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共産党の屈辱的惨敗 - 展望を失って清算を迫られている「野党共闘」

共産党の屈辱的惨敗 - 展望を失って清算を迫られている「野党共闘」_c0315619_15421186.png大阪12区補選の結果は、「野党共闘」の看板で出た元共産候補の惨敗に終わった。マスコミの情勢報道で苦戦が伝えられ、候補者4人中最下位落選ではないかと噂されていたが、何と、得票率8.9%で供託金没収という目も当てられない失態劇となり、ネットの各所で嘲笑されている。票数は、当選した維新新人が6万0341票、次点の自民新人が4万7025票、3位の樽床伸二が3万5358票、最下位の宮本岳志が1万4027票。樽床伸二の半分にも達していない。マスコミの出口調査によれば、選挙区の共産支持層すら固められず、2割を樽床伸二に奪われるというお粗末となった。過去の大阪12区(衆)の選挙で共産党候補が得票したどの票数よりも少なく、絶句させられる衝撃的な結果と言うほかない。現職議員だった共産党の宮本岳志がこの補選に打って出たのは、7月の参院選に向けての「野党共闘」の景気づけのためであり、この選挙で善戦して「野党共闘」を盛り上げ、その主導権を共産党が握るためだったが、全く逆の民意が返り、甚だしく共産党の威信低下をもたらす顛末となった。



共産党の屈辱的惨敗 - 展望を失って清算を迫られている「野党共闘」_c0315619_15422769.png大阪12区補選に対する共産党としばき隊のフォーカスとモチベーションは凄まじかった。2014年の東京都知事選ほどではなかったが、昨年の新潟県知事選の2倍から3倍のリソースの注力と動員はあっただろう。4月7日の統一地方選前半日程が終わった後、投票日までの2週間、しばき隊左翼のTWは宮本岳志の応援一色で塗り潰され、他の政治話題はTLに上がらなかった。来る日も来る日も、(1)宮本岳志の人物像の褒め上げ、(2)いかに有能で卓越した議員かの宣伝、(3)「野党共闘」の大義のために身を捨てた美談の強調、それらのフレーズが制作動画と共に乱れ飛び、埋め尽くされ、洪水のように溢れていた。選挙の戦況はどうだろう、何か情報を知りたいと思って、TWで「大阪12区」と検索すると、他の候補者の情報は出ず、客観的な情報は何も出ず、とにかく、しばき隊左翼による青と黄の宮本岳志の宣伝TWだけが山のように、果てしなく延々と連なり流れるという状況だった。TWの発信と拡散の量だけを見れば、宮本岳志がぶっちぎりのトップ当選でもおかしくない圧倒的景観だった。最下位というマスコミの中間情勢報道が出たとき、本当だろうかと疑ったものだ。

共産党の屈辱的惨敗 - 展望を失って清算を迫られている「野党共闘」_c0315619_15423966.pngネットの選挙運動だけでなく、共産党と「野党共闘」勢力による街頭活動も壮絶で、志位和夫と森ゆう子が毎日張り付いて宣伝カーに登壇し、「野党共闘」のシンボル・タレントである香山リカや山口二郎が顔見せし、小さな町にアピールとアジテーションを集中投下していた。選挙運動に投入された熱とエネルギーだけを計算すれば、宮本岳志陣営のそれは他候補の十倍以上だったに違いない。中盤、宮本岳志の苦戦が伝えられ、さらに選挙運動は激しく熱を帯びた。当選は無理でも接戦の次点が目標だったから、最下位落選では話にならず、「野党共闘」の展望が損なわれてしまうため、しばき隊左翼は必死になって奮闘した。3位の樽床伸二の襟首をつかむべく、寝食を惜しんで応援と激励のTWを乱打した。そして、今、戦い済んで日が暮れて3日が経とうとしている。私は常々、1978年の京都府知事選の思い出話に耽り始め、それを関ヶ原の戦いに喩えて物語る政治の習癖があるが、今度のネット選挙運動に没入し狂奔した若い人たちは、それと類似した苦い感覚を持ち、人生後半に何度も反芻し回顧することになるのかもしれない。共産党が徹底的に敗北した選挙となった。

共産党の屈辱的惨敗 - 展望を失って清算を迫られている「野党共闘」_c0315619_15425332.png今度の結果は次のように意味づけることができる。大阪12区に住む共産支持の有権者は、訳の分からない「野党共闘」の看板で出てきた無所属候補を拒絶したのだと。本当なら2万2000票入らなくてはいけないのに、1万4000票しか入らなかった。基礎票すら集めることができなかった。「野党共闘」のテーゼとスローガンが否定されたのだ。無党派だけでなく、共産支持の有権者までが、党本部が掲げて進めている「野党共闘」に納得しておらず、それに疑念を示しているのだ。立憲民主の支持層は6割近くが樽床伸二に投票していて、これまた「野党共闘」に期待・共鳴していない。「野党共闘」とは何なのか、その戦略で果たして安倍自民に勝てるのか、共産党や立憲民主党の支持者がそのことに確信を持っていない現実が浮き彫りになっている。「野党共闘」には4年の歴史があり、2015年のSEALDs運動の後に中野晃一が「市民連合」を立ち上げ、共産党が「国民連合政府」構想を宣言したときに戦略として定置された。いわゆる「3.11以後の社会運動」(=その中身はしばき隊運動)の延長上に構築された左翼の政治戦略だ。

共産党の屈辱的惨敗 - 展望を失って清算を迫られている「野党共闘」_c0315619_15430586.png私はそのときからずっと、「野党共闘」は国民に支持されないと言い、それは生き残りを模索する既成諸政党の打算と詐欺だと喝破し、必ず失敗し崩壊すると訴えてきた。SEALDs運動の欺瞞と合わせて包括的に批判し、しばき隊学者を糾弾してきた。理念と政策を共有できない既成勢力の野合では、安倍政権を倒す力にはならない。そう主張し、別の戦略設定(=永田町の外からの新党)が必要だと唱えてきた。時間が経てば、欺瞞の本質を国民が見破り、設計ミスが露呈し、説得力を衰えさせて国民の支持が離れるだろうと観測してきた。果たして、破綻はすぐ現れたかに見え、2016年2月の京都市長選で共産系候補が惨敗、同年4月の八王子市長選で「野党共闘」候補が惨敗する。3年前の京都市長選は、今回の大阪12区補選と風景が酷似していて、内田樹、白井聡、浜矩子、佐藤学らが応援団に名を連ね、共産党が本格的に組織を駆動させたパワフルな選挙戦が展開された。この頃は、SADLが都構想住民投票を阻止した2015年5月の余韻が残っていて、しばき隊運動が左翼世界で勢いの絶頂にあった時点だったが、結果はまさかのダブルスコア敗北で、京都の政治に例のない歴史が刻まれた。

共産党の屈辱的惨敗 - 展望を失って清算を迫られている「野党共闘」_c0315619_15431856.png今回、奇妙なことにSADLが動いておらず、大事な共産党の選挙戦に役立っていない。なぜ、こんなことになったのだろう。惨敗の原因を分析究明する必要があるが、私は仮説として - 3年前と同じだけれど - しばき隊の悪影響というイシューを提起したい。共産党の退潮は2016年から始まっている。その前、共産党の躍進は2013年から始まり、党勢を押し上げた原動力は明らかにしばき隊運動だった。その点についてはすでに詳しく論じた。2016年から下り坂になり、2017年の総選挙では、2016年参院選の601万票から160万票も減らした440万票となっている。本来、共産党はこのときに敗因を検証総括し、党勢失速の真因を突き止めなくてはいけなかった。だが、共産党はそれをせず、希望の党が「野党共闘」を壊したからと責任転嫁し、「野党共闘」戦略(=「国民連合政府」構想)の正当性に頑迷に固執、しばき隊との一体化路線をひたすら維持・継続することになる。そして、今回の統一地方選と衆院補選を迎えた。この敗北の事実について、科学の党がどこまで社会科学して問題点を正しく検出するかが問われている。共産党の支持層までも「野党共闘」に愛想をつかしていることを、党幹部は正しく認識する必要があるだろう。

香山リカや山口二郎が賑やかしで選挙カーに登壇する図は、最早、選挙の集票においてマイナス効果でしかない。有権者はうんざりしている。揚棄すべきだ。


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by yoniumuhibi | 2019-04-23 23:30 | Comments(1)
Commented by a at 2019-04-28 18:05 x
 根本的には、やはり共産党の民主集中制自身に問題があるのではないでしょうか。
 今回、共産党支持票の2割が樽床に流れたというのは、民主集中制の下では共産党の現路線に不満がある共産支持者は、選挙の際に、共産と与党以外の候補に入れざるを得ないからです。
 今更ながらですが、1980年代のユーロコミュニズムでの論争(藤井一行、 田口富久治)のときから問題はあったのだと考えます。


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