ガザの虐殺に無反応と無関心を貫く日本の左翼 - 格差とパレスチナ

c0315619_14100472.jpg14日から15日、今度はガザで62人が虐殺された。3月末には16人が殺されている。素手でデモを行っている市民に対してイスラエル軍が実弾の狙撃で次々と射殺、見せしめの集団処刑のようなことをした。信じられないのは、この惨劇に対して日本の左翼が全く無反応である点だ。誰もツイッターで騒がない。重大視しない。イスラエルを糾弾する意見が発信されない。バグダッドで自爆テロがあった程度のニュースの扱いにして済ませ、安倍晋三の加計問題がどうのとか、懲戒請求問題がどうたらとか、新潟県知事選での国民民主党との共闘がどうとかの拡散と宣伝に熱中している。東グータ地区で「化学兵器事件」が起きたときは、天地が割れんばかりにヒステリックに喚き立て、ツイートの連投に狂奔し、しばき隊各自相互にRT数を膨張させ、アサドとプーチンへの憎悪を扇動しまくったくせに、イスラエルによるガザ虐殺の蛮行には無視と沈黙を続けている。話題にせず、情報を回覧せず、知らんぷりを決め込んでいる。現時点(16日午前)で、志位和夫と福島瑞穂のTLには、この問題について何の言及もない。この異常な無関心の貫徹は何なのだろう。



c0315619_14101610.jpg45年前、日本の左翼の過激な一部が、テルアビブ空港で大規模なテロをやり、無辜のイスラエル市民を大量に殺害した事件があった。日本の左翼過激派は、パレスチナ問題を橋頭堡にして「世界革命」の遊戯に興じていた時期があった。その日本の左翼が、今、恐ろしいほどパレスチナ問題に無関心で無頓着でいる。彼我の皮肉に唖然とする。左翼・しばき隊の常套句として、これこれの問題をマスコミは報道しないだとか、日本のマスコミは偏向しすぎていて大事な問題をニュースで伝えないという批判がある。だが、今回のパレスチナ問題にかぎっては、それは全く逆だ。逆の光景がマスコミとネットの間に広がっている。昨夜(15日)のNW9と報ステは、それなりに時間を割いてガザの問題を取り上げた。現地の映像も紹介されたし、被害の惨状も伝えられた。マスコミは報じているのに、左翼がこの問題に対して異常な不感症に徹しているのだ。恐ろしい国際法違反と人権侵害が起き、残酷な大量虐殺が起き、世界中が焦躁して見守っているのに、左翼がそれを真剣に直視しようとせず、イスラエルと米国を非難する言葉を発しようとしない。

c0315619_14110058.jpg米大使館エルサレム移転とガザ虐殺の問題に関しては、日本では右翼と左翼の反応に差がない。左翼が劣化したということだろうか。ツイッターでの左翼は、とにかく付和雷同が特徴で、魚の群のように反射神経の作用で同じ動きをし、自分の頭で考えて独自の意見を発信するという個性や習慣が見られない。上(共産党やしばき隊の幹部)に倣って行動し、仲間の空気を読んで無難に群れにくっついて右往左往している。彼らのツイッターは、市民の言論ではなく、党派や組織の末端かシンパの政治行動であって、だから、東グータ地区の「化学兵器事件」をアサド政権の犯行だと簡単に決めつけるのである。CIAの謀略の可能性を疑おうとせず、湾岸戦争時のナイラ証言のトリックと情報操作との類似性に思考を馳せず、Wertfreiheitな態度と複眼の視角で問題を検討しようとしない。今回のイスラエル軍の無差別銃撃では、6人の子どもが犠牲になっている。普通の感性で、親はこうした状況で犠牲になった子どもをマスコミのカメラに晒さないものだ。そこから考えても、東グータ地区の「化学兵器事件」の映像の不自然さが疑惑として浮上する。

c0315619_14111199.jpg10年前、2008年の年末、あの地獄のガザ侵攻があって以降、ガザは見捨てられ、以前のように顧慮されなくなり、国際社会からの内在的視線を受ける程度が小さくなった。西側のリベラル系ジャーナリズムから取材される頻度が少なくなり、時間が経つほどに同情と支援が集まる対象ではなくなって行った。ハマスは原理主義のテロリストだというレッテル貼りが横行し、マスコミが躊躇なく平然とそう言い切るようになり、ガザの民衆は悪魔に支配され盲従する愚民だという偏見が固まった。それと並行してイスラエルの迫害と虐待が正当化されて行った。どっちもどっちという誤った欺瞞の観念が浸透し、ガザ市民の人権は軽視され無視される推移となった。ヤシンが殺害される2004年の前までは、TBSも、NHKも、記者が積極的にガザに入り、ハマスが建てた学校を撮影し、ハマスの慈善事業と社会政策を紹介し、病院に薬品が不足しているから支援して欲しいという医師の訴えを報道の中に入れていたのだ。今、そうした報道は日本では皆無である。何か、イスラエルとパレスチナが国家としてイーブンに対立抗争しているようなフィクションで説明されている。
酷烈で非道きわまる占領と殺戮なのに。

c0315619_14112923.jpg私が日本の左翼一般やしばき隊と異なり、なぜパレスチナの問題に強く拘って憤慨するのかというと、自分がパレスチナの側に立っているからだ。主観的ではなく客観的に、そちらの世界に押し込められ、嘗てはなかった辛酸を味わされ、惨めな苦境を強いられている一人だと感じるからだ。他人事だと思えないからだ。パレスチナの問題は、明らかに新自由主義グローバリズムと格差社会の問題であり、勝ち組と負け組の問題である。20年前、イスラエルとパレスチナはこれほど極端に立場の差は開いてなかった。パレスチナの正義は国際社会で認められていた。基地問題での沖縄と日本が相似形の構図だと言える。客観的に、沖縄は今ほど酷く基地問題で蔑ろにされてはいなかった。時間が経つほどに、沖縄の立場と権利は無視され、愚弄され、日本の国家権力の恣意と暴虐がまかり通る事態になった。二つの問題は通底していて、社会が勝ち組と負け組に分裂し溝が深くなって世界が分かれた問題だと本質化できよう。パレスチナの側、沖縄の側に内在する視線と関心が薄く弱くなった。4月末の辺野古の抗議行動をマスコミは報道していない。

c0315619_14114140.jpgサイードが生きていた頃、アラファトが生きていた頃、パレスチナはこれほどマスコミ報道で地位と尊厳を軽んじられていなかった。ガザから発信される言葉に重みがあり、世界の左派リベラルはその言葉に正面から頷いていた。ガザは尊重されていた。西岸に入植地が増えて壁が築かれるなどとんでもない出来事だった。今、イスラエルとの境界に集まって、催涙弾の雨が降る中、決死の覚悟で抗議の声を上げている大勢の人たちは、とても粗末な身なりをしている。昔からそうだったのかもしれないが、今回は特にそう映る。米国大使館の移転式典に集まった者たちは、イヴァンカを筆頭に、お洒落で高価な服を着て富裕層が参列している。勝ち組。そのエルサレムから視点を垂直に上げ、高く高く、いわばグーグルアースの眺望を広げて、アラビア半島とペルシャ湾までが視界に収まる位置から見渡すと、摩天楼が聳えるドバイの繁栄が目に入る。石油成金で大金持ちになった産油国の王侯貴族と富裕国民の暮らしがある。ドバイなど、昔は観光地でも何でもなかった。30年前まで時計の針を戻せば、砂漠が海に面しただけのただの貿易中継港に過ぎない。

c0315619_14115137.jpgパレスチナの人々は、どうしてあのお金の一部がこちらへの援助に回らないのだろうとうらめしく見ているのではないか。イスラエルに対抗する経済力と軍事力を持てるのにと、くやしい気分で歯軋りしているのではないか。同じ神を信仰する同胞(しかもスンニー派のアラブ人)なのにと、恨んで憤っているのではないか。この20年、パレスチナはどんどん貧困になり、無力になり、抵抗力を殺がれ、存在感が小さくなった。その一方で、逆比例するように、シェーレを描いて湾岸諸国は豊かになり、地上の楽園のようなバブルの栄華を誇る姿に変貌して行った。資金は有り余っているのに、半島湾岸の指導者たちはパレスチナを救う政策に使おうとしない。イスラム教には喜捨(ザカート)などという徳行もあるのに、孤立し困窮しているパレスチナに施しの欠片を与えようとしない。イスラエルは中東イスラム世界そのものを破壊し、その全体を支配して旧約聖書の世界に改造しようとしているのに、それを知りながら、イスラエルと米国に虐め抜かれているパレスチナを放置している。救済の手を差し伸べない。イスラム教もネオリベ原理主義の自己責任論に墜ちた。

半島湾岸の首長貴族たちは自己の堕落を恥じていない。宗教的逸脱と背信に何の自省も呵責も感じていない。清貧と節制を説く聖なる教えも忘れ、浪費と贅沢三昧に溺れ、アメリカのイヌになって尻尾を振っている。貧乏になりながら、尻尾をさらに振っている哀れなイヌもどこかにいるけれど。


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by yoniumuhibi | 2018-05-16 23:30 | Comments(3)
Commented by 七平 at 2018-05-17 04:20 x
右翼であれ左翼であれ、大半の人々は人間として最低限の正義感と他人に対する思いやりがあるが故に人間社会が保たれているわけですが、このトランプと言う男、自らのエゴ、利益と名声ばかり追及して一生を過ごしてきたのでしょう。 大統領選挙演説中に身体障碍者の物まねをして、トランプが批判を買ったのは記憶に新しいところです。 要するに弱い者いじめをするのが大好きという、英語でBully と言う表現がぴったりな人間です。

昨晩のNYTの記事によると、キムソンイルが、米国が北朝鮮の核放棄に固守するのであれば、米朝会議はキャンセルするとの声明をだしたと報じましたが、驚きませんでした。  世界の環境を守ろうとする、Paris 協定、キューバやイランとの平和協定を一方的に脱退、放棄し、世界の世論を無視してイスラエルの米国大使館をエルサレムに移動し、挙句の果てにイスラエル兵のデモ隊に対する実弾攻撃を黙認する等々。トランプはイスラエルから見返りに一体何を提供されているのだろうと考えさせられます。 Follow the moneyの調査をすれば、必ず埃がでると思います。

上記の背景を踏まえ、中国も北朝鮮に核を完全に放棄せよとの説得は無理だと思いますし、固守しないでしょう。 カーター大統領の様な人道主義者が相手ならまだしも、トランプやボルトンを相手に丸腰になることは、 キムソンイルが  カダフィ や サダムフセインの似の前になりかねません。 呼吸をするように嘘をつく大統領と契約を交わしたところで一体、何の意義があるでしょうか?

一般米国人を弁護するように聞こえるかもしれませんが、65%の日本人が安倍晋三や麻生太郎の嘘と隠蔽、腐敗を嫌うように。65%の米国人はトランプの退陣を首を長くして待っています。11月の中間選挙結果で決着がつくと思います。
Commented by 長坂 at 2018-05-17 10:24 x
アサドには世界中が非難轟々なのに、ネタニヤフはテロに悩まされる被害者なのか。イラクに大量 破壊兵器があると散々デマを吹聴した張本人。パレスチナ人には移動の自由も与えず兵糧攻め、子供も平気で拷問の極悪非道人。大使召喚、河野太郎はお得意の断交を呼びかけるべき。紛争原因国の左翼リーダー、コービンは今回もTWやFBでイスラエルだけではなくアメリカの大使館移転や西側の不十分な対応も強く非難しているが、イヤ、もういい加減具体的に動くべきでしょう。自国が紛争原因の当事国でその責任もあると言いつつ、いつも声明文で終わり。ナクバ70周年とエルサレムへの大使館移転が重なったらどうなるか、、、こうなると皆わかっていたはず。
パレスチナの問題は汎アラブ主義で一致団結はもう過去の話しだった。
イスラエルの蛮行をずうっと非難して来た北朝鮮と安保理で亡くなった子供の名前を読み上げたボリビアは大国に翻弄されるパレスチナの良き理解者。
Commented by 河野の頃はよかった at 2018-05-17 12:00 x
昔の左翼ならば、光州事件には胸を痛め嘆き悲しみ、北朝鮮の飢餓にはあまり関心が向かず、
南米の軍事独裁に憂慮を示し、天安門事件には冷静な立場をとるというように、「左翼以前におめぇら人間なんだから、東西問わずあらゆる暴力に怒りを抱けよ」と思いましたが、
曲がりなりにも連中は米国になびかない姿勢は堅持していました。

今では、完璧に西側に立脚しててびっくり。


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