人気ブログランキング | 話題のタグを見る

国後・択捉の割譲は容認できない - 日ソ共同宣言は無謬のドグマなのか

国後・択捉の割譲は容認できない - 日ソ共同宣言は無謬のドグマなのか_c0315619_14523956.jpg昨夜(22日)、注目の日ロ首脳会談がモスクワで行われた。マスコミが伝える共同発表や記者会見の報道を見るかぎり、領土問題についてはほとんど何も進展がなく、むしろ交渉が後退したような印象さえ受ける結果になっている。だが、会談は全部で3時間も行われていて、安倍晋三とプーチンが通訳を交えて二人だけで折衝した膝詰め会談も50分間行われており、北方領土をめぐって突っ込んだやりとりがあった点は間違いない。事前のテレビ報道では、今回の会談で、安倍晋三は領土問題の歴史認識について日本側の提案を出すと言っていた。それは、日ロ平和条約の中身をなすものであり、文面の原型となるものである。またそれは、四島は第二次大戦の勝利によってソ連の領土になったものだと主張する、ラブロフが示したロシア側の立場に対する妥協の応答でもある。これが安倍晋三からプーチンに提示されたことは間違いない。次回は、その提案をベースにした折衝になるだろう。会談内容の速報がテレビに出る直前、報道1930で鈴木宗男が、さらに報ステで後藤謙次が、今度の会談の成否は「国境線の画定」が共同発表の中で出るかどうかだと言っていた。



国後・択捉の割譲は容認できない - 日ソ共同宣言は無謬のドグマなのか_c0315619_14525197.jpgこの言葉を共同会見で発表すること、それを会談中にロシア側に同意させることが今回の日本政府の目標であり、この文言を成果として置くことで、領土交渉の進展をアピールし、世論の評価を得、二島返還・平和条約締結に向けて既成事実を固めて行こうとするのが安倍晋三の狙いだった。今度の外交については、そう分析することができるだろう。だが、結果的にこの安倍晋三の思惑は外れ、ロシア側は「国境線の画定」のキーワードを認めなかった。日本側は、交渉を前に進めたと言うエビデンスを得られなかった。安倍晋三は、6月のG20のタイミングで平和条約の大枠合意を固めようと日程を考えている。7月に参院選があり、選挙の材料にしたいからだ。プーチンの方はそれほど急いだ日程の動機はない。安倍晋三とプーチンの任期中に条約を締結すればよいという日程計算であり、だから、日本側の足下を睨みながら時間をかけて譲歩を引き出すことができる。そういう戦略上の態勢があり、そのため「国境線の画定」の文言を拒否したのだろう。領土交渉は完全にロシアのペースになっている。

国後・択捉の割譲は容認できない - 日ソ共同宣言は無謬のドグマなのか_c0315619_14530248.jpgロシアからすれば、本音のところでは、あまりにも日本の国内世論が脆弱で、四島返還を要求する声が小さいことに驚きだろう。二島返還で纏めようとする安倍政権への反発が小さいことに - 表情には絶対に出さないが - 想定外の歓迎をしていることは疑いない。日本の世論が四島に執着せず二島で満足してくれるのなら、何も無理をして急いで領土問題を決着させる必要はない。ロシア側からいくらでも経済プログラムの要求を出し、それを全て日本側に認めさせ、取れるものを存分に取った上で最後に二島で線引きすればいい。また、ロシア側が喉から手が出るほど欲しいところの、「クリミア併合を認める」という日本側の姿勢表明もこの機に得たい。おそらく、50分間の二人だけの会談では、クリミア問題についてのロシア側の要求も出たことだろう。プーチンにとって最も重要で関心の高い焦点は、二島に米軍基地が置かれる懸念の払拭ではなく、日本をクリミア併合承認に導くことで、北方領土をカードにしながらその外交成果を得ることである。6月のG20の前に設定が予想されている次の日ロ首脳会談では、クリミア問題についての日本側の正式回答を返さなくてはいけないだろう。

国後・択捉の割譲は容認できない - 日ソ共同宣言は無謬のドグマなのか_c0315619_14531293.jpg昨夜(22日)、報道1930を見ていたら、四島返還論者として、産経文化人で元北大スラブ研の木村汎が映像出演し、安倍晋三の二島返還外交を批判する場面があった。82歳の老人。その木村汎の意見をスタジオの鈴木宗男が口汚く罵り始め、木村汎と袴田茂樹は「売国奴」だと非難して気色ばむ一幕があった。ハプニングが起きた。人格批判はよくないと慌てて松原耕二が諌めていたが、鈴木宗男や佐藤勝のこの問題での増長は止まるところを知らない。安倍晋三のブレーンで、北方領土外交を仕切る身だからということで、マスコミでの北方領土報道を思いのまま私物化している。安倍晋三の権力を笠に著てマスコミを牛耳っている。局が手を貸している。どいつもこいつも同じだが、本当に目に余るというか、腹が立って見ていられない。木村汎には、権威としてぜひテレビスタジオに姿を見せて正論を吐いてもらいたいと思う。木村汎が番組映像で説明したとおりで、戦後日本は、あの不当な日ソ共同声明から一歩一歩ソ連を押し戻し、本来の正常な二国間関係へ向かうべく地道に努力を重ねてきた。復興し経済発展して国力を蓄え、軍事大国であるソ連・ロシアを譲歩させる外交を積み上げてきた。その到達点が1993年の東京宣言(細川・エリツイン)であり、2001年のイルクーツク声明(森・プーチン)である。

国後・択捉の割譲は容認できない - 日ソ共同宣言は無謬のドグマなのか_c0315619_14533167.jpg日本は明確に四島の外側に主権の線を引くことを主張し、ロシアがそれを認めるなら平和条約を締結しようと提案した。具体的な島の帰属や処理は条約締結の後にやろうと提案した。プーチンはその要求を交渉の場で直に耳にした当時者だ。今になってどうして、四島を口にしたら日ロ交渉が壊れるなどという無茶苦茶な話になるのだろう。それを日本のマスコミが正論の解説のように言うのだろう。四島返還が論外の暴論の扱いになるのだろう。四島返還が日本のコンセンサスであり、左右を問わない国論であり、悲願であり、国民の一致した要求であったはずのに、どうしてこんな崩壊と惨状になったのか。今、56年の日ソ共同宣言がコンセンサスになっている。有無を言わせぬ水戸黄門の印籠になっている。絶対的なドグマの説得力として君臨している。私は容認できない。82歳の木村汎に生放送で一喝してもらいたい。私は、日本の世論が二島返還でOKとなっている現状が信じられない。いくらマスコミが安倍晋三の代弁者で染まり、全員が安倍晋三のスピーカーになっていたとしても、また、右翼が安倍晋三の人形になりきっているとしても、これほど右も左も「二島返還しかない」と言い、国後・択捉の放棄を当然と受け止めている現実が信じられず、目眩を覚える。

テレビでは、極寒のロシアの地で「クリル諸島引き渡しに反対」のデモに集まっている市民の姿が映し出されていた。気温マイナス15度のモスクワで、プラカードを持って立ちんぼし、日本への領土割譲に反対の声を上げている。ウクライナとの間でのクリミアの紛争があり、NATOとEUの東漸攻勢と圧迫があり、そして経済制裁と国際的孤立の中にあるロシアにおいて、外国との領土や国境の問題に国民がナーバスになるのは当然のことだろう。極寒の中で立ちんぼする彼らの方に私は共感を覚える。

国後・択捉の割譲は容認できない - 日ソ共同宣言は無謬のドグマなのか_c0315619_14534301.jpg

by yoniumuhibi | 2019-01-23 23:30 | Comments(3)
Commented by 七平 at 2019-01-24 02:27 x
長坂オリジナルさん、文章には表情のように個性が現れますので、ペンネームを乗っ取られても誰が書いたか見当はつきますが、やはり、後からコメント投稿を始める人が譲るべきだと思います。 私の方はExcite Blog社による投稿妨害に対抗すべく、コメントをYou Tubeに上げる様になっています。ブログ主さんのVideo も最初は見ずらい所もあったのですが、回数を重ねるごとに質が良くなっており、一層の進歩を楽しみにしております。YouTubeでの私のペンネームは以前から登録済で七平ではありませんが、既にご存知だと思います。

掲題の記事に対する簡単なコメントですが、安倍晋三の腰砕けの裏には、トランプのプーチンに対する忖度が覗われます。 米国は沖縄返還を実行して、北方領土返還の論理性と土台を築いてくれたのですが、トランプは国益等ほったらかしで私欲と保身を追求する人間です。プーチンは間違いなくトランプを完全失脚させるようなネタを持っていると思います。

対ロシアに関しては、日本は静観して何もしない事が賢明だと思います。 米国の政権交代は下院で既に始まっており、2020年には上院、ホワイトハウスも民主党が抑えると思います。 それまでには、ロシアの犯した大統領選挙妨害や裏工作も明らかになるはずです。

昔のソ連のイメージが残りますが、ロシアのGNPは韓国以下、米国がEUと協力してお灸をすえると、第二のプレストロイカが起こる様な力関係です。 頭の悪い晋三には全体的な流れ、図面が見えず、オロオロ、強者にはゴマをすり、弱者には傲慢に振る舞う醜態が世界に映っています。
Commented by オリジナル長坂 at 2019-01-24 23:37 x
徴用工問題もそうですが、日露交渉も本当によく分析されてますよね。参考にさせて頂いて知ったかやってます。カーネギー・モスクワのAlexander Gabuev という人のTWが流れてたので読んだのですが、大人と子供の交渉。端からまともに相手にされてない。「反日」の私でも泣く。「アベが領土の交渉に来るけど、奇跡は起こらない。プーチンは1インチも動かすつもりはない。相手にしてやるのは日米関係にダメージを与えたいから。西側と露の関係悪化にも関わらず、アベが何度もロシアを訪問し交渉を個人的に押し進めているのは、1 歴史に名を残したい。 2 外相だった父親の残したものをやり遂げたい。3 ロシアを中国から引き離したい。ロシアとアベの問題は、制裁で困窮しているプーチンの友人の会社に投資、融資を確保した習近平のような事はアベにはできないという事。(クレムリンはトライしたけど失敗) 平和条約なんて単なる紙切れ、締結しても日露関係は何も変わらない。」ほんの一部ですが、こんな調子が延々と。ま、ロシアにとってはチョロい相手だと。
対露制裁でのG7との関係や、日米安保(在日米軍やイージスアショア)の問題があるのにどうするつもりなのか。
憲法改正は爺さんの悲願、母親を喜ばせたいとか、露との交渉も父親の努力を無駄にしたくないとか、どうでもいい動機。元島民の気持ちなんてこれっぽっちも考えない。功名心だけは一人前らしいけど、せいぜい「安倍晋三記念小学院」止まりでしょ。
Commented by 北方領土は日本の領土 at 2019-01-25 22:39 x
 北方領土四島返還がいつのまに暴論になったのか、私にもまったく理解できない。
 しかも、歯舞、色丹は北方四島の面積のたった7%にしか過ぎない。93%をあきらめるという外交を、弱腰と呼ぶのはあたりまえだ。安倍晋三政権こそ、戦後最弱政権である。

 怖いお兄さんに財布を取られたときに、「叩きのめしてやるから覚悟しろ」とか「絶対許さないぞ」とか言いながら、財布の中身の93%を相手に渡し、7%だけ取り戻して「そらみろ、ちゃんと取り返したぞ、すごいだろ」と啖呵を切っているのだから、コントである。

 そのうえ、それを見た取り巻きが「さすが俺たちの晋三さん、強い!かっこいい!」と拍手しているとなると、喜劇を通り越して、もはやシュールで不気味だ。かわいそうな人たちとしか言いようがない。

 口では「すみません、すみません」と謝ったり「いやあ、お兄さん格好いいねえ」などと言ったとしても、最後にはしっかり財布を取り戻す。それでいいじゃないか。そういうしたたかさが、プロの外交だろ。
(あまりにもお粗末な数字の間違いがあったので、訂正しました。すみませんでした)


メールと過去ログ

最新のコメント

今まで、宗教2世の問題に..
by さかき at 10:31
韓国で40年前に統一教会..
by つばめ at 14:26
産経が「山上は転職回数が..
by サン at 02:45
記事を読ませていただいて..
by さくら at 03:31
>>読売は、山上がsil..
by 牧山 at 00:47
The Daily Be..
by 牧山 at 01:09
安倍晋三に致命傷を与えた..
by サン at 19:08
サンデー毎日に載っていた..
by ひまわり at 10:50
私は、安倍以降、官房機密..
by ナイン at 23:08
山口広弁護士の証言「文化..
by アン at 12:22

Twitter

以前の記事

2022年 08月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 04月
2022年 03月
2022年 02月
2022年 01月
2021年 12月
2021年 11月
2021年 10月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 07月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 04月
2021年 03月
2021年 02月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 09月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 05月
2020年 04月
2020年 03月
2020年 02月
2020年 01月
2019年 12月
2019年 11月
2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月

記事ランキング