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万葉集を売った中西進 - 忖度学者の口から出任せの曲学プロパガンダ

c0315619_15234808.png中西進という学者の評価について、われわれは一から考え直す必要がありそうだ。前回の記事を書く前、不覚ながら12日に出た日刊スポーツの記事を読み落としていた。スポーツ紙にも目を配らなくてはいけない。中西進が「9条改憲NO!戦争させない・9条壊すな」総がかり行動の賛同者に名を連ねていたという事実のために、われわれは中西進を過大評価してしまっていたようだ。実際は学者としてとんでもない人物だった。そしてどうやら、新元号「令和」は中西進と安倍晋三の合作、共同制作だった可能性が高い。記事中、「文選」に類似の表現 - 張衡の『帰田賦』 - があるがと記者に質問された中西進が、「私には理解できない。考案者には理解できなかっただろう」と反論している。呆然とさせられる。学者としてあり得ない返答だ。「理解できない」とはどういう意味だろう。万葉集巻五にある梅花の宴の序文の漢詩については、岩波の『新日本古典文学大系』の『万葉集(一)』の中で注釈が付されていて、そこには、「『令月』は『仲春令月、時和し気清らかなり』(後漢・張衡『帰田賦・文選巻十五』)とある」と書かれている。この本の出版は2017年11月だ。中西進が知らないはずがない。



c0315619_15240232.png『新日本古典文学大系』の『万葉集(一)』には、中西進は編集メンバーとして入ってないが、岩波の全集だから標準の教科書という位置づけになるし、記されている内容は定説として押さえるべき学説上の知識になるだろう。そして、このことは4月1日の午後に岩波文庫編集部のTWで指摘され、一般に認知されたことでもあった。中西進は「私には理解できない」と言っているが、何が「理解できない」のだろう。梅花の宴の序文中の表現が『帰田賦』を倣っているという通説に対して、それを認めず否定する持論を持っているということだろうか。であれば、中西進は万葉集研究の泰斗であり、文化勲章受章者の権威なのだから、堂々と持説を並べて説得すればよいのであり、旅人の「初春令月、気淑風和」と張衡の「仲春令月、時和気清」との参照関係を、人文科学の見地から立論して覆せばよいのである。「理解できない」で一蹴するとは何事か。全く説明になっていないし、学者として不誠実な態度である。理解できないのは中西進の不遜な態度の方だ。質問に対して回答していない。記者は国民の代わりに重要な質問をしているのに、答えようとせず卑怯に逃げている。

c0315619_15241459.png岩波『新日本古典文学大系』の『万葉集(一)』の執筆に加わり、校注を担当した学者たち(佐竹昭広、山田英雄、工藤力男、大谷雅夫、山崎福之)は、中西進に侮辱されたも同然だ。研究者として、この中西進の所業を見逃すわけにはいかないだろう。中西進に責任をとらせる必要がある。そもそも、この730年に太宰府で作られた「梅花の宴の序文」は、353年に東晋の王羲之によって書かれた「蘭亭序」を模した創作で、形式も構成も表現も「蘭亭序」をエミュレートした漢詩文だ。当の中西進自身が、自著の中で「梅花の宴の序文」は『蘭亭序』の模倣だと明言している。証拠を示そう。角川ソフィア文庫の中西進著『古代史で楽しむ万葉集』のP.179に、「旅人が三十一人を集めて梅花の歌宴を催し、蘭亭の序をまねた漢文の序を書き、」とある。中西進は他の著書にも同じ記述をしているようなので、ぜひ確認と検証をお願いしたい。岩波『新日本古典文学大系』の校注者が、「梅花の宴の序文」の「初春令月、気淑風和」について張衡の「仲春令月、時和気清」をエミュレートしたものだと説明しているのは、『蘭亭序』の中にある「天朗氣清、惠風和暢」のこそが、張衡の「仲春令月、時和気清」のオマージュだとする説があったからだろう。

c0315619_15242590.pngネットの情報では、江戸期の万葉研究者で国学の先駆者である契沖が、すでに張衡の「仲春令月、時和気清」と旅人の「初春令月、気淑風和」との類似を認めているとある。であれば、岩波『新日本古典文学大系』の校注者が張衡の『帰田賦』を持ち出すのは当然で、わが国の古典文学研究で確立された標準的な知識の継承に他ならない。となれば、すなわち、中西進は契沖に挑戦する新説を唱えていることになり、重大な事態に違いないから、日本古典文学の学者たちにはその是非を真剣に議論し追及していただきたい。中西進は「梅花の宴の序文」と『帰田賦』の表現の類似について、「考案者には理解できなかっただろう」などとふざけたことを言いのけている。図々しい。国民をバカにした話で、国文学の学問を根底から貶める暴言だ。旅人と張衡の表現の類似は常識で、万葉集研究に携わる者のイロハではないか。オレが「令和」選定の機会に、旅人「梅花の宴の序文」と張衡『帰田賦』とを無関係なものとして定義し、それを学界の定説とするとでも言いたいのだろうか。文化勲章の泰斗だから、オレにはその権力があると威張りたいのだろうか。狂気としか言いようがない。

c0315619_15245809.png非常識にもほどがあるが、17日の読売紙面に登場した中西進は、ぬけぬけとこう言っている。「考案者のために代弁しますと、『梅花の歌三十二首の序文』は『蘭亭序』とは言葉遣いや全体の内容も違います。(略)序文そのものは漢文で書かれていますが、その内容は大和風です」。自身が著書で断言したところの、「蘭亭の序をまねた漢文の序」の説明はどうなるのだ。どのように整合性をとるのだ。口から出まかせを言うんじゃないと言いたい。「令和」の考案とその政治宣伝を通じて、中西進は自らの学問的業績と名声を台無しにしてしまった。その万葉研究の成果を価値のないものにしてしまった。曲学阿世とはこのことだ。残念だし、多くの万葉ファンは失望しているに違いない。こんな支離滅裂な選定過程で、権力迎合の忖度学者によって奇怪な元号を決められ、それを謚号として押しつけられ、名前として背負って行かざるを得ない徳仁新天皇に心から同情する。あまりに苛酷な運命で、気の毒でしかたがない。「令和」は地に墜ちた。こんな売名欲の塊だから、中西進は皇位継承のイベント時にテレビに出張るかもしれない。岩田明子の隣に座って、安倍ヨイショのプロパガンダに精を出すかもしれない。

c0315619_16363199.png中西進は万葉集を売った。万葉集を権力の道具に供せしめ、自らの利己的な功名心の満足のために利用した。旅人の漢詩文について口から出任せのデマを言い、国民を欺く刷り込み工作を行った。日本人の大事な文化的財産である万葉集を汚した。安倍晋三の所有物にした。学者のすることではない。万葉集に泥を塗っただけではなく、伝統文化である元号の威厳を貶め、皇室をも傷つけ辱める暴挙を行った。アカデミーは容赦せず中西進を叩くべきだ。「総がかり」の賛同者というプロフィールに惑わされ、迂闊にもすっかり正体を見誤ってしまった。「令和」発表直後に周到に行った世論調査では、確かに7割8割の国民がこの元号を好感して支持している。だけれども、これから真相が露呈し、辻褄合わせと詭弁が破綻し、忖度学者としての中西進の醜い素顔が明らかになるほどに、新元号への国民の信頼は低下し、評判は悪くなってコミットの熱情は冷めるだろう。それにしても、万葉集を知り尽くした泰斗ならば、他に適当な二文字を採取することはできなかったのか。言語のセンスを疑う。別の箇所に好材料となる漢詩文を見つけることはできなかったのか。中西進ほどの文学の碩学が、本当に「令和」などという、いかにも間に合わせの粗製品たるが見え見えの成語を、会心の元号案として献上するだろうか。

今でも信じられない。まさに日本の劣化と堕落そのもの。



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by yoniumuhibi | 2019-04-18 23:30 | Comments(3)
Commented by ぱいぱい at 2019-04-19 15:28 x
田中さんの憤りはお察し致しますが、私はたぶん、中西は知っていて痛烈な皮肉を込めた令和を選んだという以前の田中さんの分析の通りなんだろうと思いますよ。しかし、発表後にネットで安帝の話が広まってダ・ビンチコードなみの策士だなどと言われ始めて、安倍側もそれに気付いたのでしょう。中西にどういうことだと詰め寄ったことは容易に想像できます。そして、中西は正直にそうですとは言えるはずがなく、安倍側からマスコミで釈明しろと言われたんでしょう。だから中西の名前を早々とマスコミが流し、インタビューされることになった。中西としては釈明してここは逃げるしかないんですよ。ネットの分析力が早すぎましたよね。田中さんの力かな?笑
Commented by 世捨て人 at 2019-04-27 20:55 x
私も当初はブログ主様と同様に自らの研究成果に対して不誠実な中西進氏に怒りを抑えることができませんでした。
しかし、そのうちに、中西氏も所詮御用学者だったのだと気付きました。学者や哲学者に過剰な期待や幻想を抱いたことがそもそも間違いだったのだと改めて自戒した次第です。
Commented by せっさん1003 at 2019-05-12 02:40 x
・『帰田賦』と万葉集序文の漢詩の意味内容よりも様式を真似て作った漢詩の真似た部分から令と和を抜き出した上で、万葉集を出典としたことに腹が立ちました。
・もう一つは昔、中学か高校で万葉集の背景を習ったとき、以下の引用に類する内容だった。文字を知らない一般庶民が短歌を詠んだなどという出鱈目を日本凄いに共鳴する現代の臣民に植え付けた似非学者の罪は重い。
中高生向け国語の問題集?がネットにあり(02japanese01suisenA1で検索)、小川靖彦『万葉集と日本人』において品田悦一氏の『万葉集の発明』を引用?し以下を述べています。
【東歌も防人歌も「一般庶民」の素朴な歌として集められているわけではありません。農民出身の兵士にいたるまで、中央の文化である「やまと歌」が浸透していることを示すことで、本来中央とは言語や文化が異なり、なおかつ、大きな軍事力の供給地であった東国を、政府が掌握していることを示そうとしたのです。もちろん、『万葉集』の時代には「国民」という概念はありませんでした。】


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