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週刊ポストだけ糾弾されてテレビは不問の怪 - 放送法と公平中立

c0315619_12073434.png昨日(10日)、検査で病院に行ったら、待合室のテレビでワイドショーを流していて、ずっと嫌韓プロパガンダのシャワーで放送を埋めていた。シャワーというより洪水と氾濫。夜のBS各局の政治番組と全く同じ猛毒の内容で、同じ論者がコメンテーターで出演している。朝の番組も、昼の番組も、曺国の法相任命の話を延々とやり、文在寅政権を痛罵していた。先週、週刊ポストの記事と見出しが槍玉に挙がり、それが「韓国ヘイト」だという理由で糾弾される幕となったが、テレビ全局がやっていることは「韓国ヘイト」ではないのか。私は、週刊誌だけを生贄の羊にして攻撃し、テレビを不問にして放置している左翼リベラルの神経が全く理解できない。今回の文在寅叩きで最も巨大な影響力を発揮しているのはテレビであり、文在寅と韓国への憎悪をヒステリックに扇動し、国民世論を文在寅潰しの方向に収斂させ、過激に一色に染め上げている運動主体はテレビだ。右翼の手先となったテレビではないか。



c0315619_13142401.pngなぜ週刊ポストはNGで、テレビはOKなのか。週刊誌は買わなければいい。市民は選択ができる。週刊誌の嫌韓記事など、何もカネを払って買ってわざわざ読むことはないし、読みたい物好きが読めばいいことで、週刊ポストと同じ内容の情報は週刊新潮や他の右翼雑誌に溢れている。テレビはそういうわけにはいかない。テレビを点ければ、朝と昼のワイドショーが目に入るし、BSの政治番組が目に入るし、受信料を払って見ているNHKの7時のニュースが目に入る。テレビは公共的な情報送受信のシステムであり、半ば強制的な社会統合の装置である。税金で維持されている。新聞も公共性の高いメディアだが、これも契約して購読料を払って読むものであり、テレビとは根本的に異なる。新聞は、社によって独自の政治的スタンスを持つことができ、新聞社が訴える方向に世論を導くことが自由にできる。新聞を縛る法律や規制はない。あったら大変だ。だが、テレビは違う。テレビには放送法がある。


c0315619_13070003.png第四条 放送事業者は、国内放送及び内外放送の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
二 政治的に公平であること。
三 報道は事実をまげないですること。
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。

放送法の第4条には上記の規定があり、放送事業者はこの原則を守らなくてはいけない。放送は不偏不党でなくてはならず、そのことは第二条に明記されている。これは、放送が政治的に偏向することを禁止・抑制するための重要な原則で、放送の偏向が社会や国民生活に重大な害悪を与える要因になるから、それを避けるべく、健全な民主主義のために法律が制定されている。ナチスドイツのラジオ・プロパガンダや、戦前戦中の総動員体制下の日本のラジオ放送が、
反面教師の立法事実として想定され、排除し回避すべき過去の反省と教訓となっている。


c0315619_12361476.png今回の日本のテレビの文在寅叩きは、放送法の政治的公平に明らかに逸脱するものではないのか。否、むしろ、放送法が排除し回避しようとするところの、ナチスのラジオ・プロパガンダの復活そのものではないのか。この法的視点からの問題提起がどこからも出ていない。つまり、放送法を根拠にして、文在寅憎悪を扇動する異常な報道ファシズムを食い止めようと発想する者がいない。韓国の現実に正しく即けば、曺国の法相任命を支持する者は半分はいるし、賛成反対の世論は二分されている。放送法の政治的公平の原則に基づけば、二分された世論状況をそのままストレートに反映させて伝えるのが日本のテレビ報道の姿勢でなくてはいけない。一方の側に与した認識と論調で固めるのは偏向だ。だが、NHKは、朝鮮日報など反文在寅の右翼マスコミのみを「韓国メディア」として代表させ、ハンギョレの報道は無視する。これが偏向でなくて何だろうか。しかも公共放送のNHKが。


c0315619_12354301.png私が、この問題の元凶は野党だと強調するのは、この点に関わる。すなわち、立憲民主党が文在寅叩きに同調しているため、国内に政治的に異論がない状態が成立してしまっている。そのことを問題視しているのだ。立憲民主党が文在寅叩きにシフトしているため、今のテレビの文在寅憎悪が放送法の「政治的公平」に抵触しないような状況が作り上げられている。そのため、テレビ局側は、現在の報道について、放送法違反ではないと反論でき、偏向ではないと開き直ることができる。立憲民主党の左に位置するのは異端の共産党しかないのだ。その共産党でさえ、今回の文在寅憎悪の政治を強く批判する行動に出ておらず、国民に反対運動を訴えず、党として静観する態度に逃げている。立憲に忖度している。共産党の声が小さいため、永田町の中で、文在寅を擁護する声が全く聞こえて来ない。だから、テレビは自由奔放に文在寅叩きができるのであり、公共の電波を嫌韓キャンペーンに使うことができるのである。


c0315619_12544831.png週刊ポストの記事は、中身は大いに問題があり、常識的にも許されるものではないが、表現の自由という観点からは憲法が保障する権利行使の範囲だと認めてよいはずだ。法律違反ではない。テレビの方は法律を犯している。8月から続く怒濤の文在寅叩きの報道は、放送法2条の「不偏不党」の原則を逸脱し、放送法4条の「政治的公平」に抵触するものだ。許容できる範囲を超えていて、ナチスのラジオ・プロパガンダと同じになっている。全体主義になっている。オーウェルの『1984年』そのものだ。テレビの暴走を見ながら思うのは、日本のアカデミーでメディア論とかをやっている「社会学者」たちである。この面々は何をしているのだろうか。私学にはやたらとこの肩書きの専門家が多い。一見して芸人風で、世の中を舐めた表情と口調を漂わせ、したり顔でくだらない喋りの舌を回してマスコミに登場する。新聞社やテレビ局の幹部が天下っている例もある。科研費でマスコミの幹部と豪遊して戯れているのだろう。

税金の無駄としか思えない「メディア論の社会学者」。この「社会学者」たちが、いくら法律に無知だと言っても、放送法の条文を知らないということはないだろう。第2条の「不偏不党」や第4条の「政治的公平」の規定と照らして、現在のテレビの文在寅叩きの現象はどうなのだ。「メディア論」の「専門家」として、今のテレビの異常事態を見て何も思うことはないのだろうか。


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by yoniumuhibi | 2019-09-11 23:30 | Comments(2)
Commented by 愛知 at 2019-09-11 17:16 x
プロパガンダは、情報が「知識人」または「国立大学の教授」からのものであると断言、ルワンダ人が正式な学習に対して大きな敬意を払っていることを知っていたからです。多くの大学教員は(後略)ヒューマン・ライツ・ウォッチの膨大な資料、Leave None to Tell the Story:Genocide in Rwanda(ルワンダのジェノサイド)から。名古屋大学情報学部・情報学研究科グローバルメディア論講座のFBページを覗いてみましたが、嫌韓キャンペーンそのものに対しては言及なし。チョ・グク氏への賛否半々という韓国世論のしなやかさに比べて、本当にお粗末。「日本男子も韓国女性が入ってきたら暴行しないといかん」中部大学(愛知県)の特任教授、武田邦彦のワイドショーでの発言など、放送法も無論のこと、正犯が出れば、刑法61条の教唆犯になるのでは?正鵠を射た記事の発信に感謝いたします。
Commented by 兵衛 at 2019-09-13 10:19 x
はじめてコメントします。いつも貴重な論考をありがとうございます。
マスコミの萎縮、右傾化は、マスコミの責任というよりも、そのように根気強く、暴力的に、働きかけてきた政権の意図が実現しているのだと思います。神保太郎「メディア批評」(『世界』9月号)参照。排除されたジャーナリストの心中は察するに余りある。経験された「汚い言葉」「すごまれたこと」「怒なられ」体験などを、実録としてどこかに発表する方がいないものか、と思う。今の政権の体質を表す重要な情報だ。もちろんジャーナリストに「捨て身の覚悟」を求めることもできるし、そのような人がいてほしいが、個人に特攻的な努力(実際このようなファシズム的環境の中での抵抗は特攻的なものになる)を期待するだけでは全体は変わらない。このファシズム的状況を(実態に関する情報とともに)言葉にする努力が一層必要だと思う。


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