しばき隊についての若干の考察 - 右翼が宣伝利用する悪性素材

c0315619_12522553.jpgしばき隊について気づいたことがある。最近、ネット右翼がしばき隊に言及する頻度が非常に多くなっている事実だ。有名無名のネット右翼が言論を投擲する場は、2ch(5ch)とツイッターだが、その両方で、しばき隊を叩く政治憎悪の発言の比重が増えている。ネット右翼が日常的に反復して行う左翼ヘイトの発信において、しばき隊が定番のトピックスになっている。関心が高い。例えば、15年ほど前の風景を思い出すと、当時はツイッターはなく2chが主な言論環境だったが、ネット右翼が精力的に情宣工作に励んでいたのは、南京大虐殺は幻だとか、従軍慰安婦は嘘だとか、コミンテルンの陰謀がどうとか、そうした歴史問題の荒唐無稽なデマゴギーだった。ネット右翼はそれを繰り返し繰り返し書き込み、2chのスレを埋め、溢れさせ、ネット言論の全体を支配して一般市民を強力に洗脳して行った。そこには同時に卑劣な民族差別の要素があり、土井たか子や福島瑞穂や菅直人を朝鮮人だと罵り、勝手に朝鮮名を付けて、これが本名だなどとデマを撒く悪質な手法も織り込まれていた。



c0315619_12523773.jpg日本社会が右傾化した原因の一つに、ネットを使った右翼の宣伝工作の洪水があった点は否定できない。2chのデマ工作は規制がかけられず野放しだったため、きわめて有効に作用し、マンガと並んで影響力を発揮した。特に若者層を教育感化し、政治の「知識」を身につけさせ、現在は安倍政権を支持するところの右翼思想の持ち主に変えている。ネット(2ch)はイデオロギー装置だった。今から思うと、ネット右翼たちは、個々を見れば、知性のない暇な者がただ感情的に、デマや暴言を書き散らかして喜んでいるようでありながら、巨視的に見れば、実はそうではなく、政治的に有効なテーマを選び、有効な「教育」のプロジェクトを遂行していたと察せられる。どこかに司令塔があり、組織的に取り組んでいたわけではないだろうが、政治的に鼻の利く右翼がいて、これは有効というテーマを選び出し、書き込むデマの内容や文言を加工調整し、そうした「集合知作業」の結果として、反左翼のプロパンダとして最適なものを流通させ、ネット右翼全体に共有される政治観念を作っていたこと(作為性)が窺える。

c0315619_12545403.jpgこうしたイデオロギーの営為と実務に右翼は熟達していて、非常に巧妙に、ネットを常に反左翼の言論を溢れさせる場として最適化することに努めている。そのネット右翼が、現在、中心的なトピックスとして活用しているのが、しばき隊に対する悪宣伝であり、嘗ての歴史問題と同じような頻度と分量で、しばき隊叩きのプロパガンダが機械的に流されている実態が看取される。メンバーの身バレとか、性的暴行事件とか、男組の入れ墨とか、大阪のリンチ事件の情報などが題材だ。彼らネット右翼は、どうしてそれほどしばき隊に粘着し、しばき隊攻撃のプロパガンダに血道を上げるのだろう。それはやはり、政治的に効果があるからではないか。叩く標的をしばき隊に集中させ、ネガティブな言説を流布させることが、安倍政権を支える上でイデオロギー的に効果が上がることを、彼らが嗅覚で感知しているからだと推測される。ただ面白がって惰性的にゴシップを選んでいるわけではない。しばき隊叩きは左翼叩きとして有効なのである。説得力があり、左翼を悪性表象化する上で最適の素材なのだ。

c0315619_12550552.jpgなぜかと言うと、しばき隊が悪役であり、自ら悪役のシンボルを引き受け、悪役として粗暴に行動しているからである。幹部が常に暴言と恫喝を吐き散らし、誰彼かまわず噛みついて喧嘩のトラブルを起こし、ろくでなし子事件のようなリンチ襲撃の騒動を頻発させているからであり、ツイッター社の規則違反でアカウント凍結が相次ぎ、そして名誉毀損裁判が繰り返されているからである。しばき隊は、読んで字の如く暴力をふるう集団であり、暴力を手段として目的を遂げることを自ら宣言し公認している集団だ。自分たちに絶対正義があるとし、その正義の根拠を暴力に依拠して証明しようとするボリシェビキ的な本性を持ち、ツイッター社の規制が有名無実だった最近まで、無法地帯のネット空間でやりたい放題の暴力三昧を行ってきた。自分たちを批判する者、少しでも気にくわない者に対しては、ネトウヨだのレイシストだののレッテルを貼り、全人格を否定して袋叩きの暴力制裁を浴びせ、泣き寝入りに追い込むというのが彼らの手口だった。5年間、それを続けてきたため、しばき隊の暴力集団としての悪評はすっかり定着している。

c0315619_13155111.jpgさて、ここで、しばき隊とは何かという概念定義にあたって、私は、しばき隊No.3の木下ちがやが唱えるところの「3・11以後の社会運動」をば、そのまま「しばき隊運動」の中身として適用し整理する考え方を採っている。便利な方法だ。2012年に始まった首都圏反原連の官邸前運動、2014年の都知事選で威力を発揮した宇都宮健児支持のTDC運動、反原連から派生した安倍政権NOの運動、主に労働問題をアジェンダとするエキタスの運動、そして2015年のSEALDsの運動、これらの諸運動の総体がしばき隊運動であり、全てのアクションにしばき隊の主要メンバーが積極参加している。写真や映像を検証すると、デモの前面にしばき隊のTシャツを著た定番メンバーが整列しているし、太鼓を叩いてコールする運動スタイルも全く同じだ。プラカードの形式も同じ。宣伝の方法も同じ。同一のしばき隊様式。何度も説明しているとおり、No.1の野間易通が統括するCRACだけがしばき隊ではないし、CRACの前身の運動体をしばき隊と呼んだことは、しばき隊に狭義と広義の二つの意味があるというだけの理解で十分だろう。

c0315619_12552841.jpgすなわち、しばき隊は一つのセクトであり、セクトのフロント団体として、安倍政権NOやエキタスやSEALDsなどの諸運動が包含されていると、そう図式化すると分かりやすい。革マル派にせよ、中核派にせよ、セクトは常に全学連などのフロント団体を傘下に収めて活動していて、平和運動や反基地運動などの一角に入り込んでフロント組織を立てたり、食い込もうと模索する。しばき隊は、共産党とは対立しない異種のセクトであり、むしろ積極的に共産党の手足となって活動し、左翼の中心でフロント団体の運動を請け負う組織体であって、その点で中核派や革マル派とは全く違う。共産主義・マルクス主義を奉じてない点も違う。出自が2012年の反原連官邸前デモであったため、そしてそれが成功したため、マスコミにおいてその活動は「純粋な市民の運動」として定義され、正当化され、派生するあらゆる運動が「普通の市民の運動」として中立表象化されてきた。しばき隊というネットの悪役の属性は一切表に出ない特権的存在になっている。が、路上では、中核派や革マル派と凄まじい抗争劇を繰り広げていて、しばき隊のセクトとしての正体が垣間見える。

c0315619_12554162.jpgしばき隊が、2012年の反原連運動から始まるという認識は、しばき隊を観察している者にとっては常識の範疇だろう。その首都圏反原連の運動には4人の有力なリーダーがいた。No.1の野間易通、No.2の菅野完、No.3の竹内真、No.4の木下ちがや。この4人の間にはやはり序列があったし、指導性と影響力の点からこの順番を並び替えることはできない。イデオロギー的には、菅野完が右翼を代表し、竹内真と木下ちがやが左翼を代表し、野間易通が中間でやじろべえの位置関係だった。ツイッターで最も多いフォロワー数を誇っていたのは菅野完で、次いで竹内真であり、野間易通と木下ちがやは少なかった。私は反原連関連のツイートをつぶさに追跡していたし、官邸前歩道の最前部にいつも出かけていたから、デモの準備から終了までの彼らの行動を目撃して記憶している。革マル派(全学連)を排除するのは、野間易通と木下ちがやの仕事だった。そのうち、菅野完がカネと女性の問題で追放され、順送りで竹内真と木下ちがやがNo.2、No.3に昇格し、同時にしばき隊は左翼の性格と立場を明確にする。さらに、竹内真が不運な身バレで消え、No.2は象徴的ポストとなった。

c0315619_16453172.jpg2015年に入って、SEALDs運動が立ち上がり、木下ちがやが一気に前面に出る。SEALDs運動を成功させた木下ちがやは、押しも押されぬしばき隊の二大巨頭の一人となり、しばき隊(3・11以後の社会運動)の表の活動と論壇を仕切るイデオローグの代表格的存在となった。フォロワー数も現在25.500で、しばき隊幹部の中で圧倒的な地位にある。SEALDs運動の事実上のオーナーは、当時、明治学院大の非常勤講師であった木下ちがやだったと断定してよいだろう。奥田愛基はいわばお飾りの存在で、首都圏反原連のRedwolfのような神輿的存在だった。
木下ちがやがカリスマを拡大させたあと、しばき隊運動全体の性格が変容し、CRACが核心のエンジンではなくなって行き、より永田町(と代々木)の政党政治と接近、一般の左翼市民運動とコンバージェンスする傾向を強くする。紙幅がなくなったため続きは次に持ち越したいが、上に述べたように、右翼が意識的にしばき隊をプロパガンダの材料にし、世論工作が成果を上げ、国内の右傾化を強める一因になっているのであれば、やはり、暴力集団であるしばき隊を無力化するか、その暴力体質を根底から改めさせる必要があるだろう。

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by yoniumuhibi | 2018-06-08 23:30 | Comments(3)
Commented by ムラッチー at 2018-06-09 15:48 x
やはり、ここ20年で右派が幅を利かし、左派が衰退したのは
「理論より共感」がキーワードではないかと。
「頭では解っていても感情が付いてこない」と言うのは
よくある事ですが、左派が「理屈」で遊んでいるのを尻目に、右派は「共感」の燃料をせっせと炎上させ続けて・・
まだ、取り返しはつく。我々も「共感」を武器にしなければ・・・。


Commented at 2018-06-09 23:35 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by NY金魚 at 2018-06-10 06:16 x
『共闘』の不在:
世に倦むファンでありながら『しばき隊』という呼称に違和感を感じつづけていた者として、この記事で少し理解が深まった気がします。
◆ 17年5月にジャン・ユンカーマン氏が自作上映のために来NYされて、二人で憲法や沖縄に関して実に意気投合していたところに、遅れて奥田愛基氏なる方があらわれて、突然当方老体二人に対して「あなた方(の世代)がやった70年アンポの不可能性」について激しく攻撃されました。さも「おまえたちの世代がやったことだから、おまえたちが悪いのだ」と言わんばかりでした。僕自身は当然70年アンポ以降の事件に非常に批判的ですが、相手の意識がどこにあるかをまったく確認せず、ただ暴力的なことばを浴びせる態度に激しい怒りを感じました。以降ひとことも話す気になりません。ユンカーマン氏も激しく眉を歪めておられました。奥田氏は、当時僕がハマってオッカケていたサンダースのリサーチに来られたようですが、サンダースの話題はひと言もありませんでした。こんなひとと、超世代でアメリカのリベラルを共闘させたサンダースのことを話したくないよね。この記事には、奥田氏はただの象徴的存在と書かれていますが、この一件以来、ほかのしばき隊のツイートも、一切読む気にはなれません。
日本の反アベ闘争がどんな状況で進んでいるか、詳しいことは存じませんが、人数の主力は60歳代以上とも聞きます。いまの反アベ派の無力は、あらゆる世代が『共闘』できていないことであると強く感じます。世代を越えての共闘は、高年齢層のリードが必要と痛感します。
◆ 差別主義のウヨクに対抗するために、ウヨクを差別してしまうことは必要悪なのかもしれませんが、それが反動的な内ゲバのようにかって仲間だった者の身体的暴力に及ぶことは、自分たちの思考がまさに浅間山荘事件のように、70年アンポ以降を踏襲していることに、まったく気づいていないということでしょうか。


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