業務が杜撰になり、かかる悲惨な結果を招いたとは言えないか。谷内正太郎がラインから退き、安倍晋三と外務官僚を繋ぐパイプはなくなった。後釜に座ったのは、外交も防衛も何も知らず経験も人脈もない北村滋だ。来賓の格をキープし、不参加をなくすことは、外務省の重要な任務だったに違いないが、外務官僚に発破をかけ、賓客リストのトラックに目を光らせる司役がいなかった可能性がある。その結果、米国が運輸長官の軽量級で済ませるという報を聞き、官邸も含めて一気に緊張感が緩んだのではないか。


格落ちした日本(2) – 新天皇は3回目4回目の祝宴行事の中止を_c0315619_16023768.png25日(金)、二回目の饗宴の儀が行われた。招待され豊明殿の席に着いたのは、安倍晋三を始め三権の長や閣僚、国会議員、各界代表ら400人の上級国民(臣)である。新天皇は、「ここに皆さんと饗宴を共にすることを誠に喜ばしく思います」と挨拶を述べた。天皇夫妻と参列者が高級料理を貪り食って宴に興じている頃、千葉では大雨で河川が氾濫し、警報が出て住民が避難所に駆け込んでいた。千葉駅では正午すぎから浸水が始まり、鉄道が止まり、各地で土砂崩れが起こっていた。河川の氾濫で茂原市が水没した。千葉県内の死者は9名に上っている。豊明殿で彼らが豪華な飲食をして戯れているときに、千葉は未曾有の災害で人が命を落としている。皇居と千葉は目と鼻の先だ。祝宴冒頭の式辞で、新天皇が台風19号の被害に触れたという報はない。黙祷をしたという話も聞かない。新天皇は「誠に喜ばしく思います」と言い、安倍晋三が「誠におめでとうございます」と祝辞を述べた。25日午後は喜ばしい祝いの時間だったのだ。


格落ちした日本(2) – 新天皇は3回目4回目の祝宴行事の中止を_c0315619_16025080.png奇妙なことに、25日夜のテレビのニュースは、悲惨な災害と皇居の祝宴の絵を平行して流し、そこに何の齟齬も躊躇もなく、矛盾に戸惑う感覚もなく、良心の呵責のかけらもなかった。日本らしい光景で、それに対して誰も何も言わない。辺見庸が言う如く、テレビは人の意識そのものであり、テレビの前の誰もが有馬嘉男や桑子真帆や富川裕太と同じになり、自己欺瞞によって、矛盾する二つを葛藤なきものとして整理させ着地させる。倫理的な思考と内省の回路を遮断し、彼らは安倍晋三の方に顔を向けて仕事をする。大規模な天災の襲来で、多くの国民が被害を受けている最中に、皇室と政府によって莫大な経費を投じた国家的慶事が行われ、二つが同時進行していることに不自然さを感じない。22日は、外国の賓客を招いた宴会だから、日程を変更するのは支障があっただろう。だが、25日は、国内の招待客を集めた行事だから、中止も日程変更も簡単にできる。新天皇の決断一つでそれはできた。上皇上皇后なら中止していただろう。


25日の宴の最中も、侍従から千葉の大雨の報が入っていたはずだ。途中で端折るとか、時間を短くして切り上げるとか、そういう配慮を思いつかなかったのだろうか。昭和天皇ですら、関東大震災の発生を受けて婚儀を延期している。忌むべき災害の凶事にあっては、皇室は祝事は避けて日程を繰り延べるのだ。われわれ庶民も、身内に不幸があったときは、年賀状は控えて慎むという風習に従うではないか。なぜ、新天皇は祝宴を慎むことができないのか。
このままでは汚名と失望のみが残る。


格落ちした日本(2) – 新天皇は3回目4回目の祝宴行事の中止を_c0315619_16074068.png
格落ちした日本(2) – 新天皇は3回目4回目の祝宴行事の中止を_c0315619_16243582.png
格落ちした日本(2) – 新天皇は3回目4回目の祝宴行事の中止を_c0315619_16210019.png
格落ちした日本(2) – 新天皇は3回目4回目の祝宴行事の中止を_c0315619_16212379.png
格落ちした日本(2) – 新天皇は3回目4回目の祝宴行事の中止を_c0315619_16213139.png
格落ちした日本(2) – 新天皇は3回目4回目の祝宴行事の中止を_c0315619_16214297.png

by yoniumuhibi | 2019-10-28 23:30 | Comments(4)
Commented by ミノムシ at 2019-10-28 19:04 x
いつも拝読しております。
記事中に「12日」というのが何か所かありますが,
タイプミスではないでしょうか。 僭越ながら。
Commented at 2019-10-28 21:28 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by もあん at 2019-10-29 09:16 x
5年ほど前から愛読しております。
昨日アフリカの大使館の方と話す機会があり、アフリカの首脳は即位礼正殿の儀のために来日したのですが、24日にロシアのソチで「ロシア・アフリカサミット」があったのですぐに日本を離れたそうです。
https://www.afpbb.com/articles/-/3251074
日本の報道では7月20日に報道されています。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47549400Z10C19A7EA3000/
たしかTICADの時、ラグビーで南アフリカはまた負けてくれる、逆にロシアが日本に勝てば北方領土が戻ってくる、なんてラグビーの世界での都市伝説です。
Commented by 愛知 at 2019-10-31 02:33 x
タイの高速鉄道、建設費が約8000億円。リンクを張って頂いた記事から。一方、リニア中央新幹線(JR東海)の建設費は品川~新大阪間で9兆円。先行開業する品川~名古屋間だけでも工費5兆5000億円で、貸し出される公金は3兆円。では、いっそのこと10万人もの人命を奪った泰緬鉄道建設の罪滅ぼしに全額日本負担で、タイに高速鉄道を敷設したらと。

タイ北部、パヤオ県に住んでいた時、敗走日本兵に左腕を切り落とされた高齢女性が。お聞きしたら賄いを頼まれ、提供したタイ料理が不味いと切り落とされたと言われ、体が凍りついて。当時、ラーマ9世(プーミポン・アドゥンヤデート)がいなくなったら、どうなるんだろうと心配になるほどの敬愛を集めておられました。

29日は、森田千葉県知事や杉田水脈議員ら680人出席で3回目の「饗宴の儀」。鼓腹撃壌の吾身からしても、ロシア革命前に戻ったのかと驚愕。望月記者の貴下TwのRTを口汚く罵倒する連中の中に知人を見つけて唖然。彼ら彼女ら、いったい何がしたいのか。天皇制粉砕って、つまりは万余の犠牲の上に成り立った日本国憲法も粉砕なんですね。


メールと過去ログ

since 2004.9.1

ご意見・ご感想




Twitter

最新のコメント

今こそ「テニスコートの誓..
by 印藤和寛 at 09:18
総裁選で石破さんを倒すた..
by 人情味。 at 09:29
もし山上容疑者が安倍元首..
by 人情味。 at 21:23
杉田水脈なる人物は論評に..
by 住田 at 10:51
あれは15年程前..
by ムラッチー at 11:27
悪夢のような安倍政治から..
by 成田 at 13:03
ハーバード大学で比較宗教..
by まりも at 23:59
重ねて失礼いたします。 ..
by アン at 17:48
安倍晋三のいない世界は大..
by アン at 13:16
今まで、宗教2世の問題に..
by さかき at 10:31

以前の記事

2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月

記事ランキング