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反中・国粋主義剥き出しの「安倍元号」とマスコミの奉祝セレモニー

c0315619_16065246.png新元号は「令和」。初めて日本の古典である万葉集を典拠としたことが強調され、脱中国・反中国のメッセージを前面に押し出すセレモニーの爆発となった。国民の反中感情を刺激し、日本のナショナリズムを高揚させて政権の支持を高める狙いだ。安倍晋三は夕刻のテレ朝の番組とNHK-NW9に生出演、漢籍出典の伝統から離脱した意義を高々と言い挙げ、その決定への国民の支持と賛同を呼びかけた。NHKのスタジオでは傍らに岩田明子を侍らせ、岩田明子にわざわざ、この選定は保守的な思想性が強いという世評があるがどうかと質問させ、それを否定せず、つまり、右翼日本会議が求める脱中国のイデオロギーに依拠したことを否認せず、堂々とそれを肯定する態度をテレビで表明した。その上で、保守的な思想と動機で選定した国書出典の新元号「令和」を、国民が広く受け入れ、支持と理解が深まることを願うと述べた。要するに、この新元号奉祝の気運を契機に、国民全員に日本会議と同じ思想になってもらいたいという要望の発信である。岩田明子の「質問」は、最初から安倍晋三が準備した台本の朗読に他ならない。



c0315619_16063060.pngテレビの前で目眩を覚えた。ここまで臆面もなく、衒いなく、安倍晋三が極右反中の思想的立場を公然と正当化したのは初めてのことだ。夜のNHKとテレ朝のテレビ報道では、新元号を礼賛し、「令和」の語感や意味をよいと評価する「街の声」で埋められた。大衆は、安倍晋三がプロデュースした新元号のローンチイベントに熱狂し、「令和」に強烈にコミットして一体化する「日本国民」になっている。少なくとも、テレビで撮られた大衆の絵はそう受け取られる姿になっていた。それは、甲高いハシャギ声を上げて奉祝演出に立ち回る桑子真帆が、そのまま街頭の大衆に拡大・投影された姿であり、どれもこれも昂奮して安倍元号祭りに狂喜乱舞している。今回、特に、安倍元号をヨイショして騒ぐテレビの女たちのハシャギぶりが目立つ。すぐに世論調査が行われるだろう。そして、これだけマスコミが奉祝報道を仕込んで爆発させているのだから、「令和」は圧倒的に支持されたという数字を出すだろう。それは、「令和」を制作・監督・主演した安倍晋三の支持率に連動する。お祭りに付和雷同する大衆の心情が、自動的に安倍晋三の支持率上昇に繋がる。

c0315619_16070923.pngしかし、安倍晋三とマスコミの説明は間違っていて、「令和」は万葉集のオリジナルではない。出典とされる万葉集の「初春令月、気淑風和、初春令月、梅披鏡前之粉、蘭薫珮後之香」には、実は元ネタとして援用された漢籍がある。それは奈良平安期に貴族に愛読された「文選」で、後漢の科学者で詩人の張衡による『帰田賦』という作品の中に原拠となる一節が存在した。「令和」が発表されてすぐの段階から、ネットではこの事実を指摘するツイートが上がっていた。そこには「仲春令月、時和氣淸、原隰鬱茂、百草滋榮」の詩句が並び、万葉集の「梅の花の歌の序文」と表現と用字が重なることが分かる。面妖なことに、菅義偉と安倍晋三も、テレビ報道の解説も、一言も「文選」の『帰田賦』に触れず、初の国書出典だとそればかりを声高に強調した。NHKの中継で座っていた岩田明子の手元には原稿があり、万葉集出典についてもリアルタイムの解説で目を下にしてメモを読み上げていて、つまりは、「令和」が最初から決まっていて、事前に台本が準備されていた形跡が見え見えだったが、「文選」の『帰田賦』には触れなかった。

c0315619_16072122.png文化的事実としては、厳密には国書出典ではなく、国書と漢籍のダブルソースである。張衡の『帰田賦』の詩は、後の東晋の陶淵明の『帰去来辞』のテーマを想起させるもので、宮仕えがしんどくなったので故郷の田園に帰ってしまおうという趣旨が詠まれているらしい。その張衡が仕えていた皇帝の名が安帝(劉祜)で、無能の上司への批判が含意されている漢詩が新元号の典拠となっていたという逸話に及び、その名が安帝という偶然(考案者の作為)にネットは爆笑状態になっていた。おそらく、だからこそ、笑い話にされるから、安倍晋三は張衡の『帰田賦』を禁句にしてNHKに報道管制を敷いたのだろう。客観的に文化的考証を加えれば、大伴旅人らの「梅の花の序文」には、(1)東晋の王羲之の『蘭亭序』の創作的背景があり、(2)都から遠方に飛ばされたサラリーマン貴族が鬱を散ずる趣向に、同じく東晋の陶淵明の『帰去来辞』における文人的虚勢の影があり、(3)遡って、その前史をなす文化類型として後漢の張衡の『帰田賦』があり、まさに中国文化の精髄をなす諸古典が血となり肉となっていることが分かる。因数分解すればそうなるが、果たして日本会議の感想は如何?

c0315619_16081198.png「令和」の二文字を菅義偉が発表したときの第一印象を正直に言うと、やはり「令」の字に違和感を覚えたことが大きい。これは石破茂も同じことを言ってる。また、R音で始まって三字で宙に浮く語音も、元号としては何か響きが弱く、キレもなく、安定感の不足を感じる。R音もW音も日本人が力をこめて発音しにくく、不安定でリスキーな音が配列された熟語だと言っていい。漢字の「令」を白川静的な方法で解剖すると、「頭上に頂く冠」と「ひざまずく人」の二つの象形から構成されていて、すなわち、人がひざまずいて神意を聞く事を意味し、そこから「命ずる・いいつける」を意味する「令」が成立したとある。上意下達の支配的・統制的な人間関係が意味に込められていて、このような漢字が「国の理想を表現するもの」とは到底言えない。「令」には「よい」「立派な」「優れた」の意味があり、その用例として「令息」「令室」「令嬢」などが並べられるが、むしろ慇懃無礼な敬語として使われ、二者間の距離の遠さや冷たい上下関係がイメージされる。命令の「令」を「和」と熟せしめるのも、構造体として妙に無理と矛盾があり、政府が下々に和たることを強制している表象性を拭えない。

c0315619_16104929.pngこれまで一度も「令」が元号に選ばれなかったのは、「国の理想をあらわす」という目的に合わなかったからに違いない。文久から元治に改元される際に「令徳」が候補として上がったという歴史も、よく考えると不可解で裏に何か意図があったのではないかと疑ってしまう。「徳川に命令する」という意味に取れる、最初からクレームがついてボツになりそうな元号案を、なぜ朝廷は第一候補として推挙したのだろう。公家らしい幕府への悪意(当てつけ)の裏技ではないか。文久3年から4年は幕末の動乱の時期で、七卿落ちと禁門の変の間の激動のさなかに改元がなされている。孝明天皇は会津贔屓の佐幕だったが、朝廷内にはまだ若干の革命派(面従腹背組)が残っていただろう。いずれにせよ、マスコミがどのように美化礼賛しても、「令」の字には不具合感がつきまとう。今後、マスコミは全力を傾注して安倍元号を応援し、「令和」を派手に祝賀して狂騒するキャンペーンを推進するに違いないが、われわれが明確に認識しなけれはいけないのは、「令和」は安倍晋三がイデオロギー的な動機で恣意的に決めた安倍元号だという問題だ。反安倍の国民はこの元号を素直に喜べない。奉祝プロモーションに同調できない。

c0315619_16113170.png反安倍の立場のわれわれは、「令和」を納得して支持せよという安倍晋三の要求を拒否する。元号は権力者が恣意的に弄ぶものではなく、反中国だの何だののイデオロギーで選定するものでもない。われわれは、今、考えるべきだ。もし何かの転変が起きて安倍晋三が失脚したとき、この奇抜なイデオロギー元号たる「令和」の運命はどうなるのか。不意の金融危機の発生で株価が暴落し、年金資金が元本割れした場合はどうなるのか。株価暴落で日銀(保有ETF)の含み損が膨らみ、国債と円が暴落し、国民生活がハイパーインフレに襲われたときはどうなるか。安倍晋三が選挙で議席を減らし、党内に抵抗勢力ができ、4選が不可能となり、不起訴不当となった森友事件の容疑者面々が起訴されたらどうなるのか。今後、安倍政治は4選で続くかもしれないが、逆に、何かのショックで支持率が激落し、チャウシェスク的な破局を迎える可能性もある。安倍政治が破綻したとき、そのとき、安倍元号である「令和」への国民の視線はどうなるのか。皇太子(新天皇)の立場はどうなるのか。そのときは、おそらく、一世一元を崩して在位中の改元に踏み切るか、元号を廃止するしかないことになる。



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by yoniumuhibi | 2019-04-02 23:30 | Comments(8)
Commented by kkjk at 2019-04-03 00:20 x
ブログの趣旨には賛成ですが、ブログ子が前から仰っている、「元号は、権力者が時間をも支配するためのもの」と言う意見には、若干の疑問が有ります。まあ、当方は理系人で、院生時代に徹夜の実験のお供に、数式の出ない本、と言って漫画ほど刺激的でない本が読みたくて、『史記』を紐解いたのがきっかけの、アマチュア漢籍好きですが・・・。

最初の中華帝国たる秦には、元号が無く、始皇帝の構想では、「第n代皇帝の第m年」と、年数をカウントする予定だった筈で、元号以上に時間支配が露骨。これを継いだ漢王朝は、秦の強権主義へのアンチテーゼが国是の一つなので、最初の数代は老荘的なマイルドな治世。皇帝の代数のカウント自体、初期に一度はグダグダになる。で、アグレッシブな武帝にいたって年号を導入するのですが、これは、彼自身のアクの強さの他に、単純に漢帝国成立後60年を経過し、干支では事務上の不便が生じると言う実利的な理由も有った筈です。つまり、元号は、「皇帝による時間支配」なのは事実ですが、当初はそのことに自制的だったと思います。だから、一代一元号ではない。

中国王朝が、一代一元号になるのは、モンゴル支配のトラウマが生々しく残る明朝から。
Commented by いち研究者 at 2019-04-03 02:09 x
令和は,森・小泉・安倍の清和会から来たものでしょう。もともとの張衡の賦には,「仲春令月、時和し気清らかなり」とあり,意味の上でもぴったりです。極めて政治的な年号であると言えます。
Commented by Mr.T at 2019-04-03 02:33 x
テレ朝で本郷先生と玉川さんは新元号に噛みついていましたが。
その本郷先生も言及されましたが、「令」と聞いて真っ先に思い浮かぶのはやはり「巧言令色鮮し仁」であり、令は仁の対極にある文字であり
今まで令の字が使われなかったのは当然それが元号にふさわしくないに違いありません。
※説文解字によれは令は「発号」(号を発する、大声を出す?)

他には論語子路第十三「其の身正しければ令せずして行わる。其の身正からざれば令すといえども従わず」であり
また大学第九章第四節には(堯舜と違い)桀紂は令したが民はこれに従わなかったとあります。
桀は湯王に討たれた夏王朝の最後の王であり、紂は武王に討たれた殷王朝最後の王です。
どうしてこのような文字を、と考えれば反中であり、反儒学であり、
過去この国が1000年以上守ってきたものを否定するものでしかありません。

当然学者と呼ばれる人たちはこれぐらいのことは知っているはずだろうに、賛美ばかり。
なるほど、巧言「令」色とはこのことか、と。
Commented by 長坂 at 2019-04-03 12:13 x
漢籍に詳しい田中さんの解説で改めて中国文明文化の偉大さを確認しました。反共過ぎて新元号の機会さえも反中国脱漢文化に利用する精神の貧しさに唖然とします。漱石鴎外、加藤周一堀田善衛と漢籍の素地があってこそ( 廣松渉の文章も?)田中さんの文章のうまさも漢籍に精通しているからだと勝手に理解しています。国会の答弁書もふりがなだらけ、「万葉集がぁ」と言えば如何にもだが、単に読めない漢字憎らしいが中国憎らしいに転じた?出典を隠せば隠すほど逆に張衡について知りたいし、視覚に訴え情景を想起させる漢詩の素晴らしさを学びたくなりました。「令和」のお陰。日本会議ありがとう。
Commented by 無論 at 2019-04-03 19:26 x
卩と似た部分が「ア」、傘が「ヘ」。
、を「・」と見做せば。ア・ヘ。為に横棒でなく点の字体を選んだのかも。
「゛」と見做せば。アベ。濁点の歴史は比較的新しい。
「安」を入れるか、と世を揺すった上で避けて好感を稼ぐ。落として回復しただけで何も得ていないのだが。しかも実は片仮名で入っている。
Commented by 令和は違反 at 2019-04-03 21:32 x

安倍一派が仕組んでますね。露骨な反中宣伝とか国書原典とか。完全に憲法違反ですね。新天皇ご本人がもう一度選択すべきでしょう、安倍逮捕後に。なんで安倍が勝手に原典指定できるのか。ここに罠があります。

「令和」には不思議な罠があるそうです。古代天皇の名で左遷した人物の文言から採字してもって、その子孫とされる新天皇の元号とするというわけですから!

天皇家を完全におちょくってますね。張衡はガス抜きの目くらまし。
これ気持ち悪い呪術ですね。象徴天皇制を安倍一味の下に組み込むとか。いうこと聞けとか。貶めるためとか。

もう一点は選定漏洩問題です。三年まえに商標登録されてた令和を選択するのはいけません。
ツイッターにも三年前に令和元号を言い当てた人がいるとか。

tw社がタイムスタンプ操作をしてなけりゃの話ですが。(ヘブロン 学校 逮捕 でtw検索すると何も出して来ないそういう会社です。日本語でそうツイしてる人は現存しますが。)
サリン事件の前にガスマスク会社の株価が上昇したのを思い出します。


Commented by ART AND MOVIE at 2019-04-04 16:19 x
長屋王のトピックが出ましたが、
私も先月のブログに東大寺「お水取り」と吉備皇女・長屋王一族の関連について書きました。
一族が滅ぼされた状況が書かれた資料は「続日本紀」で、その原文 (漢文) に
「令王自尽」とあります。
「王を自害させた」と訳される (講談社学術文庫) 言葉で、
長屋王が (しばしば言われるごとき) 通常の「自害」でなく
「命じられた」「自害」であったことが、
この、命令の意を持つ使役の字である「令」でわかります。
Commented by 空騒ぎの恥さらし at 2019-04-04 22:34 x
新元号の出典となっている文章は、漢文つまり中国語である。
漢文とは中国語なのであり、それを語順が異なる日本語にいきなり訳して読んでしまおうというウルトラCが、漢文訓読なのだ。
出典となった文章が万葉集に書かれていると言ったところで、それが返り点と送り仮名を必要とする漢文である以上、中国語が出典であることに変わりない。
国書、国書と、実に教養の無い、馬鹿馬鹿しい空騒ぎだ。相変わらず恥を知らない。
「令和」を訓読すれば「和せしむ」。「和 させる」という使役ですね。
「和」とは、誰かに強制的にさせられるようなものではないんじゃないかな、と考えるのが、中学校を卒業した標準的な日本人の知性だと思うのだけれど。


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