麻生太郎の辞任が焦点 - 朝日新聞が暴露した森友公文書偽造事件

c0315619_15482753.jpg朝日新聞がスクープした森友文書の書き換え事件。これは正しく公文書偽造事件と呼ぶべきだ。一部に捏造と呼んだり、改変と呼んだり、何やらお茶を濁しているケースが多いが、法律に偽造という概念があり、問題が刑法に違反する犯罪であることは間違いないのだから、奥歯にモノが挟まったような言い方はせず、公文書偽造事件として正しく定義すべきで、政治家も、マスコミも、この言葉で認識と表現を統一すべきだろう。また、偽の文書を渡されて被害を受けた野党は東京地検に告訴すべきで、刑事事件であることを国民に明らかにするべきだ。事件が発覚した2日、東京新聞記者の望月衣塑子はツイッターで公文書等毀棄罪に当たると述べたが、この指摘は見当外れで誤っている。公文書毀棄というのは文書を物理的に破壊する行為のことで、文書を破って棄てたり、ハードディスクを破壊して電磁記録の読み取りを不可能にすることを意味する。今回の場合はそうではなく、官庁の真正な決済文書を改竄して虚偽の文書を作成し行使した行為であり、刑法156条の「虚偽公文書作成等」の罪が該当する。刑法では一括して「文書偽造の罪」と範疇づけており、この事件は法律の概念規定に即して議論するべきだ。



c0315619_15483896.jpg公文書等毀棄罪と公文書偽造罪との違いを喩えて言うなら、前者は紙幣を破って棄てる行為であり、後者は偽札を刷って騙して使う行為である。構成要件が異なり、犯罪の類型が全く違う。プロの社会部記者で報道の一線に携わる者が、刑事の法律知識でこのような簡単なミスをしてはいけないし、確認もせずにツイッターに書き込んで発信するのは軽率に過ぎる。文書は破壊されていない。改竄されたのであり、真正文書が虚偽文書に偽造され行使されたのである。しかも、国会議員を欺く目的で偽造と行使が為されている。重大な権力犯罪であり、憲法違反の論外の所業だ。70年代とか80年代であれば、ただちに衆参で特別委員会が設置され、容疑のある関係者が証人喚問される事態になっただろう。朝日新聞は、現時点で真正文書の詳細を公開していない。15年5月に森友学園と土地貸付契約を結んだ際の文書と、16年6月に大幅値引きして売却したときの文書と、二つの決済文書について、改竄前の真正な現物が存在すると言い、関係者も証言していると言っているだけだ。具体的に誰の決済印が押されているのか、その点はまだ明らかにしていない。

c0315619_15511627.jpg朝日の記事では「複数の関係者によると」とあり、財務省の官僚が内部告発をしたことが窺える。証拠となる真正文書を入手して朝日新聞に見せていて、偽造の日時や関与者についても証言協力しているのだろう。つまり、この問題は、昨年の加計問題での文科官僚の前川喜平の造反劇の続編で、それが遂に財務省という霞ヶ関の中枢にまで及び至ったことを意味する。朝日は、もう少しで安倍晋三の首を落とすところまで迫りながら、小池百合子と前原誠司のバカ騒動の政治に回収され、安倍晋三の衆院選勝利で逆襲されるという無念の顛末に終わってしまった。返り討ちに遭い、そこからは安倍晋三による口汚い罵倒の嵐が続き、何も反論することなく無言で臥薪嘗胆の日々を送ってきた。平昌五輪が終わり、マスコミが疑惑を隠してスピンするネタがなくなったと同時に、タイミングを見計らって巨大な疑惑(権力犯罪)をスクープする攻勢に出た。朝日と官僚の繋がりは深い。この真正文書を朝日に渡し、偽造の真相を証言している官僚は、かなりの幹部であるはずで、事務次官か審議官クラスの大物ではないかと想像される。そうでなければ、ここまで大がかりな告発はできない。

c0315619_15485114.jpg同様に、この大胆な政治目的の偽造そのものも、下っ端の小役人が敢行できる悪事ではなく、省トップ、大臣の麻生太郎が関与している点は間違いない。普通に真相を推理すれば、当該文書を国会議員に提示する前に、政府側に不利な記述を削除・修正する旨を佐川宣寿が具申し、麻生太郎がそうせよと指示して実行したという経緯だろう。原本の文書ファイルをPCで書き替えるのは簡単だが、印鑑の押印はどうしたのだろうか。異例の高額の国有地値引きであり、安倍晋三が糸を引く政治案件でもあったわけだから、稟議書(起案書)の決済はかなり上級幹部の決済印まで必要としたものと思われる。また、それほど大胆で悪質な不正行為だったからこそ、上級幹部の間で問題になり、秘かに動かぬ証拠も押さえられ、周到な準備の上で、満を持して朝日への告発に進んだのだろう。今週、朝日側の暴露は続いて事件の輪郭を徐々に明らかにするだろうし、ニの矢、三の矢が用意され、公文書偽造の容疑は日を追って明確な像を結ぶに違いない。真正文書が共産党の手元に渡り、国会質疑で追及される事態になったら、財務省側は万事休すで、抗弁することも答弁を逃げることもできないだろう。常識的に今後の展開を予想したとき、麻生太郎の引責辞任に向かうとしか思えない。

c0315619_15490222.jpg今週はこの問題でマスコミは騒然となるはずだ。国会も波乱が続き、6日の財務省の報告を受けて、週末までにまた安倍晋三出席の下での集中審議が組まれるだろう。与党側は拒絶できない。マスコミ報道にも異変が起きていて、3日に行われた国税庁前(財務省前)の抗議デモ - いわゆる森友デモ - が、NHKの午後6時のニュースで紹介されるという出来事があった。公文書偽造事件の影響の大きさを睨んで、世論の動向を先取りしたNHKの姿勢と言える。おそらく、報ステもNEWS23も、この森友デモを取り上げるだろうし、今週はこの報道を中心に据えた番組編成にするだろう。昨秋の衆院選以来、テレビ報道が官邸権力の監視指導下ですっかり北朝鮮化していたが、再び反安倍の論調へと旗幟を鮮明にするかもしれない。その変化が期待される。一週間後には3月の世論調査が発表される予定だが、内閣支持率は大きく低落するだろう。前回46%だったNHKの数字は、5ポイントほど下がる結果になるのではないか。副総理で政権の屋台骨の麻生太郎が辞任すれば、10ポイント下落する衝撃が起きてもおかしくない。そうなると、与党内は俄にポスト安倍の物色となり、9条改憲どころではなくなる。25日の自民党党大会に向けての条文案の集約は困難になる。

c0315619_15495995.jpgこの局面で、二つの論点を問題提起したい。一つは、元検事の論者がマスコミに出て、財務省側が国会答弁を拒否する理由としているところの、「捜査に支障が出る」という言い訳を論破することである。検察の観点から公正に意見する立場で、「特に捜査に影響することはない」と明言してくれることだ。権威の堀田力がテレビでそう発言してくれると一番いい。若狭勝でもいい。長谷部恭男とか小林節とか、憲法学者の説明でもいい。財務省側が答弁拒否の不作為を正当化している口実を阻却し、根拠にならないものだと一蹴してくれるとありがたい。国権の最高機関は国会であると言い、憲法第62条の国政調査権の規定に抵触する不作為は許されないと主張してもらいたい。もう一つの論点は、佐川宣寿の身の安全という問題である。客観的に考えて、いま最も危険な状態にある。佐川宣寿がここで不慮の死を遂げてくれたら、麻生太郎も安倍晋三もシラを切って逃げることができ、佐川宣寿に全責任を押し被せることができる。あの男が勝手にやりました、一存で偽造文書を作成しました、俺たちは何も知りません、第三者委員会を立ち上げて調査検証しときます、再発防止を徹底します、で済ますことができる。死人に口なし。それが政権にとって最も都合がいい。まさかとは思うが、KKRホテルに逃亡隔離の身は大丈夫なのだろうか。

財務省御用達の要塞のような高級ホテルこそ、国家権力による口封じという見方からすれば、実は本人にとって最も危険な環境であるとも言える。事故が起きてからでは遅い。


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by yoniumuhibi | 2018-03-05 23:30 | Comments(4)
Commented by 芝ちゃん at 2018-03-06 13:04 x
いつも愛読し、学ばせて頂いています。今回の論文も食い入るようにように読まさせて頂きましたが、最後にブログ主さまが懸念された佐川宣寿長官の身の安全についての言及に、大きな衝撃を受けました。確かに佐川宣寿・前理財局長が暗殺されれば、大きなメリットを甘受するのは安倍内閣そのものです。推理小説の筋書きそのまま政府・公安当局のマスコミ発表は、公式通り「左翼のテロ行為」と宣伝しながら、実際は「極右翼の安倍信者の仕業」ということが充分考えられます。
Commented by アユ at 2018-03-08 06:21 x
もし公文書の一部を差し替えたなら、元の文章を破棄したという意味で、公文書毀棄はあり得るような気がします。

Commented by 真相解明を at 2018-03-09 15:13 x
いよいよ亡くなられた方がでてしまいましたね。
自殺で処理されましたが、到底信じられませんね。
Commented by キヌケン at 2018-03-12 01:18 x
公文書改竄問題・・・リーク元は財務省(近畿財務局)だとばかり思ってましたが、大阪地検特捜部のリーク、ということも考えられるのですね。
abemanewsで瀬尾 傑氏が3つの可能性に関して述べています。

1 近畿財務局
2 大阪地検
3 会計検査院

通常よくあるケースとして、”世論のバックアップ”が欲しいので、まず新聞にリークして”巨悪と戦っていく端緒とする”みたいなとを言ってます。
もちろん真相は分かりませんが、これだと朝日がなぜ証拠を出さなかったのか?なぜ二弾、三弾をすぐに打てなかったのか?など、納得が行きます。

世に倦む日日さんもお見通しの範囲かと思いますが・・・。


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