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「関西電力問題」の意味と背景 - 官邸リークによるスピンの工作

c0315619_13101287.png9月末以降、ずっと関西電力の不正問題が報道されている。発覚から2週間後の10月10日、会長の八木誠ら7人が三度目の会見で辞任を発表した。この問題、マスコミではまだ正式な事件名が付与されていないようで、NHKは「関西電力問題」というカテゴリーでタイトリングしている。いかにも暫定的だ。「金品受領事件」という呼び方をしている社もあるが、まだ共通の名称として定着していない。マスコミも左翼も、ここぞとばかり原発マネーの糾弾に熱中し、野党に国会追及での第一テーマにせよと言い、関電役員の参考人招致を求めている。今日が11日(金)で、12日(土)には台風19号の上陸襲来があり、週明け以降のマスコミ報道は台風被害とその対応一色となるに違いなく、必然的に予算委の話題も台風被害関連が中心になり、討論は休戦になるか、対策の審議で埋められると予想される。



c0315619_13103263.png翌々週(23日)には即位礼正殿の儀と祝賀パレードが予定されている。台風の被害が甚大でなければ、日程は変更なく執り行われ、マスコミ報道は皇室の方に集中し、「国民の熱狂と興奮」を派手に伝えて騒ぐという環境になるだろう。ということは、ここから2週間ほどは関電関連のニュースは背後に退くことになり、国民の関心も薄れる方向になるだろう。会長と社長を含む7人が辞任表明し、一件落着となり、国民が忘れた頃に第三者委が報告を発表と、そういう進行になりそうだ。皇室の祝賀行事が終われば、またぞろマスコミは、文在寅憎悪(韓国叩き)と香港問題(中国叩き)でワイドショーとBS政治番組を埋め、その合間に憲法改正問題などを入れ、いつものルーティンに戻り、同じ顔ぶれが同じ喋りを言い、そのまま師走を迎えるだろう。そして、社会保障の大幅削減の制度改定が詳らかになり、解散総選挙と東京五輪のある令和2年の年明けとなるだろう。

c0315619_13104440.png私は、今回の関電の事件は、官邸が国会開会に合わせてリークした政治工作ではないかと睨んでいる。目的は、(1)日本郵政と総務省によるNHK介入事件を報道から隠蔽するためであり、(2)千葉の台風災害における政府・政権の不作為と怠慢の問題を国会追及から遮断するためであり、(3)消費税増税に伴う政府対策の失敗と破綻を国会での論戦から隔離するためである。基本的に、関電の問題は安倍政権が関与したものではなく、政権が直接打撃を受ける不正や過誤ではない。安倍晋三にとっては他人事の気軽な問題だ。菓子折の中に金の小判がどうのという、大衆受けする面白い「贈収賄事件」を、国税の報告を受けた官邸はずっと溜めていて、ここぞという効果的な局面でローンチして報道と関心を埋めたのだろう。つまり、いわゆるスピンの工作に他ならない。この事件は、朝日新聞や東京新聞などの独自スクープではない。野党の発掘でもない。官邸から撒かれたネタだ。

c0315619_13110658.png最初に関電の発表があり、それをNHKなどテレビが撮ってニュースにした。そしてニュースの度に、菅義偉の盟友の松井一郎が登場し、テレビを使って関電に牽制をかけた。「贈収賄」の不正は次々と新事実が出て、視聴者国民を飽きさせず、関心を引きずり膨らませ、夜のニュース番組のメインコンテンツの地位を維持、タイミングを計って会長以下辞任と第三者委設置の幕となった。松井一郎が要求していたのが、関電現経営陣の引責辞任であり、国民の関心の焦点もそこにあったので、まずは一般が納得して感情を収めた結果に落ち着いている。今回の件が菅義偉主導の政治リークであり、政権に不利となる材料の浮上を阻止することが狙いだったとすれば、首尾は上々というところだろう。安倍政権は、1月の通常国会のときも、開会前からゴーン逮捕と日産の問題をマスコミ報道の餌にして撒き、他の政治案件を隠して大衆の関心から逸らすという周到なスピン工作を演じていた。

c0315619_13165704.pngおそらく、菅義偉と松井一郎が示し合わせて台本を書いていたのであり、マスコミに絵を撮らせ、計画どおりに舞台を進行させていたのだ。第三者委の座長を橋下轍にするぞと脅しをかけ、そこで思惑どおり八木誠と岩根茂樹のギブアップを得た。橋下轍が第三者委の座長になったら、さらに厳しく関電の原発マネーの闇が掘り出され、単なる「不適切な金品受領」では済まなくなる。過激で強烈な暴露と糾弾が始まり、内部告発も出て、マスコミが煽り、経営陣は火だるま・槍衾の事態となる(内部告発については、一部、金平茂紀がTBSの番組で紹介していた)。原発事業の推進存続に致命的な一打を受けていたかもしれない。菅義偉は次に落とす「爆弾」も用意して、関電側との駆け引きゲームを楽しんでいたのだろう。八木誠と岩根茂樹の辞任と引き換えに、第三者委の座長を(関電推薦の)但木敬一にするという温情人事となり、関電安堵のシャンシャン決着となった。

c0315619_13141469.pngここで注目するのは、10月3日に報道された、九電が川内原発1号機の再稼働を延期すると発表した事実だ。このタイミングは偶然の一致だろうか。それとも、偶然ではなく、背後に政策的な意思があってのことだろうか。この事実を伝えたNHKは、他の原発でもテロ対策の不備と工事遅滞を理由にして、再稼働延期が続くだろうと報じていた。現時点で、これだけの事実材料を以て、何か楽観的な予測を立てることはできないが、巷間言われていたのは、九州では再生可能エネルギーの生産が旺盛で、発電量全体が過剰となり、需要が供給に追いつかなくなり、ブラックアウトの防止のため太陽光発電の出力制御に至っていたという問題である。それを根拠に市民側から、原発の稼働停止を求める世論が興っていた。こうした問題は、かねてより広瀬隆なども指摘していたところで、再生エネ出力が増加し、省エネや経済衰退で電力需要が低下し、原発は日本で不要になるだろうと言われていた。

c0315619_13133035.png日経の記事によると、原発の再稼働は今年ゼロで、再稼働している9基のうち4基がテロ対策の遅れで来年停止と言う。再稼働原発は5基に減る。今回の関電の原発マネー問題は、原発に対する世間の目をさらに厳しいものにしたことは疑いなく、再稼働抑止の圧力として作用するのは確実だ。安倍政権が進めた海外への原発輸出プロジェクトも、悉く凍結や中止や断念となり、いわゆる原子力村の長期事業展望に暗雲が垂れる深刻な事態となっている。海外に活路を求めた日本の原発産業だったが、頓挫して大赤字を計上し、次々と撤退を余儀なくされた。海外展開の未来が潰れた以上、国内電力会社の既存原発で姑息に再稼働などやっても、原子力村の存続にとって何の意味もない。省エネの機器や設備の利用が進み、経済低迷で電力需要が減少し、加えて再生エネ設備の拡充で再生エネ比率が増え、再生エネのコストも技術革新で下がるのは必然となって、最早、国内で原発が生息する余地はないのである。

いずれ、政府が策定している「総発電量に占める原発比率・30年度に20-22%」という電源バランスの目標も、方針を変更せざるを得なくなるだろう。


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by yoniumuhibi | 2019-10-11 23:30 | Comments(0)


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