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皇室の言論の自由 - 天皇誕生日の会見は新しい時代への布石

c0315619_14223147.jpg23日の天皇陛下の会見は、16分間の「お言葉」を読み上げる長いものだった。平成最後の誕生日会見であり、思いの詰まった原稿が準備されるのは当然かもしれないが、私自身は少し意外に感じた。というのは、2年前にあの生前退位の「お言葉」があり、それは安倍政権にとってクーデター的な意味を伴った政治の一撃であり、以来、安倍官邸は宮内庁を通じて皇室への監視と警戒を強め、両陛下が自由に発言するのを禁じ、政府とは異なる独立した見解や意向をマスコミに伝えることを徹底的に封じ込めてきた。両陛下もまた、2年前の生前退位のあと、やり過ぎを感じて自重したのか、世間の注目を惹く発言をすることを意識的に控えるようになった。10月20日は平成最後の皇后誕生日だったが、それほど目立った発言はなく、淡々とした心境が綴られていて、ここにも政府への忖度があるのだろうかと感じさせられた。4か月後には二人揃って退位となる。皇后陛下もそのときは間違いなく30年間を振り返った重い総括を残すだろうし、その言葉は国民にとっての大きな期待でもある。



c0315619_14224238.jpg無論、天皇陛下も退位に当たっての言葉を残すだろう。4か月後の退位のとき、天皇陛下と皇后陛下がどういう言葉を発するのか、われわれはそこに大きな関心を寄せているが、今回の誕生日の「お言葉」は、そのラストメッセージへの期待がさらに高まる助走路となった。そして、天皇陛下が敷石を置いたことで、皇后陛下も言葉を発することが容易な環境となった。今回の誕生日の「お言葉」には、皇室の言論の自由という意味があり、その狙いがあるのではないかと私は考える。天皇陛下は、おそらく、これを機に、皇室の各自に言論の自由を与えようとしているのだ。皇族が今よりも自由に発言でき、国民がそれを聞くことができる環境にしようと、自ら率先して動いているのではないか。今回の「お言葉」は、2年前以上に大きな反響を呼び、国民の間に感動を呼び起こし、人間天皇に対して国民の親愛と尊敬が深まる結果となった。天皇も生身の人間であり、身体と精神を持っているのだという訴えは、天皇陛下がつとに示してきた持論である。もっと言論の自由が欲しいという欲求は、皇太子や秋篠宮は特に強く思っていることで、そのように皇室を変えて行こうとするに違いない。

c0315619_14225295.jpgそのとき、皇太子と秋篠宮ではカリスマが小さすぎ、皇族は口を慎むべきだとか、政治に抵触したり政府批判になるから発言は控えよという世論やマスコミの圧力に対して抵抗するのが難しい。皇太子や秋篠宮による新しい挑戦では風当たりが強くなるので、天皇陛下自身が我が子たちのために進んでて道を開き、言わば「多弁な皇室」を現実化させているのではないか。今日(25日)の朝日1面には、大嘗祭で22億円の巨費を投じて大嘗宮を設営することに反対した秋篠宮が、実は簡素に行う具体的な提案を出していた事実が掲載されている。秋篠宮は、これまであの問題提起(政府批判)のあと、ずっと沈黙を続けてきた。秋篠宮の個性からすれば、言いたくてたまらないのを我慢していたに違いない。この問題については、明らかに秋篠宮の立場に理があり、筋が通っていて国民も納得だろう。秋篠宮の主張は皇太子の代弁であり、皇室の意見を代表している。だからこそ、あの場で秋篠宮は自信をもってマスコミに語り、堂々と宮内庁を批判した。官邸から秋篠宮に報復があったかもしれないが、今回の天皇陛下の誕生日会見は、それを踏まえたもので、朝日の今日(25日)の1面記事に繋がっている。

c0315619_14230415.jpg皇室の言論の自由をめぐる闘いが行われているのだ。秋篠宮の発言が出た際、それは明らかに政府批判の中身だったし、政教分離をめぐる憲法問題について皇族が積極的に口を差し挟むという行為だったため、各方面から、特に左翼リベラル側から批判が上がった。覚えているのは、原武史が秋篠宮に自制を促す警告が朝日紙面に載っていたことである。天皇陛下の生前退位の発言のときも、国民全体が歓迎する中で、渡辺治が厳しい批判を向けていて、憲法で国事行為だけ行うよう厳しく制限されている天皇が、このような挙に出るのは違憲であり論外だという「正論」が朝日の紙面記事に出ていた。原武史の秋篠宮批判もその線に沿ったものだろう。本来、天皇や皇族がこのように強い意思表明をしたり、政府批判の言辞を発しなくても済むように、周囲がきちんと取りはからっていればよかったのであり、退位にしても、大嘗祭にしても、まともな政権であれば、天皇陛下の意向に沿った形のものが、無理な言挙げをせずに進行していただろう。生前退位だけでなく女系天皇についても、極右政権でなければ実現していたと思われる。渡辺治や原武史の議論は尤もに聞こえるが、それは、天皇と皇室に安倍晋三に黙って従う人形になれと言っているのと同じだ。

c0315619_14231462.jpg黙って屈服しろと言っているのと同じに聞こえる。原武史に反論したいが、無駄な巨費を投じて大嘗宮を設営したとき、その責任をとらされるのは、皇太子一家と皇族なのである。責任をとらされるという意味は、税金泥棒と言われ、まともに公務もしてないのに税金ばかり使いやがってと揶揄され、罵倒され、それに対して反論も許されずに沈黙を強いられるということだ。精神的苦痛を受けるということだ。税金の無駄遣いをしたのは宮内庁であり、安倍官邸の恣意なのに、国民から批判を受け、甘んじて堪え忍ばなければならないのは新天皇一家であり、皇族なのである。政府の当時者は無責任で頬被りする。皇室に責任を押しつけて逃げられる。皇族も人間であり、人格があり、基本的人権があるはずだと、皇太子(新天皇)は思っているに違いないし、その点は秋篠宮も同じだろう。眞子内親王の件では、週刊誌に書きたい放題書かれ、世間の晒し者にされ、尊厳を傷つけられる目に遭いながら、最低限の抗弁や釈明さえ許されない。言論の自由がない。あの後、皇太子は新幹線の移動を貸し切りにせず、一般乗客と同じ車両を使うという旨をマスコミに出した。賢明な判断だろう。

c0315619_14232629.jpg今後、日本の財政はますまく苦しくなり、社会保障が削られていく。税金の無駄遣いを糾弾する声や、皇室の贅沢への怨嗟の声は高まりこそすれ低くなることはない。今回の天皇陛下の会見は、皇室の言論の自由に扉を開くもので、国民だけでなく、皇太子と秋篠宮へのクリスマス・プレゼントだったのではないか。皇太子(新天皇)と秋篠宮は、今後、かなり自由にものを言うことができるし、国民もそれを当然だと思うし、言葉を期待するようになる。天皇陛下のように、率直に国民に語りかけ、国民を代弁して欲しいと思うし、その代弁の期待の中には政府批判も含まれるだろう。ただ、そこには懸念もある。今回、天皇陛下は移民政策に対する賛同の旨の発言も行った。「外国人労働者」とは移民のことである。共産党まで移民政策に賛成で、右から左まで対立がないから、天皇陛下も思っているとおりを素直に言ったのだろうが、後で禍根を残すことにならないだろうか。私は心配だ。現在の日本の思想的指導者である天皇陛下が、移民政策に賛成と言った以上、その政策に反対を言うことはきわめて難しい状況となる。

移民政策への批判派は異端となった。だが、どれだけ天皇陛下が移民政策への賛意を語っても、移民政策の本質は低賃金化を狙ったネオリベ政策であり、必ず失敗してEU諸国のようになる。そのとき、平成天皇もああ言ったのだからと、そういう不具合なことにならないだろうか。やや、軽率だったと私は思う。


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by yoniumuhibi | 2018-12-25 23:30 | Comments(0)


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