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三浦瑠麗の騒動と古川勝久の「北朝鮮制裁法」 - 戦争の地固め

三浦瑠麗の騒動と古川勝久の「北朝鮮制裁法」 - 戦争の地固め_c0315619_17150083.jpg先週、国連安保理北朝鮮制裁委員会専門家パネル元委員の古川勝久が、テレビに出て「北朝鮮制裁法」の説法をしているのを見た。どの局の何の番組だったか、よく覚えていない。BSフジのプライムニュースではなく、夜10時台のBSの番組だった覚えがある。最近、テレ朝の報ステが粗悪で、内容がNHKのNW9と同一で、ワイドショー以下の水準に劣化しているため、途中でリモコンに手を伸ばしてBSの1ch、4ch、7chなどを移動し徘徊するようになった。それらのどれも不満で、見続けているのが面倒になり、途中で飽きて切り上げるのだが、その中のどれかで古川勝久がその議論をしているのに出くわした。風貌からして異様で、テレビ向けの一般様式ではない。その容姿で敢えて堂々とテレビに登場する意図や背景について何事か不穏なものを想像させる怪人だが、プロフィールを確認すると、やはりと納得させられる不吉な情報が並んでいた。今は、この男(北朝鮮)とか、小泉悠(ロシア)とか、小原凡司(中国)とか、不吉系オールスターズが、マスコミで外交安保を解説する中立標準の専門家だ。戦前日本そのもの。身の毛もよだつ光景。もし、90年代前半に生きている日本人をタイムマシンで連れてきてテレビを見せたら、彼は何と言うだろう。久米宏や筑紫哲也の報道に毎晩接し、河野談話や村山談話を横目で見ながら普通に暮らしている日本人を、この環境に置いたらどんな反応を示すだろう。



三浦瑠麗の騒動と古川勝久の「北朝鮮制裁法」 - 戦争の地固め_c0315619_17154008.jpg古川勝久の主張は、現行の法制度では国連安保理で決議した厳しい北朝鮮制裁をコンプリートすることができないので、「抜け穴」を防ぐべく「北朝鮮制裁法」を新たに制定すべしというものだ。また、内閣官房にその法律を運用する司令塔を設置し、貨物・船舶の検査等をオールジャパンで徹底すべしと唱えている。東洋経済のWebサイトに要旨が載っている。ここでは貨物・船舶の問題しか出てないが、金融・通信・渡航などあらゆる方面にわたっての監視と統制が入り、安保理決議を超えた独自制裁が入る悪法になることは間違いない。例えば、現在では一般の国民が北朝鮮に旅行することは自由で、営業している旅行代理店を使って観光で訪問することができる。また、10万円以下なら北朝鮮に送金することもできる。これらに網がかかって全面禁止措置になるか、あるいは、これらに関わった者がリスト化され監視対象になるだろう。それが合法化されるだろう。北朝鮮を旅行して帰国した者が、公安に呼び出されて事情を聴かれ報告することが義務化されるかもしれない。北朝鮮関係のサイトへのアクセスが監視・管理され、北朝鮮関係者と公安がマークした人物のメールが検閲され、スマホやPCの利用状況がリアルタイムに盗撮され、メールをやり取りした者も追尾され、それらが合法化される法律になるかもしれない。

三浦瑠麗の騒動と古川勝久の「北朝鮮制裁法」 - 戦争の地固め_c0315619_17155644.jpg三浦瑠麗の問題発言は、古川勝久がマスコミでアドバルーンを上げている「北朝鮮制裁法」を世論に地均しする思惑のプロパガンダだったのではないか。昨年成立した共謀罪(テロ等準備罪)法では、条文の中にある「組織的犯罪集団」とは何かという定義が大いに問題になった。政府はこの説明で暴力団を前面に出し、市民運動を弾圧するといった政治目的の治安立法の意図がない点を強調していたが、「国際テロ組織」とか「マネーロンダリング」等のキーワードについては、TOC条約を根拠にして立法事実に含めていた。朝鮮総連を「国際テロ組織」とか「組織的犯罪集団」にしてしまえば、共謀罪法の中身が適用されて簡単に取り締まりに使えてしまう。古川勝久の「北朝鮮制裁法」は、おそらくそうした内容のものなり、貨物・船舶の監視というモノの側面だけでなく、治安立法での人権制限(侵害)の要素が入ることになるに違いない。結論から言えば、朝鮮総連が非合法化されるということで、国連安保理決議を根拠にして、北朝鮮に関わるヒト・モノ・カネの動きを「テロ行為」の「犯罪」と認定し、すべてを網羅的に摘発・処罰する法律と機関を作るということだ。マティスやペンスが最近口にする「嘗てなく厳しい追加制裁」は、こうした法整備を日本に要求することも含まれている可能性がある。米国から見れば朝鮮総連はテロ組織だろう。

三浦瑠麗の騒動と古川勝久の「北朝鮮制裁法」 - 戦争の地固め_c0315619_17162878.jpg古川勝久の「北朝鮮制裁法」のプレゼンテーションは、まだプライムニュースには登場していない。これから予定が組まれていて、ひょっとしたらその席に三浦瑠麗と佐藤正久が並ぶという配役だったのかもしれない。そんな策動の所在を想像する。三浦瑠麗は批判された11日の当該番組の中で、日本に北朝鮮のテロリスト(スリーパーセル)が潜伏していて、特に大阪で破壊活動を起こす危険性が高いと警告している。大阪が強調されているのは、そこに在日朝鮮人が多く居住しているからで、いわゆる「草」の存在と暗躍の危険性を暗示していることは言うまでもない。こうした言説は、2chなどでは日常的に撒かれているものだ。右翼系の雑誌などでも茶飯事の「常識」だろう。テレビでの言論工作として、古川勝久がプライムニュースで「北朝鮮制裁法」を宣伝する前に、前座として三浦瑠麗がお笑い番組に出演し、軽いノリで「有事の際の在日の破壊工作」の蓋然性と恐怖を騒いでお膳立てしておくことは、右翼政権側の戦略の順序として十分に考えられる設定だ。タイミングを考えると、予算を上げた後の後半国会に法案が出る可能性がある。外に半島での軍事衝突の緊迫が煽られ、内に9条改憲の政局が進行して世論調査で改憲派が多数化演出される図と平行して、この法案が審議され、公明と維新の賛成であっさり可決成立の運びとなるのかもしれない。

三浦瑠麗の騒動と古川勝久の「北朝鮮制裁法」 - 戦争の地固め_c0315619_17163956.jpg古川勝久の「北朝鮮制裁法」の政治は、古川勝久が発案者なのではなく、CIAと安倍官邸と国家安全保障局(谷内)の手で策が練られていて、古川勝久はマスコミ担当のアジテーターの位置なのだろう。この三浦瑠麗の発言をめぐる言論戦で、右翼側は、これは差別(ヘイト)の問題ではなく安全保障の問題なのだと反論し、左翼側の批判攻勢に対抗する論陣を張っている。私に言わせれば、むしろ本質は逆で、安全保障と人権侵害の問題だからこそ重要かつ深刻なのであり、北朝鮮との戦争態勢が固められ、国民の平和的生存権が奪われる事態の出現こそが問題なのだ。「北朝鮮制裁法」は、貨物・船舶を皮切りに、金融・渡航・通信の遮断と監視統制から始まって、米国愛国者法のような思想警察による恣意的で強権的な捜査の体系となる。戦争が始まった後の半島からの避難流入者に対する対策となり、まさに戦争法として機能するだろう。人種差別(ヘイト)の次元の問題ではなく、9条の問題であり、すなわち社会学ではなく政治学の問題なのだ。今、マスコミの全てが北朝鮮叩き・韓国叩きの洪水で溢れていて、北朝鮮との戦争準備が正当化されている。9条は戦争を禁止しているのに、そのような国家原則は無いかの如くマスコミと世論が一束(fascio)になっている。日米同盟があり、米国は北朝鮮と戦争準備に入ったから、日本も即応して臨戦態勢を整えるのが当然だという空気になっている。その戦争言論のビルディングブロックの一つとして、三浦瑠麗の在日=テロリスト論が飛び出した。

三浦瑠麗の騒動と古川勝久の「北朝鮮制裁法」 - 戦争の地固め_c0315619_17165123.jpgバッハが訪朝を決断し発表してくれたことをありがたいと思う。一縷の希望が見えた思いがする。戦争を始めようとする者がいれば、戦争を止めようと動く者もいる。平昌オリンピックと平昌パラリンピックの間には3月1日がある。北朝鮮が南に向けて平和攻勢をかけるには、またとない絶好の機会がそこにある。これまで、韓国がどれほど北朝鮮に太陽政策で平和を働きかけても、北朝鮮はそれに応じず、核ミサイル開発で武力を誇示して米国と直接交渉する方向にシフトしてきた。ファーストプライオリティを米国に置き、セカンドプライオリティを中国に置き、大国を挑発したり翻弄する意固地な外交でサバイバルを図ってきた。韓国を見下して袖にしてきた。今、その態度が崩れつつある。背に腹は代えられなくなり、民族の論理に頼らざるを得なくなり、韓国と正面から向き合う姿勢に変わってきた。民族をキーワードにした融和外交に転換してきた。この変化の意味は大きい。そして民族の紐帯は力強い。分断の悲劇を乗り越え、南北統一を果たすことは、半島の人々の悲願である。北朝鮮が韓国に頭を下げ、素直に援助を乞い、韓国の要求を聞く姿になれば、韓国の国民は北朝鮮に寛容になり、戦争の阻止に一糸乱れず結束するようになるだろう。私は、北朝鮮が(嘗てのマハティールに倣って)ルックサウス政策を方針化することを期待する。大胆な学術文化交流を発表し、南に学んで南に追いつく目標を掲げる図を望みたい。

3月1日の民族の日に北朝鮮が新しい戦略 - いわば「太陽受け入れ政策」 - を発表し、そのサプライズに韓国国民が酔って歓迎する劇的な展開となることを念願する。平和の使者となるバッハには、そのドラマの演出を首尾よくやってもらいたい。


三浦瑠麗の騒動と古川勝久の「北朝鮮制裁法」 - 戦争の地固め_c0315619_17170841.jpg

by yoniumuhibi | 2018-02-14 23:30 | Comments(3)
Commented at 2018-02-14 22:47 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 長坂 at 2018-02-14 23:05 x
この古川勝久の経歴を見たらアメリカン・エンタープライズ研究所ってありますが、ここのメンバーはブッシュ政権の外交政策を担った面々、イラク戦争の戦犯達。チェイニー、ボルトン、ウォルフォウイッツ、日本研究部長のマイケル ・オースリンとかいる。元国連安保理の〜なんて言うから平和構築の為と勝ってに誤解してたが、なあんだアメリカ(ネオコン)の工作員?おっと失礼コラボレーターなんですね。どうりで文在寅を外交センスなしだの南北融和の主役ぶるなとか、ネガキャンに忙しい訳だ。どうして北朝鮮が核を持たざるを得なくなったのかとか、平和条約締結を求めても65年間ずっと拒み続けてるのはアメリカだとかは絶対言わないし。ま、南北上手く行ったら仕事なくなちゃうし、、、
Commented by 七平 at 2018-02-20 05:29 x
​ 地球の裏側から日本を見守る私にとっては三浦 瑠麗や 古川勝久は聞いた事もない名前でした。しかし、インターネットのお陰でBackground の調査は簡単にできます。最近気が付いたのですが、Google Chrome の環境下、リンクするWeb Addressが無くてもキーワードを人差し指でハイライトし、その後、中指でマウスの右ボタンをクリックすれば一機にGoogle 検索につながります。 従って、キーワードさえ判っていれば、なんでも瞬時に調べ上げられる環境が整っています。 物事の暗記が不必要になり、物事に対する洞察力の方がはるかに重要になっています。日本の教育:暗記、反芻、ふるい落とし、がますます時代遅れだと痛感しています。

三浦瑠璃をウェブ検索をしながら思いだしたのは、”このーハゲー” 代議士の 豊田 真由子です。 両者、東大卒、 三浦瑠璃に至っては東大、大学院から法学博士号取得と、ウィキペディアに記載されています。天下の東大も地に落ちたものです、大学は問わず法学部卒業でもない人物が法学博士に成れる仕組みに首をかしげてしまいます。 こんな連中に入学を認め学位を出し続けると東大のグローバルランキングは落ち込んでいくと思います。  コネとか政治的圧力が無ければ、考えられない事です。 マスコミや司法府だけではなく、日本を代表する大学にまで腐敗の浸食が進んでいるように見受けられます。 過去20年程の間に、米国の著名大学の大学院や研究所から日本人の研究者の数が激減していますが、受け入れ先も日本の状況を把握しているのだと思います。 

古川勝彦に関しては、ブログ主さん御指摘の様に、確かに人相が悪いなと思います。人を外観で判断してはいけませんと幼い頃に教えられましたが、一方、同じ亡き母の言葉でもありますが、 ”人間、四十を超えたら、自分の顔に責任を持つべし” とも聞いています。 心にある事が本当に顔に出るなと思わせたのは、小野田さんのビデオをみた時です。彼がフィリピンから帰国した時の顔とブラジルから再帰国した時の顔を比べると、確かに心は顔に出るものだと感じました。小野田さんはi実際、意志強固、しかし 温厚な人であった事が伺えます。 そういう観点から考えると、日本を代表する政治家、特に内閣に多くいる世襲議員の人相が悪いのは気づかずにはおれません。


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