小西洋之への威嚇事件 - マスコミと国会は自衛官の思想的背景の調査を

c0315619_15455340.jpg小西洋之が現職自衛官に「おまえは国民の敵だ」と罵倒された事件、3日ほど経ったが、未だに抗議デモについての情報を目にしない。福田淳一のセクハラ問題については、19日夜に財務省前で市民が集まっている。どちらが重要とか言うつもりはないが、関心の度に大きな差があることが気になる。マスコミも小西洋之の事件についてはほとんど報道しない。セクハラ事件の被害者である女性記者やその上司には名前がネット上に流れているが、小西洋之を脅した30代の統幕3左については名前が漏れていない。ツイッターの検索で事件のその後を追跡しようとすると、右翼による小西洋之への悪罵と自衛官を擁護する書き込みでTLが溢れ、神経衰弱になって読むのをやめてしまう。マスコミはこの統幕3左について調査報道するべきで、どのような人物なのか明らかにするべきだ。特に知りたい問題は、この男の思想的背景で、右翼団体との関係はあるか、右翼運動に参加した経験はあるか、右翼思想への感化や傾倒の事実はないか、正確なジャーナリズムが提供されることを期待したい。本当に恐ろしい事件が起きた。われわれもマスコミも、事件の意味の大きさと深刻さを考え、どう認識すべきか言葉を探すべきだ。



c0315619_15460478.jpg自衛官は入隊したとき、次のような服務宣誓をする。「私は、我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、技能を磨き、政治的活動に関与せず、強い責任感をもつて専心職務の遂行に当たり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います」。この自衛官の行動は宣誓に違反している。この宣誓書に明記されているところの、自衛官が守るべき法令の最たるは自衛隊法だろうが、自衛隊法の61条には隊員の「政治的行為の制限」が次のように規定されている。「隊員は、政党又は政令で定める政治的目的のために(略)これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除くほか、政令で定める政治的行為をしてはならない」。具体的に、自衛隊法施行令がこの「政治的目的」と「政治的行為」を定義していて、「政治的目的」については86条3項に「特定の政党その他の政治的団体を支持し、又はこれに反対すること」、さらに5項に「政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し、又はこれに反対すること」とある。

c0315619_15461497.jpg「政治的行為」については、87条1項に「政治的目的のために官職、職権その他公私の影響力を利用すること」という規定がある。今回の統幕3左の行動は、自らの所属と階級を名乗った上で、しかも傍に複数の警察官がいる路上で、国会議員の小西洋之に「おまえは国民の敵だ」と何度も罵声を浴びせており、87条1項の「政治的行為」に該当する示威の行為であることは明白だろう。事件から3日経ったが、現時点で防衛省・自衛隊からの事実説明はなく、いつ調査結果を報告するという納期もない。大臣の小野寺五典も、統幕長の河野克俊も、法令違反という認識を示しておらず、単に「不適切な発言」だとしているだけだ。今後、防衛省・自衛隊がこの隊員の非をどのように判断してどのように処分するか注目されるが、自衛隊だけに調査を任せるのではなく、国会で事件を解明する必要があるだろう。動機が何だったのかを明らかにする必要があるし、この男が自らの行動をどう認識しているか知る必要がある。また、自衛隊内で「政治的行為」がどのように教育され、隊員に理解されているか実情を知る必要もあるだろう。男を国会に招致し、直接喚問するべきだろう。なぜ小西洋之が「国民の敵」なのか、男の言い分を聴きたい。

c0315619_15462459.jpg少なくとも、野党はこの問題の調査委員会を作り、事実の真相を糾明していくべきだ。私が恐れるのは、自衛隊の中にすでに戦前の「桜会」のような組織ができていて、秘かに会合を開いたり、有事後の野党排除計画を相談しているのではないかということである。今回の統幕3左の暴挙は、有事後に組織的に行われる権力テロの予告あるいは威嚇的警告だったのかもしれない。男が日本会議など右翼団体と関係する者だったり、右翼思想に共鳴する者であれば、その可能性は十分あると言えるだろう。現在の自衛隊は、本来、戦後日本が出発したときに国民が最も嫌忌し恐怖した存在になりつつある。「自衛隊_靖国神社」で画像のクロス検索をかけると、気味悪い写真が何枚も出て来て、防大生が隊列を組んで集団参拝したり、海自の幹部が制服姿で集団参拝するのが当たり前のように行われていることを知る。戦後の人々が見たら腰を抜かしそうな絵だが、自衛隊がこういう思想的環境にあるのなら、今回の「青年将校」の暴挙もむべなるかなの出来事と思われる。憲法9条を変えるという動きは、ただ事ではないのだ。その制服トップの河野克俊は、安倍晋三の9条改憲を堂々と歓迎する発言を公式にしていた。昔なら考えられないことだ。

信じられないことは幾つもあり、小西洋之が所属する民進党が何も言っていない。代表の大塚耕平は無言を貫いている。「国民の敵」だと自衛隊に名指しされたのに、何も反応していない。認めるということだろうか。


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by yoniumuhibi | 2018-04-23 23:30 | Comments(2)
Commented by 愛知 at 2018-04-24 01:16 x
ドイツ政府が情報を隠す恐れはないのか。実は、ドイツ議会には、もう一つ強力な武器がある。それが議会直属の『防衛監察委員制度』だ。監察委員は、予告なしに軍や国防省の調査を行うことができ、防衛関係に関するすべての資料が閲覧可能だ。監察委員は大臣をはじめ、軍の幹部を呼び出し、ヒアリングを行うことも可能だ。そのため、政府や軍は情報を隠すことが難しい。日本のように資料が黒塗りで出されることはないという。防衛監察委員のハンス・バーテルス氏は「我々の制度は軍国主義の再発を防ぐものであり、防衛監察委員と議会を通して、二重に軍を監視できる。議会の監視がないと、政府の裁量で海外派兵が判断されることもあり得る。兵士は何も知らない状態で危険な戦場に赴くことになってしまう」という。ドイツはアフガニスタンでの後方支援活動で55人の命を失った。・・・報ステ公式サイトの特集・過去、2015年9月5日から一部を引用。4月23日の報ステ、久しぶりに見たら国営放送並みになっていて驚き。メディアが戦争を強烈に後押しした過去を忘れないで頂きたい。
Commented by memoryofart at 2018-04-26 20:06
某自衛官による国会議員への恫喝
(や、その後の、当然某自衛官に対して強硬に対応すべき周囲の反応の薄さ)は、
武力を伴う権力行使の当事者が、そのことに関して自制的な判断力を備えておらず、

《隠蔽等の権力濫用への当然の追及》や、《武力行使への常識的な慎重論》に対して
逆恨み的で、右翼的な観点を有していること
を明らかにしてしまった点でも、
自衛隊(や、その他に権限を持つ人々)への信認の喪失に至り得る事件となっています。

数十年前、「反戦自衛官」が話題にのぼっていた頃は、
《自衛官は国民を守る意識が高い人が入るので、武力行使に慎重ということはあり得る》
などと言われていたものですが、今はそんな観点は薄れているのでしょうか。

シリアへの攻撃に反対する人々や、
小西議員のように武力へのシビリアン・コントロールの保持に努め続ける人が
「平和の味方」「国民の味方」であり、
それを恫喝する人々こそ「国民の敵」だと思います。


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