新潟県知事選の敗因は「野党共闘」 - 争点を与野党対決にした失敗

c0315619_14522053.jpg注目された新潟県知事選は、接戦ながら3万7千票差で自公候補の花角英世が勝利した。事前にマスコミが情勢調査した報道のとおりの結果となった。2年前の2016年に行われた知事選では、同じ構図での戦いで、野党が推薦した米山隆一が6万3千票差で勝っている。また、同じ2年前の参院選でも、やはりほぼ同じ構図の選挙となり、「野党共闘」の森裕子が2万票差で制していた。新潟は「野党共闘」の象徴のような県であり、全県で1人を選出する選挙では必ず与野党対決の図になり、接戦になりながら野党が制するというイメージのある県だったが、今回は与党側が勝った。選挙結果について様々な分析がされているけれど、私は「野党共闘」こそが最大の敗因だったと結論する。与党対野党の対決に持って行き、与党を選ぶか野党を選ぶか選択を迫ったところに戦略設計のミスがあったと断定する。なぜなら、与党以上に野党の人気がないからだ。野党を選ぶという積極的な動機づけは無理なのだ。与野党対決を争点に据えるのではなく、脱原発を争点にして、無党派色を前面に押し出した選挙にするべきだった。



c0315619_14523154.jpg選挙戦の報道を見ると、とにかく、野党の党首や幹部が揃い踏みして気勢を上げる写真が目立った。香山リカや山口二郎が現地入りして選挙応援する「野党共闘」が訴求されている様子がよく伝わった。それを横目で見ながら、私は、今回は危ないぞと直観したし、裏目に出るだろうと予感した。こんな選挙をやったら負けるだろうと率直に思った。現在、安倍政権に対しては逆風が吹いている。これは事実だ。決して与党に順風の環境ではない。モリカケの問題では国民は怒り心頭に達している。だが、政治の真実を見れば、野党にはそれ以上の逆風が吹いているのであり、野党は有権者から人気がないのだ。野党に票を入れようというモチベーションがない。野党への関心と期待は決定的に萎えている。それが現実なのに、敢えて「野党共闘」を看板にし、反安倍をセールスポイントとして押し出し、知事選を国政選挙の代理戦争のような型に押し込めたところに、野党候補の戦略の失敗があったと言える。野党色を前面に出すべきではなく、永田町の代理戦の構図にするべきではなかった。

c0315619_14524110.jpg毎月毎月、マスコミの世論調査が出る。そこには内閣支持率と共に政党支持率の数字も出る。これはいわば、中間テストの結果のようなもので、本試験の前の模擬試験の結果のようなものである。いま選挙をやればこういう結果になりますよという数字が出ている。それを見ると、自民党の支持率が30%以上あり、野党の支持率を全部足しても半分にしかならないという事実がある。その状況がずっと続いている。モリカケ問題がどれほどテレビ報道で糾弾されても、この政党支持率の構図は変わらない。意識は変化しない。今の野党が支持されてないのだ。野党に魅力がないからだ。国民は、政権批判の気分を野党の積極的支持へ繋げようとはしないのである。回路は繋がらない。2年前と比べて、民進党が二つに分裂した現在は、さらに地域での野党の支持は落ちていると考えていい。有権者はモリカケにも憤慨しているけれど、同じほど、野党の不毛な離合集散にもうんざりしているし、国民を裏切った旧民主党の同じ顔がテレビに出て調子よく立ち回りすることに飽き、それを不愉快に感じている。

c0315619_14525447.jpg今回、反原発票が与党候補への不支持票とならなかった。6年前の原発事故とあの深刻な被害が徐々に人々の意識から薄れていて、政治の争点として意識化されなくなっている変化が看取される。野党側がそういう選挙に組まず、反安倍ばかりを強調したという問題もある。それともう一つ、TPPの問題が政治の争点として意識されなくなっているのかもしれない。新潟は米の産地だ。ブランド米を県産業の主力にしている県だ。2年前の参院選で、新潟や東北で「野党共闘」が健闘できたのは、明らかにその背景としてTPPの政治争点があったと言える。農業とTPPという問題があり、農家を騙してTPPを推進した自民党政権への反発があった。TPPが既成事実となり、「農家の農業の再生」の展望が見えなくなり、そこでの政治への期待や模索が萎え衰えてしまったように見える。農業県でTPPが争点にならなくなったということは、野党側に不利な因子となるだろう。このことは、来年の参院選を「野党共闘」で勝とうと考えている東北諸県の野党側に暗い影を落とす要素だ。原発とTPPが反自民のシンボルにならなくなっている。

c0315619_14530797.jpg2年前の前回の知事選と比べて、投票率が5%も上がっているのに、野党候補は5万票減らしていて、自公候補は8万票も増やしている。実に深刻な結果ではないか。今回の野党の戦い方を見て分かるのは、新潟県知事選を出汁にして来年の参院選を「野党共闘」で生き延びようという思惑に他ならない。この知事選を「野党共闘」で勝って、来年の参院選に弾みをつけようとした。この陣形で来年の参院選を戦うべく、新潟県知事選を前哨戦と位置づけた。来年の参院選ありきで新潟県知事選の戦略を組んだ。厳しい言い方をすれば、その魂胆が新潟県民に見透かされた結果だと総括できるだろう。「野党共闘」というのは、弱い既成政党が合従する単なる選挙互助会でしかなく、理念や政策が一致した勢力ではない。内部では絶えず政策の不一致があり、離合集散があり、選挙のたびに政党が分裂して小さな新党が生まれる。元を辿れば、それは旧民主党を母体とするもので、「政治改革」で作られたところの、政権交代をめざすだけの理念のない政治家のなれの果ての姿でしかない。こういう野党が、どれほど反安倍を叫んだところで、それは有権者の心には届かない。

c0315619_14531806.jpgもう一つ気づくのは、新潟県知事選に関するツイッターのTLを見ていて、本当に右翼が多いと感じることだ。右翼 - 自らは保守という主観と自意識だが - が、野党側を攻撃するプロパガンダで埋まっていた。五分五分の形勢ではなかった。原発問題のツイートなどどこにもなかった。県政の具体的政策の争点など何も発信されていなかった。安倍支持と反安倍がネガティブキャンペーンを競争し、数的に安倍支持(右翼)が優勢というのが、今回の選挙戦のTLだったと観察できる。不気味に不安に感じられたのは、来年の参院選もこうなるのだろうかということである。今のまま、立憲民主と国民民主と共産党が「野党共闘」を組む選挙になり、安倍自公と1人区を争う図式になれば、今回のツイッターのTLと同じになるだろう。若年層ほど安倍支持・自民支持がデフォルトになっている。今回の新潟県知事選が来年の参院選の前哨戦だったとすれば、安倍自民がさらに勝って議席を伸ばすという想定になる。だとすれば、きわめて恐ろしい未来だが、左翼やしばき隊にその危機感がまるでない。現実を冷静に分析していない。「野党共闘」こそが正しいと経文を唱え、確信を深めている。

c0315619_14560938.jpg結局、安倍政権が信任されたという結果にしてしまった。モリカケで防戦の安倍晋三に勢いを与える政局にしてしまった。野党側の責任は大きい。左翼は猛省するべきだ。「新潟のことは新潟で決める」とキャッチコピーで唱えつつ、事実上、「新潟のことは野党が決める」とでも言いたげな国政主導の選挙戦にして負けてしまった。なぜ、お得意の手法であるところの「オール新潟」の選挙を考案しなかったのだろう。私なら、NHKキャスターの大越健介(56歳)を担ぎ出し、小泉純一郎と田中真紀子の二人に応援させる演出を設計した。この形を組めば、話題性もあって全国が注目し大いに盛り上がるし、投票率を高くして無党派層を呼び込むことができる。何より、自民支持の保守層から票をもぎ取ることができる。「オール新潟」の選挙になる。脱原発を争点にした反安倍の選挙にでき、野党色を隠すことができる。国民の政治意識がこれほど右傾化した中で、知事選で勝つためには、無党派カラーを打ち出さないといけないのは鉄則だ。定石だ。香山リカや奥田愛基を投入して勝てるわけがない。マイナス効果にしかならない。左翼の票固めにしかならない。野党側は負けるべくして負けた。

残念である。代償は高くつくだろう。

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by yoniumuhibi | 2018-06-11 23:30 | Comments(2)
Commented at 2018-06-12 16:16 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 野党を勝たせる動機がない at 2018-06-13 21:21 x
おかしな話に聞こえるかもしれないが、自民党の中が、安倍一強になってしまっては、野党に投票する動機(モチベーション)はない。
次の政権が見えないのだ。
世論調査でどんなに「モリカケ問題」で納得できないという数字が高く出ても、政権の支持と不支持は拮抗していて、しかも野党の支持率は上がらない。
一昔前なら、選挙で野党を勝たせることは、政権交代を意味していた。
ただし、野党が政権を取るわけではない。自民党内部での交代である。
それでも、政権は交代した。次の総理候補がリアルに想定できた。だから、個々の選挙では与党と野党の戦いに意味があったのである。
今の野党に政権を奪取して欲しいと思っている有権者などほとんどいない。
そもそも日本共産党以外、政党名すらまともに浸透してはいない。
名前を知られている共産党もまた、以前の「融通は利かないが、馬鹿正直」というある意味でのプラスのイメージさえ失って、離合集散に組しているようにしか見えない。


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