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即位礼の儀式は自粛・延期すべきだった - 被災地を切り捨てた天皇

即位礼の儀式は自粛・延期すべきだった - 被災地を切り捨てた天皇_c0315619_15423775.png即位礼正殿の儀。河西秀哉が前日21日に報ステに登場し、明日どういう「お言葉」が発せられるか要注目だと言ったのを聞いて、不吉な予感がした。この男は「お言葉」の全文をすでに承知していて、翌日の番組での「解説」もすでに台本があるのだろうと、そう直観した。岩田明子が何度も強調していたように、「お言葉」の内容は内閣が決めたもので、安倍晋三が査閲・承認したものである。だが、天皇自身の一度きりの宣言だから、天皇個人の意思も入る。政府側と天皇側の調整で成文される。天皇側の代理で官邸に意向を伝え、菅義偉との間で文案を詰めた担当者が、2日間テレビに出ずっぱりだった河西秀哉だったのだろう。言わば、現天皇の私設秘書であり、政府対応・マスコミ対応の任務を受け持っている。その河西秀哉が、翌22日の報ステで最初に切り出したのが、「お言葉」の憲法に関わる部分であり、1990年に前天皇が即位の礼で発した「お言葉」との比較と変化だった。河西秀哉は容易ならざることを言った。



即位礼の儀式は自粛・延期すべきだった - 被災地を切り捨てた天皇_c0315619_15424834.png29年前の平成天皇は「日本国憲法を遵守し」と明言したが、今回の新天皇は「憲法にのっとり」という表現に変えている。この二つは憲法に対するコミットの強弱が明らかに違っていて、日本国憲法と自己との関係性の認識が異なっている。前者の方がコミットが深く、日本国憲法と真剣に向き合い、日本国憲法の条文規定を守ることを誓っている。特に第1条を守り、第1条の理念を実現するべく努力し精勤することを誓っている。今回の徳仁天皇の言葉は、そこがすっかり相対化され、日本国憲法に対する緊張感がなくなり、憲法の象徴天皇制の理念が脇に追いやられた形になった。「遵守する」と「則る」では意味がまるで違うし、日本国憲法に対する天皇の主体的熱意が全く異なる。憲法に対する忠誠が弱い。それは、前天皇ほど日本国憲法を重視していないという態度の示唆を意味する。この憲法軽視の態度は、5月1日の即位後朝見の儀の言葉でも表明されていた。


即位礼の儀式は自粛・延期すべきだった - 被災地を切り捨てた天皇_c0315619_15430092.pngこの憲法に対する姿勢の後退について、河西秀哉は、前天皇と新天皇の二つの言葉を左右のパネル並べてに対照させながら、このように変えたのは、国会で憲法改正の論議も始まっているため、ハレーションを起こさないようにするためだと「解説」した。ハレーションを起こすとは、悪影響を与えるという意味である。今回の場合は、すなわち、現天皇が前天皇と同じ憲法遵守の態度を言葉で表明すれば、改憲派の側に政治的動揺が起きて具合が悪くなるという意味だろう。天皇の護憲意思が明確になり、護憲派が勢いづく方向となり、改憲派の立場が不利になり、現在の護憲派と改憲派の勢力関係のバランスが崩れるという意味だ。そういう影響を与えると、憲法をめぐる政治状況に介入することになるため、改憲派に慮って、前天皇の言葉を踏襲せず、憲法への態度を相対化させ、弱めた表現にしたのだと「解説」した。何やら、菅義偉と河西秀哉(徳仁天皇)のやり取りが透けて見える。


即位礼の儀式は自粛・延期すべきだった - 被災地を切り捨てた天皇_c0315619_15432589.png河西秀哉は、言わば正直に「お言葉」の政治の裏側を見せ、そして、日本国憲法の象徴天皇制の理念の溶解と弱化を憂う、われわれ護憲派を落胆させた。それは、前天皇の思想と行動を引き継ぐものとわれわれが期待した、現天皇の裏切りと右翼政権への阿諛と追従に他ならない。残念なことである。マスコミは、現天皇について、国民への寄り添いを盛んに言って持ち上げ、現天皇が前天皇の姿勢を正しく継承しているように言う。だが、それはマスコミの情報操作であり、実像の正確な素描ではない。もし、本当に現天皇が前天皇の寄り添い主義にファンダメンタルに準拠するのなら、即、台風19号の被災地に直行して避難所を慰問しなければならなかっただろう。死者は84人に上り、被害は13都県に及んでいる。今年一番の大災害だ。前天皇夫妻なら、皇居でテレビを見ながら、居ても立ってもいられず、被災地訪問の日程調整を侍従に指示しただろう。22日は、被害発生からわずか9日後である。


即位礼の儀式は自粛・延期すべきだった - 被災地を切り捨てた天皇_c0315619_15440782.png被災地では行方不明者の捜索が続き、懸命の復旧作業が続いている。多くの被災者が、夜は寒くて不自由な避難所に身を寄せ、昼は泥だらけになって家の清掃に追われている。死者と不明者の合計は日々増えていて、とても一段落ついた時点とは言えない。そんな中で、極右の首相に万歳三唱をさせてテレビで絵を流し、外国の賓客を招いて豪勢な祝宴を張って盛り上がるなど、どうしてそのような無神経な祝祭行事ができるのだろう。国民に寄り添う天皇像を目指すと言うのなら、13日の時点で9日後の即位礼の中止を決断し、官邸を押し切り、側近を通じてマスコミに意向をリークするべきだった。政治の既成事実を固めるべきだった。朝日なら喜んで協力しただろうし、NHKにも協力者(反逆者)は出たはずだ。政府のメンツは潰れるし、各国にも多少の迷惑はかかる。だが、平成天皇夫妻なら、恐れず勇敢に延期を断行したに違いない。象徴たる天皇の地位は国民の総意に基づくものだから。それが憲法の理念と規定だから。


即位礼の儀式は自粛・延期すべきだった - 被災地を切り捨てた天皇_c0315619_15442384.pngこの理念を守るしか象徴天皇制を守る道はないから。それが君子の徳の証明だから。今の、マスコミの浮かれた令和天皇夫妻賛美は、全く中身のない空疎なもので、世論調査で出ている国民の支持だとか、「親しみを感じる」とかも、実体がなく根拠のないものだ。マスコミが必死になって、安倍政権の指示に従って、エンスージアスティックに「天皇陛下」と「雅子様」を礼賛し、感動物語を演出して刷り込んでいる。徹底的に美化宣伝しまくっている。マスコミが散布する感動物語の虚偽と欺瞞は、本人たちが一番よく知っているだろう。噴飯もいいところだ。この二人は、前天皇夫妻のように、皇太子時代に誰もが納得する象徴天皇像の土台を築くことができなかった。真に国民から尊敬を得られるカリスマ性の前提を積み重ねることができなかった。現在の「人気」はハリボテである。虚構に過ぎず、世論工作の所産に過ぎない。4年前の左翼メディアのSEALDs礼賛と同じだ。外国の王室との親密な関係も、先代が築いたもので、本人たちの努力の結果ではない。


即位礼の儀式は自粛・延期すべきだった - 被災地を切り捨てた天皇_c0315619_15443585.png皇太子妃が長く「ご病気」だったため、彼らはやるべき仕事ができず、必要となる象徴天皇の条件(世間の評価)を即位前に充実させることができなかった。今、マスコミが絶賛している現皇后は、数年前は、マスコミとネットが袋叩きしていた「税金泥棒の皇族」で「国家のお荷物」だ。現天皇夫妻のカリスマはメッキ加工のもので本物ではない。二人には積み重ねてきた基礎がなく、自信がない。そして自信に支えられた信念がないため、結局、内閣(安倍官邸)に押し切られるまま動くしかない。安倍官邸の要求を押し返すことができず、操り人形になるしかない。本来、徳仁天皇個人は、戦後民主主義を信奉する両親の教育を受けた、純粋で良質な思想の持ち主なのだろう。だが、資産と自信がなく、同志(美智子前皇后のような強力なパートナー)がおらず、負債と弱点を抱えているため、政府(安倍晋三)の言いなりになるしかないのだ。安倍晋三に従って変節するしかない。憲法観を後退させ、前天皇の模範を崩し、右翼政権に妥協したことで、現天皇の評価はさらに悪くなった。


「国民への寄り添い」もマスコミが持ち上げているだけで信用できない。象徴天皇制への信頼が崩れつつある。即位礼正殿の儀は延期し、饗宴(祝宴)の儀は自粛すべきだった。

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by yoniumuhibi | 2019-10-23 23:30 | Comments(2)
Commented by takahashi isikawa at 2019-10-24 01:13 x
今回も明快な解説を有難う御座いました。なるほど、現天皇はかつて「ご病気」によりマスコミに叩かれ続けたお荷物税金泥坊であり、皇太子時代に作り上げるべき自信も資産もなく、ゆえに政権・官邸に弱みを握られ、従うしかない存在なのだ、と。よく分かりました。思えば、平成上皇のこれまでの活動(皇太子時代を含み在位30年間、そして譲位)も、結局、政権によってすべて逆手に取られてしまいましたね。以前、国民の代表は衆議院議長だとおっしゃっておいでだったと思いますが、今回の儀式は内閣総理大臣の権力誇示のためのものとなりましたね。
話を戻しますが、私は、昭和期には率直に天皇制を嫌悪していましたので、皇太子がやたら沖縄に行きたがる意味が理解出来ませんでした。天皇になってしばらくして、何とかという将棋の名人が「学校でみんなが君が代をちゃんと歌うよう頑張っております」(大意)などと言ったとき「あまりムリをしないようにね」と発言した、というニュースを聞いた時、初めて、それまでの戦前・戦中の天皇観とすこし違うものを感じました。その後、一部の右翼が嫌うような、極めて平和主義的な人物であることが段々分かってきたわけであります。こうした、天皇に対する好意(これまで天皇制に批判的だったものまで含む)が、そのまま、現政権によって私物化された時、もっとも恐れるフェーズに突入していく危険性を感じます。「日本国憲法を遵守し」を現天皇が「憲法に則り」と言い換えたことの意味は計り知れないと改めて気付かせて頂きました。
Commented by 愛知 at 2019-10-24 04:29 x
向田邦子さん(昭和4年、台湾生まれ、享年51歳)のラヂオが楽しみでした。亡父よりも3歳年上。その話にいつも魅了され、淡い恋心を抱くほど。当時、フィリピンで問題になっていた選挙違反(買収)について、「決して、他国のお話ではありませんよ」と諭され。戦争の艱難辛苦(地獄)については、「人間には、すばらしい能力があります。本を読むことによって痛みや思いを共有できるのです。」と。ぜひ、今上(ひとつ年上)には、思いを共有して頂きたく。心から、そう願います。国内外万余の犠牲者の上に成り立った日本国憲法。私のような無党派層は、「反天連」とも「愛国とは名ばかりの右翼」とも無縁です。


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