天災ではなく人災だ - 政府とマスコミの不作為と無責任と鉄面皮

c0315619_13292097.jpg西予市野村町で5名が犠牲となった水害は、天災ではなく人災だった。昨夜(9日)のNHKのニュースで、肱川上流にある野村ダムを管理する四国地方整備局が、7日の午前6時20分に一気に放流した事実が明らかにされた。愛媛新聞の8日の記事では、放流の通告を住民が消防団から聞いたのは午前6時10分過ぎだとある。大量の水を一気に放出したため、肱川が氾濫して野村町は瞬時に大洪水となり、住民は逃げる間もなく家の中に取り残された。四国地方整備局は、ダムを守るために規定どおりに放出したのだと言い張っている。NHKが取り上げたから、これは責任問題になるだろう。業務上過失致死が適用されてもおかしくない。野村町と大洲市の洪水のスマホ映像は、どう見ても普通の氾濫とは思えなかった。水の量が多すぎる。堤防の決壊だろうかと想像したが、そのような報道は7日も8日もテレビではなかった。松山局の小澤康喬は、一度もダム放流の件を説明しなかった。そこから遡及して考えると、7日午前9時20分に大洲市で肱川が氾濫という松山気象台の情報も疑わしく、もっと早かった可能性がある。



c0315619_13301111.jpg昨夜(9日)のNHKのニュースでは、愛媛県に大雨特別警報を出すのが遅すぎた問題も指摘されていた。7日朝の時点で、西予や宇和島の付近では1時間に100ミリを超す記録的短時間大雨情報が3回も出されていて、県内各地で24時間の雨量が統計を取り始めて過去最大を記録する危険な事態となっていた。にもかかわらず、愛媛県に大雨特別警報が発表されたのは、一夜明けた8日の午前5時50分で、このときまでにNHKが集計した愛媛県内の死者数は18名に上っていた。明らかに特別警報布告の判断を間違えている。この点は前回のブログ記事でも批判したが、厳しい検証と追及が必要だろう。気象庁は、結果的に被害の出なかった長崎県に6日夕の時点で特別警報を出し、被害が大きく出た愛媛県には特別警報を出さなかった。どういう根拠と予測で愛媛県を除外したのか、「命を守る行動」の呼びかけをしなかったのか、スパコンのシステムのバグなのか、四国を差別軽視した人為的な原因なのか、気象庁の技官に説明責任を果たさせなければならない。いずれにせよ、野村ダム放流の過失と合わせて、石井啓一の引責辞任は当然だろう。

c0315619_13304055.jpg私には一つの推理と仮説がある。疑り深いと誹られるかもしれないが、「すべてを疑え」と言ったのはマルクスで、社会科学の二大巨頭の一人の金言には素直に従ってよいだろう。7日のNHKの放送で、松山局の小澤康喬の番が回ってきたとき、一度も上空からのヘリの映像が出ることがなかった。通常、河川の大きな氾濫浸水のときは、NHKは必ず現場にヘリを飛ばして上空から一帯を撮影する。ヘリに搭乗した記者が目視した状況を報道する。だが、7日、肱川(野村町・大洲市)でも小田川(真備町)でもその絵がなかった。7日はNHKのヘリが飛ばなかった。真備町は地上から絵を撮って報道し、野村町にはNHKのカメラは入らなかった。7日にNHKが肱川の上にヘリを飛ばさなかったのは、官邸と内閣府・国交省からの指示か、あるいは忖度して自己規制したからではないだろうか。7日に肱川上空にカメラを置けば、当然、野村ダムの放流の事実を伝えなくてはいけなくなる。テレビの映像を見て、地域の事情に詳しい者や河川土木の専門家が、あまりに急激かつ大量の氾濫洪水を訝しみ、ダムが原因ではないかとNHKや新聞社に電話を入れる顛末になる。

c0315619_14325971.jpg責任問題への発展を恐れ、NHKは7日のヘリ空撮を止めたのではないか。肱川の氾濫については、翌8日もヘリでの撮影と実況はなかった。肱川の濁流が流域全体を茶色い海にした絵を、今回われわれは目にしていない。真備町も同じで、7日はテレビが上空から撮らなかった。8日になって、アリバイ的に、消防が民家から待っていた被災者を吊り上げて搬送する絵とか、病院に自衛隊がゴムボートを着けて救出する絵が映されただけだ。7日のテレビで現地記者に紹介された真備町は実に静かだった。これも、政府の指示もしくはNHKの忖度ではないか。そのとき、もしNHKがヘリを飛ばしてリアルタイムに上空からの絵を土曜日の茶の間に送っていれば、自衛隊が救出活動してないじゃないか、自衛隊のヘリは出動しているのか、という苦情や要求が全国から殺到していただろう。それを避けるため、NHKは上空からの生々しい実況報告をしなかったのではないかと疑われる。実際、防衛省が公表している7日の活動報告を見ると、真備町には一人も隊員が入ってないのだ。岡山県知事から災害派遣要請があったのは6日の午後11時11分だが、場所が高梁市になっていて、真備町での人命救助は行われていない。

c0315619_14331294.jpgこれは、単に自衛隊に責任があるだけではなく、自治体(岡山県・倉敷市)にも問題があった可能性が十分あるが、どちらにせよ、7日の真備町での救助活動の不在については検証されなくてはならず、真実が究明される必要がある。その7日夜、NHKの7時のニュースに登場した社会部記者は、開口一番、この地域は二つの川に挟まれて前から何度も氾濫を起こした場所だと言いのけ、まるで、そんな危険な場所に家を建てた住民の自己責任だと言わんばかりの講釈を始めた。NHKの職員がである。テレビを見ていた真備町の関係者は、どれほど深く傷つけられたことだろう。NHKのニュースは、基本的に最初から最後まで用意された原稿の朗読である。アドリブはない。報道局の文責者が担当記者に、この不適切で配慮を欠く自己責任論を言わせている。岡山で何年かお世話になった私は、腹が立って仕方がなかったし、その暴言を社会部記者に吐かせるまま、黙って頷いて聞いている井上あさひ(玉島出身)の態度も許せなく感じた。7日夜、そのとき、逃げ遅れた多くの人たちが、救助されないまま、静かに息を引き取っていたのだ。社会部記者はこう言っていた。「鬼怒川の決壊では誰も犠牲になりませんでしたから、もう少し待っていて下さい」と。

c0315619_14332743.jpgこんな侮辱と欺瞞が許されるだろうか。この7日のNHKの7時のニュースは、BPOの審議にかけられなくてはいけない。あの社会部記者の原稿は誰が書いたのか、目的と動機は何だったのか、真相が明らかにされる必要がある。7日も8日も、NHKの報道は、この災害を極力小さなものとして国民に印象づけ観念させることに懸命だった感が強い。四国(松山)も、中国(広島)も、アナウンサーの表情や言葉に緊張感がなく、生放送の瞬間に大勢の人の命が失われていることへの感性や想像力が全く欠けていた。休日なのに出勤させられてまる一日イヤイヤ原稿を読まされているという、会社員の義務感の気配が漂っていた。同じ「イヤイヤながら」の感覚は、7日と8日にしぶしぶ官邸に朝出勤し、無内容な官制ペーパーを無気力に読み上げる安倍晋三の顔に露骨に表れていた。それでも、イヤイヤながら局に詰め仕事をしたNHKのサラリーマンはマシな方と言えよう。7日も8日も、民放局はこの災害の緊急特番を組まず、予定どおりのルーティン番組を流していたのだ。7日午前、TBSは「王様のブランチ」をやり、7日午後、日テレは半日がかりの大型歌番組で盛り上がっていた。

c0315619_14334190.jpg8府県に大雨特別警報が出され、数百万人に避難指示が出て、国民が焦躁の思いで被災地を見守っていた時間に、東京の民放キー局の報道担当・報道幹部たちは、安倍晋三と同じく「来客なく私邸ですごす」優雅な休日を堪能していた。今回のテレビ報道の不愉快を連ね出せばキリがない。6日からずっと注視してきたけれど、5日夜に行われた自民党の宴会の錯乱と不祥事について、NHKはおろか民放もニュースで報じていないではないか。昨夜(9日)の報ステでも触れられなかった。テレビ局が自民党と安倍晋三に忖度していて、アンタッチャブルの扱いにしているからだ。「どのような非難も受ける。正直言って、これだけすごい災害になるという予想はしていなかった」などと、国民と被災者をバカにしきった、竹下亘の間抜けな言い訳の醜態についても、報ステの後藤謙次と富川悠太は取り上げて非難しなかった。「すごい災害になるという予想はしていなかった」のが、後藤謙次も富川悠太も同じ穴の狢だからだろう。他にも不愉快はある。あのTBSとNHKの世論調査は何なのだ。8府県(加えて3県)の県民に、「命を守る行動」として避難が要請されている最中に、彼らは世論調査の電話をかけていた。

西日本各県の回答と集計はどうだったのだろうか。サンプルの不具合として統計に反映されることはなかったのだろうか。未曾有の大災害の進行中に電話世論調査をやること、その結果を週明けに報道することが、非常識きわまる異常な行動だという発想や意識が、彼らには寸毫もないのだろうか。安倍晋三や竹下亘の傲岸とどこが違うと言うのだろうか。

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by yoniumuhibi | 2018-07-10 23:30 | Comments(8)
Commented by コスモポリタン at 2018-07-10 21:22 x
タイの洞窟から全員が救出された(救出中のひとりが亡くなられたものの)という報に接し、タイは知事、現場の救出責任者がタイ海軍、国際的な著名潜水士、外国からの支援の申し出を含めて適切に現場を指揮しミッションをやり遂げたのだな、素晴らしいなと思いました。
自然信仰の一環で身近だったから洞窟によく入っていたわけですし、タイの人たちも暖かく見守っておられたようで、アジアの人たちの素朴さ、優しさを感じました。
ミッションが遂行されること、潜水といった専門技術への敬意、アジアの素朴さ・やさしさ、自然に対する畏敬の念、いずれも日本が失ってしまったものばかりです。
救出作戦が進んでからはマスコミを規制線を張ってシャットアウトし、救出してから発表するといった形で、少年たちの家族に配慮しながらの情報管理も見事でした。人権への配慮が徹底されています。
日本にもすぐれた人たちはたくさんいるのですが、国としての力が落ちていることをつくづく感じました。
Commented by 愛知 at 2018-07-11 01:05 x
岡山県へ派遣中の緊急消防援助隊愛知県隊は、倉敷市真備町で救助活動を開始します。不安な気持ちでいっぱいだと思いますが、遅くなりましたが救助はすぐ側まで来ています。必ずあなたを助けます―――これは当地、名古屋市消防局の7月7日の公式ツイートから。その前は、大雨災害に派遣中の、緊急消防援助隊、愛知県隊は、広島県へ向かっていましたが、岡山県の要請を受けた総務省消防庁の判断により、派遣先を岡山県に変更しました(7月7日)。通常のツイートから緊急モードに入ったのは、7月6日―――西日本での大雨による土砂災害に、緊急消防援助隊として、名古屋市消防局から7隊が0時30分に広島県へ出動しました。この後、県内の他の部隊と合流し、愛知県隊として現地へ向かいます―――ご指摘の通り、今回は無能、無策な中央政府による人災という面が大きいと思います。それを自己責任だという報ステの態度には憤りしか感じません。地元消防のツイートを見ていても、歯痒くてなりません。

Commented by dotheoz at 2018-07-11 01:37 x
昨夜のNews23では赤坂自民亭取り上げましたが、締めの星のコメントは「国民の目というものがある時代なのでそれを意識すべき」みたいな信じがたいほど頓珍漢なものでした。まぁこうしたすり替えで物申した風を装うのは彼の十八番ですが、報ステが取り上げたとしても、後藤健次が似たようなことを言う気がします、、、
Commented by リープクネヒト at 2018-07-11 08:23 x
針葉樹の植林とその後の放置、ダム建設が被害を拡大しているようです。
https://m.facebook.com/?_rdr
Commented by 長坂 at 2018-07-11 10:34 x
外遊取り止めは即断ではないのですよ。最後の最後まで「オーシャンゼリゼ」での自衛隊の軍事パレードを諦めきれなかった。実は憧れる習近平やプーチンや金正恩みたいな自分、カッコいい!マクロンの招待じゃうるさいサヨクも文句言えまいだったのに。読んで字の如し、外で遊べなくなったので、後はいかに自分に塁が及ばないよう、予め「全ての責任は首長と官僚に」と大本営発表を垂れ流すだけのメディアに一応釘をさす。被害者と呼べるのは「拉致被害者」だけ、その他は自己責任なのでよろしく!
Commented by ドローン at 2018-07-11 17:24 x
(先ほどのコメントを削除したうえで、訂正して再度投稿します)
呉は水もない、重機が入れなくて行方不明者をスコップで探し、市民はフェリーで広島まで行って買い物してる有様ですが、海自の基地があるんだから、海自が手伝えばもう少しましになるはずなんですよね。
真備町では町にトイレすらなく、片付けしている住民は車で20分かけて、隣町まで行ってトイレを利用する有様。 片付けしている女性の中には、トイレを気にするあまり水分を控えて、熱中症になる人まで。今日のテレビでやってました。
広島でわざわざ激甚災害の指定を発表しなくても、東京でできると思うんですよね。
広島と愛媛にもこのあと行くそうですが、総裁選の3選が掛かってるから行くのでしょう。掛かってなければ、盾突いた愛媛にはわざわざ行かないかもわかりません。
Commented by 東北人 at 2018-07-11 20:07 x
天災は忘れた頃にやって来ると言ったのは、寺田寅彦だったでしょうか。しかしここ何10年かの、想定外の被害をもたらす自然の猛威は、東日本大震災によって、被害想定は意味をなさず、「それほどの被害は出ないだろう」と楽観的に推測することの愚かしさを確実なものとしました。
津波による短時間の集落の消失とは異なり、今回の災害は、雨が上がっても水位がジワジワと上がり、河川氾濫、ダムや溜池の決壊に繋がり、新たな避難勧告や犠牲者が生じる可能性が大きいであろうことは、防災の専門家ではなくとも、過去の事態から十分に予想されるはず。
ましてや行政、立法のトップにある人間たちが、再度の気象庁の勧告を知っていながら、愚かしく無分別な酒宴に我を忘れていたことは、震災を経験した国民の1人として、到底許すことはできません。殊に被災地元選挙区の岸田氏には、次期総裁選に出馬する資格なし!
2万人余りの住民が未だに孤立しているんですよ!政府の対応は、震災当時の原発事故対応にも匹敵します。
某国営放送も含め、平常の番組放映に終始するマスコミも理解不能。避難所でグルメや旅番組、低俗なコントを見せつけられる被災者の思いに対する共感が何一つない。
全てが「自己責任」の一言で結論付けられる、この国の醜悪さに目眩がします!

Commented by 荻原 理 at 2018-07-12 03:36 x
TVでは今のところ何も言っていない、後藤謙次氏ですが、何と彼が昨日の静岡新聞上で、やんわりとその「酒宴」を批判している記事が、twitter上のスクジョ写真で出回っていますので、twitterの検索機能を用いて御覧下さい。NHKはこの件で、twitterにURL記事を貼り付けて掲載している程度です。
一方で、片山さつき氏が迂闊に撮った、写っている殆どの国会議員の名前付きの写真も出回っています。
参議院議員の世耕氏が珍しくtwitter上に出て、攻撃して来るのを見ると、この水害は計算外の出来事だった事が
窺えます。伊藤詩織氏に続いて、BBCにもこの「写真」が放送されてしまったので、もう手遅れだと思いますが・・・。結局、外圧でしか変われない日本・・・。


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