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川崎登戸の児童殺傷事件 - 小社会の倫理

川崎登戸の児童殺傷事件 - 小社会の倫理_c0315619_14174789.png登戸で起きた児童殺傷事件。最初に、犠牲になった二人のご冥福を祈り、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げたい。犯人は自殺したが、動機を解明して事件の全体像を説明することはできないことではないと思う。予兆はあったはずだし、事件についての意味付与する何らかの痕跡を犯人はどこかに残していて、探せば発見できるのではないか。遺書はないかもしれないが、PCやスマホでネットに何かを書き込んでいる可能性がある。そう思うのは、犯行が計画的で、綿密に準備した上での挙行だからであり、自分の首を切って路上で自殺するという、人生の始末を劇場演出的に実行しているからである。現場にいた教頭が証言しているように、犯人は声を出さずに児童の背後から襲撃していて、頸部や背中を狙って切ったり刺したりしている。最小時間での最大効果を狙う犯行に及んでいて、予めプログラムを組み、イメージトレーニングの演習を重ねていたのだろう。この日が犯人の人生最後の日であり、言わば、逮捕されて裁判を受けて死刑になる前に、自分で処刑を執行して事を完結させている。



川崎登戸の児童殺傷事件 - 小社会の倫理_c0315619_14181690.pngとなれば、本来、法廷で陳述されるべき何かを、どこかに書き残していておかしくない。凶器である包丁を4本も購入し、背後から無言で次々と急所を狙うという早業を計画し、さらにこの日が人生の終焉であり、事件が大々的に報道されることを念頭に置いた犯行である以上、その主役となる犯人が事件を自ら意味づける行為をしていないとは私には思えない。昨夜(28日)のテレビ報道でも、これはテロではないかという声が上がっていたが、犯人にとってこれは一世一代のプロジェクトだから、何がしか、これを見た誰かが肯定したり合理化したりする余地を残すような、そういう意味付与へ繋がるメッセージを置いていておかしくない。犯行の意味や動機は、狙ったターゲットから推理を始めることができそうな気がする。ネットを見ると、「お嬢様学校ランキングTOP5!」と題した記事があり、その中学編でカリタス女子は第4位にランキングされている。殺害された外務省の職員は、住居のある世田谷区桜上水から子どもの見送りのため、わざわざ反対方向の多摩川を渡って登戸まで来ていた。

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小学校の学費は年間705,000円。報道されている犯人・岩崎隆一の生い立ちや生活環境と、襲撃され被害に遭ったソフトターゲットから判断すれば、事件は明らかに社会に対する復讐が動機だろうと想像される(それは小社会である家族と職場の環境を含む)。単なる無差別殺人ではなく、カリタス小学校の生徒と父兄が狙われていて、そこに犯人の怨恨と憎悪があったことが窺われる。構図としては分かりやすい。現場は自宅から4キロの位置だから、スクールバスを待って子どもたちが並ぶ朝の状況は、近所の日常風景として知り及んでいたのだろう。今回、非常に気になったのは、昨日15時4分のタイムスタンプで配信された週刊ポストの情報である。フリーの記者が犯人の自宅に電話し、家族と接触して聴き取りを行っている。この時点で、テレビ報道は犯人の名前も明らかにしていなかった。名前が出たのは読売の夕刊からだ。ポストのフリー記者が、なぜ犯人の自宅の電話番号を知ったのか。警察は、テレビの前の国民には犯人の名前も伝えず、報道関係者には自宅住所や電話番号を教えていた。

川崎登戸の児童殺傷事件 - 小社会の倫理_c0315619_14183178.pngその週刊ポストの記事を見ると、親族(伯父)が奇妙な回答を返している。「そちらに(住んで)いるのか」と尋ねると、「いるような、いないような」と答え、「事件のことなんて何もわかりません」などと言い、「事件の前まではいたのか」という質問に対しても、「ほとんどいないよ。いまはいない」と出鱈目な返答をしている。事件当日、犯行直前、犯人は自宅前で目撃されていて、自宅から犯行に出撃したのは明らかなのに、曖昧な口上で逃げてはぐらかしている。相手がポストのフリーの女性記者で、対応を面倒くさがって杜撰な態度に出たのだろうが、国民が最も知りたい情報の発信だから、返した言葉は活字になって速報される。記事は被害者の遺族や家族も目にするだろう。伯父のこの言葉は、被害者とその家族を傷つける乱暴なもので、あまりに配慮を欠いた不誠実なものだ。自らの立場を自覚していない。普通なら、「家の者がご迷惑をおかけして申し訳ありません」と恐縮して当然だろう。おそらく、伯父家族もまた自らを被害者と意識していて、これまで岩崎隆一にさんざん手を焼かされ、挙げ句、その仕上げにこの事件を食らったと不幸を嘆いているのに違いない。

川崎登戸の児童殺傷事件 - 小社会の倫理_c0315619_14184207.png犯行に至る経緯においては、どこかで予兆が出ていたはずで、異常と凶兆を感知できた者がいるとすれば、一つ屋根の下で日々暮らしている伯父夫妻だろう。であれば、伯父夫妻にも何らかの責任があることになるし、倫理的責任を被害者家族や世間から問われるのはやむをえない。と、私は思うが、最近は社会常識が変わったのか、凶悪殺人事件の加害者の家族については、無関係で無責任という立場認識が一般化していて、上のような不誠実な態度や応対でも非難されることがなく、責任が免除されてアンタッチャブルの存在になっている。最近の事件で特に憤慨させられたのは、4年前の川崎の中1リンチ殺害事件の加害者の家族に関わる問題で、あの論外な開き直りを世間は糾弾しなかった。そしてまた、こういうことを言い出すと、決まって出てくるのが腐った脱構築左翼で、倫理的に責任のある者を擁護し、口を尖らせて詭弁を繰り広げる。社会倫理を破壊することに無上の悦楽を感じる本性を持った脱構築左翼が跋扈し、その衝動をネットとマスコミで存分に吐き散らかす。正常な価値観と倫理観が生きていた過去の日本社会を否定し、世の中変わったのだと嬉々として凱歌を上げる。個人の人権の論理で正当化する。

川崎登戸の児童殺傷事件 - 小社会の倫理_c0315619_14185723.png凶悪な犯罪が厳しく咎められなくなり、正しく検証されなくなり、責任追及されなくなり、全体像が客観的科学的に説明されなくなった。もともと日本人は原因解明や責任追及が嫌いな心性を持つ民族で、問題の本質や構造を明らかにせず、責任の所在を総括せず、水に流すのが大好きな民族だ。そうした属性の日本人を、300万人の犠牲者を出した戦争の後、丸山真男の戦後民主主義理論が教育し、責任的で反省的な倫理主体(近代市民)に作り変えていたのだけれど、その戦後思想を根本から否定する脱構築主義が80年代から流行し、アカデミーを席巻支配し、日本人はまた無責任を尊んで罪を水に流す民族に戻ってしまった。否、私見では江戸時代よりも脱倫理の社会になってしまった。江戸期の方が倫理が生きている。そのムーブメントを主導し牽引したのは左翼だ。一昨年のやまゆり園の大量虐殺事件も、刑事事件・社会事件として何が何だかさっぱり分からない話で済まされている。障害者の権利を守れとか、障害者と共に生きる地域社会とか、その心得と制度が重要だという結論と教訓が叫ばれ、スリカエに聞こえる一般論ばかりが強調されている。あの凶悪犯(植松聖)がなぜ作られたのか、放置されたのかは不問に付され、関心すら持たれない。

川崎登戸の児童殺傷事件 - 小社会の倫理_c0315619_14191344.pngその一方で、弱者に思いやりのない社会が組み上がった要因が、新自由主義の自己責任原理にあるという了解すら定着せず、一般認識にならず、マスコミ評論の常識範疇に定置しない。植松聖に、誰がナチスの優生思想を吹き込み、その「正当性」を確信させ、政治(安倍晋三・大島理森)に決行宣言させるまでの「大事業」を唆(そそのか)したのか、それすら明らかにしようとしない。今回は、事件を起こした犯人の動機も背景も何も分からない時点で、被害者の心情に沿えば犯人を擁護する論理としか思えない奇妙な言説を、左翼が「緊急提言」と称して流し、Yahooが珍重してトップニュースで拡散し、左翼がツイートで共鳴共感するという不毛で面妖な図が演じられた。事件直後に、何でこんな勘違いな訓戒を垂れる議論が立ち起こるのか。何でこんな軽率な主張が話題の中心になるのか。唖然とする。脱構築以降、司法(弁護士)は、請け負った加害者を無罪にしたり罪を軽くするゲームに熱中するようになり、あるいは、死刑廃止主義や反ヘイト主義のイデオロギーの徒となり、社会正義の実現を忘れ、真実を究明する使命と責務を投げ捨てている。被害者やその家族となった者は、ただ泣き寝入りさせられるだけだ。

ロールズがどうのと喋々しながら、社会正義などどこにもない。左翼リベラルを筆頭に、日本人は悪を憎まないようになり、すべてを相対化することに情熱を傾け、シロとクロを分け隔てしない地平を理想とするようになった。相対化を理屈で処理する「相対性理論」の徒になった。

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by yoniumuhibi | 2019-05-29 23:30 | Comments(4)
Commented at 2019-05-29 18:28 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 愛知 at 2019-05-29 19:12 x
「死にたいなら一人で死ぬべき」の危険性・凶行を繰り返させないために―――タイトルを見たときは、内心の自由の侵害かと。ご遺族がこの言説をご覧になられ、どう思われるのか。この言説で本当に凶行が繰り返されないとでも考えておられるのか。東條由布子の亡霊としか思われませんが。言説の主の年齢からすると、復員兵教諭の授業など受けられたことがないのでしょう。本当に情けない。
Commented by ロシナンテ at 2019-05-30 01:38 x
この事件も犯人の動機や生い立ち成長後の思想等、曖昧なままで終焉しそうに思います。
相模原殺人事件もそうでしたが、その事件の本質を探る作業は意図的に隠蔽する目的があるのかも知れません。
それが何を意味するか。
市民はその過程を知らされないまま、結果だけを恐れる心理になるかと。
結果が治安維持されてれば全ては良い方向に有ると考える。
目隠しの治安維持、ですね。

この事件での尊い命を失った方、心にまで傷を負った皆様方に、
哀悼の祈りを捧げさせてください。
Commented by 山椒魚 at 2019-05-30 10:01 x
私も小学校の卒業式の後、担任の教師が私のところにきて、「お前を真人間にしてやろうと思ったけどできなかった」と言って、ほろほろと涙をこぼした。
 ただ殴るだけで、子供が真人間になるか。
わたし、お前なんかに真人間にされてたまるかと思っていた。
 しかし、中学校になって、今回の犯人と同じ名前の教師に出会って、何も言わず私を受け入れてくれたその教師の優しさで道を踏み外さずにこれた。
 しかし、私を、敲きたいだけ敲いた小学校の教師に対する恨みは消えることがない。


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