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消費税を選挙の争点から隠すマスコミ - 所得階級別世帯分布の変容

消費税を選挙の争点から隠すマスコミ - 所得階級別世帯分布の変容_c0315619_12125659.png通常、消費税が争点になった選挙では政府与党側が不利になり、増税反対の野党側が有利になる。そういう構図と形勢になるのが当然だ。だが、公示日を前に今回はそうなっておらず、与党側に逆風が吹いていない。なぜかというと、マスコミが消費税を争点にした選挙報道にしていないからだ。テレビは消費税や年金にフォーカスせず、憲法改正だの日韓関係だのを話題にした討論と報道に徹している。まるで、安倍官邸に指示されたとおりに番組を構成しているようだ。一昨日(1日)のTBSの報道1930など典型的で、憲法改正が中心テーマだと言わんばかりに、立憲民主党から山尾志桜里を、自民党から下村博文をスタジオに呼んで論戦させていた。NHKの世論調査でも明らかなように、この選挙で国民が最も重視する政策課題は、社会保障と経済政策と消費税である。憲法改正など誰も争点だと思っていない。国民は憲法を争点にしたくないのに、マスコミが無理やり争点に据えている。この選挙を改憲を問う選挙だと定義づけている。



消費税を選挙の争点から隠すマスコミ - 所得階級別世帯分布の変容_c0315619_12130635.png国民の関心や要望を無視し、マスコミが強引に憲法を争点に設定するのは、安倍晋三の意向に沿った作為だろう。消費税や年金が争点になり、集中的に議論が行われれば、安倍自民が雪崩現象を起こして惨敗する可能性があるからだ。消費税と年金が争点の中心から外され、退屈な憲法論議でテレビ討論が埋まれば、有権者は投票所に行かなくなる。盛り上がらない情勢を前に、「また安倍の勝ちパターンか」と諦めて棄権してしまう。その効果を狙い、マスコミと安倍晋三は一緒になって争点隠しに精を出している。消費増税推進の中核勢力であるマスコミは、7月21日の民意で消費増税が拒否されたという結果を出したくなく、10月の増税をつつがなく行う環境に持ち込むために全力で選挙に介入している。官僚と一体のマスコミは、必死になってこの選挙から消費税をマスクし、消費税論議の機会を奪い、消費増税をめぐる対立を消している。本来、この選挙で「税と社会保障の一体」のイデオロギーが破砕されるべきだったのに、松原耕二などマスコミがそれを懸命に阻止し防衛していて、マクロ経済スライドの詐欺性が浮上しない。

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消費税を選挙の争点から隠すマスコミ - 所得階級別世帯分布の変容_c0315619_12135259.png上の図は、報道1930でも紹介されたOECD諸国の時給増加率を比較したグラフだが、下にそれと重ねて同じ国々の20年間のGDP増加率を同形の図にして配置した。相関関係が一目瞭然。二つの統計をセットにして並べると、20年間の経済変化の本質的意味がよく了解される。賃金が削減抑制されたから、消費が伸びず、GDPの成長拡大が止まったのである。この事実を認めないといけない。われわれの共通命題にする必要がある。経済が成長拡大するということは、個人消費が伸びるということであり、必然的に国民所得が上昇するのであって、賃金増加の条件なしに経済規模が拡大することはあり得ない。賃金増加は消費増を通じてGDP増大となり、GDP増大は社会保障を支える税収増になる。三位一体だ。この三位一体範式を日本の左翼は理解しておらず、「最低賃金を上げろ」と唱えた同じ口で、「右肩上がりの時代は終わった」「経済成長を追い求めてはいけない」と説教する。経済的に矛盾した論理と主張を平気で言い続けている。矛盾の自覚がない。だから、「最低賃金を上げろ」というフレーズが異端的でルーティンワークの表象になる。


消費税を選挙の争点から隠すマスコミ - 所得階級別世帯分布の変容_c0315619_12140436.png国民的な幅広い説得力にならない。いったい、左翼は何を求めているのか。賃金を上げればGDPは自然に拡大する。そうなれば、田中優子や小熊英二や上野千鶴子が言うような「経済成長を追い求めない理想社会」は実現しない。ユニクロ着て鍋をすすって清貧に引きこもる脱構築のユートピアは到来しない。田中優子たち社会学者のテーゼは破綻する。いったい左翼はどちらの社会を求めているのか。左翼社会学者たちが悪魔視して全否定する「右肩上がりの経済成長」は、労働者への「賃上げ」によって自律的に達成されるものだ。「最低賃金を上げろ」とプラカードを持ってデモしているエキタス(しばき隊左翼)が崇める偶像こそが、田中優子であり小熊英二であり上野千鶴子ではないか。左翼社会学者がエンスージアスティックに唱える呪文を信仰し、経済成長を頑なに拒絶する態度 - 脱構築左翼の邪宗 - に徹しながら、賃金を上げろという要求は何なのか。このお粗末きわまる矛盾と非科学的混迷を、左翼はいつ止揚し精算するのか。しばき隊左翼の「最低賃金を上げろ」の要求は、かくして経済政策上の合理的なスコープを欠き、少数派の単発的スローガンと化し、国民合意的な性格を持てない。

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時々何かの折にネットで目にし、いつも気になっている統計資料に、厚労省の「所得金額階級別世帯数の相対度数分布」のグラフがある。「国民生活基礎調査」の報告書の中に載っていて、今年も昨日(3日)発表されてテレビのニュースの話題になっていた。この機会に手製のグラフを作成し、23年前の1996年と3年前の2016年を比較してみた。格差がどのように拡大しているかを視覚的に掴むためである。ほぼ予想したとおりの結果が得られた。この図表というのは、格差拡大を説明する材料にしようとするとき、単年の一枚だけ出しても意味がなく、複数枚表示して、時間の経過によってどう変容したのかを確認する必要がある。

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消費税を選挙の争点から隠すマスコミ - 所得階級別世帯分布の変容_c0315619_12211926.png小泉構造改革とアベノミクスの20年の間に、所得が300万円未満の層は24.7%から33.3%と8.6ポイントも増え、一方、所得が500万円以上1000万円未満の中産層の割合は37.2%から31.4%へと5.8ポイント減ってしまった。1996年のグラフの図柄が、中間を山の頂上にしたなだらかで安定した形状になるのに対して、2016年のグラフは左側の低所得層の峰が高くなる尖った形になっていて、変化と特徴がよく表れていると言える。中産階級が没落して貧困化した様相がよく分かる。マルクス経済学では窮乏化という言葉があるが、なぜか最近のマスコミとアカデミーはこの言葉を忌避して使わない。社会学者と左翼の議論は、貧困に苦しんでいる者が多くなったから行政は救済措置をせよというもので、湯浅誠と山口二郎はその対処として「薄く広く」を提唱した。貧困問題が何か他人事のように聞こえる。だが、グラフが示しているのは、中産階級にいて安定した暮らしをしていた者が、貧困階級(低所得者層)に移動させられたという事実である。その原因は企業のリストラと賃金削減にあり、従業員を正規から非正規に変えたことによる。

嘗ては国民(中産層)の生活を潤して回っていたカネが、内部留保やタックスヘイブンに一方的に溜まる社会法制になってしまったため、消費が止まり、経済成長が止まったということだ。


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by yoniumuhibi | 2019-07-03 23:30 | Comments(2)
Commented by さくら at 2019-07-04 14:59 x
「賃金増加は消費増を通じてGDP増大となり、GDP増大は社会保障を支える税収増になる。三位一体だ。(本文より)」

その通りだと思います。日本人の多くがそれを認識すれば、日本社会は再び豊かになれると思います。この三位一体を前提とすれば、賃金と消費を抑圧する消費税など論外なことはすぐにわかります。また、国民一般の所得を向上させることこそが福祉政策の基礎であることも、わかります。
進むべき道、光はあります。それを多くの日本国民に気付いてほしい。
Commented at 2019-07-08 07:09 x
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