岸田文雄の総裁選不出馬 - 安倍晋三の狙いは無投票、四選、永久独裁

c0315619_13561112.jpg岸田文雄が総裁選に不出馬の宣言を発表し、昨夜(24日)のテレビで話題になっていた。広島では豪雨被害の復旧の途上で、まだ断水が続いている地域が多くある。酷暑の中、多くの被災者が家屋や敷地に入った大量の土砂を清掃していて、高齢者や小学生の子どもが作業する映像がテレビに出ている。地元がそういう深刻な状況なのに、東京で軽薄に政局に興じ、マスコミに政局ネタを提供し、後藤謙次ら政局屋たちを喜ばせている岸田文雄の気が知れない。残酷で奇怪で異常な政治の絵だと思う。問題になった5日夜の「赤坂自民亭」の写真を見ると、小野寺五典や上川陽子ら岸田派のベテラン議員が参集していることが分かる。この「赤坂自民亭」の酒宴は、本来、総裁選に向けての政局の一環として仕掛けられた行事で、岸田文雄が降りて安倍三選支持に旋回することを党内外にデモンストレーションする機会だった。したがって、24日に岸田文雄が出馬断念を表明したとしても、特に何の不思議もなく予定どおりなのだろう。この政治を意外に感じたり、失望や落胆の恨み言をぼやいている方が感性が鈍い素人なのだ。



c0315619_13571628.jpg「赤坂自民亭」には、もう一人、派閥の大物が参加していて、総務会長の竹下亘が「亭主役」になってエプロン姿で登場、宴会を盛り上げて意義を宣伝・強調するキーパーソン役を演じている。こうなると、55人を擁して第三派閥の陣容を誇る竹下派も、どこかの時点で安倍三選支持を言い出す流れとなるのは必至だろう。もともと、今年初め頃の時点では、竹下派は岸田文雄を担いで三選阻止に回るのではないかという噂が流れていた。竹下派には次を狙う有力な人材がいない。岸田文雄が三選支持をコミットしたことで、竹下派が三選に抵抗する根拠や理由はなくなった。担ぐ神輿がない。現時点で9月に対抗馬として出ると報道されているのは、石破茂と野田聖子である。私の予想を言うと、安倍晋三は、この二人の立候補についても阻止と妨害に動き、二人とも出馬断念に追い込まれる可能性がある。まず野田聖子だが、前回と同じく推薦人20名を集められないのではないか。安倍晋三から強烈な切り崩しを受けるだろう。現状、野田聖子を推すと表明している議員はいない。選挙に向けての態勢作りが始まっているようには到底見えない。

c0315619_14021711.jpg野田聖子の場合、本人にリーダーとして十分な資質が備わっているわけではなく、二階俊博のような有力な長老が後ろ盾に付いて、すなわち、お飾り人形としてステージで踊る配役を与えられるキャラクターであり、そうした条件を欠く以上、自力で20人の推薦人を集めることは難しいと思われる。3年前と何も状況は変わっていない。3年の間に進化するとか実力を蓄えるということがなかった。石破茂についても同様で、派閥の人数は20人から増えておらず、推薦人ギリギリの線を維持しているに止まっている。世間から待望論が興っているわけでもなく、安倍晋三が派閥の中に強引に手を突っ込めば、カネとポストで釣られて引き剥がされる俗物も出てくるだろう。石破茂について言えば、なぜ3年前の総裁選で出馬を辞退したのか私には不明だ。また、3年後の今回に照準を当てて満を辞したのならば、閣外の自由な立場でもあり、今年に入ってからモリカケ問題でもう少し鋭く活発に政権批判の論陣を張るべきで、反安倍の国民世論の受け皿になって存在感を高めるべきだった。野田聖子と同じく、この男もまた3年間を無駄にしていて、活路を開く努力をしていない。

c0315619_14030348.jpgマスコミの注目を集める発言や提言もなかった。総裁選まで2か月を切るタイミングになのに、独自の政策構想(石破ビジョン)みたいな議論が打ち上がっていない。これも実に不思議なことで、なぜそれをしないのか理解に苦しむ。通常、総裁選の有力対抗馬となった者は、文藝春秋(月刊)の誌上に新しい政策構想を発表し、現政権の政策を厳しく批判して対案を提示し、ブレーンを配し、世間の耳目を集め、とりわけ保守世論に訴える動きをするものである。そうした言論活動を通じてオルタナティブとしての能力を証明し、読売新聞などから評価をもらうというプログラムが設計されないといけない。一昨年からの空前の田中角栄ブームを見ても、新自由主義で傷つけられた地方の中小企業経営層を中心に、嘗ての自民党の経済政策への郷愁が澎湃と沸き起こり、保守の基層に気分が沈殿していて、アベノミクスとは距離感を置いたイメージを標榜する石破茂には有利な環境になっていた。ところが、この男は中途半端で、自ら「イシバノミクス」の語が人口に膾炙されることを拒否し、その言説の流布に抑制をかけるというちぐはぐに出た。胆力の無さが滲み出ていて、器の小ささが透けて見える。

c0315619_14041365.jpgおそらく、岸田文雄は、安倍晋三との23日の会談(首相動静には記載なし)で、禅譲をねだり、2021年の総裁選に出馬したときの支持の口約束をもらったのだろう。安倍晋三は、岸田文雄に次のような口上を垂れてその気にさせたのではないか。細田派には有力な後継者がいない。2021年には小泉進次郎や河野太郎が出てくるだろうが、自分の真意はキングメーカーとなって院政を敷くことである。そのとき、小泉進次郎や河野太郎では院政が万全となる保証がない。ついては、あなたを次の首相に据え、嘗ての「田中曽根内閣」のような闇将軍体制にしたいのでご協力をお願いしたい。こんな巧言の舌を回し、おバカな岸田文雄を誑かして空手形を信じこませたのに違いない。溺れる者は藁をも掴むの喩えもあり、展望がなく袋小路だった岸田文雄はその口から出任せを信じ、派閥の主戦論の若手たちへの説得材料にしたのに違いない。一筆取った可能性もある。無論、そんな話は大嘘で、仮に禅譲OKの口約束をしたとしても、時間が経てばすぐに忘れて反故にするのは決まっている。安倍晋三の腹は四選で、永久に権力を手放さないことだ。9条改憲を実現し、中国と戦争を始め、1930年代の原状に戻して岸信介の夢を果たすことだ。

c0315619_14045806.jpgこの春から、天木氏と動画で対談をする度、総裁選の行方はどうかという話題になったが、私はいつも、安倍三選で間違いないと思います、ポスト安倍の連中は全くだめです、無能すぎて見込みはありません、問題にならないほど安倍晋三の方が強力です、とそっけなく即答を返し、興の深まらない政談にしてしまっていた。悪気はなかったのだけれど、結果的に天木氏の話の腰を折るような態度で、木で鼻をくくったような断言で切り捨てて話題を終わらせていた。その背景というか動機として、憲法改正に「慎重論」を唱えた岸田文雄に無邪気に期待を寄せ、安倍三選を岸田カードで阻止しようなどと唱えて喜んでいた左翼リベラル、なかんづく、しばき隊の無知と幼稚に対する呆れと笑止の感覚がある。しばき隊には残念ながら、岸田文雄も日本会議のメンバーだった。禅譲を懇請した岸田文雄に対して、安倍晋三は9条改憲への賛同をバーターで要求して応じたことだろう。23日の岸田文雄と安倍晋三との密談の中身というのは、総裁選後に憲法改正をどう日程に乗せ、野党とマスコミをどう切り崩すかという戦略論議が中心だったのではないかと推測する。8月以降、北朝鮮非核化の具体的進展がなければ、再び9条改憲の攻勢が政局の主舞台に浮上する公算が高い。

安倍晋三の公約では、2020年を新しい憲法を施行する年にすると言っている。そのためには2019年中の発議が必要で、巷間取り沙汰されているのは、来年2019年の通常国会で発議、7月の参院選を衆院選とダブルにして、国民投票も同時に強行するというトリプル選の目論見である。今、安倍三選が確実な情勢になり、この悪夢の日程も現実実を帯びてきた。最後に、付け足しになるが、朝日新聞の本日(25日)の4面記事によれば、最新の世論調査の結果では、自民支持層の中で安倍晋三を支持する割合が54%で、石破茂の19%を大きく引き離している。これが事実であり、したがって、地方票が半分(405票)あるから、その動向によっては総裁選の行方は分からないなどという、後藤謙次の報ステでの「解説」は、根拠のない単なる演出であり、菅義偉に指図されて(反安倍の)視聴者を慰めている下手な気休めにすぎない。


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by yoniumuhibi | 2018-07-25 23:30 | Comments(1)
Commented at 2018-07-31 17:15 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。


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