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正念場の共産党 - しばき隊バブルの崩壊、問われる27回党大会テーゼ

c0315619_16101219.png昨日(12日)、共産党の6中総があり、志位和夫による幹部会報告がネットで生中継されていて、それをずっとPCで視聴した。午前10時半から正午すぎまで約1時間半、相変わらず長い原稿を延々と読み上げている。章の区切り毎にパラパラと拍手が上がり、いかにも共産党らしい前世紀的な伝統様式で会議が運営されている。たしか、赤旗紙面にはこれが活字になってびっしり印刷され、党員は支部で集まって音読学習会に精を出していたはずだ。朝日、毎日、産経が記事で取り上げ、参院選での野党候補一本化について「相互推薦」を条件にしない方針に転換したことをニュースで伝えている。共産党が1人区の選挙共闘のハードルを下げた。事実上のベタ降り宣言であり、共産党が一方的に1人区の候補者を降ろして一本化するという表明である。市民連合の介在という形式で面目を保つのだろうが、結局、共産党の押し負けで、狙った獲物を得ることができなかった。4月21日の大阪12区補選での屈辱的惨敗が響いていて、野党政局で共産党の発言力が陥没している。また、1人区の供託金没収を回避したい共産党の財政事情の足下が見られている。



c0315619_16103405.png朝日は「野党候補の一本化へ弾み」と書いているが、今、この時点で、参院1人区で野党が勝てるとは誰も思っておらず、世間の興味を惹くニュースにはなっていない。消費税が争点になる形を作れれば、野党が勝つ選挙に持ち込むことも可能だろうが、現状、世論の風は安倍政権に強く吹いていて、加えて、選挙前まで安倍晋三の支持率を上げるイベントが目白押しであり、そうした情勢を鑑みたとき、惰弱で無能な野党に国民の支持が集まる見込みはない。6中総幹部会報告の中で、志位和夫は、参院選について「現有議席を後退させる危険があることを直視しなければならない」と危機感を強調している。私の関心は、次の選挙で共産党が比例で何票獲得できるかという点だ。2017年の衆院選で共産党は440万票しか取れず、2016年の参院選で得た601万票から160万票(27%)も減らした。2017年1月の第27回党大会で、共産党は「850万票、15%」の比例得票を目標に掲げ、以来、この方針で選挙に臨み続けている。27回党大会は、いわゆる「市民と野党の共闘」の意義が前面に打ち出され、現在の共産党の基本戦略が設定・確立された重要な党大会だった。

c0315619_16105050.png27回党大会には、中野晃一とミサオ・レッドウルフが招かれて壇上で挨拶している。2012年から始まるしばき隊運動(=3.11以後の社会運動)の成功と成果の上に、しばき隊とWinWinの蜜月関係で国政選挙600万票の躍進を遂げた共産党が、順風満帆の勢いと自信を持ってテーゼしたのが、この「市民と野党の共闘」路線だった。2013年からの共産党の躍進が、しばき隊運動の台頭と奔流を基礎として、それと手を組むことで、ネット選挙と街頭デモの二つの政治領域で勢力拡大を奏功させた結果であったこと、すでにブログで幾度も分析し詳論したところである。2015年のSEALDs運動も、市民連合も、「野党共闘」も、その一連の動きであり、オルガナイズしたイデオローグは中野晃一であり、フロントの実務で立ち回ったのが木下ちがやらであった。けれども、弁証法の法則は、変化発展を媒介する槓桿だったものが没落の契機となる桎梏に転化する。それがマルクスの弁証法の真理であり、この合法則性は共産党をも捉えて例外に置かない。いわゆる「しばき隊運動」と、いわゆる「3.11以後の社会運動」とは同じ実体であり、運動を担った活動家主体は同じで、同一のTシャツ姿でデモしている。

c0315619_16110236.png2017年7月の反安倍デモ(新宿中央公園)で、小池晃はしばき隊Tシャツを着て壇上で演説し、同じく2018年10月のJCPサポーターまつり(青山公園)でもしばき隊Tシャツ姿でパフォーマンスを演じ、しばき隊との一枚岩の同志関係をアピールした。27回党大会の決議と方針に従えば当然の行動であり、党組織のトップとしてしばき隊との一体性を世間に強調するのは任務である。こうして共産党に強くエンドースされ、その存在を保障されているため、左翼世界でしばき隊は無敵であり、しばき隊が敵視する相手に対するどのような暴言も恫喝も悪意のデマ拡散も許され、その暴力行為を咎められないまま倨傲に開き直り続けている。共産党がしばき隊を積極擁護している。共産党がしばき隊の正当性を無条件に公認している以上、日本の左翼業界でしばき隊が悪として糾弾されることはない。それは、客観的に見れば共産党の変質であり、共産党のしばき隊化に他ならない。件の昨年10月のJCPサポーターまつりでは、しばき隊系の三つの団体がブースを設営して話題を呼んだ。世間から胡散臭く見られているしばき隊側からすれば、共産党を取り込み、世間一般からの信頼表象を持つ共産党の一部となり、地位盤石で万々歳というところだろう。

c0315619_16111597.pngその共産党は、2017年の衆院選で比例440万票という不本意な結果となった。この理由について共産党側は、希望の党のハプニングがあり、枝野新党の判官贔屓のムーブメントがあり、同情票が立憲民主党に流れたためという説明で逃げている。本来は共産党に入るべき票が、不測の事態と混乱の中で枝野新党の判官贔屓票に化けてしまったという分析だ。一見尤もらしい釈明だが、仮にそうであれば、2013年(参)と2014年(衆)の600万票のうち、160万票は吹けば飛ぶような浮動票だったという真相になろう。共産党が二人三脚で奮闘してきた「3.11以後の社会運動」の政治は、信念を持った共産党固定票を育むことができなかった、と、そう結論づけざるを得なくなる。私自身はそれに加えて、「3.11以後の社会運動」の化けの皮が剥がれ、すなわち「しばき隊運動」の有害性が露呈し、有権者に正体を見破られ、共産党600万票を支えていたしばき隊バブルが崩壊した結果と仮説を立てている。鄭玹汀事件とか、大阪のリンチ事件の発覚とか、数々の性的暴行事件の露見とかは、2015年以降に明らかになったもので、その頃を分水嶺にして、しばき隊運動はプラスからマイナスシンボルにスイッチした。「しばき隊」の語もすっかり悪性表象化した。

c0315619_16112986.pngその仮説の内容をさらに掘り下げれば、共産党600万票を実現せしめたしばき隊バブルの中身は、50代以下の比較的若い有権者の支持であり、ネットを見て「3.11以後の社会運動」に感化され、新たに共産党に一票を投じた部分である。彼らは主にネットで政治の動きに接していて、政治への判断材料をマスコミ報道ではなくネット情報を通じて取得している。そのため、その後のしばき隊の悪行と悪評に触れる中で、しばき隊運動へのコミットが薄らぎ、しばき隊と癒着する共産党からも心が離れてしまったのだ。昨年、新宿ベルク事件が起きたとき、事件がYahooのリアルタイム検索の1位になり、ネット空間を騒然とさせて問題が紛糾したことに私は驚いたが、かくのごとく若い層はネットで政治動向に関心を持ち、事実を追跡し、反応しながら自身の政治態度を決定している。3.11後の反原発運動がまさにそうであり、それを取り込んで共産党は支持拡大を経路づけたのだった。しばき隊運動(=3.11以後の社会運動)とWinWinの結託をして党勢拡大する前の共産党を見てみよう。2012年の衆院選比例で368万票、2010年の参院選比例で358万票となっている。科学的見地から遠慮なく認識を言えば、このボリュームが共産党の基礎票と考えて差し支えない。

c0315619_16114165.pngこの固定的な集票力の上に、(1)旧民主党(小沢系含む)への反発と幻滅があり、(2)そこに3.11後のしばき隊運動の興隆があり、(3)安倍改憲の脅威が後押しして、左派リベラルの浮動票が乗っかってくる幸運な展開となった。そのような条件が重なって2014年の600万票が実現した。すなわち、固定票は350万票で250万票は浮動票なのだ。今回の参院選は、いわば、共産党を取り巻く環境を過去に戻す方向に動いている。立憲民主と国民民主が再結集に動き、共産党が定義する「野党共闘」が崩れかかり、「野党共闘」の土台を成していたしばき隊運動が確実に衰弱している。しばき隊の悪性表象が一般に固まり、集票のマイナス効果となっている(大阪12区補選を見よ)。また、新しい野党政局の動きとして太郎新党の旗揚げがあり、これも共産党の票を流動化させる不安要因となるだろう。大雑把に見積もって、共産党が得ていた左派浮動票のうち50万票が移動するのではないか。プリミティブな計量政治学のモデルを描けば、しばき隊バブル期の共産党600万票のうち、100万票が立憲民主に流れ、50万票が太郎新党に奪われ、50万票が棄権へと回帰し、共産党は400万票にシュリンクするかもしれない。ついでに私見を言えば、400万票ならまだ十分にやり直せる。

心配なのは、しばき隊との一体化路線を総括せず、そのまま惰性で継続し、しばき隊の悪行悪態の責任を党が引き受ける形で、将来の選挙で300万票を切る破滅に至ることである(70年代解同朝田派の暴力を社会党が利用し、その責任を民意に総括されて地域で衰滅したように)。そうなれば、共産党は二つに分裂し(しばき隊新党派と共産党固守派)、社会党と同じ運命を辿ることになるだろう。



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by yoniumuhibi | 2019-05-13 23:30 | Comments(1)
Commented by ふゆ at 2019-05-14 19:39 x
天皇は即位前に、アレが何度か元号の説明に来た時「何度でも来てくださいね」と声をかけたらしく、アレは嬉しそうにしてたようです。アレに取り込まれているのが分かっておられないのでしょう。天皇と、内閣総理大臣は、一定の距離を持つべきだと考えます。
そして、動画で検索していただければわかりますが、北見市職員の方が、維新のバカ議員に対してしっかりとモノを言って、あのバカ議員が「申し訳ありませんでした」と形ばかりではあるものの謝罪していました。元島民の方々も、戦争という言葉に対してしっかりと反発の声を、その場ですぐに挙げて、責めよっていましたね。この北見市職員と、元島民の方々の気迫を、われわれも学ばなければいけません。あの程度のバカ議員は中身がありませんから、叱責すれば、へなりますよ。


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