立憲民主党の支持率が半減している - 「野党共闘」低迷の政局

c0315619_15102390.jpg24日に日経新聞の世論調査結果が発表された。それによると、内閣支持率は前回より10ポイント上がって52%となり、不支持率は9ポイント下がって42%とある。先週発表された共同読売の調査と同様、支持が不支持を上回る結果となった。この1か月間、マスコミの紙面と画面の上では、森友問題と加計問題をめぐる不正・腐敗がずっと報道されていたが、それにもかかわらず、世論は安倍批判を強める方向に流れず、逆の反応を示す状況となった。この世論の現実について、左翼リベラルの側に危機感がなく、真剣な注目と関心を寄せている者がいない。変化の意味や要因を考え、合法則性を探り出し、それを政治分析の言葉にして提起している者がいない。「国民がバカだから」というような愚民論で処理するか、不都合なものは見ないという無視の態度に徹している。阿修羅掲示板は前者、しばき隊は後者。不都合な政治の現実について意味を認めず、考察の対象にせず、意図的に目を逸らして切り捨てている。私は、かかる反転の局面が来るだろうと予想していた。



c0315619_15103707.jpg朝日をはじめとするマスコミの、森友加計問題での安倍批判攻勢が一服すれば、押し込まれていた右翼勢力がバネのように反発し、世論調査の数字を戻すだろうと4月頃から予感していた。安倍晋三の支持率というのは、三つの構成要素によって支えられている。第一に、この20年間の右翼教育(マスコミ・出版・ネットの影響)ですっかり右翼化した確信せるボリューム層、すなわち分厚い岩盤右翼の存在。第二に、無力で弱体で頼りにならず、国民を代弁せず裏切り続け、生き残りの離合集散に明け暮れている野党の存在。第三に、安倍晋三が窮地の際は必ず救世主として登場し、国民のセンチメントとナショナリズムを刺激し、青バッジ極右政権の支持率押し上げに貢献する拉致家族会の存在。これらの三つの構成要素について、左翼リベラルはまともに認識しようとせず、安倍晋三の高い支持率を媒介している契機として理解しない。これらの要素と構造こそが、いわゆる「安倍政治」を永続させている土台なのだが、そうした客観的真相を直視せず、安倍晋三の権力を軽侮したままでいる。

c0315619_15104882.jpg今回の世論調査で特に注意を喚起させられるのは、立憲民主党の支持率が傾向的に下落している事実だ。半年間に半減している。テレ朝のグラフを見てみよう。結党して衆院選で55議席を得た直後、昨年11月5日の時点では19.9%の高い値を出している。それが、6月17日の調査発表では11.2%にまで低落した。テレ朝(報ステ)の調査だから、サンプルは全国平均(NHK)よりも都市部に偏った統計になり、日テレやフジよりもリベラルな市民層の意識が反映されるだろうと想定されるが、そこから考えても、この数字の変化は衝撃的と言わざるを得ない。ちなみに、保守層の意識が色濃く表出されると思われる読売新聞の調査では、昨年10月25日時点で14%あった立憲民主党の支持率は、6月17日の時点で6%にまで激減している。この事実は、保守政治家を自認し、宏池会の再来をめざすと嘯いていた枝野幸男にとって、不本意で不面目だろう。が、われわれが看取し総括しなくてはいけないのは、この世論の変化が「野党共闘」の支持率の凋落を意味しているという点だ。

c0315619_15105865.jpg立憲民主党の支持率こそ、まさしく「野党共闘」の支持率である。立憲民主党の支持率こそが、世論の「野党共闘」路線への採点であり、評価のバロメーターだと言っていい。国民民主党は「野党共闘」を代表しない。右すぎる。同様に、共産党も「野党共闘」を代表しない。左すぎる。最も「野党共闘」を代表するところの、すなわち「野党共闘」の中心に位置する政党は、やはり民進党が分裂して左派が結集した立憲民主党ということになるだろう。その立憲民主党が、モリカケの糾弾と騒動が続いた今年春の国会期間を通じて、モリカケでの安倍批判の盛り上がりとは裏腹に、明らかに政党支持率を落としているのである。安倍批判の世論の風を受けておらず、安倍政権打倒の期待を集めていない。この事実は、やはり看過できない重要な問題であり、意味を分析して言葉を与えるべきだろう。それは、対策と戦略を立てるためであり、来年の参院選に備えるためだ。参院選まで1年しかない。1年というのは、今年の正月から現在までの時間の2倍である。この半年の何と短かったことか。あっと言う間に時間は過ぎる。

c0315619_15111073.jpgそして、2019年の参院選で安倍自民に負ければ、国政選挙で6戦全敗となる。7年間で6戦6敗。衆院で3戦3敗、参院で3戦3敗。安倍政権に対して左翼しばき隊は悪罵を連ねるけれど、すべて選挙で示された民意の結果だという重い事実を忘れてはいけない。秘密保護法も、安保法制も、共謀罪も、マイナンバーも、生活保護費削減も、残業代ゼロも、カジノ法案も、陸上イージスも空母も敵基地攻撃能力も、選挙で安倍晋三が勝ち続けた政治の産物なのだ。国民が一票投じる機会に安倍政権を瓦解させていれば、このような惨憺たる政治負債が累積して煩悶することはなかった。2015年に「野党共闘」「市民連合」「国民連合政府」の新しい戦略で反安倍の政治運動を組んで以来、来年で3回目の国政選挙となる。これまで2戦して2敗し、衆参とも安倍与党に3分の2を握られた。が、左翼リベラルは、どちらも自らの敗北を認めていない。2年前の参院選では11選挙区で「野党共闘」が勝利したと言い、勝った勝ったと大騒ぎだった。昨年の衆院選では、前原誠司と小浮百合子が「野党共闘」を分断したと言って敗北の責任を押しつけた。

c0315619_15112246.jpg3度目の戦いとなる来年の参院選はどうだろうか。ネットにその前提を簡単に整理した情報がある。これを眺めながら、また先の新潟知事選の結果を睨みつつ思うのは、果たして、青森、岩手、宮城、山形、福島、新潟、長野、山梨、三重の9選挙区で「野党共闘」が勝てるだろうかという危惧と不安だ。1年後の選挙だから、TPPについての拒否感や争点感覚は現在より薄れているに違いない。また、2年前と違って連合が股裂きで混乱している。さらに、安保法制直後の空気感と異なり、「市民連合」なりSEALDs(元SEALDs)のモメンタムが消滅している。今後の情勢の変動は予測不能だけれど、リアルに推断して、地方県1人区で「野党共闘」が勝利する展望は窺えない。9選挙区で全敗ではないか。また、国民民主党は比例で改選の現職が4人いて、どれも固い労組票を持つ労働貴族たちだが、いかに組織票を持つとはいえ、支持率1%の政党が比例で4人も当選させられるとは思えない。今のところ、左翼リベラルから来年の選挙を懸念する声は皆無の状態で、各自が自信に満ち溢れ、勝利を確信して安倍叩きと「野党共闘」支持を絶叫している。

c0315619_15113385.jpg先日、天木氏と政局談議をしていたら、橋下徹が中村時広と組んで動きを起こし、そこに、永田町素浪人の身で冷や飯組の長島昭久や細野豪志や松原仁がくっついてくるのではないかという観測の披露があった。そうなった場合、おそらく、松沢成文とか東国原英夫とか中田宏とかの有象無象も図々しくしゃしゃり出てくるだろう。音喜多駿のような「出たい系」も飛び跳ねて来そうな予感がする。現在、政界地図のイメージ(仮象)としては、安倍自民と「野党共闘」の二つの極に引き裂かれていて、「野党共闘」とは共産党が主導する左の勢力だから、右翼と左翼の二つに完全に分かれて対立する形勢になっている。こうした政界地図の観念を根拠に、二つの中間の地平を積極的に訴求する勢力が出現しておかしくない。それは、昨年、小池百合子がゴルフコースに喩えた表現で主張した政治路線でもあった。また、それは、安倍一強体制への国民の不満や退屈に依拠して、浮動票を狙おうとする政治屋たちの定石の戦術でもある。いずれにせよ、あと12回、毎月定例のマスコミの世論調査が流れれば、選挙の投票日となる。

私は、立憲民主党が支持率を戻すのは難しいと考える。すなわち、「野党共闘」では選挙に勝てないという結論だ。別の戦略を立てて臨む必要がある。

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by yoniumuhibi | 2018-06-26 23:30 | Comments(2)
Commented by Mr.F at 2018-06-27 07:47 x
いつも拝読しております。

私は、あれだけの不祥事がありながら、
なぜ安倍政権の支持率が30%を下回ることがないのか
ずっと不思議に感じていました。
そしてその理由をずっと知りたいと思っていました。

社会が若い世代を中心に右傾化している。
まさにその通りだと思います。
ブログでは『この20年間の右翼教育』とありましたが
具体的には誰のどんな言葉が影響してきたのか
その辺りをもっと知りたいと思います。
Commented by すずしろ at 2018-07-16 23:44 x
右傾化に強い影響を与えた政治家について具体的に書こうと思っていたら、西日本集中豪雨の甚大な被害があり、タイミングを逸したと感じていましたが、やはり一言書いておきます。右傾化の例として、ジェンダーフリーバッシングを取り上げます。90年代までは比較的自由な雰囲気であったと思いますが、2000年以降反動的言論が激しくなってしまいました。2000年山谷えり子(元産経リビングというミニコミ紙編集委員長)が衆議院に当選すると、2002年ごろから国会でさかんに夫婦別姓や性教育を不正確な情報に基づいて情緒的に攻撃し、不当にジェンダーフリーという概念に結びつけてバッシング活動をするようになりました。自民党には「過激な性教育-ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」が設けられ、2005年には自民党本部でシンポジウムが開催されました。座長が安倍晋三、事務局長山谷えり子、講師には安倍、山谷、八木秀治、古賀俊照、鷲野一之、萩生田光一など。このような動きに東京都が反応し、2005年には、国分寺市の公民館で上野千鶴子氏の講演がジェンダーフリーについて言及する可能性があるとして、中止に追い込まれる事件まで起きました。山谷は第1次安倍内閣内閣で総理大臣補佐官(教育再生担当)、2014年から15年国家安全保障委員長など数多くの要職についています。いわゆるお友達内閣といわれる安倍内閣のメンバーのお友達こそ、日本会議のメンバーであり、右傾化推進の根源といえるでしょう。


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