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なぜ立憲民主党は支持率を半減させたのか - 枝野幸男のヤヌスの顔

c0315619_13195000.png政局に目を転じよう。4月21日の衆院大阪12区補選で「野党共闘」を看板にした元共産候補が惨敗した後、左のネット界隈で話題になった出来事は、参院京都選挙区の候補者をめぐって立憲民主と国民民主の間で調整がつき、一本化が実現したことだった。4月27日に前原誠司が会見し、国民民主の公認候補を一方的に降ろす決定を発表、枝野幸男が5月5日に「大変な勇断だと思うし、敬意を表したい」と歓迎の意を表明した。これに対してしばき隊左翼から不満の声が上がり、「野党共闘」は一致して現職の共産候補を応援すべきだなどと恨み節を垂れる一幕があった。前原誠司(国民民主)の狙いは明快で、6年前に共産が京都選挙区で得た議席を奪い取ることであり、共産現職を落選させることである。だけでなく、他の2人区(広島・静岡)で立憲民主との間で候補者調整を実現させ、国民民主の現職で一本化することであり、さらに7月の選挙を通じて国民民主と立憲民主のコンバージェンスを進め、分裂前の嘗ての民主党を復元することが展望されている。そこには、立憲民主に共産との現在の関係を切らせるという意味もある。



c0315619_13284262.png共産の側は、こうした動きを阻止して「野党共闘」を保全するためにも、大阪12区で善戦して力を示す必要があったが、惨憺たる屈辱的敗北に終わったため、野党政局での影響力を失って何も口出しできなくなった。現状、玉木雄一郎をお飾り役者に仕立ててマスコミの表で喋々させるところの、前原ドクトリンが野党政局で無人の野を行く観になっている。もともと、立憲民主の枝野幸男はヤヌスの顔を持った政治家で、民主党時代も菅直人と親密なリベラル表象を標榜しつつ、実際には前原誠司の派閥である凌雲会に属していた。政治家になってからの26年間の道程は、ずっと前原誠司と同じ路線と所属で歩んでいる事実を確認できる。立憲民主党は、いわば枝野幸男が裸一貫で立ち上げた政党で、枝野幸男がオーナーで、連合左派(非主流派)の官公労がパトロンの政党だが、出生時に経緯があり、「市民連合」のサポートを得て誕生した事情と背景があったため、必然的に「野党共闘」のメインフレームの存在となった。だが、不気味なことに、立ち上がった新党の幹事長に長妻昭を選ばず、なぜか前原誠司の腹心である福山哲郎を右腕に抜擢する。

c0315619_13395610.pngそして、判官贔屓の空気が盛り上がる中で、全国各地からわれもわれもと新党の公認を求めてアプライしてきた新人や元職たちを受け付けず、総選挙では希望の党の現職に配慮した消極的な陣容で臨んだ。連合(神津里季生)の顔を立て、前原誠司に止めを刺さなかった。枝野立憲民主のヤヌス的性格は、検証すれば、17年10月の初発の時点から十分に明らかだったと言える。福山哲郎を幹事長に据えたのは、イデオロギーが同じ同志だからであり、将来、前原誠司と元の鞘に戻る旋回(次の野党再編)を見越しての布石だろう。理念と政策を基礎づけるイデオロギーを診たとき、枝野幸男は、長妻昭とは遠く、前原誠司・福山哲郎とは近い位置関係にある。政治家はイデオロギーの生きものであり、イデオロギーを持たない政治家は集団の指導者にはなれない。昨年半ば頃から、長妻昭のマスコミへの露出が減り、福山哲郎の顔が映る場面が多くなった。何か政治ニュースをテレビが報道するとき、「野党の反応」として登場するのは玉木雄一郎と福山哲郎ばかりになった。長妻昭は降格(冷や飯)が続いている感が強く、枝野幸男が意図的に遠ざけている内情が窺われる。

c0315619_13403242.png政党支持率1%の玉木雄一郎はテレビに出まくり、永田町の野党全体を代表しているような素振りとマスコミ側の扱いだが、立憲民主の枝野幸男の方はテレビに出ようとしない。テレビは(BSTBSの松原耕二も含めて)安倍マスコミと化しているため、生放送で言質を取られるのを嫌っているのが理由だと察するが、枝野幸男がテレビに出演しないことが立憲民主の政策方針の見えにくさに繋がり、党の支持率を傾向的に低下させてきた要因になっただろうと思う。逆効果となった。立憲民主は枝野党であり、枝野幸男がオーナーなのだから、枝野幸男が口を開かないと国民には政策が伝わらない。野党の国会対応とか、安倍政権への対決戦略などを、支持率1%の玉木雄一郎が語れるはずがなく、そもそも資格がなく、国民には自己宣伝のための余計で冗長な漫談(電波の私物化)にしか聞こえない。枝野幸男がメッセージを発信しないため、この1年半、野党の存在感と能動性は薄く弱いままの状態が続き、野党が安倍政権と対決しているという実感や確信が国民の中に生まれなかった。ちまちました国会論議の主張だけが逢坂誠二などによって提供されただけだった。メインフレームが止まっていた。

c0315619_13410168.pngそのことが、1年半を通じて立憲民主の政党支持率が半減した主な要因だろう(NHKの世論調査で10.2%から5.4%に低下)。国民は、判官贔屓した判官に期待に応える動きをして欲しかったのだ。もし、枝野幸男が政策を左派方向に軌道づけ、明確に共産党と左派ブロックを組んで安倍政権と対抗していたら、立憲民主の支持率は10%から下がることはなく、あるいは15%まで高めて選挙を迎えていただろう。メインフレームを左派ブロックに定義づければ、自ずと安倍政権批判の言葉は多くなり、真っ向対決の政策論は熱を帯び、マスコミ報道を通じて国民の関心を惹き付けることになる。だが、枝野幸男はそれをせず、ヤヌスの顔のままの自縄自縛で停頓、固着し、時間の流れを国民民主との間の内輪の競合や妥協で費やした。内側の権力闘争と再編の布石に終始した。枝野幸男という男の限界であり、人が期待するほどの中身がない証左である。無論、私は最初からそうなると予想していたし、枝野幸男のイデオロギーからして左派ブロックなど不可能だと看破して、「野党共闘」不可能論をずっと唱え続けてきた。「野党共闘」は幻想だと言い、そのため、共産党と一体のしばき隊から苛烈なリンチ攻撃を浴び続けてきた。

c0315619_13432530.png例えば、昨年末から現在までの政治を考察したとき、重要な政治のイシューとなった問題は二つあり、ひとつは韓国との外交関係であり、もうひとつは元号と代替わりの問題である。二つとも国民の大きな関心事となり、感情が律動し昂奮した政治問題だったが、すべて安倍晋三の思いどおりに安倍マスコミによって操作が遂行され、プロパガンダで埋め尽くされた。安倍晋三の論理が正論化され、多数世論となり、内閣支持率が上がる結果へ導かれた。文在寅は徹底的に悪者にされ、国民の韓国への憎悪と不信は、中国に対するそれと匹敵するほどに高まり、そのまま国論として毒々しく定着した。「令和」なる面妖な新元号を国民が圧倒的に歓迎したという、検証すればあり得ない「事実」が安倍マスコミによって巧妙に捏造され、既成事実化され、強引に押し固められた。日本会議的な元号選定が正当化され、これまた内閣支持率を上げる状況を作って統一地方選に持ち込まれた。二つの問題についてのマスコミ報道は、まさに安倍晋三の特務機関の情報工作と等しいもので、野党は批判しなければならなかったはずだ。韓国の問題については村山談話を思い出せと言わねばならず、「令和」や代替わりについては皇室と元号を私物化するなと言わなくてはならなかった。

c0315619_13435109.pngだが、野党はそれを言わず、共産党も含めて静観に徹したのであり、目を塞いで政治の争点にしなかった。二つの問題では野党はホールドアップ状態で、安倍晋三が自由自在に言論を仕切る政治となった。何もかも安倍晋三のフリーハンドで進み、野党が沈黙居士で抵抗しないから、野党の支持率が上がるはずがなかった。国民は野党の無能を嘆き、野党がだらしないと言うしかなく、上皇さまの慈愛にすがって自らを慰めるしかないのだ。もし枝野幸男が左派ブロックを組み、対決型の野党を構成していたら、二つの問題とも争点となって国会論戦を喚起し、国民世論も左と右で割れ、TBSなどは安倍マスコミ全般の論調とは距離を置いたリベラルな報道をしただろう。とまれ、韓国の問題も、元号の問題も、立憲民主が介入しないのなら共産が孤軍奮闘して提起すればいいのだが、共産は立憲民主との抱きつき(=「野党共闘」)に熱中していて、公明を倣って「下駄の雪」になるサバイバル戦略に没頭している。「野党共闘」が最優先であり、立憲民主との間に波風を立てないよう配慮するのが第一で、立憲民主への忖度に徹している。韓国の問題も、元号の問題も、左翼政党らしい真剣な言論発することなく、ファッショ的状況に一石を投じる行動をしなかった。

間もなく「野党共闘」は崩壊する。中野晃一の「市民連合」も一角が崩れ始めた。枝野幸男のヤヌスの顔の左側の顔面が崩れ始めている。

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by yoniumuhibi | 2019-05-09 23:30 | Comments(0)


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