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生殺しにされる千葉の被災者 – 「健康で文化的な最低限度の生活」

生殺しにされる千葉の被災者 – 「健康で文化的な最低限度の生活」_c0315619_14270349.png三連休となる今週末(9/21-23)、台風が接近して関東も大雨になるという予報が出ていて、千葉の被災地のことが心配される。テレビは少しずつ千葉の報道を減らしていて、放送するテーマとしての重要度と優先度を落としている。昨夜(18日)の報ステなどは、停電と断水の苦境はすでに峠を越えたとばかり、その次の災害ゴミの処理の問題に焦点を移し、隣接諸県に連携と負担を求める官邸のメッセージをデリバーした。菅義偉が後藤謙次の口を使って各県に示達を出している。先へ先へと巧妙に動かしている。だが、千葉の多くの被災者の窮状は、決して「次の段階」には至っていない。ブルーシート張りと屋根の修理の問題が切実に残っている。この問題について、政府とマスコミはどういう解決策を被災地に提示し伝達しているのか。ブルーシートが配布されているから応急処置で使えと言いつつ、同じ口で、素人が屋根に上がって作業するのは危険だから必ず業者に依頼しろと念を押している。



生殺しにされる千葉の被災者 – 「健康で文化的な最低限度の生活」_c0315619_14274009.png業者に依頼しても件数が多すぎて対応できない。ボランティアも素人だから作業できない。屋根を飛ばされた被災者が雨漏りを防ぐにはどうすればよいのか。ソリューションは何なのか。国と県は被災者にどう案内しているのか。マスコミはそれをどう伝えているのか。そこが何もわからない。不明なままでテレビ報道が済まされている。マスコミは明らかに矛盾したことを言い、被災者を愚弄した無責任な災害報道を続けている。不整合と欺瞞をそのままにし、頬かむりして、自己責任の冷酷な態度で被災者を突き放している。辻褄の合わない口上と、そのばつの悪さから逃げるべく、話題を変え、視聴者の関心を切り換えるべく、埼玉県の小学生殺人事件に張り付いている。姑息なスピンで遁走している。埼玉県の少年の事件を報道するなら、なぜ川口市のいじめ自殺事件を取り上げないのか。「教育委員会は、大ウソつき」の告発と惨劇に光を当てないのか。

■衛星通信は?

生殺しにされる千葉の被災者 – 「健康で文化的な最低限度の生活」_c0315619_14281751.png千葉の災害報道を見ていて、いくつか腑に落ちない点がある。先週後半だったと思うが、NHKの取材で千葉県の担当者が出てきて、なぜ県が被災自治体から情報を取れないのか言い訳をする場面があった。自治体と県とを繋ぐ行政の情報ネットワークが、停電のためにバックアップ回線も含めて障害で不通となったと釈明、その業務システムの端末画面を撮らせていた。衛星通信は使っていないのか。そこが素朴な疑問である。ネット上に「自治体衛星通信機構」なる天下り法人の説明があり、「地域衛星通信ネットワーク」なるシステムが整備・運用されていることがわかる。構築には税金もずいぶん投入されただろう。「災害で電話回線・有線通信回線が途絶した場合は、この衛星電話が唯一の非常通信手段となることが多く、東日本大震災でも有効性が報告されている。停電時でも使えるように配慮(略)されている」とある


生殺しにされる千葉の被災者 – 「健康で文化的な最低限度の生活」_c0315619_14284482.png「また総合行政ネットワーク(LGWAN)・住民基本台帳ネットワークの衛星通信系としても使用されており、特に総合行政ネットワークで全国瞬時警報システム(J-ALERT)を伝送する際のバックアップ回線としても使用されている」とも書いている。中央省庁と繋がり、警察・消防とも繋がって末端自治体に情報を流す公的で基幹的なパイプだから、この衛星通信のシステムが千葉県をカバーしてないとは思えず、県と市町村間で非常時の災害情報を交信する通信インフラとして機能していなかったとは考えにくい。千葉県の担当者は嘘を言ったのだろうか。それとも、本当に衛星の回線を予備で持っていなかったのだろうか。担当者が言ったように、予備の回線を同じ地上設備の通信網でサポートしていたとすれば、停電で不能になるのは当然で、これほど間抜けな話はない。何のバックアップにもならない。マスコミは検証するべきだろう。

■電源車の稼働率

生殺しにされる千葉の被災者 – 「健康で文化的な最低限度の生活」_c0315619_14301052.png同じNHKの先週後半の報道では、その衛星回線の電話を使って、南房総の病院の理事長(女性)が東電と掛け合う場面があった。何とか電源車の配置・派遣をお願いしたいという要請である。病院は衛星回線を非常用に持っていて、停電の環境の中で緊急連絡に使っていた。県と市町村がこの通信ができないのはなぜだろう。その病院が東電に依頼した電源車だが、信じられない記事を日経が載せていた。何と、東電パワーグリッドが準備した電源車のうち、16日時点で稼働していた台数が全体の3割弱だというのだ。7割強の電源車が動いていない。どういうことなのだろう。NHKが取材した南房総の病院のケースでも、電話要請に対して東電はすぐに対応せず(できず)、配備までに時間がかかっていた。7割が遊んでいたなど、本当に信じられない話だ。この件はテレビは報道していない。東電は何をしていたのか。経産省はなぜ指示をしなかったのか。野党は事実を知っていたのか。


生殺しにされる千葉の被災者 – 「健康で文化的な最低限度の生活」_c0315619_14302555.png同じ南房総の病院だったと思うが、そこには多くの透析患者がいて、電力が止まると人工透析ができない、透析に電気を使うためにエアコン使用を控えなくてはならないと院長が言っていた。エアコンの電力を無理に節約したため、入院患者の容体が悪化して何人かが死亡したとも話していた。東日本大震災時の悪夢が再現され、千葉の状況の深刻さが伝わって、テレビの前で蒼然とさせられた瞬間だった。だとすれば、東京電力はここでも業務上過失致死を犯しているではないか。明らかに、不作為による業務上過失致死に他ならない。電源車をフルに稼働させていれば、死なずに助かっていた患者がいたのである。一体、8日の台風上陸から今日まで、長期停電を原因とする病院での関連死はどれだけの数に上るのだろう。厚労省とマスコミと野党は調査すべきだ。電源車未稼働の真相を究明して東電の責任を追及すべきだ。


生殺しにされる千葉の被災者 – 「健康で文化的な最低限度の生活」_c0315619_14304320.png千葉の被災状況について、多くの国民は報道が少ないと感じている。報道時間の量も少ないけれど、取材が散発的局所的でコラージュ的な報道になっているからだろう。概要の把握とか全体状況の俯瞰や概括といった、災害の総体的な報告をする報道がないため、私を含めて視聴者はそう不満を感じるのに違いない。本来、これはNHKの仕事であり、政府(内閣府)の仕事である。安倍政権以前なら、前の三連休(9/14-16)にはNHKスペシャルが組まれ、CG映像を使っての本格的な分析と解説がされたものと想像される。今のNHKは、災害報道が政権批判にならないよう努め、政府の宣伝にのみ寄与するよう制作している。今回の千葉の災害の教訓と政府・マスコミのメッセージは、停電が2週間続く生活環境でもサバイバルする備えをしろということと、ブルーシートを張る作業で落ちて死んでも自己責任だから要注意だぞということだ。


「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」。憲法25条が規定する国の保障の端緒はどこにもなく、貧しい後進国の現実そのものだ。本年度予算予備費で災害対策分に計上した1000億円は何に使うつもりだろう。

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by yoniumuhibi | 2019-09-19 23:30 | Comments(2)
Commented by 愛知 at 2019-09-20 00:28 x
「素早い対応に感動です」(NW9)「11日ぶり(の通電が)感動的ですね」(報ステ)NW9の方は、罹災者のお名前も出さず、サングラスで、お顔もわからず。NEWS23はゴルフ練習場の倒壊と東電に対する判決をだぶらせてくれて。「オキナワ、サイコー」と繋げたNW9の編集は、もはや犯罪レベル。(9月19日)

以下、私より11歳年下の小西洋之参議院議員のTw。それより11歳お若い小泉進次郎のポエムよりずっとまし。私自身は鼓腹撃壌の無党派ですが。

対策本部も閣僚会議もやってない内閣が、住民の救援の陣頭指揮を執る被災地の市町村長を官邸に勢揃いさせ、陳情をさせている。余りにもおかしい。早急の激甚指定には各省庁の官僚を千葉に常駐させ、農協や漁協などを廻らせ、被害額の算出を行う被災自治体を手取り足取りサポートする取組が必須だ。

先ほど防衛省幹部とのやり取りの中で訂正があった。
昨日はブルーシート設置の自衛隊員の数を320人態勢のところに停電復旧部隊から470人増強したとのこと(計790名)。約90チームで一日当たり約540戸設置と推測されるがこれで足りるのか、停電復旧を減らすのではなく新規に増強すべきと指摘した。

「自治体衛星通信機構」でサイト内検索するも、今回の台風15号被害にはヒットなし。いつもながら貴下ブログ、Twでのご教示に心より感謝申し上げます。
Commented by たけし at 2019-09-22 08:41 x
アラフィフの千葉県民です。基ブログは5~6年前からのファンです。STAP細胞の頃からでしょうか。
実家が10日間停電して倒木の被害も目にしました。
千葉の台風被害の事を取り上げて下さりありがとうございます。

基本的に国は個人の資産の保証はしない。
今回は電柱や建物は壊れているが、インフラの被害は少ない。
電線も電柱も東電の資産だし。 死亡者は世田谷区で1名。
だから援助も少ない。

千葉県は大河川の氾濫も無く、山の崩落も無く、台風も直撃が少ない。冬でも温暖で雪も降らないし東京がゲリラ豪雨でも降らない。千葉の県民性で今まで大災害と無縁だった人が多い。今回も今まで通り「大した事ねえっぺ」と高をくくっていた人が大半だと思う。
平成26年広島の土砂災害、北陸の平成30年豪雪、九州の大地震、去年の西日本豪雨で190人が死亡、それもどこか遠くの出来事と思っていた人が自分含めて大半。
土砂で生き埋め、凍死、建物に潰され、水が天井まで上がって来て溺死、と言ったむごい死亡者は今回出ていない。

今回も前夜は台風直撃前とは思えないほど外は静かで家内に明日はすごい事になると何度言っても信じてもらえませんでした。22時半頃に神津島の風速計で風速40mの実測値が出ていて県内に相当な被害が出ると確信しました。
 
マスコミがしきりに映像を撮りに行っている鋸南町は県内有数の高齢化地区で老朽化した家屋がほとんど。屋根が飛ばされて雨漏りとカビに悩まされている世帯の人は本当に気の毒に思う。ブルーシートなんてすぐに劣化して水が浸透するし木の板を打ち付けるなどして仮の防水をやってあげて欲しい。

森田知事の初動の遅れを叩く人がいるけど、計画運休で電車が止まっていて電車で1時間の通勤時間が大渋滞で3時間以上となり千葉県庁の人も11時頃ようやくに出勤出来た人も多いはずで、前夜に人員を招集していたのか気になります「なんとかなるっぺ」だったりして。前任の堂本暁子は何もせず県政が停滞しましたが森田知事はマスコミが取り上げてくれるので世間へのアピール能力があり有用です。


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