公文書偽造から背任の本丸へ - 麻生辞任の次は昭恵喚問が焦点に

c0315619_13542038.jpg佐川宣寿が辞表を出した翌々日、毎日新聞は1面トップに「財務省書き換え、佐川氏指示」の見出しを打った。10日の記事中では次のように報じて読者を驚かせている。「特捜部は今後、国会の情勢を踏まえながら、佐川氏への事情聴取を検討するとみられる」「特捜部が受理したのは、国と学園側の交渉記録を廃棄したとする公用文書毀棄容疑や、文書廃棄により背任の証拠を隠したとする証拠隠滅容疑」。相当に前がかりの筆致で、検察が佐川宣寿への捜査を始めるのではないかという観測を書いている。ここまで強気に傾いた見方は、これまでのマスコミ報道では一度も示されたことがなかった。「事情聴取を検討するとみられる」という曖昧な表現だから、具体的な動きが確認されているというわけではないが、一応は毎日の記者が検察筋を取材して、感触を窺った上で可能性を推測したものだろう。真正文書の存在が判明したことで、改竄(書き換え)の事実が明らかになった。そうなると、誰が何のために改竄したのかという説明がされなくてはならず、改竄行為の法的意味と責任が問題となる。改竄を指示したとされる佐川宣寿は、すでに公用文書毀棄の容疑で告発を受けていて、特捜部は告発を受理している。



c0315619_13551641.jpg告発を受理しているから、あとは捜査に着手して立件するか、そのまま寝かせて不起訴処分にするかどちらかだ。11日の毎日の1面記事の朗報に小躍りしていたら、夕方になって日本テレビのバンキシャが全く逆の報道を流し、「捜査当局は文書書き換えについて刑事責任は問わない見通し」と解説、視聴者を落胆させた。日本テレビの方も、それなりの取材で根拠を持った上での判断なのだと思われる。要するに、現時点(12日)では、どちらに転ぶか決まっていない。検察が佐川宣寿を逮捕するかどうか、まだ情勢は確定していない。おそらく、検察の中が二つに割れて揺れているのだ。容疑は明確なので逮捕して取り調べようという流れと、安倍晋三に忠実に従って立件は控えようという流れと、二つの方向性が鬩ぎ合っている状況なのだろう。前者の流れが毎日の取材に答え、後者の流れが日テレの情報源になっている。11日夕のバンキシャの報道は、11日朝の毎日の報道を打ち消す目的のもので、毎日の報道が先行すると、それを前提にした永田町の空気が広がるから、それを未然に阻止するべく冷水を浴びせて鎮静化した政治に他ならない。まさに情報戦。

c0315619_13562950.jpg毎日の11日朝刊の報道は、自民党のポスト安倍の面々とか、公明党の幹部とかに、麻生太郎の責任を問う声を上げさせようと誘導を狙ったものだったに違いない。日曜夜に放送されるNHKのニュースでは、地元に帰った政治家が昼間の集会などで発言する場面がよく登場する。注目の政局や時事についての発言が切り取られる。そこでの要人の一言が波紋を広げ、週明けの永田町の政治の渦を作って行くパターンがある。NHKのカメラが来ていることを意識して、政治家はそこで全国に流すメッセージを発信する。昨日(11日)は、その動きと流れを期待して報道番組を見守ったが、残念ながら何もなかった。政治家たちも検察にポーリング(探索)を入れ、どういう動向なのか慎重に見定めていたのだろう。検察がどう動くのか、正直、現時点ではよく分からない。ただ、若干の変化の徴候は見られ、先週末10日になって、「財務省から要請あれば資料返却も検討」と言い出した。これまでは、法務省が財務省を助太刀して「捜査に支障」ばかりを国会で言い、野党の追及から財務省を守る役割に徹していて、そこに司法側の保守的で惰眠的なスタンス(安倍擁護)が見受けられた。

c0315619_13582152.jpg検察と財務省の姿勢が変わり、9日に佐川宣寿が辞任発表し、10日に検察が真正文書を返してもいいと譲歩を始めたのは、やはり7日の近財局職員の自殺の影響が大きかったからだろう。事態が急転した。報道によれば、遺書には文書改竄の真相が書かれていて、実行を命じた上司の名前があり、佐川宣寿が上から指示を出した経緯が告白されていると言われている。その遺書の内容が、すでに東京のマスコミに回っているという情報もある。10日、財務省は文書書き換えの事実を認める方針を固め、改竄内容の国会説明と関与した職員の懲戒処分に出ることを明らかにした。放置して先週のままの姿勢を続ければ、野党やマスコミから遺書が突きつけられて窮地に陥ると考えたからだろう。いずれにせよ、こうして真正文書が日の目を見ることになり、朝日新聞のスクープが真実であったことが証明された。朝日が自ら証拠を出さぬまま、財務省の方が改竄を白状して実物を差し出す顛末となった。決済文書は二つあり、一つは真正文書であり、一つは改竄文書である。バンキシャの報道では、この改竄について検察は刑事責任を不問にするというのだが、果たしてその措置と決定が正当化できるだろうか。

c0315619_13585259.jpg到底、正当化できるとは思えない。この改竄は公文書偽造の行為である。虚偽公文書の作成と行使だ。しかも、その目的は、国民の代表である国会議員を欺くためであり、不正な国有地売却について真実を隠し、経緯を正しく説明した証拠文書の記述を改変し、国会の追及を逃れるために組織的に行ったもので、許しがたい権力犯罪の暴挙に他ならない。行為そのものについて法律論を言えば、違反歴で裏面が真っ黒になった免許証を持っていた警察の幹部が、組織の末端を使ってゴールド免許に偽造して所持し利用していた行為と同じだと喩えることができるだろう。ゴールド免許の保持者には、自動車保険の契約で特典を得られる。刑法156条に規定された公文書偽造罪は、そうした概念で説明でき、今回の事件に適用できると思われる。刑法156条の公文書偽造罪を使うにせよ、刑法258条の公用文書毀棄罪を使うにせよ、どちらにせよ、今回の財務省の行為は犯罪であり違法性を阻却することはできない。財務省そのものが、佐川宣寿の国会答弁を正当化するための改竄だったと認めている。もし刑事責任がないという結論を下した場合、当然、検察に対して轟然たる非難が国民から上がるだろう。

c0315619_13594613.jpg見落とせない重要な点は、11日の毎日の記事の中に「背任の証拠を隠したとする証拠隠滅容疑」という文言があることである。佐川宣寿に対して、公文書偽造だけでなく背任の証拠隠滅の容疑がかけられている。市民からの告発は、背任の証拠隠滅の容疑も含んでおり、捜査が正しく行われれば、この認定と立件を免れることはできないだろう。つまり、この森友事件の本筋であるところの背任、国有地の不当値引きの問題に焦点が合わされ直すことになる。背任では、他に3名の財務省幹部が告発されていて、(1)当時の理財局長の迫田英典、(2)当時の近畿財務局長の武内良樹、(3)近畿財務局長の美並義人への告発状が検察に受理されている。受理されたまま、もう半年以上も寝かされたままの状態にある。佐川宣寿の公文書偽造が立件されれば、当然、背任の証拠隠滅の方も立件されざるを得ない。犯罪として一つの行為だからだ。二つの犯罪は切り離せない。強盗と傷害のセットのようなものである。そして、佐川宣寿による背任の証拠隠滅が立件されれば、他の3名の背任も自動的に立件される。事件の本筋が本筋として刑事事件になる。4名の幹部が容疑者となる。財務省を舞台にした大型の背任事件の捕り物となる。

c0315619_14001668.jpg4名も幹部が逮捕されれば、麻生太郎の引責辞任は必至だ。そして、さらに次のステップに進み、安倍昭恵の姿が視野に入ってくる展開になる。背任には動機がある。官僚たちはなぜ背任を犯したのか。大事な国民の財産である国有地を不当に安く森友学園に売ったのか。単に相手が籠池泰典だったら、あるいは鴻池祥肇だったら、財務省は値引き要求を無視していただろう。門前払いで相手にしなかったに違いない。相手が安倍昭恵だったから、森友学園への便益供与を拒否できず、不正で違法な行為と察知しながら、背任となる契約の交渉と成立に積極的に応じて行ったのである。つまり、ここには、首相の妻である安倍昭恵の権力的存在があり、安倍昭恵による国有地管理行政への介入と干渉がある。犯罪には動機がある。犯罪を正しく立証するには動機の発見と確定が不可欠だ。今回の財務官僚による大型背任事件については、動機の核心に安倍昭恵の圧力と差配があり、そのことは改竄前の文書(調書)にも明らかで、籠池泰典の電話音声にも明らかで、証拠がきれいに残っている。財務官僚の逮捕と麻生太郎の辞任という段階を過ぎたとき、間違いなく安倍昭恵の国会喚問というフェーズに至り、衆目の中で責任追及を受ける正念場になるだろう。

安倍昭恵の証言がなくては事件の解明にならない。背任事件の全容が明らかにならない。


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by yoniumuhibi | 2018-03-12 23:30 | Comments(2)
Commented by 長坂 at 2018-03-12 18:44 x
官僚が死ぬたびに頭に浮かぶ寺山修司の短歌、「マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや」 全ての始まりはチャウシェスク・シンゾー& アキエの関与があれば議員も辞める発言。先程終了した野党合同ヒアリングの散会後の様子が流れていて、「遺書は今どこにあるの」と言う瑞穂議員。「自民党が持っている」と(たぶん)今井議員。「なんで私達も(コピー)もらえないの」(瑞穂) が漏れ聞こえてきた。自民が持っているなら今頃一生懸命改竄かと思わずにはいられない。幼稚なシンゾーの売り言葉に買い言葉で死に追いやられるなんて! 巨悪は決して捕まらない「点と線」から60年たっても同じ。
古賀さん(I Am Not Abe)のアエラの記事に「ノンキャリはキャリアよりはるか下の存在。 ノンキャリ課長補佐クラスの谷さんの問い合わせに財務省の管理職が丁寧に文書で回答するのは異例中の異例」だと。偉そう〜感も凄いが差別ヘイト軍国主義小学校がいとも容易く一国の民主主義を崩壊させちゃった。世界中に慰安婦像より何万倍も恥ずかしい。
Commented by 七平 at 2018-03-13 09:26 x
森本学園疑獄事件の真相の一角を暴露する動かぬ証拠が浮上し、公文書偽造に関しては疑いの余地が全く無いところまで来ました。お名前は判りませんが、その偽造を上役から強いられた官僚の方が命を落とされてしまい、残念に思うと同時にご冥福をお祈りします。ご家族の為にも、死因の追及を徹底的にしていただきたいと思います。背景の状況を考えると、他殺の可能性も無きしもあらずです。専門家による死因判定がなされるべきです。  なぜならば、医療、薬品化学の進歩と共に、自殺的な考えを誘発する薬剤もあるわけです。最低、血液や尿のサンプルは冷凍保存され、日本政府の手の届かない専門の研究所にて分析されるべきだと思います。  

公文書改竄の内容から逆に考察すると政府関係者の名前を隠すだけではなく、 安倍政府からの特別指令で公地をただ同然にして売れる様に、計画が練られた事は一目両瞭然です。 地下に見つかったとされるゴミは、値引きの言い訳にするため発明、ねつ造だと考えるのが妥当です。 

旧農地の地下3mや9mにゴミが見つかる等、全く考えられない事です。工事現場で実際に、ごみの持ち込みや除去をされていた作業員の方は(口止めされている可能性は高いのですが)実情をご存知だと思います。そこで、思い起こすのが  藤原工業の下請けの田中造園土木の秋山肇社長です。 毎日新聞の取材に対して、「国に言われて埋め戻しした」と証言した翌日に豊中市役所のトイレで心臓発作で死亡されたと記憶しています。 前例と同様、自殺行為を誘発する薬があるように、心臓発作を誘発する薬はもっとたくさんあります。お茶に混ぜる事も可能です。 死後、血液や尿のサンプルが保存されていれば良いのですが、、、。 偶然では納得できません。

我が祖国、日本とは恐ろしい面を持った国だとつくづく考えさせられます。


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