人気ブログランキング | 話題のタグを見る

戦略的で計画的な文喜相発言の政治 - 天皇訪韓で歴史問題に終止符

戦略的で計画的な文喜相発言の政治 - 天皇訪韓で歴史問題に終止符_c0315619_14351912.jpg文喜相・韓国国会議長による「天皇が元慰安婦に謝罪せよ」発言について、先に動画で感想を上げました。そこで指摘したとおり、これは韓国人の本音を直球の弾丸的表現で言葉にしたもので、歴史問題についての韓国側の正論の果敢な表明です。韓国マスコミは大きな扱いで報道してないようですが、多くの韓国人は心の中でカタルシスを覚えていることでしょう。この発言は日本人の国民感情を害し、日韓関係の悪化と混乱に拍車をかけたことは確かです。が、これが韓国人の率直な心情であるということをわれわれは理解するべきでしょうし、日韓の歴史問題に終止符を打つためには本当にこの解決策しかないのかもしれません。日本人の常識感覚からすれば、およそ論外で不埒に聞こえ、想像も憚られる禁忌の図に見えますけれども、日韓の政治と外交を根本から考えたとき、結局、この提案の実現しかないのではないかと私は思います。日本の政権と右翼が歴史修正の態度をやめ、河野談話と村山談話と国連人権委報告に即き、過去を清算して未来志向になるためには、このウルトラC以外にないのではないでしょうか。倫理的主体性を回復させるためには指導者が動くほかありません。



戦略的で計画的な文喜相発言の政治 - 天皇訪韓で歴史問題に終止符_c0315619_14352990.jpg今回の文喜相の発言(暴言)は、よく分析すると、きわめて周到に戦略が練られた政治であり、計画的に準備された対日外交の一挙一動であることが分かります。決してハプニングではなく、口が滑った舌禍事件ではありません。まず、注目すべきは記事が発表されたのが2月8日である点です。この日は「2・8独立宣言の日」で、三一節へ向けてのプログラムの起点となる日でした。意味のある日であり、文喜相はその日程に合わせて7日にブルームバーグの取材を受けています。狙いどおり、翌8日の配信から日本は蜂の巣をつついた騒ぎになり、3連休明けの国会で安倍晋三が半狂乱を演じる事態になります。当の文喜相はそこからDCに飛び、日本マスコミを引きつけて報道の主役に収まりました。悪びれたり気後れすることなく、韓国人の思いの丈をずけずけ言い飛ばして、安倍晋三と(嫌韓右翼一色に染まった)日本マスコミを挑発しています。これが計画的な作戦だと気づくもう一つの理由は、韓国外交部が12日にすぐに所感を発表し、「日本側が誠意ある姿勢を示す必要があるという点を強調する趣旨だ」と擁護した反応です。日本政府からの執拗な謝罪と撤回の要求を拒絶しました。

戦略的で計画的な文喜相発言の政治 - 天皇訪韓で歴史問題に終止符_c0315619_14354122.jpg政府として正式に擁護しているわけで、つまり、ここから文喜相の発言がスタンドプレーの暴走ではなく、文在寅と腹合わせをした上での行動であり、政府内で一致結束した政治の実行だと分かります。もし文喜相発言がアクシデントであったなら、韓国政府の中は対応に苦慮して外交部のコメントの言葉を濁していたでしょう。「天皇が元慰安婦に謝罪せよ」という過激きわまる要求が、決して外交上の逸脱や過失ではなく、韓国政府にとっても当然の範囲のものだという認識と見解が示されました。政府が追認しています。一枚岩の強硬な対日姿勢を見せています。これを見れば、文喜相発言が意図的な政治であることは一目瞭然です。73歳で与党の重鎮である文喜相は、文在寅に近い政権幹部の要職にあり、しかも日本語に堪能な知日派の政治家です。彼は、自らこの役を買って出たのでしょう。日本のマスコミと世論から袋叩きになる悪役を。うってつけの役者が登場しました。要するに、文在寅は今回の対日外交を二つの顔を使って動かしていると看て取れます。コワモテの文喜相とソフトタッチの康京和と。押しと引きと。二つを使い分け、日本側を揺さぶっていて、妥協するときは康京和と河野太郎のチャネルに落とし込むわけです。

戦略的で計画的な文喜相発言の政治 - 天皇訪韓で歴史問題に終止符_c0315619_14355299.jpgコワモテの文喜相が前面に立って、日韓外交のスポットライトを浴びる弁慶役を担ったため、そして「天皇が謝罪せよ」という激越な発言が紛争の中心に浮上したため、レーダー照射問題や徴用工問題は後景に退く政治の配置になりました。結果的に注目の争点から離れる展開になっています。すなわち、静かに水面下で話し合える外交環境になったということを意味します。三一運動100年のクライマックスまでの間は、文喜相が日韓外交の韓国側の「全権」を演じて、韓国側の日本に対する積年の本音を容赦なくぶちまける進行になるのではないでしょうか。カレンダーを確認すると、22日に竹島の日があります。27日・28日に米朝首脳会談があります。翌日3月1日が三一節の日です。まさにコリア・ウィークであり、日本の朝鮮植民地支配の歴史が問われる時間帯であり、世界中の人々が日韓近現代史に思いを馳せる日々となります。昨日(13日)のBS-TBSの政治番組でも - かなり嫌韓右翼的なバイアスで歪んだ報道でしたが- 1919年からの韓国現代史が特集され整理される放送がありました。番組で紹介された文在寅の4・3追悼式の式辞を聞くと、文在寅が正しい歴史認識の確立に並々ならぬ熱意と覚悟を持っていて、盧武鉉の精神が内面に強く生きていることを思い知らされます。

戦略的で計画的な文喜相発言の政治 - 天皇訪韓で歴史問題に終止符_c0315619_14360436.jpg文在寅はまさに韓国民主化運動の闘士で、政権を取った後も、というか、政権を取ったからこそ遂行し達成しなくてはいけない民主化革命の課題に取り組んでいました。目標の実現に向かって挑戦していました。それは丸山真男の「民主主義の永久革命」の姿そのものです。真の政治家の姿です。ウェーバーの『職業としての政治』を想起させられます。われわれ日本人は、隣の国で民主主義の理想の実現に命を賭けているリーダーの姿を曇りなき目で見なくてはいけないでしょう。同じようにわが国でも、日本国憲法の理想の実現のために尽力したリーダーがいます。両陛下です。前にも書きましたが、天皇陛下こそ「民主主義の永久革命」に身を投じ続けた勇気ある革命家と言えます。あの生前退位の「クーデター」には度肝を抜かれました。たった一人で(皇后陛下と二人で)安倍独裁と戦っています。2月22日の竹島の日と3月1日の三一節との間の、24日に天皇在位30年の式典があります。文喜相に名指しされ、日韓の紛争に巻き込まれた形になった当人の出番です。心外な事態ではあるでしょうが、日本国の責任的立場にある君子として、果たして韓国についての言及はあるでしょうか。結局、30年の在位の間に両陛下の韓国訪問はありませんでした。

戦略的で計画的な文喜相発言の政治 - 天皇訪韓で歴史問題に終止符_c0315619_14361794.jpg両陛下も心残りでしょうし、戦争の後始末をつけて平和を築くことに注力した30年を考えれば、希望した訪韓を果たせず、日韓平和友好の足跡をよく残せなかったことは痛恨の思いでしょう。この機会に、韓国についての「お言葉」が発信されることを期待します。文喜相が言ったことは、無礼な暴言のように見えて、二国関係の歴史と現在を鑑みたとき、政治的には当を得ており、本質を射抜いた実効性のある結論と言えます。従軍慰安婦の問題について天皇陛下が何と言うか、国民として聞いてみたいと思います。それは日本国民を代表した言葉になり、政府の人間では(将来にわたって)覆せない言葉になります。従軍慰安婦問題は約30年続いている問題であり、平成の世の間、日韓関係に横たわった障害となって解決ができなかった問題でした。日本にとって重要な問題であり、解決し克服しなくてはいけない問題です。それを解決に導けるのは、私の見るところ一人(二人)しかいません。慰安婦像が世界中に林立するという不本意な動きを止め、像が全撤去される未来が必要です。日本のマスコミに提案ですが、文喜相をソウルでインタビューしてもらえないでしょうか。新聞なら朝日の「耕論」がいいし、TBS報道特集で膳場貴子が対面して収録するのもいい。

できれば、小川彩佳にこの仕事をお願いしたい。文喜相の話に耳を傾けたいと思います。日本の政治をどう見ているか論評を聞きたい。文在寅とはどんな政治家かも聞きたい。日米関係や日中関係についての意見も聞いてみたい。


戦略的で計画的な文喜相発言の政治 - 天皇訪韓で歴史問題に終止符_c0315619_14362859.jpg

by yoniumuhibi | 2019-02-14 23:30 | Comments(1)
Commented at 2019-02-17 18:07
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。


メールと過去ログ

since 2004.9.1

ご意見・ご感想




Twitter

最新のコメント

今こそ「テニスコートの誓..
by 印藤和寛 at 09:18
総裁選で石破さんを倒すた..
by 人情味。 at 09:29
もし山上容疑者が安倍元首..
by 人情味。 at 21:23
杉田水脈なる人物は論評に..
by 住田 at 10:51
あれは15年程前..
by ムラッチー at 11:27
悪夢のような安倍政治から..
by 成田 at 13:03
ハーバード大学で比較宗教..
by まりも at 23:59
重ねて失礼いたします。 ..
by アン at 17:48
安倍晋三のいない世界は大..
by アン at 13:16
今まで、宗教2世の問題に..
by さかき at 10:31

以前の記事

2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月

記事ランキング